起業・経営FAQ:期中の役員報酬の減額、株式の譲渡における節税について教えてください。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

会社を経営しています。この度、複数の会社の代表になることになりました。それに際して2点質問があります。

(1)複数の会社の代表になることで、自分が経営している会社の売上が落ちることが予測されます。なので自社の役員報酬を減らしたいと考えています。期の途中での役員報酬の減額は節税になりますか?

(2)就任時にその会社の株式を譲渡してもらえるのですが、所得税のことなどを考えて、無償・有償譲渡のどちらがいいのか悩んでいます。この点についてアドバイスをお願いします。

 

回答:役員報酬の減額は節税上不利になるでしょう。株式の譲渡は時価との差額に注意しましょう。

この質問への回答者

土谷 正剛(つちや まさたけ) / 東京都 / MT-Trust税理士法人
若手起業家から多くの支持を得る土谷アドバイザー。プライベートでは、スポーツ、料理、ワインが趣味と非常に多彩な方です。若手起業家の方で、税務関係でお困りの際は、土谷アドバイザーがお勧めです。

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早速ですがご質問について回答させて頂きます。

(1)役員報酬の増額や減額は可能ではありますが、税務上の観点からは特定の要件に該当しない限りは不利な取扱いとなってしまいます。

税務上、役員報酬についてはご存じかもしれませんが、毎月同額支給を前提に経費として処理することが可能となっております。毎月同額支給が要件ですが、改定のタイミングは決算から3か月以内となっておりますので決算後3か月以内の減額であれば特に問題はございません。仮に減額した場合には減額した金額が経費とならなくなってしまうため法人税の負担増となってしまいます。

決算時期以外の変更の場合、例えば今は毎月100万円支給、来月から70万円に減額したとすると今まで支払っていた100万円のうち減額した30万円が法人税の計算上経費とならないことになります。つまり、所得税は100万円に対してかかり、100万円払ったのに70万円しか法人税上経費にならないので税務上の観点からはおすすめできません。

税務上一定の要件により減額することも可能ではあるのですが、対外的に(例えば銀行などから)減額を迫られてなどとなっているため、上記に書いて頂いた単純に売上が減るからという理由では前述の通り減額分が経費とならないことになります。減額するのであれば決算後であれば問題ないと思います。

(2)無償に限らず有償の場合でもですが、時価との差額については課税のリスクがございます。

株式の「時価」については税務上計算方法が決まっています。無償の場合ですと、時価相当額が差額になりますので、時価相当額が贈与とみなされます。そのため贈与税がかかる可能性がございます。ただし、110万円までは非課税枠がございますので、時価相当額が110万円以下であれば税務上の懸念はございません。有償による場合も売却価額と時価の差額が贈与とみなされますが、大きな乖離がなければ正常の範囲として認められる可能性もございます。どうするかはまずは時価を計算してみて検討することになると思います。

(2)については実際の数字を見てみないと何とも言えない部分があるのと、時価の計算方法含め少し規定が複雑ですのでしっかり検討した方がいいと思います。

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