ゼブラ企業とは?ユニコーンとの違い―ポストコロナ時代における企業のあり方

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 鈴木 彰悟

個人主義社会と化した現代社会において、国内でも最近注目されている「ゼブラ」企業。今回はこのゼブラ企業が提唱された背景やユニコーンとの比較などを踏まえた上で、ポストコロナ時代において、企業のあり方はどう変化していくかについて考えていく。

ゼブラ企業が提唱された背景とは

これまで世界の多くのスタートアップ企業が、巨額の資産を形成し、大規模な資金調達や買収などで世間を騒がす「ユニコーン企業」に憧れを抱いてきた。とくにユニコーンは、市場の穴を見つけ、圧倒的なスピード感で市場を独占しようとする。

このユニコーン企業を無条件で称賛するような社会的風潮に米国の4人の女性起業家が提唱した概念、それが「ゼブラ企業」という社会貢献を第一主義とした組織である。

ユニコーン企業とゼブラ企業の違い

ユニコーン企業に相反する組織体として立ちあがったゼブラ企業。これらの企業体にはそれぞれどのような特徴があり、どんな点で異なった組織なのか説明していく。

ユニコーン企業の特徴

2013年米国のベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リーが提唱した概念であり、多大な利益をうむ可能性のあるベンチャー企業を、一本角の生えた幻獣に例えて表現したものとされている。

創業10年以内である

ユニコーン企業とは、社会にイノベーションを起こし、市場を独占することで多額の利益をうむ可能性のある企業のことを指すため、その点においては一見、操業年数など関係ないようにも感じられる。

だが、創業から10年以上経つ企業は、それなりに主軸の事業で利益をあげていることもあって、リスクを取れないことで新規市場への参入が困難であったりする。大きくグロースするためには、まだ開拓されていない領域で新規事業を立ち上げ、大量の資本投下のもと一気に市場を占有していく必要がある。

これを実現するためには、ある程度若い企業で、あらゆる決定や実行を迅速に行っていく必要があるため、「創業10年以内」という条件が設定されている。

評価額10億ドル以上である

ユニコーン企業になるためには、ここまでで示してきた通り、「多額な利益をうむポテンシャルを秘めているか」というポイントが重要な基準になってくる。

それを表す一つの指標が「評価額10億ドル」という基準である。日本で評価額10億ドルを超えているのは、6社(2020年1月時点)ほどである。

未上場である

ユニコーンとされる企業は、ベンチャーキャピタルから見た投資対象として魅力的かどうかという基準があるため、未上場であることも要素の一部になる。

ゼブラ企業の特徴

ゼブラ企業とは、ユニコーン企業に相反する存在として提唱された概念である。「ゼブラ(英:Zebra)」とはシマウマのことであり、単独で行動するユニコーンと相反し、群れで行動するというところから着想を得ている。

社会的インパクトの創出

ユニコーン企業が「利益」を第一に求める一方、ゼブラ企業は、「社会貢献」を第一目的とした組織だ。コロナの影響を受けて組織のあり方が問われる今、「組織で働く意味とは何か」という本質的な問いにぶつかっている現社会で大きく注目を集めている。

多様なステークホルダーへの貢献

これまで、ユニコーン企業は「勝者のみが全ての利益を得る」という市場環境の中で、限られた個人や株主が利益を総取りするものであったのに対して、ゼブラ企業は、公共機関や顧客なども含めた全ての関係者が利益を享受できる組織だ。

あるゼブラ企業は、「顧客、従業員、創業者、株主」の4つのクラスにオーナーをわけ、あらゆるステークホルダーが経営に参加できる権利を持つような体制を構築している。

革新性

既存市場を破壊する「革新性」ではなく、「相利共生」というコンセプトのもと、あらゆるステークホルダーにメリットがある組織づくりなどの試みが「革新的」であるかどうかがゼブラ企業の一つの特徴になっている。

コラボレーティブ(開示性)

ゼブラ企業はあくまでも「社会貢献」を第一とする企業体であり、「事業の透明性」が求められる。事業を展開する上で、自社が得た利益や資源などをあらゆるステークホルダーと共有し「相利共生」を目指すのがゼブラ企業である。

著名な国内ゼブラ企業

日本でも、1998年の特定非営利活動促進法(NPO法)の施行を始まりに、社会課題解決型の事業を展開する企業やソーシャルビジネス等の事業を行う企業が増えてきた。今日、国内でゼブラ企業と注目されるいくつかの企業を紹介する。

 株式会社マザーハウス

株式会社マザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる。」という世界観を持ちながら、途上国の発展を叶えるための事業を行っている会社だ。バングラデシュの現地工場で作られたバックを販売している。

途上国現地に雇用を生みながら、現地スタッフと日本人顧客の交流会などを国内で開催しているなど、多様なステークホルダーに対して、「愛」を持って事業を展開している国内ゼブラ企業の一つである。

株式会社ボーダレスジャパン

「社会課題をビジネスで解決する『ソーシャルビジネス』しかやらない」会社としてソーシャルビジネスを展開する、国内ゼブラ企業だ。主な事業は、世界のあらゆる社会課題を解決しようと走り続ける社会起業家のサポートを行っている。

その他、地球温暖化の原因であるCO2を排出しない自然エネルギーを使って事業運営を行っていることや再生パソコンの使用などを通して、地球温暖化への取り組み等も行っている。

ポストコロナ時代における企業のあり方とは

コロナウイルスが世界で猛威を振るい、あらゆる業界が大きな痛手を受けた。このような世界規模の経済破壊現象が起きている今、ゼブラ企業の存在は私たちに「企業の存在価値とは何か」という本質的な問いを投げかけている。

企業として利益を上げることは何よりも重要なことであるのか。株主や限られた個人が勝つための組織運営をすることによって、社会はより良くなるのか。なぜ企業は存在して、どんな価値を社会に対して提供するべきなのか。

あらゆる常識が見直される今、改めて「企業の存在価値」について考えを巡らせてみてほしい。

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