誰でもできる、法人成りの手続きを3ステップで解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

成りを決心したものの手続きが多くて途方に暮れていませんか?

法人成りの手続きは手順にそって進めればそう難しいことはありません。しかし期限がある手続きもあるので、全体の流れを把握してから着手しましょう。

これまで6万件近い起業の相談に乗ってきたドリームゲートが、法人成りの手続きの全体像を解説していきます。手続きを抜けモレなく把握でき、法人化の成功に時間をかけられるようになるので、ぜひ参考にしてください。

3ステップある法人成りの手続きで必要なものを紹介

法人成りの手続きは大きく分けて3つあり、具体的には以下のとおりです。

  • 会社設立の手続き
  • 個人事業主を辞める手続き
  • 個人から法人への引継ぎの手続き

法人成りとは個人事業主として行っていた事業を新しく設立する法人へ引継ぐことです。したがって、会社設立の手続きだけでは不十分です。上記3つの手続きを順番にこなしていけば、個人事業主から法人成りができます。

手続きの流れや提出期限などは後で詳しく解説するとして、まずは各手続きで必要なものリストをまとめて紹介していきましょう。

会社設立の手続きに必要な書類

会社設立時の手続きは、設立時と設立後で必要になるので分けて解説していきます。

会社設立時に必要な書類

会社の設立時に必要なものと書類は以下のとおりです。

  • 各種印鑑
  • 印鑑届け
  • 定款
  • 設立登記申請書
  • 登録免除税納付用台紙
  • 通帳のコピーと払込証明書
  • 代表取締役と取締役の就任承諾書、印鑑証明書
  • 監査役の就任承諾書と本人確認書類

会社設立後に必要なもの

会社設立後に必要な書類リストは以下のとおりです。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 地方税の申請(各自治体の要件にそったもの)
  • 労働保険 保険関係成立届
  • 労働保険 概算保険料申告書
  • 雇用保険 適用事業所設置届
  • 雇用保険 被保険者資格取得届

個人事業主を辞める手続きに必要な書類

法人成りの場合は個人事業廃業の手続きをしなければならず、必要な書類リストは以下のとおりです。

  • 個人事業の開廃業等届出書
  • 支払事務所等の廃止届出書
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 事業廃止届出書(消費税)
  • 所得税の予定納税の減額申請書
  • 事業開始(廃止)等申告書

廃業の手続きのほか、個人事業としての最後の確定申告も必要です。

個人から法人への引継ぎに必要な書類

すべてを引継ぐ必要はなく、引継ぎ方法も複数あるので必ず用意しなければいけない書類はありません。必要な手続きとしては、以下のとおりです。

  • 資産や負債の引継ぎ
  • 各種契約や名義の変更手続き

一例をあげると売買契約や賃貸借契約で引継ぐ場合は、契約書が必要です。場合によっては、財産目録や事業譲渡契約書なども作成すると良いでしょう。

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会社設立時の手続きの流れを6ステップで解説

会社設立時の基本的な流れは、以下6ステップです。

  1. 基本事項を決定する
  2. 印鑑を作る
  3. 定款を作成し、定款認証をする
  4. 資本金を払い込む
  5. 必要書類を作成する
  6. 法務局で登記申請をする

本記事はあくまでも法人成りの手続きの流れを解説していくので、各ステップ説明は基本的なものとなります。より詳しい情報を知りたい場合は、会社設立時と設立後でやるべきことを詳しくまとめた記事があるので参考にしてください。

なお、登記の手続きは複雑かつ手間がかかるものです。収入につながるコア業務の時間を確保するために、司法書士に手続きを依頼するのも1つの手段です。

①基本事項を決定する

設立する会社の基本事項を決定します。具体的にやるべきことをリストにすると、以下のとおりです。

  • 会社の形態(株式・合同・合資)の決定
  • 同一商号がないと確認した上で資本金商号名(会社名)を決定
  • 許認可を確認した上で事業目的や本店所在地、役員構成、資本金額(出資額)を決定

②印鑑を作る

設立登記をするときに会社代表者の印鑑が必要になります。企業として契約を交わす際にも代表者印を使うことになるので、きちんとした印鑑を作成するのが重要です。

また、会社代表者の印鑑を作る際に、銀行印や社名印、会社の住所・電話番号・社名が入ったゴム印も同時に作っておくと手間が省けます。ちなみに代表者印を含めて印鑑の作成代金は2~10万円程度が相場で、注文から2~7日で完成します。

③定款を作成し、定款認証をする

会社の基本事項を基に定款を作成。公証役場で定款認証を受けて資本金の払い込みができるようにします。認証手数料として5万円と4万円の収入印紙の添付も必要です。電子定款の場合、収入印紙は不要とされています。ちなみに、定款の謄本を作成してもらう場合は、250円が必要です。

なお定款は会社の法律上の根本的な規則であり、記載すべき事項が複数あるので、定款について専門的にまとめた記事を参考に作成してください。

④資本金を払い込む

資本金を払い込みますが、法人口座の開設はまだされていないはずなので個人口座に資本金を準備しましょう。資本金額が記帳されたページと表紙、裏表紙をコピーして払い込証明書を作成します。

⑤必要書類を作成する

法人登記に必要な以下の必要書類の作成し、すでに完成しているはずのものを登記に向けて用意します。

  • 各種印鑑
  • 印鑑届け
  • 定款
  • 設立登記申請書
  • 登録免除税納付用台紙
  • 通帳のコピーと払込証明書
  • 代表取締役と取締役の就任承諾書、印鑑証明書
  • 監査役の就任承諾書と本人確認書類

より詳しく知りたい場合は、法人登記に必要な書類や手続きの詳細をまとめた記事があるので参考にしてください。

⑥法務局で登記申請をする

会社の所在地を管轄している法務局で登記申請を行ないます。なお手数料が10万円以上発生します。具体的には株式会社で約24万円以上、合同会社と合資会社で約10万円以上です。

設立後の手続き4つの詳細を解説

設立後の手続きとして、以下4つを行なう必要があります。

  1. 登記簿謄本、印鑑証明書を取得する
  2. 法人口座を開設する
  3. 社会保険に加入する
  4. 税務署や自治体など、各機関に届出をする

設立時の手続きと違って、設立後の手続きには期限があるので事前にやるべきことを抑えておくのが重要です。

登記簿謄本、印鑑証明書を取得する

法人設立届出書を法人設立から2ヶ月以内に提出しないといけないので、登記簿謄本や印鑑証明書を取得します。

法人口座を開設する

手続きを経て会社名が確定したので、法人口座を開設します。

社会保険に加入する

社会保険への加入は最優先で行ないましょう。というのも、登記後5日以内に年金事務所へ健康保険、厚生年金の届出をしなければいけないからです。具体的な届出は以下のとおりです。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

税務署や自治体など、各機関に届出をする

年金以外にも各機関に届出をする必要があります。具体的には以下のとおりです。

届出先 必要書類 期限
税務署 ・法人設立届出書

・青色申告の承認申請書

・給与支払事務所等の開設届出書

・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書

最短1か月
地方自治体 地方税の申請書
※自治体毎に様式が異なるので要確認
2か月以内
労働基準監督署 ・労働保険 保険関係成立届

・労働保険 概算保険料申告書

最短10日以内
ハローワーク ・雇用保険 適用事業所設置届

・雇用保険 被保険者資格取得届

最短10日以内
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個人事業の廃業手続き

基本的に法人成りの場合は、会社設立後に個人事業廃業の手続きが必要になります。

廃業手続きをする理由

個人事業の廃業が必ず必要なわけではありません。しかし、業務内容が同じだと利益相反とみなされて会社法違反となってしまいます。

法人成りは個人事業が上手くいって会社設立に踏み切っているはずなので、基本的に廃業手続きが必要です。

廃業の届出をする

廃業の届出先は以下のとおりです。

届出先 必要書類 期限
税務署 個人事業の開業届出書
支払事務所等の廃止届出書
1か月
所得税の青色申告の取りやめ届出書 青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日まで
事業廃止届出書 なるべく早く
事業開始(廃止)等申告書 10日以内など(各都道府県により異なる)

個人事業としての最後の確定申告

個人事業主としての最後の確定申告をしなければいけません。したがって、個人事業を廃止した場合の控除の計算や資産の譲渡所得を理解しておく必要があります。

個人事業税の見込控除の計算

法人成りで個人事業を廃業した場合、以下の計算式で課税見込額を計算します

(A+-B)R/1+R 

各記号の内容は以下のとおりです。

A:事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額B:事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

R:事業税の税率

たとえば廃業年の所得が9ヶ月間で400万円、事業主控除額が290万円、事業税の税率が5%の場合は以下のように計算します。

{(4,000,000―2,900,000)×9÷12×5%)}÷(1+5%)=86,900

なお、上記計算例の中で「9÷12」をしているのは、廃業年の所得が9ヶ月分だったので、事業主控除の月額割を算出しています。

設立した法人に引継いだ資産の譲渡所得

個人の資産を法人に引継ぐ場合は、法人に売ったと考えます。売却損益は譲渡所得として所得税を計算します。具体的な計算式は以下のとおりです。

譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-500,000(特別控除額)

特別控除額の存在から、50万円以下なら所得税はかかりません。

資産や負債の引継ぎ

時価での譲渡が可能ですが、すべてを引継ぐ必要はありません。収入や費用は引継がないで、個人事業主と法人成り後で区別します。基本的には税理士と相談すると良いでしょう。

引継ぎ方法

引継ぎ方法としては以下の3つがあげられます。

  • 売買契約
  • 現物出資
  • 賃貸借契約

売買契約は、個人事業の資産を法人に売買する方法です。手続きが簡単ですが、不動産の場合は不動産所得税などがかかります。

現物出資は、財産を法人へ出資する方法です。時価でさまざまなものを引継げますが、時価の算定が難しいケースも多々あります。税理士と相談しながら出資するかどうかを決めるのがおすすめです。

賃貸借契約は、法人に財産を貸す方法で、賃貸借契約書を残します。たとえば法人として社長に家賃を払うといったことができますが、無断転貸などの問題が発生する場合もあるので、関係者の信用を損なわないようにしましょう。

引継げるもの

引継げるものの具体例は以下のとおりです。

  • 棚卸資産
  • 建物
  • 土地
  • 売掛金
  • 固定資産

各種契約・名義の変更手続き

法人成りにともない、契約や名義の変更が必要になります。変更手続きが必要になるものは以下のとおりです。

  • 銀行口座(新口座開設)
  • 事務所や駐車場などの賃貸借契約の名義変更
  • 電気やガス、水道、ネット回線などのインフラ・リース契約の名義変更手続き
  • 借入金
  • 車両と車両保険
  • その他取引先との契約書など

法人成りは会計・税務の専門家に相談するのがおすすめ

法人成りの手続きをする際には、会計や税務の専門家に相談するのがおすすめです。ここまで紹介してきたとおり、法人成りの手続きは煩雑で専門家の判断が必要なシーンもあります。

法人化を成功に導くコア業務の時間を確保するためにも専門家と相談しながら効率的に手続きをしていくのがおすすめです。以下のページから経験豊富なドリームゲートの専門家が探せるので、専門家への相談を検討してみてください。

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まとめ

今回は法人成りの手続きの流れを解説しましたが、実際に手続きをするとなると書類の書き方や引継ぐ資産の時価といった疑問を多く持つはずです。

すべてを自分で解決していると法人化の成功に悪影響なので、適度に専門家の手を借りるのがおすすめといえます。また、法人成りの手続き中から発生する会計業務の生産性を上げるべくクラウド会計システムの導入も検討してみてください。

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