いざ起業を志し、会社設立の準備を始めようすると、次のような悩みを持つ方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
- 会社設立って何からやればいいの?どれくらいの時間がかかる?
- 具体的にどんな手続きをすればいいのかわからない。
- 会社設立の手続きで注意するポイントはなに?
多くの専門家といっしょに起業家支援をしているわれわれドリームゲートが、煩雑な会社設立の手順をひとまとめにしました。
この記事を読むことで、会社設立において必要なすべての手続きがわかるだけでなく、間違えてはいけないポイントや知っておくべきポイントもおさえることができます。
これから会社設立をしようと考えている方はぜひお読みください。
- 目次 -
会社設立の手続きにかかる全体スケジュール
会社設立の手続きのなかでかかる時間の目安やそれぞれの段階においてやるべき手続きの概要だけをピックアップして表にまとめてみました。
すべての手続きをここにまとめてあるので、まずはこの表で流れをおさえてください。
①会社の基本事項の決定と設立前準備
かかる期間:約1ヶ月
やることリスト:
商号を決める
印鑑を作る
資本金額を決める
所在地を決める
事業目的を決める
まず、会社を設立するためにいくつかの重要な項目について決めていきます。
それぞれの注意点やポイントは後ほど書いていきますが、ここで重要なのはやはり事業目的の決定になります。起業して、どんな事業を展開していくのかについては十分に検討してください。その他の項目についても、今後の経営に大きく関わるものばかりですので、よく考えて決めていくことをおすすめします。
②会社設立の手続き
かかる期間:
定款申請~認証までの期間:(専門家に依頼)最短1日(自分で)約1~2週間
登記申請~完了までの期間:3~7日間ほど(法務局の混雑状況による)
やることリスト:
資本金の払込
登記書類の作成
登記書類の申請
専門家に頼むか自分で手続きを進めていくかによって、時間のかかり方がかなり変わってきます。基本的に専門家に依頼することをおすすめしますが、自分のお財布状況や時間との兼ね合いも含めて決めていきましょう。
③会社設立後の手続き
かかる期間:
会社設立後、最短5日以内に提出しなければならない資料があります。(年金事務所で社会保険加入手続き)
やることリスト:
自治体への開業届
社会保険手続き
法人用口座・クレジットカードの作成
会社設立した後もまだまだやらなければならない手続きはたくさんあります。特に年金事務所で社会保険に加入する手続きに関しては会社設立後、5日以内に提出する必要があるため、なるべく早く手続きを終わらせてしまいましょう。
会社設立の手順はこれ!
会社設立の手続きをこれから始めるにあたって、まず始めなければいけないことを具体的に説明していきます。
事業目的を決める
まずはじめにこれから起業して、行っていくビジネス/事業を決めていきます。起業を志す段階である程度この事業形態が決まっていることでしょう。もし、定款や登記申請でこの事業目的をどのような名前にするか迷うようでしたら、競合他社の事業目的を確認して、参考にしてみてください。
発起人決定
まず、会社設立の発起人を決定します。発起人とは、社長や取締役のことではなく、会社設立手続きや出資を担当する人のことを表しています。発起人は設立する会社の株主となり、取締役の選任なども担当します。基本的に15歳以上または法人であれば、だれでも発起人になることが出来ます。もちろん社長自身が発起人となり、会社設立をすることもできます。
商号決定
会社名を決めていきます。この商号の決定にはいくつかのルールがあります。ひとつは、「会社の種類(株式会社、合同会社…)を名前に入れること」。また、「同一の商号で同一所在地の企業がない」ことも条件になります。使用できる記号や文字も指定があるので、以下を参照してみてください。
なお、今やネット社会ですので、その商号でドメイン名も取得が可能かどうかチェックしておくといいでしょう。
商号に使用できる文字:
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- アルファベット
- アラビア数字
商号に使用できる記号:
- , (カンマ)
- ・ (中点)
- . (ピリオド)
- – (ハイフン)
- & (アンド)
- ‘ (アポストロフィ)
印鑑作成
会社設立に必要な印鑑は4つ。代表者印・銀行印・社印(角印)・ゴム印です。
代表者印 | 法務局へ会社設立登記を行う際に必要となるもの。必ず作る必要があります。 |
銀行印 | 銀行口座を開設するときに使用する印鑑。悪用される可能性をなくすため、銀行取引専用の印鑑をつくることをおすすめします。 |
社印(角印) | 請求書・領収書の発行など日常業務で使う印鑑で、一般的に会社の名前だけが印面に彫られているものになります。 |
ゴム印 | 使用用途は社印と同じですが、一般的に会社名のみならず、代表者名や電話番号・メールアドレスなどが彫られていて、サインなどにも使えるので作っておくと便利でしょう。 |
資本金額の決定
詳しくは以下に明記してありますが、基本的には税制面を考えて、1000万円未満に設定することをおすすめします。
資本金の決定基準について
カテゴリー | 判断基準 |
運転資金 | 3~5か月、利益が安定しない状態でも運転ができるのかどうか。 |
信用 | 取引先の規模感や取引相手、資金調達の有無など |
許認可 | 建設業などの創業では500万以上必要。許認可が必要な事業目的は要確認。 |
税負担 | 設立1期・2期の消費税納税義務免除を受けるか受けないか |
【2020年専門家監修】資本金とは何ですか?
所在地を決める
定款には、これから登記する会社の所在地を明記する必要があります。
これから事業を行っていく中で、どのような形態のオフィスを選んでいけばいいのか、どんなメリット/デメリットがあるのかをまとめてみました。
<自宅>
自宅を本店所在地にすることで、賃貸などの費用がかかりません。電気代や通信料などを必要経費として計上できるのも助かります。ただ、自宅を第3者に知られてしまうリスクが高まったり、法人として社会的な信用が下がってしまうなどのデメリットもあります。
<賃貸オフィス>
賃貸オフィスは、費用がかなりかかります。インターネット回線やオフィス環境を整えたりなども1から行う必要があり、会社設立したての時期にこれだけの大きな出費はなかなか厳しいでしょう。ただ、賃貸オフィスに入ると、社会的な信用を得ることができるため、自分の事業形態やお財布状況との折り合いで決めていきましょう。
<レンタルオフィス>
レンタルオフィスは、同じフロア内にさまざまな企業がオフィスを構えており、これから起業を考えている人やまだ起業して間もない企業がたくさんいるため、高い熱量を共有しながら仕事をできる環境でもあります。もちろん必要最低限のオフィス環境は整えられているため、1から自分でオフィス環境を整える必要もありません。ただ、登記することができないレンタルオフィスもあるので、必ず確認してください。
<バーチャルオフィス>
バーチャルオフィスは、レンタルオフィスとは違い働く場所を提供してくれるわけではなく、登記や定款作成に必要な基本情報を貸してくれます。また、敷金・礼金・保証金などの初期費用も必要なく、月5000~2万程度で都内の1等地の基礎情報を借りて、会社設立の手続きをすることができます。ただ、銀行口座開設が難しくなったりなど、かなり信用面でのデメリットが大きいため、個人で小さくビジネスを行っていく方以外にはおススメできません。
定款の作成と認証
定款とは、会社の法律上の規定法則を表したものです。
株式会社での設立の場合、定款をつくるだけでなく認証を受ける必要があります。合同会社の場合、この定款の認証は行いません。このような手続きの違いが生まれる理由は、簡単に説明すると、会社の「所有と経営」の関係にあります。ただ、どちらも定款をつくることは必ず行わなければなりませんので、以下のリンクを参考にしながら定款をつくってみてください。
資本金の払いこみ
会社設立の手続きの一つである資本金の払いこみ。資本金の払いこみの手順について簡単に説明していきます。振込をする日付は必ず定款認証後の日付にしましょう。
<資本金の払いこみの手順>
①発起人の個人口座を準備
この時点では、法人口座はまだ開設していないはずなので、資本金となるお金を個人口座に準備しましょう。
②個人口座に設定する資本金を振込
準備した個人口座に資本金となるお金を振り込みます。
③通帳をコピーする
振り込まれた金額が記帳されたページ、表紙、裏表紙をコピーします。
④払込証明書を作成し、製本しよう
以下の内容を確認しながら、払込証明書を作成しましょう。
<払込証明書掲載内容>
- 払込があった金額の総額
- 払込があった株数
- 1株の払込金額
- 日付
- 本店所在地
- 会社名(商号)
- 代表取締役氏名
<製本する順番>
- 払込証明書
- 通帳コピー(表紙)
- 通帳コピー(裏表紙)
- 通帳コピー(振込金額が記入されている用紙)
登記書類の作成と申請
上記までの準備ができましたら、次はいよいよ登記準備です。まずは必要な書類について確認していきますので、以下のリストを参考にして必要な書類をそろえてみてください。
【法人登記に必要な書類リスト】
- 登記申請書
- 登録免除税納付用台紙
- 定款
- 通帳コピー&払込証明書
- 代表取締役および取締役の就任承諾書、印鑑証明書
- 監査役の就任承諾書および本人確認書類
- 印鑑届け
こちらの書類や法人登記のくわしい流れについては以下のリンク先でくわしく説明しているので見てみてください。
【専門家監修】会社登記のすべてー必要書類、費用まとめ
会社設立後の手続きで必要なこと
会社設立の手続きはここまでで終わりですが、設立後も必要な手続きはいくつかあるので、しっかり確認して、期間内に手続きを行ってください。すべて必要な書類は以下の表を参考にしてみてください。
労働・雇用保険関連の書類については、各自治体にお問い合わせください。
届出先 | 登記からの期限 | 必要な書類とリンク先 |
税務署 | 最短1ヶ月 | ・法人設立届出書 ・青色申告の承認申請書 ・給与支払事務所等の開設届出書 ・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書 |
年金事務所 | 5日以内 | ・健康保険・厚生年金保険新規適用届 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ・健康保険被扶養者(異動)届 |
地方自治体 | 2か月以内 | ※地方税の申請を各自治体の要件にそって書類を提出しましょう。各自治体のHPを参考してみてください。 |
労働基準監督署 | 最短10日以内 | ・労働保険 保険関係成立届 ・労働保険 概算保険料申告書 |
ハローワーク | ・雇用保険 適用事業所設置届 ・雇用保険 被保険者資格取得届 |
会社設立、合同会社か株式会社か?
資金調達をこれからしようとしている場合や対企業相手にビジネスを展開しようとしている場合は、株式会社での設立をお勧めします。株式会社での会社設立のほうが知名度が高く、社会的な信用も高いためです。
フリーランスの延長でスモールビジネスを継続するような場合は初期費用を少額で済ますことができるので、合同会社でも問題ありません。
会社設立の手続き―税理士・行政書士・司法書士への依頼
これから会社設立する方で、自分は事業の戦略やビジョンを考えるのに時間を使うために設立の手続きを士業の方に依頼することもあるかと思います。でも、税理士、行政書士、司法書士の誰に頼めばいいのでしょうか?その疑問をここですべて解消していきます。
税理士に依頼する場合
税理士は、会計業務に関するプロです。主には法人設立後の会計業務、決算処理などを手伝ってくれますが、会社設立の手続きも代行してくれる場合もあります。
費用相場:3〜5万円程度
- 税務関係の手続きを代行してくれる。
- 会社設立は専門ではないが、顧問契約を条件に格安で設立手続きをしてくれる事務所もある。
- 担当会計士が認可手続きに詳しくない場合は手続きに時間がかかることもある。
- 登記手続きは間接的に司法書士が行っている場合が多い。(税理士は登記手続きを代行できない)
行政書士に依頼する場合
行政書士は、許認可取得が得意な専門職になります。
飲食店や建設業で事業を展開していこうと考えているのであれば、国の許認可が必要になるので許認可の取得と一緒に会社設立の代行を依頼してみてはいかがでしょうか。
費用相場:10万程度
- 建設業、飲食業など許認可手続きのプロ
- 登記代行に関しては行えない。ただ、間接的に司法書士に依頼をしてくれることもある。
司法書士に依頼する場合
司法書士は、会社設立の専門家です。基本的に登記手続きの代行ができる唯一の職業です。行政書士や税理士に頼んだ場合も、司法書士が間接的に関わって、代行業務を行っています。
費用相場:10〜20万程度
- 会計業務も全部自分でこなし、許認可取得も行う必要がなく、会社設立のみを士業の方に依頼する場合は司法書士に依頼するべき。
- 司法書士は税務に関して専門ではないため、税務に関してのご相談を税理士に相談する必要あり
結局どの専門家に依頼すればいいの?
それぞれメリットがあるので、自分にあった専門家を選択するのがいいでしょう。例えば、自分が行う事業が許認可の必要な事業な場合は行政書士の方に依頼するのがいいですね。上記のポイントや費用を比較し、検討してみましょう。
まとめ
今回は会社設立の手続きについて、すべての必要な手順を具体的にまとめてみました。まずは、自分がどこまでやって、何を士業の方に任せるのかを決めましょう。また、会社設立の手続き後もたくさんの書類を役所に届けることが必要です。忘れてしまうとかなり大変なことになってしまう書類もあるため、しっかりと準備をして、登記後の手続きを行ってください。
このように会社を設立するには、さまざまな手続きを数か月にわたって行っていく必要があります。我々ドリームゲートには、起業の専門家たちが多く在籍しているので、もし会社設立の手続きで迷うことがあれば、まずは彼らに無料で相談してみてはいかがでしょうか。
ドリームゲート| 起業/経営 相談・面談サービス
https://www.dreamgate.gr.jp/kigyou_soudan_top/