令和5年度「ものづくり補助金」で成長を目指す企業必見!大幅賃上げに対して最大1,000万円を上乗せ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

令和5年度の「ものづくり・商業・サービス補助金」(以下、ものづくり補助金)の特徴を紹介します。大きな特徴は、大幅な賃上げに取り組む事業者について、補助上限額を引き上げる特例を設けたことです。また、グリーン枠にエントリー類型を設けて申請しやすくした点も注目できます。

この記事では、ものづくり補助金の概要と令和5年度分における注目点を重点的に解説しています。また、そのほかの内容についても確認できる記事となっているため、ぜひ参考にしてください。

ものづくり補助金公募要領

ものづくり補助金とは~概要紹介

令和5年度分の特徴を紹介する前に、まずものづくり補助金とはどのような制度なのかを解説します。

中小企業等の開発、改善、生産性向上のための設備投資を支援

ものづくり補助金は、中小企業等が相次いで直面する制度変更に対応するための革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善や、生産性を向上させるための設備投資などを支援します。

中小企業等が直面する制度変更には、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などがあげられます。

5つの枠できめ細かく支援

ものづくり補助金には次の5つの枠があります。申請者は5つのうちいずれかの枠を選んで申請することになります。

  1. 通常枠
  2. 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  3. デジタル枠
  4. グリーン枠
  5. グローバル市場開拓枠

中小企業等が開発や改善、生産性向上に取り組むためには、さまざまな設備投資が必要です。5つの枠を設けることで中小企業等の取り組みにきめ細かい支援が可能となっています。

補助対象経費

ものづくり補助金の対象となる経費は次のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費(対象の枠のみ)
  • 通訳・翻訳費(対象の枠のみ)
  • 広告宣伝・販売促進費(対象の枠のみ)
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令和5年度の特徴~15次締切分から

ものづくり補助金は令和5年度に入ってから、内容の変更がおこなわれました。基本はこれまでと変わらないのですが、補助上限を引き上げる特例を設けたり、申請しやすくしています。

以下で紹介する内容は、15次締切分(応募締切:令和5728日)のものです。今後も変更がおこなわれる可能性がありますが、令和5年4月現在での最新情報をお届けします。 

大幅賃上げにかかる補助上限額引き上げの特例

ものづくり補助金には、大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、補助上限額を引き上げる特例が存在します。対象となる枠は次のようになっており、2)回復型賃上げ・雇用拡大枠は対象外になります。

  • 1) 通常枠
  • 3) デジタル枠
  • 4) グリーン枠
  • 5) グローバル市場開拓枠

対象となる4枠にはそれぞれ補助上限額が設定されていますが、この「大幅賃上げにかかる補助上限額引き上げの特例」に該当すると補助上限額が増額されます。

大幅賃上げにかかる補助上限額引き上げの特例の内容

引き上げ額

引き上げ額は従業員数によって異なります。

  • 5人以下:最大100万円引き上げ
  • 620人:最大250万円引き上げ
  • 21人以上:最大1,000万円引き上げ

要件

特例の適用を受けるためには、以下の3項目すべてに該当することが必要です。

  1. 事業計画期間において、基本要件である給与支給総額を年率平均1.5%以上増加に加え、さらに年率平均4.5%以上(合計で年率平均6%以上)増加とすること
  2. 事業計画期間において、基本要件である地域別最低賃金+30円以上の水準とすることに加え、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を毎年、年額+45円以上増額すること
  3. 応募時に1、2の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(大幅な賃上げに取り組むための事業計画)を提出すること

グリーン枠に1)エントリー、2)スタンダード、3)アドバンスの3類型を設定

グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に関わる生産性向上に必要な設備・システムへの投資を支援します。グリーン枠には、次の3類型が設定されました。

  1. エントリー類型
  2. スタンダード類型
  3. アドバンス類型

1)エントリー類型は補助金額が少なくなる代わりに要件が緩和されています。申請のハードルが下がったイメージです。3)アドバンス類型は要件がきびしくなっている代わりに補助金額が多くなっています。2)スタンダード類型は1)と2)の中間に位置します。

グリーン枠の補助金額と補助率、要件

■補助金額

補助金額は従業員数によって異なるため、幅があります。

  • エントリー類型:100万~1,250万円
  • スタンダード類型:750万~2,000万円
  • アドバンス類型:1,000万~4,000万円

■補助率:すべて23

■要件

3類型に共通の要件

  • 次の章で紹介する基本要件を満たすこと
  • 次のAまたはBに該当すること

A:温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発をおこなう

B:炭素生産性向上をともなう生産プロセス・サービス提供の方法を改善する

  • 35年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること

エントリー類型の要件

  • 次の①または②に該当すること

①エネルギーの種類別に使用量を毎月整理している。また、補助対象の事業者や事業所のCO2の年間排出量を把握している

②事業所の電気、燃料の使用量を用途別に把握している

スタンダード類型の要件

  • エントリー類型の要件の①と②の両方を満たしていること
  • 次の③~⑦のいずれかに該当すること

③本事業で開発に取り組む製品・サービスが、自社のみならず業界・産業全体での温室効果ガス削減に貢献すること

④電気事業者との契約で、一部でも再生可能エネルギーに係る電気メニューを選択していること

⑤自社で太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーでの発電を導入していること

⑥グリーン電力証書を購入していること

⑦省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2の排出削減量や適切な森林管理によるCO2などの吸収量を「クレジット」として国が認証するJ-クレジット制度に参加し、自社で温室効果ガス排出量の削減取組についてクレジット認証を受けていること

アドバンス類型の要件

  • エントリー類型の要件の①と②の両方を満たしていること
  • スタンダード類型の要件の③~⑦のうち2つ以上を満たしていること
  • 次の⑧~⑩のいずれかに該当すること

⑧通常版もしくは中小企業版SBT(Science Based Targets)の認証、または、通常版もしくは中小企業版RE100に参加していること

⑨エネルギーの使用の合理化等に関する法律における事業者クラス分け評価制度において、令和4年度定期報告書分評価がSクラス評価であること

2020年度以降に以下のいずれかの事業における省エネルギー診断を受診していること、または、地方公共団体で実施する省エネルギー診断を受診していること

  • 「無料省エネ診断等事業及び診断結果等情報提供事業」または「エネルギー利用最適化診断事業及び情報提供事業」
  • 「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」、「地域プラットフォーム構築事業」または「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業」

そのほかの4つの枠の概要

4)グリーン枠以外の4つの枠の概要を紹介します。

1)通常枠

概要 革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援
補助金額 従業員数によって異なる

  • 5人以下:100万~750万円
  • 6~20人:100万~1,000万円
  • 21人以上:100万円~1,250万円
補助率 原則1/2

小規模企業者、小規模事業者、再生事業者は2/3

要件 ■以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定すること

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

 

通常枠の要件は基本要件であり、すべての枠でこれを満たす必要があります。通常枠以外の枠では、基本要件のほかに独自の要件を設けています。

2)回復型賃上げ・雇用拡大枠

概要 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援
補助金額 従業員数によって異なる

  • 5人以下:100万~750万円
  • 6~20人:100万~1,000万円
  • 21人以上:100万円~1,250万円
補助率 2/3
基本要件に加える要件 ■以下のすべての要件に該当すること

  • 前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であること
  • 常時使用する従業員がいること
  • 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額の増加率が1.5%、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準の増加目標を達成すること

3)デジタル枠

概要 DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資などを支援
補助金額 従業員数によって異なる

  • 5人以下:100万~750万円
  • 6~20人:100万~1,000万円
  • 21人以上:100万円~1,250万円
補助率 2/3
基本要件に加える要件 ■以下のすべての要件に該当すること

●次の①または②に該当すること

①DXに資する革新的な製品・サービスの開発

②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善

●経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること

 ●IPAの「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること

5)グローバル市場開拓枠

概要 海外事業の拡大・強化を目的とした「製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資などを支援
補助金額 100万円~3,000万円
補助率 原則1/2

小規模企業者、小規模事業者は2/3

基本要件に加える要件 ■以下のいずれかひとつの類型の条件を満たす投資をしていること

①海外直接投資類型

国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業など

②海外市場開拓(JAPANブランド)類型

国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していることなど

③インバウンド市場開拓類型

国内に補助事業実施場所を有し、サービスの販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していることなど

④海外事業者との共同事業類型

国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の一部が補助事業者に帰属することなど

ものづくり補助金15次締切分のスケジュール

ものづくり補助金15次締切分のスケジュールは以下のとおりです。

  • 公募開始:令和5年4月19日
  • 申請受付:令和5年5月12日
  • 応募締切:令和5年7月28日
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申請方法、補助金の支払いまでの流れ

申請方法と補助金の支払いまでの流れを紹介します。

ステップ1:申請する

中小企業等が申請します。

申請の手順は、次のとおりです。

  1. GビズIDを取得
  2. 電子申請システムにログイン
  3. 事業計画書を入力
  4. 送信

申請には以下の書類が必要になります。

  • 事業計画書
  • 補助経費に関する誓約書
  • 賃金引上げ計画の誓約書
  • 決算書等
  • 従業員数の確認資料
  • 労働者名簿(従業員数が一定の場合のみ)
  • 応募申請時において再生事業者であることを証明する書類(再生事業者のみ)
  • 課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ)
  • 炭素生産性向上計画及び温室効果ガス排出削減の取組状況(グリーン枠のみ)
  • 大幅な賃上げ計画書(大幅な賃上げを行う事業者のみ)
  • 海外事業の準備状況を示す書類(グローバル市場開拓枠のみ)

審査における加点を希望する場合には、上記のほかに経営革新計画承認書など任意の書類を添付します。

ステップ2:採択を通知

事務局が申請内容について審査をおこない、採択した場合その旨を申請者に通知します。

ステップ3:補助金の交付申請

申請者が補助金の交付申請をおこないます。

ステップ4:交付決定を受けて補助事業を実施する

事務局から交付決定の通知が来たら、申請者は補助事業を実施します。なおこの段階では交付が決まっただけで、まだ補助金は支払われません。補助金は後払いになります。

ステップ5:実績報告

補助事業が完了したら、申請者は事務局に実績を報告します。

ステップ6:補助金の支払い

事務局は実績報告を元に確定検査をおこない、補助金の交付額を確定させ、申請者に伝えます。申請者が補助金の請求をすると、補助金が支払われます。

ステップ7:報告

申請者は事業化状況報告と知的財産権等報告をおこないます。

ものづくり補助金の相談はドリームゲートへ

ものづくり補助金に関心を抱いたら、ドリームゲートの専門家に相談してください。ドリームゲートには補助金制度に精通した専門家が数多く在籍しており、補助金に関する悩みや疑問の解決をお手伝いします。メール相談も無料で承っているため、ぜひお気軽にご利用ください。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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