事業承継・引継ぎ補助金(通称M&A補助金)令和4年度版を徹底解析

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

中小企業庁の事業承継・引継ぎ補助金(通称・M&A補助金)の公募要領が2022331日に公開されました。

この補助金の目的は中小企業と小規模事業者、個人事業主(以下、中小企業等)の事業承継、事業再編、事業統合を促進することで、関連費用の一部が補助され、さらに、廃業やM&Aにも使える内容になっています。

M&Aを検討している方はぜひ確認しておきましょう。

概要、全体像:3つの類型と5つの型があって複雑

まずは事業承継・引継ぎ補助金の全体像を確認します。

この補助金は中小企業等の取り組みを幅広く支援するため、「3つの類型」を用意しています。そして、それぞれの類型に「型」があるという複雑な構成になっています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000079450.html
https://jsh.go.jp/r3h/

類型
経営革新類型 創業支援型
経営者交代型
M&A
専門家活用類型 買い手支援型
売り手支援型
廃業・再チャレンジ類型(類型のみ、型なし)

類型・型によって、対象となる中小企業等や、支援が受けられる取り組み、補助金の額、補助対象となる経費などが異なります。
なお3つの類型の正式名称は「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」「事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)」となっていますが、本稿では「経営革新類型」「専門家活用類型」「廃業・再チャレンジ類型」と表記します。

それでは類型ごとにさらに詳しくみていきます。

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経営革新類型(創業支援型、経営者交代型、M&A型)の詳細

経営革新類型には創業支援型、経営者交代型、M&A型の3つの型があり、それぞれの特徴は次のとおりです。

  • 創業支援型:廃業を予定している人から経営資源を引継いで創業する中小企業等を支援する
  • 経営者交代型:事業承継を機に経営革新に取り組む中小企業等を支援する
  • M&A型:事業再編や事業統合を機に経営革新に取り組む中小企業等を支援する

申請者がどのように取り組みを進めるかによって型が異なります。
補助金の対象となる経費は3つの型で共通していて以下のとおりです。

<対象となる経費~創業支援型、経営者交代型、M&A型で共通>
●人件費●外注費●委託費●設備費●謝金●旅費●廃棄費用(廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費など)

これらの経費の一部が補助金として交付されます。
なお経営革新類型の詳細は後日公表となっています(2022年4月上旬現在)。

専門家活用類型(買い手支援型、売り手支援型)の詳細

専門家活用類型には買い手支援型と売り手支援型の2つの型があり、それぞれの特徴は次のとおりです。

  • 買い手支援型:事業再編や事業統合にともなう経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業等を支援する
  • 売り手支援型:事業再編や事業統合にともない自社が有する経営資源の引継ぎが行われる予定の中小企業等を支援する

申請者がどのように事業を進めるかによって型が異なります。
対象となる経費は2つの型で共通していて、以下のとおりです。

<対象となる経費~買い手支援型、売り手支援型で共通>
●謝金●旅費●外注費●委託費●システム利用料●表明保証保険料●廃棄費用(廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費など)

なお委託費については、ファイナンシャルアドバイザー業務や仲介業務の相談料、着手金、成功報酬などは「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限り補助対象経費となる、というルールがあります。

ドリームゲートにはM&A支援機関登録された専門家が多数いますので、ご相談ください。

経営資源の引継ぎとは事業再編への着手などのこと

買い手支援型にも売り手支援型にも、経営資源を引継ぐという条件があります。
この「経営資源の引継ぎ」ルールは厳格に定まっているので注意してください。以下のとおりです。

■「経営資源の引継ぎ」と認められる条件

  • 補助事業期間内に経営資源を譲り渡す者(以下、被承継者)と経営資源を譲り受ける者(以下、承継者)の間で事業再編・事業統合が着手される、もしくは実施される予定である
  • 補助事業期間内に廃業をともなう事業再編・事業統合が行われる予定である

https://jsh.go.jp/r3h/assets/pdf/requirements-experts.pdf

「着手」とは補助対象経費の契約締結のことです。「実施」とは事業再編・事業統合の基本合意書または最終契約書が締結されることです。

 そして、事業再編・事業統合がともなわない物品や不動産のみの売買や、グループ内での事業再編、または親族内での事業承継は対象外になります。

経営資源引継ぎの形態に注意

買い手支援型と売り手支援型では、経営資源引継ぎの形態が定められていて、以下のとおりとなっています。
■買い手支援型の経営資源引継ぎの形態

  • 法人が承継者の場合:株式譲渡、第三者割当増資、株式交換、吸収合併、吸収分割、事業譲渡
  • 個人事業主が承継者の場合:株式譲渡、第三者割当増資、事業譲渡

■売り手支援型の経営資源引継ぎの形態

  • 対象会社の場合:株式譲渡
  • 対象会社+対象会社の支配株主または株主代表の場合:株式譲渡、株式譲渡+廃業
  • 法人が被承継者の場合:第三者割当増資、株式交換、株式移転、新設合併、吸収合併、吸収分割、事業譲渡、事業再編等+廃業
  • 個人事業主が被承継者の場合:事業譲渡、事業再編等+廃業

これらの用語からこの仕組みがM&Aを念頭に置いていることがわかります。

 

補助対象事業は買い手と売り手で異なる

https://jsh.go.jp/r3h/assets/pdf/requirements-experts.pdf

補助金は補助対象事業を行う中小企業等に給付されます。補助対象事業は以下のとおりです。

買い手支援型の補助対象事業:以下の1)または2)に該当すること

  1. 事業再編・事業統合にともない経営資源を譲り受けたあとに、シナジーを活かした経営革新を行うことが見込まれること
  2. 事業再編・事業統合にともない経営資源を譲り受けたあとに、地域の雇用をはじめ地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること

売り手支援型の補助対象事業

  • 地域の雇用をはじめ地域経済全体を牽引する事業を行っており、事業再編・事業統合によりこれらが第三者により継続されることが見込まれること
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廃業・再チャレンジ類型の詳細

廃業・再チャレンジ類型の対処となるのは、再チャレンジを目的として既存事業を廃業する中小企業等です。

対象となる経費は廃業費で、具体的には次の費用になります。

■廃業費の具体例
●廃業支援費●在庫廃棄費●解体費●原状回復費●リースの解約費●移転・移設費

 

補助対象事業の4つの具体例

廃業・再チャレンジ類型での補助対象事業は「廃業・再チャレンジ」になるわけですが、具体的には次の4つになります。

<廃業・再チャレンジの4つの具体例>

  • 事業承継またはM&Aで事業を譲り受けたあとの廃業

事業承継によって事業を譲り受けた中小企業者等が、新たな取り組みを実施するにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

  • M&Aで事業を譲り受けた際の廃業

M&Aによって事業を譲り受ける中小企業者等が、事業を譲り受けるにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

  • M&Aで事業を譲り渡した際の廃業

M&Aによって事業を譲り渡す中小企業者等が、M&A後も手元に残った事業を廃業する場合

  • M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ

M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合

要件はM&A・廃業+行動

廃業・再チャレンジ類型で申請するには、補助事業期間終了日までにM&Aまたは廃業が完了し、なおかつ以下の行動をしていなければなりません。これが補助金の要件になります。

■廃業にともなって求められる行動

  • 事業承継後M&A後の新たな取り組み
  • M&Aによって他者から事業を譲り受ける
  • M&Aによって他者に事業を譲り渡す
  • 2020年以降に売り手としてM&Aへの着手し、6カ月以上取り組んでいること+廃業後に再チャレンジ

そして再チャレンジとは次のような行動を指します。

■再チャレンジに該当する行動

  • 新たに新しい法人を設立
  • 個人事業主として新たな事業活動を実施
  • 自身の知識や経験を活かせる企業への就職や社会への貢献
  • その他

補助額は600万円か150万円、補助率は2/3

すべての類型・型の補助率は、補助対象経費の23以内です。

補助額の上限は以下のとおりです

類型・型 補助額の上限
経営革新類型(創業支援型、経営者交代型、M&A型) 600万円
専門家活用類型(買い手支援型、売り手支援型) 600万円
廃業・再チャレンジ類型 150万円

スケジュール

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールに関することを紹介します。

申請期間は4期間だが、2022年4月上旬現在は詳細未定

この補助金の申請期間は、2022年4月上旬現在未定です。決定され次第、下記の公式サイトにて発表されます。

●事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトのURL
https://jsh.go.jp/r3h/

なお申請期間は4期間設定される予定です。

補助事業期間は2023年1月31日まで

専門家活用類型と廃業・再チャレンジ類型の補助事業期間は2023年1月31日までです。
経営革新類型についてはまだ公表されていません(2022年4月上旬現在)。

申請からお金の交付までの流れ

申請から補助金(お金)の交付までは類型によって流れが異なります。

<経営革新類型の流れ>
●ステップ1:補助対象事業を確認する

●ステップ2:認定経営革新等支援機関に相談する

●ステップ3:gBizIDプライムを取得する

●ステップ4:交付申請を行う

●ステップ5:交付決定通知

●ステップ6:補助対象事業を実施する

●ステップ7:実績報告をする

●ステップ8:確定検査の実施、補助金の交付

●ステップ9:後年報告

補助金は補助対象事業を完了させて実績報告を行い、確定検査を通過したあとで交付されます。申請するには認定経営革新等支援機関に相談する必要があります。

<専門家活用類型の流れ>
●ステップ1:補助対象事業を確認する

●ステップ2:gBizIDプライムを取得する

●ステップ3:交付申請を行う

●ステップ4:交付決定通知

●ステップ5:補助対象事業を実施する

●ステップ6:実績報告をする

●ステップ7:確定検査の実施、補助金の交付

●ステップ8:後年報告

<廃業・再チャレンジ類型の流れ>
●ステップ1:補助対象事業を確認する

●ステップ2:認定経営革新等支援機関に相談する

●ステップ3:gBizIDプライムを取得する

●ステップ4:交付申請を行う

●ステップ5:交付決定通知

●ステップ6:補助対象事業を実施する

●ステップ7:実績報告をする

●ステップ8:確定検査の実施、補助金交付

申請するには認定経営革新等支援機関に相談する必要があります。

補助金の獲得を確実にするために:ドリームゲートの専門家が頼りになります

事業承継・引継ぎ補助金は、自分の会社を前進させたいと思っている経営者にとって心強いサポートになるはずです。

そこでドリームゲートの専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。ドリームゲートには、補助金獲得を目指す企業のサポートの実績がある専門家が多数在籍しています。
事業承継・引継ぎ補助金を確実に手繰り寄せるために、ぜひ専門家を頼ってください。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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