知的財産:Vol.17 いよいよ始まったレジ袋も商標登録。新商標制度Q&A

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
小売等役務の商標登録制度がいよいよスタートしました。そんななか、実際の制度の運用や審査についてのご相談をいろいろな点で頂いていますので、改めて制度の説明をしつつ、いくつかの質問に答えていきたいと思います。

小売等役務商標制度

 従来の商標制度では、小売業者等がお客さんに対して行っている商品の品揃え、看板、商品の包装、レジ袋、接客サービス、折込チラシ、店員の制服などのサービス活動(小売等役務といいます)に私用する商標は、商品の販売の付随的な行為で直接的なサービスではないとして商標登録の対象にはなっていませんでした。

 しかし、4月1日から小売等役務商標制度のスタートにより、小売業者などが行っているにこの小売等役務使用する商標が保護の対象になりました。

 

出願日の特例

 日本の商標権制度は、同一又は類似の商標を同一又は類似の商品役務の出願が複数あった場合には、先に出願されたものが登録になります(先願主義)。今回、2007年4月1日に制度がスタートし、4月1日に出願できなかったので、出遅れてしまって権利が取得できないのではないか?という質問を多く受けました。

 この点に関しては、出願日の特例が設けられ、2007年6月 30日までの出願に関しては、審査上、同日のものとして審査がなされます。ですから、もし小売等役務商標制度による出願を検討されている方は、2007年 6月30日までに出願を終えられることをお勧めします。

 

使用に基づく特例

 では、出願日の特例期間(2007年4月1日~2007年6月30日)の間に、ご自身の出願のほかに、第三者が同一又は類似の商標を、同一又は類似の商品役務の出願をしていた場合はどうなるのでしょうか?この場合は、当事者間で協議をするように特許庁から期間を指定して協議命令がなされます。

 この指定期間に、従前よりその商標を使用していたむねの証明をすれば、第三者の出願の有無によらず登録が認められることになります。もし、だれも使用の証明書を出さず、協議も成り立たない場合には、「くじ」で決定することになります。

 

継続的使用権

 小売等役務商標として出願せず、逆に第三者が出願して登録されてしまった場合、今まで使用してきた商標が使えなくなってしまうのでしょうか?この場合、少なくとも2007年3月31日以前から不正競争の目的なく継続して使用している場合には、継続使用権が認められます。ただし、継続使用が認められるのはあくまでも従来から使用してきた範囲ですので、留意が必要です。

 

すでに商品商標の登録を得ている場合

 ある商品とその商品を取り扱う小売等役務とは、類似するものとして審査します。従って、他人が同一又は類似の商標を、すでに登録された商品を取り扱う小売等役務の出願をしたとしても、出願は拒絶されます。この審査実務からするとあえて小売等役務商標の登録を得なくてもよいようにみえますが、登録商標を買い物カゴやレジ袋などにのみ使用している場合は、小売等役務として出願することをお勧めします。

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