知的財産：Vol.14 「口コミ」と「商標」の切っても切れない関係

 

 

 

 

 

そもそも「口コミ」とは

　元来、「口コミ」とは、うわさ・評判などを口伝えに広めることをいいます。そこで必ず登場するのが「○○って店のお菓子は・・・」とか「△△屋のお団子は・・・」といった具合に屋号なり店の名前が出てきます。つまり、屋号なり店名なしに「口コミ」はスタートしないのです。文字とおりの口コミという意味では、確かに屋号なり店名が必須ですが、ネット上ではドメイン名が必須と言っていいのかもしれません。

 

店名「○○○」＝「○○○．ｃｏｍ」！？

　これだけの説明でお気づきだとは思いますが、店名とドメイン名の一致が、最近の「口コミ」ビジネスでは、重要になっています。テレビやラジオで小耳に挟んだ商品の話題を、すぐにネットで調べる時代になっているのです。そして、すぐにネットで発見できれば間違えなくと言っていいほど、良い顧客になってくれる傾向にあります。反対にサイトが見つからないと、そこでネットを含め一切の検索をやめてしまい、アウトです。

 

商品名＝商標＝ドメイン名

　最近は、単に店名だけがドメイン名と一致していればいいかというと、そうではなくなっています。商品名をそのままドメイン名として取得し、専用のサイトを作る傾向が加速しています。しかし、この傾向は、従来のビジネスでは考えられないことだったのでしょうか？実は決して新しいことではなく、商標の世界では当たり前のことなのです。商標は、従来から社名を商標とするハウスマークから始まって、商品群名（シリーズ名）があり、その下に個々の商品名があるという階層構造のそれぞれで権利取得が行われてきたのです。例えば「TOYOTA」 → 「クラウン」 → 「マジェスタ」といった感じです。

 

なぜここまで

　では、何故ここまで周到に商品名やドメイン名を商標を媒介に体系的に管理するのでしょうか？その答えは簡単で、ネット時代になったからです。ネットを解することで、１つの商品名が一夜にして全国的に著名になってしまうからです。逆に言えば、商標権を媒介に権利をつなぎ止めておかないと、どこでどうコピー商品が作られ販売されるか余談を許さないのです。

 

自己矛盾を起こさないでください

　最近でも商標権について懐疑的な話を耳にすることがあります。しかし、その一方で、自社でも積極的にネットを活用し、全国的に有名なブランドに育てたいという決意表明を日常当たり前のように耳にします。しかし「商標権まではいらない、でも全国的に有名になりたい」と仰る方がいます。何か矛盾しているとは思いませんか？「口コミ」と商標（ブランド）との関係を今一度確かめてみてください。