第2回 グッドウィル・グループ株式会社 代表取締役会長兼CEO 折口雅博

起業家インタビュー

執筆者: ドリームゲート事務局

- 目次 -

第2回
グッドウィル・グループ株式会社
代表取締役会長兼CEO
折口雅博 Masahiro Origuchi

1961年、東京都出身。79年、陸上自衛隊少年工科学校卒業。84年、防衛大学校理工学専攻卒業。85年、日商岩井(現・双日)入社。91年、「ジュリアナ東京」を企画、総合プロデュース。同年、日商岩井を退社し、独立。94年、六本木に巨大ディスコ「ヴェルファーレ」をオープンさせる。95年、(株)グッドウィル設立。97年、介護会社「コムスン」に資本参加する。99年、グッドウィルを株式公開し、コムスンを子会社化。2002年、経済界大賞 青年経営者賞を受賞。04年1月、日本経団連 理事に就任。同年3月、東証1部上場。

ライフスタイル

スケジュール

スケジュールはぐちゃぐちゃですね。
あってないようなものです。はっきり言ってスケジュールはぐちゃぐちゃですね。空いてると思っていたら、「あ、予定入ったの?」「あれ、ここも入ったの?」って感じです(笑)。言い方は変ですが、きっと芸能人みたいなものだと思います。歌手って歌が好きでしょ、俳優は演じることが好きでしょ、私もビジネスが大好きですから。遊びながらも、常に仕事に結び付けて考えてしまいますし。でも、それをストレスと思ったことはありません。

休日

年に何回かは旅行に行きます。
定期的に決まった休みはあまりないですね。年に何回かは旅行に行きますが。そもそも、どれだけ仕事して、どれだけ休むかを考えているような人は起業家向きではないです。でも日曜日は、できるだけ家族のために休むようにしています。本当はゴロゴロ寝てたいな~とも思うのですが、うちの家族はかなりアクティブなので、その実現はかなり難しいですね(苦笑)。もしも1週間の休みが取れたら? 溜まっている読みたい本をじっくり読むか、海外に行ってこれまで体験したことのないことにトライしたいですね。

体力づくり

週5日は毎朝、腹筋150回、指立て伏せ80回、ダンベルスクワット160回をこなします。
週5日は毎朝、腹筋150回、指立て伏せ80回、ダンベルスクワット160回をこなします。でも週に2日は、やりたくないな~と思うことも。そのときは、目が覚めた瞬間にベッドの上で腹筋を始めるのです(笑)。そうやって、自分に対して既成事実化をすれば、なんとかほかのメニューに移っていける。自分が決めたことをやらないのは、負け。それがとっても嫌なのです。究極の負けず嫌いですから、私は。あと、時間があれば階段ダッシュもしますよ。だから体力には、かなりの自信があります。

食べ物について

サプリは数種類摂るようにしています。
サプリは数種類摂るようにしています。麺類やピザなど炭水化物ベースのものは、あまり食べません。アンチエイジングにはよくないですから。本来私はラーメンが好きですが、食べに行ったとしても、麺は2割くらいしか食べません。また、鳥や魚系のスープは飲みますが、豚骨スープは飲まない。ちなみに、グッドウィル・グループの関連会社フードスコープが展開しているお店はすべて、天然地鶏、天然野菜、オイスター、新鮮な魚など、美味しくて健康にいいものばかりを提供しています。ぜひ、遊びに行ってみてください。

まず大いなる夢を描き、強く念じ、行動すること。そして「常に当事者たれ」の意識で成功を目指そう!

 2005年7月に発刊され、早くも12万部を超えるベストセラーとなった『プロ経営者の条件』(徳間書店)。その著者である折口雅博氏が、ゼロから、いや 泥沼のマイナスの中から立ち上げたグッドウィルは、わずか10年でグループ年商1400億円、そして歴代2番目のスピードで東証1部上場企業へと成長し た。氏が著書の中で提唱している「センターピン理論」というキーワードがある。この考え方に多くの経営者が共感し、自社の経営方針に取り入れたという話を 最近よく耳にする。そんなウォームハート&クールヘッドを兼ね備えたカリスマ・ベンチャー経営者、折口氏に、起業を志した経緯、大切にしている理念、そし てプライベートまで大いに語っていただいた。

<起業という道を選択することになったきっかけ.1>
経営者だった父親の背中を見て育った幼少期

 幼少の頃、私の父親は、東京で人口甘味料を生産する会社を経営していました。それも業界団体の長を務めるほどの辣腕経営者。そのため家庭はとても裕福で、 200坪の広い家にお手伝いさん、高級外車が当たり前の日常だったのです。ところが私が10歳の時に、国内で人口甘味料の使用が禁止され、父親の会社は あっけなく倒産します。そして、両親は離婚。裕福な生活は一転、生活保護を受けるまでに転落です……。物理的にも精神的にも貧しく、私はやり場のない怒り や劣等感、さびしさを嫌というほど味わいました。でも一方で、強い挑戦心が芽吹き始めたのもこの頃。「いつか力をつけて、でかいことをやってやる!」「そ して絶対に勝ってやる!」と。結果的には当時のこの経験が、私の起業挑戦のための土壌となり、負けず嫌いの精神を磨いてくれたのだと思っています。

<起業という道を選択することになったきっかけ.2>
大手商社の経営者を目指すか、30歳までに起業するか

 経済的事情もあって、高校は学びながら給料がもらえる陸上自衛隊少年工科学校へ、そして防衛大学へと進学します。この学び舎では、死生観を醸成してくれた 実弾飛び交う中で行われる突撃訓練、合理性を追求し続ける今の自分をつくってくれた様々な不合理な命令……など、本当に多くのことを学ばせてもらえまし た。

 卒業後は、日商岩井(現・双日)に就職。このまま取締役を目指すか、30歳までに起業するかを悩み始めた入社6年目、大型ディスコ「ジュリアナ東京」のプ ロジェクトを立ち上げることになるのです。大手倉庫会社のオーナーから有効利用の相談をされた東京・芝浦の倉庫。この倉庫を視察した瞬間に、大成功する ディスコのイメージが閃きました。

 事業が成功するかどうかをボーリングに例えれば、ストライクを取ることだと言えます。そのためには、センターピンを外してはならないわけです。この考え方 を私は「センターピン理論」と呼んでいます。ディスコの場合のそれは、「いつ遊びに行っても大勢の人がいて、お祭りのように盛り上がっていること」。本質 的にお客様が求めているのは、いいお酒でも、いい音楽でもない、月曜日や火曜日といった平日でも常に満杯の状態であること。これこそが、ディスコ経営のセ ンターピンなのです。そして、必ず成功させようと考え、明確な目標を設定し、戦略、戦術を練り、実行したから「ジュリアナ東京」は今でも伝説と呼ばれるく らいの大成功を収めることができた。何事も、本質をしっかりと突き詰めて、成功するための原因を探ることで、必ず結果は出る。そういうことです。それから ですね、日商岩井の取締役になることではなく、事業を起こし大きくすることが、私の人生目標として定まったのは。

<起業という道を選択することになったきっかけ.3>
日商岩井を退社し、独立。しかし、思わぬ結末が……

  自らスポンサーを募り、借金をしてまで総合プロデュースした「ジュリアナ東京」は、予想を超える快進撃を続け、初期投資15億円に対し、初年度の売上高は 20億円強と大成功。しかし、私は2年目にはジュリアナの経営から離脱することになります。利権争いによって、ジュリアナを追われたのです。結果、私に残 されたのは、4000万円の借金と、「ジュリアナ東京を立ち上げた男」という実績だけでした。

 私の人生でもっとも過酷な雌伏の期間の始まりです。2年半、借金地獄と戦いながら様々なビジネスを手がけ、不死鳥のような復活をイメージしながら奔走し続 けました。そして数社からの資金協力を取り付けて、再び私がプロデュースした六本木の大型ディスコ「ヴェルファーレ」。これが大成功し、借金の大半は返済 することができた。しかし、今度は社長から副社長へ降格。いくら自分で立ち上げた事業でも、金を出していない以上、オーナーの意向には逆らうことはできな いということです。資本市場の原理を、嫌というほど思い知らされました。

 結果、1年半後に私はヴェルファーレを去ることになるのですが、すでに次のビジネスの準備を進めていました。今から10年前の1995年2月、マンションの1室で5人からスタートし、1400億円の年商を挙げるまでに成長したグッドウィルの始まりです。

<オーナー経営者としての起業家人生の始まり>
従業員5人の時代から、5年以内の株式公開を宣言

  私は3件目のディスコではなく、これから本当に市場が大きくなるビジネスを手がけようと考えました。そして、人材ビジネスに大きな可能性を見いだします。
  その理由はこうです。まず、規制緩和が進んでいる業界であり、巨大企業が存在していない。経営者層を除く日本の一般労働者の総額賃金は約79兆円。その 内、40%は常時雇用でなくてもいいはず。すなわち、約30兆円は雇用形態のリプレイスが可能。国内すべての派遣会社の売り上げは約3兆円。のりしろは膨 大にある。ならば、ここで圧倒的に勝てる要素をつくれば勝てる。特に、コンサートやイベントなど、軽作業のできる若いスタッフを必要な時だけ短期間で使い たいというニーズが高いこともわかった。そして、軽作業専門の人材アウトソーシングビジネスに行き着くわけです。

 私は若いスタッフを集めてくるために、3つの「売り」を考えました。「好きな時に仕事ができる」「その日に現金で報酬が得られる」「いつも違った仕事がで きるので飽きない」。予想通り、これがフックとなって面白いように多くの若者が集まってきました。登録者が増えれば、それだけたくさんのクライアントから のニーズに応えられます。グッドウィルのビジネスはいきなり順調なスタートを切りました。さらなる急成長を可能にしたのが、求人側と求職者側のニーズを マッチングするためのシステム化。現在、180万人の登録者がいますが、平均2時間で人と仕事のマッチングをすることが可能となっています。

 設立2年目にして、グッドウィルは売上高40億円を超す企業となり、創業時、メンバーに宣言したとおり、4年5カ月という当時の最短記録で株式を公開することができたのです。

本質的なセンターピンとは何かをしっかり突き詰めて圧倒的なスピードで展開していくこと

<グッドウィル・グループのこれまで、そしてこれから>
介護ビジネス、そして感動ビジネスへ

  創業して2年目の頃に参加したある勉強会で、2000年4月に介護保険制度がスタートするという情報を知り、コムスンに資本参加し介護ビジネスに参入しま した。その一番の理由は、商社にいた頃、私自身が父の介護をした経験があったから。当時から、24時間介護の必要性を感じていたのです。そして、介護保険 の市場規模を調べてみると、2004年が5.5兆円、7年後には12兆円、20年後には20兆円になると予測されています。そして、高齢者人口のシェアが 拡大していくのは明白です。これは将来確実に大きくなる市場であると判断しました。

 スタート時には、「ディスコ経営の折口が……」など、いわれのないバッシングも受けましたが、正しいことをビジネスとしてやっているわけですから、そんな 雑音には全く動じませんでした。結果、2000年4月に7億円だったコムスンの売り上げは、1年後には17倍の120億円に、そして今期実績は500億円 を超えています。いわれのないバッシングへのリベンジは、この結果をもって果たせたと思っています。

 今期、1400億円の売上高を誇るグッドウィル・グループは、大企業となった強さをフル活用して、コムスンをより強い企業にしていくべく日夜努力を続けて います。これまで以上に質の高いサービスを提供し、お客様の満足度を最大化するために、です。私は正しい社会貢献を継続するためには、圧倒的に強い、決し て負けない企業であり続ける必要があると思っています。たくさんの売り上げを挙げることは、必ず社会貢献につながるということです。

これからの当社は「人材ビジネス」「介護ビジネス」のシェア拡大に引き続き邁進し、レストラン事業など「感動ビジネス」への展開も加速していきます。そし て、2015年の連結売り上げ目標は1兆円。国内はもとより、世界を代表するサービス業界のトップカンパニーを本気で目指しているのです。

<急成長できる会社をつくるために必要なもの>
高い志と理念の共有、そして“弛まぬベンチャースピリット”

 やはり、このビジネスをやることで誰かの役に立ちたいという志が最低限必要です。それがないと、まず長続きしないと思います。そして、本質的なセンターピ ンとは何かをしっかり突き詰めて、圧倒的なスピードで展開していくこと。センターピンの選択さえ誤らなければスピード経営は破壊力となり、大きなシェアを 取ることにつながります。競合は怯み、また、仕事に関わる人間も無駄な仕事ができなくなるからです。

 そのためには、全スタッフが経営理念を共有していることが大事。グッドウィル・グループの経営理念は、「拡大発展、社会貢献、自己実現」。社是が「弛まぬベンチャースピリット」です。また、「グッドウィルグループ十訓」というものがあり、毎週1回スタッフ全員声に出して唱和します。紙に書き出し、唱和することで、潜在意識に刷り込んでいくのです。潜在意識は無意識の行動となって表れますから。

 そして、誰が見ても明確な競争と報酬の仕組みをつくって、放置することなく権限を下に任せていく。放置しないとは、経営者自身が常に当事者意識を持って、 組織の末端までどう動いているか本質的な部分を把握しておくこと。これらのことが揃えば、急成長できる企業がつくれるのではないでしょうか。

あとは、人が喜ぶと自分もうれしいというベースを経営者自身がもっていること。私は、スタッフが出世してくれたら、成長してくれたら、成功して収入が増え たら、心からうれしいんです。なぜなら、スタッフ全員がそうなれたら、会社の業績もそれに比例して上がりますからね。私は、スタッフや仕事仲間が喜んでく れることが、経営者にとって最初の社会貢献であると思っています。

<成功のための条件>
「夢と志」「技術と仕組み」「執念と鉄の意志」

  成功のための3つの条件には順番がありますので、順を追って説明します。1つ目が「夢と志を持つこと」です。有名になりたい、影響力のある人間になりた い、この事業で成功しよう、会社を上場させよう……そうした明確な夢と志をもてない限り、起業家としての成功は難しいと思います。会社を経営していると、 何度も苦しい状況に立たされます。そんなときに自分を励ましてくれるのが、夢と志なのです。

 2つ目が、「技術と仕組みを持つこと」。誰もが納得する経営計画をつくる、優秀な人材を集め、適材適所に配置し育てる、情報化を進め合理化を徹底する……こういった技術や仕組みへの配慮や勉強を怠るようでは、企業の成長はありえません。

 そして最後が「執念と鉄の意志を持つこと」。夢と志があり、技術と仕組みを持っていても、それを実践し、継続しなければ成功にはたどり着けません。どんな苦境に立たされてもやりぬくと固く決意し、成功を思い続けることです。

<これから起業を目指す人たちへのメッセージ>
夢と志を持つことが第一の条件です

 2020年には、ベンチャーキャピタルなど間接金融機関が十分に整備され、景気も上向きです。近年、ベンチャー企業の成功事例もいっぱいできてきたので、それに続く人たち も増加しています。起業家自体の社会的地位も高まったと思っています。起業しやすい環境は、かなり整いましたが、だからといって誰もが成功できるわけでは ありません。

 先ほども述べましたが、起業家として成功するためには条件があります。言い方を恐れずに言えば、お金持ちになりたいという欲望から始めてもいい。夢と志を 持つことが第一の条件です。それが持てないようならなら、やめておいたほうがいいです。起業したいから夢や志を探そうなんて無茶な話です。絶対に続かない でしょうね。あと、性格的な話だと、負けず嫌いは強い。私自身も、相当な負けず嫌いなんですが(笑)。

 なんでもいい。夢を見つけたなら、紙に書いて机の前に張って、毎日繰り返し言葉にして強く念じてみる。また、尊敬する起業家の写真を張って、自分もこの人のようになりたいと念じてみる。そうやって潜在意識が育っていくと、必ず行動につながるはずです。
  「思い描き、強く念じ、行動すれば、実現できる」と信じるのです。そうやって行動に移せたら、起業家の端くれになれたといえるでしょう。そして、より成功確率を高めたいなら、ぜひ拙著『プロ経営者の条件』を読んでみてください(笑)。

<了>

取材・文:菊池徳行(アメイジングニッポン)
撮影:鈴木慶子

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