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立ち上げから約800名以上の人生を紹介。
あらゆる人生を追体験できる「another life.」

企業紹介

執筆者: 山田 貴大  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

どんな生き方にも優劣などは存在しない。
人生の軌跡を形に残すことに大きな意味
展開している事業の内容・特徴

20160630-1コンセプトは「一日だけ、他の誰かの人生を」。2014年からスタートした、あらゆる人々のライフストーリーを読むことができるインタビューメディア「another life.」には、ほぼ毎日のペースで“誰かの人生”を記した記事の掲載が行われている。取材対象者の年齢層は20代~80代、職業は農家やタクシードライバー、経営者、政治家までと幅広い。

「どんな生き方にも価値があります。読者に伝えたいことは、一人ひとりの人生に優劣はないということです」と、同メディアを運営する株式会社ドットライフ代表取締役の新條隼人氏は語る。

人生をネットワーク上に残すサービスを標榜しており、ある人の経験や価値観を表に出すことで読者側は別の人生を追体験できる。それに共感したり、悩みが解決できたり、新たな行動に移せたりする可能性もある。

1つの記事は4000~5000文字で構成されているが、通読率はかなり高く、実際に読者の7割以上が最後まで閲覧しているという。それだけ読者を魅了するコンテンツだからこそ、法人や自治体からのタイアップ依頼が後を絶たない。特に人材採用が難しいさまざまな業界を取り上げ、当該職業への共感を創り出す採用支援コンテンツは、大きな反響を得ている。

そんな同社は、今春、マネタイズの柱を増加させた。新たな収益の柱にすべく立ち上げたのが、「大切な人の人生を、一冊の本にする」、体験型ギフトのサービスである。

「読者のためにメディアを始め、とにかくさまざまな人生を追体験してくれたら、一つの選択肢にしてくれたら――その思いが届けば、人生を考えていくヒントになるのではないかと思っていました。そもそも、掲載された人がここまで喜んでくれるとは思わなかったんです」

取材対象者が自分の人生を振り返り、“人生の軌跡”を形にして残すことに大きな意味があったということだ。同社の新規事業となるギフトサービスにはその思いを叶える要素が引き継がれており、「大切な人の人生のストーリーを形に残す」ことがコンセプトである。

例えば母の日、子供がインタビューの体験を母への感謝を込めてプレゼントする。ギフトを受け取った母の元にプロのインタビュアーが伺い、取材や撮影を経て、お気に入りの写真と人生物語が掲載された、世界に1冊だけの本の贈り物ができるというわけだ。販売価格はカジュアルプラン(5000文字)で4万5000円から。ある人が紡いだ人生を、第三者が取材し、一つの物語として紡いでいく――この仕組みを広く文化として根付かせる。同社の第二創業ともいえる挑戦である。

社会人ならではの大きな課題に直面。
やりたいことをやる人生を、当たり前に。
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160630-2「世の中に新たな価値を提供したい」。新條氏は学生の頃から、将来の起業を見据えていた。そして、大学卒業後、ベンチャー企業に就職することを選択。それはまだ、自分に“自信”と“覚悟”を持つことができなかったからだ。

「就職を選択した目的は、起業できるだけの力を備えるためでしたが、実務をこなしたからといって、ゼロから何かを立ち上げて成功を収める保証になりません。今思えば社会人1年目の冬には、そんなことを考えるようになっていました」

入社2年目に同僚と退職し、「やりたいことをやる人生を、あたりまえに」というミッションを掲げ、同社を創業する。社会人になって周りを見渡し、自分のやりたいことが見つからずに悩んでいる人たちが非常に多いと感じたことが、あらゆる人生を追体験できるサービスを立ち上げる引き金となった。

「誰かが生きるために必要とする価値を提供したいと思っていたのに、結局は自分の親しい人の課題にすら向き合っていなかったことに後悔していたんです。それで退職後の有給休暇消化中に何をしようか必死で考えて、サービスの方向性を決めました」

当初、「another life.」は今のようなWebメディアではなく、ユーザーが商談やものづくりを経験できる社会人向けの職場体験サービスとしてリリースされた。しかし、β版での検証を通じて、体験の紹介のために作成した「人生のストーリーの記事」が多くの人に行動の変化をもたらしていることに気づく。そしてリリースから4カ月後に現在のメディア・サービスの形で正式リリースされた。

しかし、サービスの斬新さが仇となって、次のラウンドの資金調達のためには収益化の明確な実績が欲しいというフィードバックを受けることになる。

「続けていけば、なんとかなるだろうと思っていました。でも、振り返ってみれば、その“何か”を探すことを先延ばしにしていただけなんですね。結局、サービスの新規性が高すぎて、ビジネスモデルを計画するだけではイメージを持ってもらえず、実際に収益を上げるという根本的な仕組みが必要でした」

そんな悩みを持っていたが、多くの企業がタイアップを希望していたこともあって、現在の主な収益源である記事広告のサービスを始めることになった。

100億人の人生をネットワーク上に。
新たなチャレンジで見据える先は世界
将来の展望

20160630-3ベンチャー企業は、創業当初の苦労をいとわず継続して前進していけば、そのうち大きな成果が得られるといったイメージがあるようだが、実際には経営者の苦労はそう簡単には終わらない。

「前に進めば進むほど大変ですよ。私の場合、創業当時のプレッシャーというのは、自分の根拠なき自信に見合う成果を出すことだったと思います。むしろ、企業が成長すればするほど、従業員や800人を超える掲載者の方などを含めてかかわる人は圧倒的に増えていきますよね。これは単純に、自分たちだけの会社ではなくなっているということです」

自分たちのビジネスを信じること姿勢は間違いではない。それでも多くのステークホルダーの協力を仰いでいる以上は、継続すること、そして絶対の成果が求められる。「ナイスチャレンジ!」とは、過程の段階で言うセリフではないのだ。

それでも新條氏は前に進み続ける。10年後に30億人、20年後に100億人の人生物語をネットワーク上に残すことが目標であり、世界の人々の“人生の図書館”づくりを目指しているからだ。そして新條氏は、これから約1カ月間ケニアへと旅立つのだという。

「2050年、世界人口は100億人になると予測されていますが、そのうち20億人はアフリカ大陸、特にサハラ砂漠以南の地域に住む人々です。社会的に成熟している日本でサービスを始めましたが、そうではない国へ果たしてこのサービスを輸出することができるのか? そう考え、あえて日本の対局ともいえるナイロビから始めることにしました」

日本発、世界で愛されるメディアになる可能性を秘めた「another life.」。一人でも多くのファンを増やしていきながら、世界中から愛されるブランド企業をつくる。新條氏がこのビジネスにかけた思いだ。いずれは競合他社の出現も考えられるが、「むしろ、その状況を前向きに捉え、サービスの付加価値向上に努めたい」と語る新條氏。これからもドットライフの“企業人生物語”を、一ファンとして読み続けていきたいと思う。

株式会社ドットライフ
代表者:新條 隼人氏 設立:2014年1月
URL:https://an-life.jp/ スタッフ数:5名(外部を含めると20名)
事業内容:・さまざまな人生を追体験できるWebメディア「another life.」
・「大切な人の人生を、一冊の本にする」体験型ギフトの提供

当記事の内容は 2016/06/30 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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