人工知能の働きで営業パーソンを支援。確率の高い“次の一手”を提示してくれるサービス「Senses(センシーズ)」

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執筆者: ドリームゲート事務局

営業パーソンの過去の行動や成功履歴を学習した人工知能による、効率化を促進する次世代の営業支援サービスが登場!
展開している事業の内容・特徴

20160407-1世の中には、実にさまざまなITサービス、業務系システムが存在している。特に、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を導入している企業は多いだろう。ただ、これらのシステムは主に大企業向けに設計されており、マネジメント層が大勢の営業パーソンを“管理”することを目的にしている。つまり、営業パーソンが日報などのかたちで営業の状況や顧客の情報を入力し、それを集計してレポーティングする。しかし、日報を書くことや、行動が管理されることをストレスに感じている営業パーソンは多い。

今回紹介するのは、2016年2月にサービスが開始された「Senses(センシーズ)」という人工知能型の営業支援サービスである。同サービスを開発・運営しているのは2015年4月に設立されたばかりのベンチャー、株式会社マツリカだ。

「Senses」の特徴を簡単に説明すると、営業パーソンが次にとるべき最適かつ詳細な行動(いつ、誰に、何を、どのようなアクションをすべきか)を提示してくれるシステムといえる。

そうした行動は、本人が考えるか、営業マネージャーが指示するのが普通だ。そして、より的確で効率的な指示を出すために、SFAやCRMを活用しながら、現場の状況を把握しておく必要がある。

つまり、肝心な部分は属人的な部分に頼っていたというわけだ。一般的には業績のよい営業パーソンがマネージャーとなり、部下を指導する。その理由は営業マネージャー個人に優れたノウハウが蓄積されているからであり、優秀な営業パーソンをプレイヤーとして活動させるより、より多くのスタッフを指導させることで、組織的をして業績拡大を目指すことが期待されているからだ。

しかし、優秀な営業パーソンが、必ず優秀なマネージャーになれるかというとそうではない。そこでマツリカは、正しい営業行為そのものを人工知能に学習させることで、優秀な営業パーソンがもつノウハウ・知見を組織全体が共有できるようにしたわけだ。

具体的には、各人の営業成果、成功事例をもとに、どういった企業にアプローチすれば成約しやすいかなどを分析。「Senses」は、営業パーソンがやりとりしているメールを自動的に取り込んで、メールの文面などから人工知能がより適切な行動を学習していく。

そうやって学習したノウハウ・ナレッジを参考に、営業チームに人工知能からネクストアクションが提示されるようになるという仕かけだ。これによって、営業のノウハウ・知見が共有できる。

「Senses」の行動レコメンデーションが概ね機能するために必要とする学習量は、アクション500〜1000件程度。これは1日に1人の営業パーソンが5〜10件程度のアクションをしていたとして、10名のチームであれば10日ほどで基礎データが集まる計算だ。前述のとおり、メールはGmailなどグループウェア連携により自動的に蓄積・学習されていくためユーザーの負担も少ない。もちろん、さらに学習を進めれば進めるほど、精度は高くなる。現在、30日間の無料トライアルを実施しているため、初めの10日間を学習にあてたとしても、残り20日間で成果を実感してもらえるとのことだ。

基本的には、B2Bでの営業を想定している。長い期間、顧客とのやりとりが発生するケースほど、成果が得られやすいという。

マツリカの創業者である黒佐英司氏によれば、主なターゲットは中小企業。100名以下の企業の場合、金銭的な面や、その複雑さ故の導入時の運用コストの面で従来のSFAやCRMを導入できないケースが多いのだという。そうした中小企業に手軽に使ってもらうことを目指し、利用料金は1ユーザーあたり月額数千円程度に抑えている。これは大手SFAサービスの3分の1程度の価格感だという。

また、共同創業者で開発を指揮している飯作供史氏によれば、「Senses」は、あくまで過去の成功事例から類似事例を探す、より成約確率の高い候補をリサーチする、見込み顧客の優先順位付けをするなど、定量的なアプローチによって、営業パーソンや組織の機能を活性化するという思想で設計されている。顧客の課題をヒアリングするなど、お互いの信頼関係の構築はあくまで人間の仕事というわけだ。むしろそうした仕事に営業パーソンが集中できる環境をつくり出すことが「Senses」を導入する一番のメリットなのだという。

ユーザベースの創業期から営業組織をつくり上げた経験がビジネスのシーズに
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160407-2黒佐氏と飯作氏は、企業・業界分析を行うすべてのビジネスマンのためのオンライン情報サービス「SPEEDA」や、経済情報に特化したソーシャル経済ニュースサービス「NewsPicks」などで知られる株式会社ユーザベースの創業期を支えたメンバーだ。

黒佐氏は、ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業後、積水ハウス株式会社を経て、ユーザベースに参画。営業部門、マーケティング部門および顧客サポート部門の統括責任者を歴任した。

飯作氏は、アビームコンサルティング株式会社からユーザベースに技術統括執行役員として参画した。

「Senses」のアイデアは、黒佐氏がユーザベースで営業部門を立ち上げた際の経験から生まれた。黒佐氏が営業組織を運営する上で、組織が小さい頃は、プレイヤー兼マネージャーとして仕事を回せていたものの、部下が10名を超え始めるタイミングで、管理が難しくなってきた。また、新規に採用した営業パーソンへの教育コストも重くのしかかってくるように。

属人化しがちな営業ノウハウをシステム化できないか――その実現に向けた話が持ち上がり、飯作氏も同様の課題を感じていたことから、新しいビジネスとして立ち上げるための検討が始まった。

マツリカの創業メンバーは4名。2015年4月に起業に至ったという。

当初は2015年8月に「Senses」をリリースする予定だったが、実際にリリースできたのは10月初旬。クローズドベータ版というかたちで知り合いのみに公開し、フィードバックを受けた。そこから3カ月半ほどプロダクトの磨き込みを行い、2016年2月に限定的な有料販売を始めた。

目指すのは、世界を「祭り化(マツリカ)」すること
将来の展望

創造的な仕事は、楽しい。しかし、創造的ではない業務・業務に追われていると、途端に仕事はつまらなくなる。自明なことだが、仕事が楽しければ夢中になれて、結果として生産性も高い。

「マツリカ」という会社名の由来でもあるが、黒佐氏、飯作氏がここに込めた思いは、世界を「祭り化」することだという。「祭り化」とは「熱狂している」状態を指し、一人でも多くの人々が、日々やりたい仕事に没頭していられる、そうした世界をつくり上げるというのが、同社のミッションである。

営業職は一般的にあまり人気がない。その理由は、過大なノルマや管理へのストレスだ。しかし、営業はビジネスの本質でもある。顧客の役に立つ提案を行い、契約を結んで、サービスや商品を納入し、対価を得る。そして、成果が出れば、顧客から感謝される。そうした一連のプロセスを、一度経験すると営業は必ず“楽しい”ものになる。

しかし、多くの営業パーソンが本当に顧客のために時間を使えているかというと、そうではないだろう。営業日報の作成しかり、アポイント取りしかり、上司への報告資料づくりしかり。そうした業務の一部を人工知能に支援してもらうことによって、営業パーソンにとってもっともクリエイティブで重要な「考える」瞬間をより多く生み出し、没頭できるようにしたい。これが同社の目標だ。そして、それは営業以外のあらゆる職種に応用できると黒佐氏、飯作氏は考えている。

仕事が楽しくなるサービスで、世の中を本気で変えようとしているマツリカの挑戦に、ぜひ注目していきたい。

株式会社マツリカ
代表者:黒佐 英司氏、飯作 供史氏 設立:2015年4月
URL:http://www.mazrica.com/
http://product-senses.mazrica.com/
スタッフ数:13名
事業内容:
・営業支援プラットフォームSensesの開発・運営
・営業活動におけるコンサルティング業務
・その他インターネットインフラ事業の開発・運営

当記事の内容は 2016/04/07 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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