- 目次 -
広告代理店ではなく、メディア代理店!? ミッションは「メディア価値をつくる」こと。
展開している事業の内容・特徴

http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016022-0223.pdf
広告主にとって、費用対効果の高い広告運用を自動的に行ってくれることはありがたいが、一方のメディア側は自動だけでは最適化できない。知識と経験がなければ、最適化どころか本来得られる利益さえ逸してしまう。
ネット広告業界では、メディアの枠を安く買うほうが利益になる広告主の獲得効率により単価決定される世界が広がり、下流に位置するメディアにとって不利な状況が続いている。
このような状況を打開し、メディア価値を高めていくためには社内にマネタイズの専門家が必要になる。しかし、コンテンツづくりが本業であるメディア側がそうした人材を抱えることは難しい。
前置きが長くなったが、今回紹介する株式会社フォーエムは、広告主ではなくメディア側に立ったサービスを展開しているベンチャーだ。メディア側の代理店として、さまざまな広告やツールを駆使してメディア側の収益を最大化するサービスを行っている。同社代表の高橋勇氏によれば、同社のサービスによって、メディアの広告収益を1.5倍から、最大では5倍にまで伸ばした実績があるという。
取材をした2016年2月時点で、同社が契約・サポートしているメディアは100、月間50億回の広告表示枠を扱っている。取引しているメディアとしては、現代ビジネス、サッカーキングなどの専門カテゴリのプレミアムメディアが多いという。
同社のミッションは「メディア価値をつくる」こと。高橋氏によれば、良質なメディアが買い叩かれる状況が続くと、メディア側の収益が悪化し、良質なコンテンツを生み出す事業者運営が行き詰まるという。そうさせないためにも同社はメディアが安心してコンテンツを生み出せる環境をつくるべく、日々奮闘している。
サイバーエージェント時代に商機を見つけて起業
ビジネスアイディア発想のきっかけ

高橋氏が起業に至った理由は、流行り廃れの激しいネット業界において単一広告の取り扱いで顧客満足を満たすことに限界を感じたためである。当時、業界内で10にも満たない広告ラインナップでさえ、メディアは善し悪しを判別できないのに、今後さらに広告が増えることで、ますます困るメディアが増えると予想した。メディアに喜んでもらうためには、もっともメディア側に近い立場から支援を行う必要があると考え、2009年10月にフォーエムを設立した。
創業は1人で、資本金50万円からのスタート。周囲からの嘲笑と非難の中、1年目から黒字化し、7期目となる2016年まで右肩上がりの無借金経営を継続しているという。
しかし、実は起業して3年目に危機的な状況に追い込まれた。社員が全員辞めてしまったのだ。当時はとにかく利益最優先で、オフィスを構えない完全なノマドスタイル。経済合理性だけを追求した経営スタイルに行き詰まり、結果として社員が離散してしまった。
強いショックを受けた高橋氏は、その後、株式会社フォーバル会長の大久保秀夫氏が主宰する経営塾に参加し、経営理念やビジョンの再構築に取り組んだ。ここで株主資本主義ともいうべき利益のみを追求する経営ではなく、公益に沿った経営こそが重要と考えを改め、それまでの経営スタイルを一新。まず、社員が幸せでいられることを第一に考えるようになった。
そうしたところ、不思議と人材が集まり始め、会社に定着するようになった。それまでのノマドスタイルも改め、2014年7月には東京・新橋にオフィスを構えた。また、日本国内では2社しか認定されていないGoogle Certified Publishing Partnerの1社にも選ばれた。ちなみに同パートナーの認定企業は世界でも数十社に限定されている。
健康経営を追求するため鎌倉に移転の予定。目指すのは、世の中に意義あるメディアを支援していける会社にすること
将来の展望

その理由は、健康経営。つまり、社員の健康増進を重要な経営戦略として捉えることだが、高橋氏曰く、「海や山に囲まれ、自然がたくさん残っている鎌倉という地で仕事生活を送ることで、社員を心身ともに健康にすることが目的」。実際、高橋氏もノマド生活時代に湘南に住んでいたことがあり、自然に近い生活によって本来の自分の能力と五感を取り戻し、精神・肉体的にも良いことを実感していた。社員が健康で幸せであってこそ、クライアントを幸せにできる。そして、さらに家族や地域、世界の人々へと幸せを広げていけるインサイドアウトの考えだ。
同社としては、世の中に意義あるメディアの存続のために、メディア収益最大化を目標に掲げている。進化し続けるIT技術だが、テクノロジーの進化によって日本の素晴らしい文化や人間本来の力が退化するようでは本末転倒だ。今後より人と国が本質的に豊かになるための事業を推進していくことが高橋氏の理念、ビジョンである。
| 株式会社フォーエム | |
|---|---|
| 代表者:高橋 勇氏 | 設立:2009年10月 |
| URL: https://www.fourm.jp/ |
スタッフ数:16名 |
| 事業内容: ・PC・スマートフォンメディアの収益化支援 |
|
当記事の内容は 2016/03/15 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

