2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

この記事はに専門家 によって監修されました。

AIを活用して“匠の技能”を継承!
次世代のモノづくりを支えたい

企業紹介

執筆者: 佐々木 正孝 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ベテラン技能者の思考をAIが可視化し、
技能継承・事業承継をアシスト

事業や製品・サービスの紹介

少子高齢化や人手不足といった問題が立ちはだかるなか、日本の産業は技術力の先細りが懸念されている。製造業はベテランからの技能継承が、中小企業においても後継者への事業承継が喫緊の課題だ。技能の伝承については文書化やデータベース化といったかたちが主流だったが、昨今はAIによって職人的な技術、思考を形式知化しようとする動きも活発だ。

株式会社LIGHTzは、AIによって熟練の技術者の思考を可視化するテクノロジー「ブレインモデルⓇ」を開発した。同社はスペシャリストが持つ「暗黙知」「形式知」を次世代にとって分かりやすい活用形体に変換することを「汎知化」と定義。熟達者の思考を直感的に表すAIに展開し、技能や技術のスムーズな継承をアシストしている。

代表例が山形県の金型メーカーである株式会社IBUKIなどと手がけたIoTブレイン金型だ。熟達技能者がプラスチック製品の図面を見た時に何を考えるか、その思考プロセスを解析したブレインモデルによって、熟練のノウハウを汎知化。IoTセンサーを付与された金型と組み合わせることで、成型の挙動の可視化を実現した。

この取り組みもあり、長年のノウハウを活かしたIBUKIは下請的なビジネス構造を変革し、高収益化を達成。2017年度ものづくり日本大賞の「ものづくり+(プラス)企業」部門で経済産業大臣賞を受賞している。

次世代型のデータベースを駆使し、
スポーツ、医療業界にも展開を模索

対象市場と優位性

AIを巡るビジネスは様々なアプローチによる研究・開発がしのぎを削っている。LIGHTzが開発したブレインモデルは、次世代型データベースと称される「グラフデータベース」を活用しているのが大きな特徴だ。同社は国内で唯一のグラフデータベース開発企業として優位性を発揮している。

グラフデータベースとは、情報をネットワーク構造でつなぎ情報空間の全体像を指すもの。ノード(人やモノ)を起点として、ノード間を結ぶエッジで構成される。現在の主流である「リレーショナルデータベース」は編集機能がないが、グラフデータベースは追加、編集が容易である。ブレインモデルによって可視化された熟達者の思考、技術はAIによって解析され、グラフデータベースで可視化される。

同社のクライアントである自動車メーカーは、開発設計に関するあらゆる情報をグラフ化してバリューチェーンを一手に扱えるデータベースを制作。自動車部品メーカーは、熟達者の視点を模したグラフによって設計図面を解析するシステムを作成した。

同社のサービスの提供先は製造業にとどまらない。トップアスリートの複雑な思考を可視化することによるスポーツ選手育成支援、戦術助言システムの開発、匠の農家の技術・ノウハウを可視化したAgriTech(アグリテック)の活性化など、多分野での展開を進めている。各業界の支持を背景に業績も好調だ。2017年度は1億円規模だった売り上げが、2018年度は4億円、2019年度は6億~8億円というジャンプアップを見込む。

コミュニケーションのベースになる“言葉”を
大事に、気づきを与えるAIを開発

事業にかける思い

代表の乙部信吾氏は、キヤノンのエンジニア、製造業向けのコンサルタントを経てLIGHTzを設立した。根底にあるのは、日本のモノづくりに対する危機感である。

「私たちは製造業に育ててもらった者として、日本の技術者の志、次代につなぐ技能を信じています。多くの企業が持っている有形の情報資産、無形の資産をどうやったら活用できるかを考え、エンジニアのためになるAIの開発に取り組んできました」

ビッグデータを統計処理やアルゴリズムで解析する数値的なAIが脚光を浴びているが、同社は言語的なAIに重きを置いて開発に注力している。

「LIGHTzは、言葉づくりを大事にしてきた集団です。人同士のコミュニケーションにおいては、数式で伝えることより言葉で伝えることのほうが大事だと思っているからです。『ブレインモデルⓇ』も『汎知化Ⓡ』も商標を取り、ビジネスの潮流の一つとして根づかせようと取り組んできました。技能者、エンジニアの技を伝えるために言葉を重んじたいのです」

過去の実績が容易に検索できるようになったり、熟達技能者の思考の流れを基に業務フローを作成できるようになったり、ベテランの知見とAIの融合には大きな可能性がある。匠の技を重んじてきた“日本らしいAI”として大きな期待がかかっているゆえんだ。

「AIは唯一の正解を見つけるものとして捉えられがちですが、私たちは答えではなく気づきを提供していきたい。その気づきを、中核技術であるブレインモデルによってもたらすことができたらと思います」

株式会社LIGHTz
代表者:代表取締役 乙部 信吾 氏 設立:2016年10月
URL:http://lightz-inc.com/ スタッフ数:40名
事業内容:
スペシャリスト思考のAI化と実務適用支援、次世代情報メディア開発、ロボットの社会適用モデル開発
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
2億5000万円
グループの持株会社である株式会社O2が株式会社テクノプロ、みらい創造一号投資事業有限責任組合、みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合、つくば地域活性化ファンド投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施。「ORGENIUS」の開発加速を中心とするLIGHTzの事業に関する資金を調達。
ILS2018 大手企業との商談数:
19社

当記事の内容は 2019/3/5時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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