2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

この記事はに専門家 によって監修されました。

スマホユーザーの位置を屋内外で簡単に把握。
広告最適化、効果的販促戦略に威力を発揮!

企業紹介

執筆者: 髙橋 光二 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ビデオリサーチと提携し、OOHメディアの
新たな価値指標化に向けた実証実験に着手

事業や製品・サービスの紹介

株式会社タップアラウンドは、SDK(software development kit=ソフトウェア開発キット)をインストールしたスマートフォンで、屋外だけでなく屋内や地下空間の位置情報をシームレスに測定できる「TAP Track」を2018年9月にリリースした。

東京などの大都会のあらゆる空間には、WiFiやBluetoothといった半径20 m~50mの範囲内に届く近距離無線の電波が大量に飛んでいる。「TAP Track」は、スマートフォンが受信したこの電波の情報をタップアラウンドのサーバーに送信し、独自のアルゴリズムで解析して端末の位置を割り出す。

同社は、「TAP Track」の第1号の活用事例として、出資者ともなった株式会社ビデオリサーチと共同してOOH(out of home=家の外で接触する広告)メディアの新たな価値指標化に向けた実証実験に着手した。

これは、ビデオリサーチのAVP(AD Value Panel=全国100万人規模のCookieを活用した調査パネルで、メディア接触状況、デモグラフィック情報、サイコグラフィック情報を取得する)調査対象者のうち、東京23区内居住者もしくは23区内への通勤・通学者など2000人の保有するスマートフォンに「TAP Track」をインストールし、都内の主要駅における交通広告への接触時間などを測定し広告効果の指標化を図るというもの。

これまでの効果測定は、数取器(人手により目的の計測物の数量を迅速に数え上げるために用いられる計数用の道具)を用いた通行量調査ぐらいしかなかったが、本調査では当該広告への接触、接触時間を測定することで、広告効果をより正確に割り出すことが可能となるというわけだ。

スマホにSDKをインストールするだけ。
導入側の設備管理負担費用がゼロ!

対象市場と優位性

いま、位置情報を活用したジオマーケティングやゲームが注目されている。位置情報と聞くと真っ先にGPSを思い浮かべる人が多いが、GPSは衛星からの電波を受信して稼働するので、実は屋内では電波が届かなかったり、反射するなどして使えない場合がほとんどだ。

こうした状況をクリアするため、屋内にWiFiの基地局やビーコン端末を設置、屋内地図を作成して位置測位を行うといった方法が取られている。しかし、これらの方法では、装置を設置したり、電池交換や故障のメンテナンスといった手間が発生する。また、屋内地図の作成はコストを要する上に、Google Mapsなどとの互換性がなくユーザーがシームレスに使えないといったデメリットも。

「TAP Track」であれば、スマートフォンにSDKをインストールするだけで屋内外での位置情報をシームレスに把握できる。施設側に負担をかけることなく導入できる点が大きな競争優位性となる。

「TAP Track」は、特定の人の行動を追うことで、その人の生活習慣や何に興味を持っているかといったことを類推し、新たな効果的販促情報提供への道を開いてくれる。たとえば、顧客が商業施設の店舗内をどのように回遊し、何を購入したかといったデータを収集することで、売り場の改善に役立てることも可能だ。

同社が狙うのは、まずは2020年度に78億5000万円(矢野経済研究所調べ)と予測される屋内向け位置情報サービスの市場である。さらに、ロケーション広告(2020年度4439億円)やモバイル広告(同7500億円)といった広告配信を最適化するニーズだ。例えば、ある企業がアプリにSDKを導入し、ユーザーがよく立ち寄るショップを割り出してタイアップ販促キャンペーンを行うといった使われ方を想定しているという。

視覚障害者に何があるのかを伝えたい!
“空間情報を知る”プロダクトの開発へ

事業にかける思い

同社の代表取締役CEOの安藤雄太氏は、大学院でWiFiによる位置推定の高度化をテーマとする研究を行っていた。「地図を作成して人の位置を高精度に割り出す研究だったが、手間暇かけて精度を上げたところでどれぐらい使われるのか市場性に疑問を持ってしまった。もっとほかにいい方法があるのではないか、とモヤモヤしていた」と打ち明ける。

大学院修了後に就職した会社で働き始めて1年ほど経ったある日のこと。商業施設でフロアマップを見るためにスマートフォンで施設のホームページを検索し、目的のページに行き着くまでに1分ほどの時間かかった。

「その時、その場所の電波のIDとフロアマップ画像のURLを紐づければ、電波を受信した瞬間に表示させられると気付いたのです」

この気づきを突き詰めてサービスを開発するため勤務先を退職し、2015年3月にタップアラウンドを設立する。近くにいる者同士を電波で繋ぐコミュニケーションアプリを開発、リリースするもうまく広げられなかった。そこで、マーケティング領域へのピボットを決め、3年ほどの試行錯誤を経て「TAP Track」を開発した。今後は、ジオマーケティング最適化ツールとして広めていくとともに、空間情報を知るプロダクトの開発にも取り組む構えだ。

「一定間隔で電波を受信、空間情報に変換して、視覚障害の方に近くに何があるのかを教えるといった用途を想定しています。いろいろな可能性が開ける技術だと自負しています」

株式会社タップアラウンド
代表者:代表取締役CEO 安藤 雄太 氏 設立:2015年3月
URL:https://taparound.net/ スタッフ数:2名
事業内容:
位置情報測定システム「TAP Track」の開発・販売
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
株式会社ビデオリサーチから3000万円
ILS2018 大手企業との商談数:
12社

当記事の内容は 2019/2/18時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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