ロボットアームに人間のような肌感覚を!
物流の自動化を牽引する“早大”発ベンチャー

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 東 雄介 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

指1本あたりに72個のセンサー。
3軸の力を測定し、物体を柔らかく掴む

事業や製品・サービスの紹介

photo1.jpgXela Robotics(ゼラ・ロボティクス)株式会社は、早稲田大学の菅野研究室からスピンアウトした大学発ベンチャーだ。

同社が開発したロボットハンド用の触覚センサーは、ロボットハンドに繊細な肌感覚を付与する。指1本あたり72個ものセンサーが、前後、左右、奥行きの3軸で力を検知し数値化。これにより、まるで人間の手のような巧みで、やわらかいロボットハンド操作が可能となった。

導入が想定されるシーンは、オートメーション化された物流倉庫など。現在、物流のロボット化を進める上で「ロボットアームに物体を掴ませ、運ばせる」タスクが課題となっている。米アマゾン・ドット・コムの子会社主催による競技会「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」が開催されるなど、各社が開発した「パッケージングロボット」が、多くの商品を箱から取り出し、移動させるスピードを競っている状況だ。

だが、さまざまな物体を問題なく掴み、落とさず運べるロボットアームはまだ存在していない。現在、同社は「包装されている製品をダンボール箱に移し替える」二次梱包ラインに着目。触覚センサー単体をテックベンチャーに販売し、パッケージングロボットの市場に参入しようとしている。

早大・菅野研究室の知見を生かした、
ロボットアームのトータルソリューション

対象市場と優位性

パッケージングロボット市場は年々広がりを見せており、2025年には5000億円規模になるとも試算されている。現行のロボットの問題点は、特に柔らかい物体を変形させず、落とさず運ぶのが難しいこと。価格も300万円程度からと高価だ。同社の独自方式のセンサーがあれば,より低い製造コストで、より優れた性能のロボットアームを実現できる。また物体の形状に合わせてセンサーが反応するポジションが変わるため、物体の形状認識にも使えるという。

現在想定している主な顧客は、ロボットアームを開発するテックベンチャーなど。また触覚センサーから収集できる大量のデータは機械学習用途に使えるため、AI系ベンチャーからも声がかかる。

将来的には、センサーを搭載するロボットのグリッパーやアームの部分を含めたトータルソリューションを手がける計画だ。たとえば、「ドアノブを掴んで開ける」など複雑な動きを学習したロボットや、人間の接近や接触を感知し、人間とぶつかっても衝突を吸収できる安全なロボットなど。いずれにせよ、今後も早大・菅野研究室の知見が存分に生かされることになるだろう。

狙う市場規模は5000億円!
高性能・低コストで競合優位に立つ

事業にかける思い

photo3.jpg同社の母体となった早大・菅野研究室は、40年前からロボットの研究を続けている。研究チームの大半が外国人。同社CTOのアレクサンダー・シュミッツ准教授もその一人だ。イタリア技術研究所を経て、17年前に来日して以来、触覚センサーとロボットを研究してきた。

「最大の課題はケーブルを減らすことでした」とシュミッツ氏。センサーを増やすほどロボットアームを繊細に動かせるようになるが、配線が複雑になるとかえって不具合が生じる。だが現行のモデルでは数百個のセンサーの信号をケーブル4本にまとめることで、これを解決。製品化のメドが立った。「この技術であれば市場から必ず求められると信じています」(シュミッツ氏)

同社は2018年8月に創業したばかり。当初は、並行開発していたロボットの事業化にも取り組んでいたが、触覚センサーとロボットを一緒に展示会に出したところ、「センサーを単体で買えないか」という引き合いが多く、創業に至った。つまりシュミッツ氏の研究成果を事業化するにあたり誕生したのがゼラ・ロボティクスだ。

「誕生したばかりの会社ですが、創業からわずか2、3カ月で数百万円の売り上げが立っています」と、同社のCEOを務める小林健人氏も今後の販路拡大に自信を覗かせた。

Xela Robotics株式会社
代表者:小林 健人 氏 設立:2018年8月
URL:https://www.xelarobotics.com/ スタッフ数:4名
事業内容:
ロボットハンドとグリッパー用の分布型触覚センサ
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
特になし
ILS2018 大手企業との商談数:
18社

当記事の内容は 2019/1/21時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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