成長率毎年20%アップ 1000名超のプロアスリートが在籍。競技と生活の両立への悩み・課題を解決するベンチャー「株式会社keep up」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

アスリートに“いい環境”を、そして多大なインパクトをスポーツ業界に与える事業を展開。
展開している事業内容・特徴

20141217_1子供のころにプロのスポーツ選手になることを夢見ていた方も多いだろう。しかし、プロとして生き残れるのはほんの一部。プロアスリートへの道は非常に険しいが、同時にアスリートとして生計を立てていくことは、さらに険しい。

いわゆる花形スポーツである野球やサッカーでも、“年俸何億円”の世界にいくには、雲を掴むようなもの。それ以外の分野では、トップレベルにいる選手でも、練習や試合の傍でアルバイトをこなしている人が少なくないという。

しかしながら、成果はもちろんだが、スポーツに生涯を捧げ、さらなる高みをめざすアスリートたちの姿は美しい。人に感動を与えるのがスポーツであるのならば、各アスリートたちが競技と生活とを両立していけるよう、アスリートを取り巻く環境を変えられないだろうか。

今回紹介する「株式会社keep up」は、そのような問題意識の下、アスリートの生計に伴う課題の解決ビジネスを展開している。

手掛けている事業は、各種メディアと在籍アスリートをつなぐキャスティング事業や、スポーツ用品の開発から市場投入までをフォローアップするBtoBサイト「スポーツ流通.COM」など。新進気鋭のスポーツベンチャーだ。

テレビCMや雑誌、Web広告、イベントをマーケットとするキャスティング事業では、すでに大手スポーツメーカー、大手パチンコメーカー等、多数の実績を持つ。単発のPRはもとより、最近では年間を通した広告宣伝の企画立案から実施までを任せたいという引き合いも多いそうだ。

keep upに在籍するアスリートは総勢1000名以上。競技も100種類以上と、多種にわたる。同社が運営する「スポーツ流通.COM」は、「スポーツ・美容・健康関連商品」を製造するメーカーと、その製品を求める小売・施設運営者を直接つなぐサービスである。今年5月からリリースされたもので、keep upとデザイン事業とフィットネス事業を展開する株式会社二八(ニハチ)の共同で展開する。

「スポーツ流通.COM」のサービスを簡単に説明すると、スポーツ系商品を扱うBtoB向けモール型ECサイトだ。だが、製品がサプライヤーからバイヤーへわたるまでの既存の流通システムを覆す革新的な特徴を持つ。

従来の流通は、順にメーカー、卸問屋、小売店という流れになるが、中小メーカーにとってはこれが悩みの種であった。小ロット生産ならではの製造コスト高と問屋の掛率、返品対応等々・・・、頭を抱える要素は数ある。また一方で、小売店や施設運用者サイドでは、メーカーから製品にまつわる詳細な説明を聞ける、または他社製品と比較検討する機会が少ないことをネックに感じていたのであった。

一方で、スポーツ流通.COMは、ウェブでの製品や顧客検索はもとより、メーカー側には製品買取りによる全額入金補償制度、小売店側には卸価格での製品販売や広報協力などのサービスを展開搭載。サプライヤー、バイヤー双方のデメリットを解消しているのだ。このような仕組みは、高品質の製品をつくりながらも、販路拡大に苦戦していた中小メーカーに、特にメリットが大きいといえる。

また、さらにメーカーに対して、新製品開発・販売・宣伝・広告までのフォローアップも実施している。同サイトを介せば、開発から市場に出るまで一貫してものづくりを進めていけるのが大きな特徴だ。

代表的な事例としては、化学メーカー大手の菱江化学との協働で、「Soa-La」というスポーツサプリのプロジェクトがある。keep upはパッケージやWebサイトデザイン、製品開発の一部にアスリート&ユーザー目線のアイデアを提案し高い評価を得た。また、同社はPRとして、「Soa-Laアスリートコンテスト」という次世代の女性アスリート支援のコンテストも実施した。このコンテストは、各女性アスリートのファンたちに驚異的な反響を見せ、アスリートの自身のブランディングにも大いに役立ったという。

このようなフォローアップサービスは、業界の注目度も高く、数十社のプロジェクトが走っているそうである。

また、同社代表の朝倉 新氏は、アスリートとスポンサーをつなぐクラウドファンディングサービスを展開するアスリートエールの理事としても活躍している。

プロボクサーから起業家へ転身。アスリートと社会をつなぐ架け橋となる!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20141217_2keep upの代表取締役である朝倉 新氏自身も生粋のアスリートでプロボクサーだった。12歳でボクシングに目覚め、弱冠17歳でプロデビューを果たした。

所属ジムも注目する期待の新人だったが、試合を重ねていく中で網膜剥離を発症。プロボクサーとしての前途が断たたれてしまい、21歳のときに引退を表明した。

これから何をすればいいのかと、暗中模索を続けた朝倉氏。漠然と自分のこれまでのキャリアや経験を生かせることをしたいと考え、スポーツ業界での起業を決心した。

第2の人生の幕を開けて、ビジネスモデルを練る中で、朝倉氏はこんなことを思ったという。

「ボクシングに限らずどのスポーツもそうですが、選手として際立たなくては脚光を浴びることはありません。極端に言えば成果がなければ、何の意味もなさないのがアスリートの世界です。しかし、現場を見れば熱心に練習を重ね、ひとつの物事に対して全力で立ち向かう人々がたくさんいる。私がボクシングから遠ざからなければいけなくなって、あらためてそれを肌で感じたんです。そして、このような人たちこそ社会に求められる人たちなのでは、とも思いました。一方で、スポーツ業界というのは、社会との接点が少なく非常にクローズドな世界。例えばボクシング、相撲にしても辞めた選手へのフォローはありません。そこで、スポーツ業界と社会との架け橋というのか、アスリートをサポートすることができ、スポーツから社会の活性化にも寄与できるような環境づくりをビジネスにしたいと思いました。」

そうして、2007年1月。事業ドメインを定めた朝倉氏は、自らの貯蓄から資本金を捻出して、株式会社keep upを設立した。

設立当初のコア事業はキャスティング。以前からのコネクションなどを駆使しアスリートを集め、比較的スムーズに広告代理店などからコンスタントに案件を確保していくことができたという。

一方で、時には半年後まで間が空く広告業界のキャッシュサイクルや、なかなか確定とならない案件もあり、経営的に大打撃を受けたともあると、朝倉氏は当時を振り返って語ってくれた。

だが、そういった局面を乗り越えながら、朝倉氏は経営力を体得していった。いつしか、同社は大きな依頼も着実にこなせるまでに成長。スポーツベンチャーとして業界にインパクトを与えながら、現在の事業体制を確立していった。

一気通貫のサービス体制を生かし、巨大マーケット・ヘルスケア市場へも切り込む!
将来への展望

これからのkeep upの戦略として、まずは継続してアマ・プロ問わず在籍アスリート、トレーナーの拡充や、スポーツ流通.COMでのサプライヤー・バイヤーのフォローアップ体制の底上げを図っていく。

もちろん、2020年には東京オリンピックという大イベントを控えている。2020年に向けて、さまざまな業界・企業からの高まるスポーツ需要に対応可能な体制を築いていく構えだ。

また、朝倉氏は新しい分野への進出も検討している。それはヘルスケア産業。
「従来から、スポーツと健康は親和性が高いので、人々の健康に寄与できるサービスを積極的に提供していきたいと考えています。また、昨今、予防や健康長寿、または介護問題など各メディアで盛んに取り上げられていますが、当社はこれらの分野に大きく貢献していけると自負しています。アスリートやトレーナーが評価した健康・介護グッズのPRや販売、消費者の声を反映させたものづくり等々・・・、スポーツ業界の川上から川下まで一気通貫したサービスを展開しているからこそできる事業をヘルスケア分野でも邁進させていきたいですね。」

将来への展望として、IPOも視野に入れているという同社。オリンピックや健康促進然り、高まるスポーツへの関心とともに大きく成長してくれることだろう。また、同社のサービスによって、すべてのプロアスリートたちが、スポーツだけに集中できる環境がやってくるかもしれない。

取材の最後に、経営者として大切にしているマインドについてコメントをいただいたので紹介したい。
「一番はものの見方でしょうか。特定の視点からのみ見るのではなく、できる限り多角的に物事を捉え考えることですね。当社のビジネスモデルもそうですが、製造・PR・卸売・小売、それぞれ単体ではなく流通をすべて俯瞰した上でのサービスです。このような視点は、これからの時代に重要なものとなっていくようにも感じています。」

株式会社keep up
代表者:朝倉 新氏 設立:2007年1月
URL:
http://keep-up-co.net/
スタッフ数:
事業内容:
スポーツプロモーション/卸・流通事業

当記事の内容は 2014/12/23 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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