家具から家まで自分でつくれるDIYキット。陸前高田発のベンチャー「株式会社紬(つむぎ)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

テーブルから家まで作れる木材キット「KUMIKI シリーズ」。
展開している事業内容・特徴

minacare-1自由に組み合わせて壁や床、家具をつくることができる木材キット「KUMIKI シリーズ」。この商品を企画・販売しているユニークなベンチャーが、今回紹介する「株式会社紬(つむぎ)」である。

2012年3月に震災復興の取り組みとして、陸前高田市でスタートしたKUMIKIプロジェクトが、2013年3月に法人化し、株式会社紬が誕生した。

「KUMIKI シリーズ」の1つである家を作れる「KUMIKI HOUSE」の原型は、約20年前に宮崎県で考案された耐震・エコ住宅パーツ「つみきブロック」。その考案者の協力を得て、杉の間伐材を加工したあたたかもブロックのような「KUMIKI HOUSE」のパーツを陸前高田の山々にある気仙杉の切り株を用いて製造することを目指している。ちなみに、2013年6月29日、30日の2日間で、石巻に平屋の「KUMIKI HOUSE」を使った集会所がつくられている。地元の住民80人と一緒に、21坪の土地に建設したが、もちろん全員、大工仕事は素人。なんと、坪単価で30万円くらいの費用で完成したそうだ。

「KUMIKI シリーズ」の本格的な販売は2014年4月1日からネットショップを介してスタートする予定だ。
販売ウェブサイト:
http://kumiki.in/

minacare-1また、販売開始にあわせてプレイベントなどが東京各地で行われている。今回、東京・大塚で開かれた体験会会場で取材をさせていただいたが、参加者で多かったのは、若い女性たち。暮らしや用途に合わせて変化できる家具、しかも自分の手でつくることができるということで、ライフスタイルにこだわりを持った20代、30代の女性から注目されているようだ。

同シリーズのうち、家具をつくれる「KUMIKI LIVING」のキットは1つ2000円程度。ローテーブル一つをつくるとすると、税込・送料込みで1万9000円。スツールなら1万5000円程度になる見込みだという。初年度の目標は年商1200万円、顧客数は800人ほどで、客単価平均1万5000円を想定している。3年後に、年商1億円程度の事業規模を目指している。

たった一人で立ち上げた株式会社紬。資本金は代表者の預金100万円のみ
ビジネスアイデア発想のきっかけ

minacare-1株式会社紬を立ち上げた桑原憂貴氏は、起業前、東京でソーシャルマーケティングなどの仕事に従事していた。彼の地元は群馬県で、陸前高田市とは無縁。仕事の関係で、企業のCSR活動などにもかかわっていたため、震災後に被災地でボランティアツアーや移動図書館プロジェクトに参加したことが起業のきっかけとなった。

訪れた陸前高田市近隣にあった気仙杉の加工工場が被災の影響で機能しなくなっていたことに胸を痛めた桑原氏。余っていた杉材をなんとか活用しようと考え始めた。陸前高田市役所と共同で活用法を検討するプロジェクトを始め、最終的には素人でも簡単に扱えるサイズのDIYキットをつくろうという話しがまとまった。

2012年6月から2013年3月までは、事業化調査を敢行。その調査で気仙杉を使った木材加工の商品に可能性があるという結論が出た。それを受けて、2013年3月に会社を立ち上げ、その調査を引き継ぐかたちで事業化が進んでいった。

資本金は100万円のみ。桑原氏は神奈川県の湘南で暮らしているが、会社は陸前高田市で登記。拠点は地元の建設会社に間借りしている。

湘南と陸前高田市を往復する日々で、ちなみに取材をした2014年1月26日で、ちょうど80回目の往復とのこと。

社員は桑原氏1人のみ。助成金や気仙沼市の信用金庫からの融資などで資金を得つつ、手弁当で手伝ってくれる友人・知人やクリエイターと一緒に事業化・商品開発を続けた。

「杉」という柔らかい木材を家具や建材にするのは業界では常識外れ。杉を活用するという点がもっとも苦労したそうだ。例えば、強度を出すため、ジョイント部分に山桜という堅い木材を活用。ネジも木製だが、東北地方で取れる「オノオレカンバ」という樺の木を用いている。

木材の加工は地元の工場に依頼。海外の工場などを使えばもっと安くなるが、それではプロジェクトの意味がない。あくまで震災地復興の一環として被災地の経済に寄与するかたちにこだわっているのだ。

また、建築・建材に関する仕事もはじめて手がけたため、防火や建築基準法、建築するための確認申請など、法律面での勉強や苦労も多かったとのこと。しかし、そうした苦労は着実に実り、製品として本格的に出荷できるところまでこぎつけた。

「新たらしく大きな市場をつくる」という視点で事業化。つくる楽しみとつながる喜びを提供していきたい
将来への展望

minacare-1木材の活用法ですぐ思いつくのが「工芸品」。しかし、お土産程度の工芸品では大きなビジネスにはなりづらい。桑原氏もその点をはじめから意識して、「新しく大きな市場をつくる」「売れるデザインを考える」など、事業として大きな規模にするための視点を持って株式会社紬を経営している。

例えば、「KUMIKI シリーズ」をつくって売るだけではなく、どんなものがつくれるかを伝えるための情報流通や、個人がつくった家具を販売するためのマーケットプレイスの構築・開放なども検討している。「売り上げを拡大するための仕組みづくり」が桑原氏の念頭にあるのだ。

家具を自作しようと思っても、ホームセンターで大きな木材を買うのは一苦労。また、どの工具や木材を買えばよいかわからない、つくり方からわからない、そう考えてDIYを断念する人は多い。そう考えると、工具が不要でパーツを組み合わせるだけでさまざまなものがつくれる「KUMIKI シリーズ」は、今までDIYなどに縁遠かった新しい層を取り込める可能性が大きい。

既製品にはないオリジナルのものづくりを楽しむライフスタイル。DIYを通じて新しいつながりが生まれる――。

「女性でも簡単に扱えるシンプルなキットにしたけれど、それでも1人だけでつくるのは大変。例えば、友だち同士、あるいはお父さんと子どもが一緒に家具や家をつくる。DIYをとおして、つくる楽しみとつながる喜びを提供していきたい」。桑原氏はそんな言葉で、インタビューの最後を締めくくってくれた。

TSUMUGI inc
代表者:桑原 憂貴 氏 設立:2013年3月
URL:http://kumiki.in/  
事業内容:
組み立て式木材インテリアブロック「KUMIKI シリーズ」の企画・販売

当記事の内容は 2014/3/4 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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