女性のための保険情報サイト「OZ-i(オズアイ)」。女性の厳しい視点が保険業界を変えるか!?

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執筆者: 鎌田 幹夫

保険を楽しく学べる女性向けサイト。1万1700いいね!を集めて急成長
展開している事業内容・特徴

oz-i1女性は、結婚、出産、子育てなどで、ライフステージが大きく変わる機会が男性よりも多い。そんな女性をターゲットにした「女性が女性らしく、楽しく安心して生きていく」保険情報サイト「OZ-i(オズアイ)」が急成長している。Facebookでは、すでに11700ものいいね!を集めているほどだ。

まずは、サイトデザインをチェック。「オズの魔法使い」をイメージしたというデザインは、従来の堅苦しい保険サイトのイメージと異なり、とても親しみやすい。女性のためのコンテンツであるとすぐにわかり、思わず読んでみたくなるような雰囲気づくりに成功している。

肝心のコンテンツもとてもわかりやすい。「みんなで解決!保険Q&A」では、登録したユーザ同士が、どんなことでも気軽に質問し合うことができる。

「知らないと損をする保険のアレコレ」は、対話形式の解説で、聞き手役のキャラクター(オズの魔法使いのドロシー)が、FP(ファイナンシャルプランナー)の解説を上手に引き出しくれる。動画による「落合陽平先生のWeb保険セミナー」も人気のコーナーだ。

また、ソーシャルメディアを積極的に活用しており、mixi、twitter、facebookのいずれかのユーザーであれば、わずか2クリックで登録できる。さらに、「OZ-i」に投稿した内容は、自動的にSNSにも書き込まれる仕組みとなっている。「女性向け」と「ソーシャルメディアの利用」は、保険業界初の試みとして業界内でも注目されているという。

「OZ-i」が有する最大の差別化ポイントは、無料でFPの面談相談が受けられること。しかも、相談に乗ってくれるのは、30社以上の保険商品を扱っている優秀なFPばかり。ちなみに、FPは保険契約成立により保険会社から報酬を得、「OZ-i」はFPから紹介料を得る。そして、ユーザーは、自分に最適な保険に加入することができる。3者すべてに利益をもたらす仕組みができあがっているわけだ。

「OZ-i」は対話型のサービスを重要視している。なぜなら、女性たちに、楽しく保険という商品の基本を学んで、賢い商品選択をしてほしいから。上述したような仕掛けを通じて、その思想がサイト内の各サービスに反映されている。

このビジネスモデルがどんどん浸透していくと、各保険会社も商品やサービスの質を上げざるを得なくなるはず。一般的に商品の価値判断が難しいといわれていた保険業界に、一石を投じたサービスといえるだろう。

人が対面で勧誘する形式ではじまった保険営業は、ネットの登場で大きな転機を迎えている。しかし、ネットだけは不十分な点もある。十分な理解に行き着くためには、どうしても人との対話が必要となるのだ。このようなケースは、保険業界以外にも多いのではないだろうか。ネットでの情報提供と実際の対話、その両方がバランスよく融合したサービスが求められている業界――。「OZ-i」のような、複合型サービスが、これからもどんどん登場していきそうだ。

リスクイメージ力の高い女性の方が、保険に興味があるという発見が起業の種
ビジネスアイデア発想のきっかけ

oz-i2「OZ-i」を運営しているのは、「株式会社 名脇役集団Kasumi-sou」。この一風変わった社名を持った会社の代表を務める落合陽平氏は、起業前、FXや保険営業の仕事に携わっていた。同社の設立は2011年7月だが、その前年に100回ほどの保険に関するセミナーを開催していた。そして、参加者のうち9割が女性だったという。

保険についての捉え方は、男性・女性で大きく異なる。男性は、保険を損得の計算でイメージする。しかし、計算だけではなかなか契約に至らない。実際、保険サービスの購入率を調べてみると女性の方が高いのだ。保険の購入に至る行動は、計算ではなく感情的な決断なのである。落合氏によれば、「女性はリスクを鮮明にイメージできる』能力を持っているという。また、仕事を持つ女性の場合、独立心が強く、しっかりとした将来像を持っている。

そんな女性たちは、「自分の将来について、誰にも迷惑をかけたくない」という思いが強く、当然のことながら、保険に興味を持つようになる。ここにビジネスちゃんを見いだした落合氏は、「OZ-i」の立ち上げを決意。ビジネスモデルとしての狙いどころのよさやサービス自体のわかりやすさもあって、立ち上げ早々に、株式会社サムライインキュベートからの出資も受けている。また、ターゲットを女性に絞ったことにより、ママジョブサイトなど女性専門メディアとのコラボレーションなど、想定しなかったプロジェクトも進んでいる。

2012年5月現在、同社は、3人の取締役が中心となって運営されている。代表である落合氏は保険コンテンツを担当。ITを担当するのが春木世覇氏、そして営業担当を井上公孝氏。3人という小さなチームではあるが、経営に必要な3本柱の業務をバランスよく分担していることが、同社の大きな強みになっている。

春木氏と井上氏は、落合氏がアメリカ・カリフォルニア州にあるSirra Collegeに留学していた時に知り合った友人である。異国で生まれた深い友情があるからこそ、根本的な理念を共有しあえるのだという。

同社は社名だけでなく、社訓もユニーク。「名脇役たれ」「向上心の無いものは馬鹿だ」「やってみなければわからない」「あきらめたらそこで試合終了」「楽しまずしてなんの人生ぞや」「女性にやさしく」など、ドラマのセリフ調なものばかり。

ちなみに、「名脇役集団Kasumi-sou」という社名は、日本橋ヨヲコ作のマンガ「G戦場ヘヴンズドア」(2003/11/1初版)中のセリフからきているとのことで、「主役の花をひきたてるかすみ草」のように、「名脇役になる」という思いが込められている。

また、同社では、社員とは呼ばず仲間と呼び、組織ではなく集団という意識を大事にしている。そして、「会社をむやみに大きくしたり、上場するつもりもない」と落合氏は語る。組織の大きさよりも、会社が理念に満ちている状態が重要だと考えているのだ。

「ニートのための学校」をつくる!
将来への展望

「名脇役集団Kasumi-sou」の次なる目標は、日本唯一の「ニートの学校」をつくり、全寮制の教育スキームをもって、彼らを一人前の社会人に育てる事業を展開することだという。保険の情報サイトからは連想しにくいが、名脇役達が活躍すべき場は何か?と考えてみれば納得がいく。

「ニートの学校」の進捗には目が離せない。それだけでなく、何故か応援したくなる気持ちにさせられる。これが名脇役の魅力なのではないだろうか。今年の夏祭りには、某花火大会のスポンサーになろうかどうか検討しているそうだ。“脇役”というからには、かすみ草のような地味な花火でも打ち上げるのかと思いきや、どーんと目立つ大輪の花火にしたいそうだ。彼らは名脇役を任じているが、結局は目立ってしまう存在になってしまうのかもしれない。名脇役というコンセプトこそ、今、世の中に求められているもの、そして目立つべきものではないだろうか。

株式会社 名脇役集団Kasumi-sou
代表者:落合 陽平 社員:8名
設立:2011年7月7日 URL:http://oz-i.jp/  http://kasumi-sou.co.jp/
事業内容:
保険セミナー運営、インターネットメディア、イベント企画・運営、若年無業者支援。

当記事の内容は 2012/5/16 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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