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助成金をもらうためには準備(段取り)が必要
助成金は段取りを間違うと受給できません。
助成金の多くは行為を行う前に計画の認定を受ける必要があるため、
もし助成金の支給要件に該当する行為をしていたとしても、
すでにそれに着手していたり、完了した後で申請しても助成金はもらえません。
特に、創業時の助成金の場合、人の採用は事前に計画書や届出が必要なものがほとんどで、採用後にご相談を受けてもどうすることもできません。
申請手続が複雑
助成金を申請するには大量の書類を用意する必要があります。
助成金にもよりますが、
労務に関る書類(社員の賃金台帳・労働者名簿・就業規則・労使協定・労働保険の手続き書類等)以外にも
税務や事業に関わる許認可なども(特に創業時には)必要です。
1 回の申請で数センチもの厚さの資料提出を何回も繰り返す必要があります。
法律をわかっていない
実は私自身、助成金申請が難しい一番の理由はここだと思っています。
例えば厚生労働省の助成金であれば、当然、
労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法に合致した雇用管理を行わなければなりません。
それは、
人を雇い入れたら法律で定められた項目を網羅した労働条件通知書を渡し、
労働基準監督署へ36 協定を毎年提出し、
労働法に違反しない法定3 帳簿や就業規則を整備し、
裁量労働を行うのであればそれに合う労使協定を提出、
さらに滞りなく保険料を支払わなければなりません。
労働者名簿は履歴書ではありませんし、賃金台帳は源泉徴収簿ではありません。
それぞれ作成しておく必要があります。
申請期限に間に合わない
すべての助成金は申請期限があり、1ヶ月間だったり半年だったりします。
「申請期限を忘れていた」というのは論外として、例えばハンコの押し忘れや書類の不足などであれば、間に合わせることは可能ですが、許認可の変更が必要であったり、事務所の貸主の承諾書が必要であったり、海外出張に行ってる従業員の印鑑が必要であったりと、不可抗力で遅れることもあります。
また、最近は事前に計画書を届出て、認定を受け、その後本申請を行うという助成金もあります。
例えば、中小企業基盤人材確保助成金だと、計画書が受理された翌日以降に雇い入れた人材の最初の賃金締日の翌日から起算して6ヵ月経過後の1ヶ月間のみ支給申請ができます。
この賃金締日を支払日と勘違いするなど支給申請期間の計算を間違っていたり、また、事前に届出た計画書の変更が必要になり(支給申請の前日までに変更手続きが必要)、その手続きに追加書類がたくさん出て申請期限に間に合わなかったなど。
提出期限を1日でも遅れたりすれば、助成金はもらえません。
後回しにしてしまう
助成金は時限立法であるため、改廃が激しく、さらに予算の都合もあるので、該当しそうな助成金があれば、すぐに動き出す必要があります。
助成金は未来永劫あるものではないので、興味があるものがあれば、すぐに専門家や取扱い機関に相談すべきでしょう。
(相談だけして企業名を記録に残してもらっていれば、予算が尽きて受付停止になっていても申請受理してもらえる場合もあります。 )
使いやすい助成金を使う
実は助成金といっても多くの種類の助成金があります。
ここでは国による企業向けの助成金についてご説明させていただきます。
国の助成金には大きく分けて2 種類あり、 1つは
「経済産業省(その他省庁)が実施している助成金」
で、もう1つは
「厚生労働省が実施している助成金」
です。
経済産業省のものは主に研究開発技術系の助成金で、種類も額も多いのですが、条件を満たして申請しても受けられない確率が高いです(以前あった事業化助成金で平均7%程度)。
この助成金は未来の産業を切り開くようなすぐれたビジネスモデルに対し支給されます。
申請受付期間が限られていること、支給までに半年~1 年ほどかかります。
よほどすぐれたビジネスモデルと時間と資金がないと難しいのが現状です。
実際、申請しているのは、すでに何年もやっている会社が多いようです。
厚生労働省の助成金とは?
厚生労働省の助成金は、要件に該当すれば誰でももらえます。
そのため、最初の段階で助成金がもらえるかもらえないかの目処がある程度つきます(100%ではありません)。
そもそも厚生労働省の助成金は、その財源が社員を雇っている会社なら誰でも支払う雇用保険料から捻出されているため、会社への還元と雇用促進がその目的にあり、社員を雇っている会社ならどの会社でも利用できるためです。
逆に言えば、ビジネスモデルが素晴らしいものでも、雇用に関する要件を満たさなければもらえません。