起業・経営FAQ:競合店と差別化をするには?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

国道沿いでファミレスを経営しています。最近、近くに競合店が出店しました。

生き残るためにどのように差別化を図ればいいでしょうか。

回答:従業員のスキルを上げることに注力するのがよいでしょう。

この質問への回答者

矢野 覚/ 岡山県 / LINK財務経営研究所
元・日本政策金融公庫の融資課長として多くの企業を支援してこられた矢野アドバイザー。自ら審査を行っていた経験をもとに、資金調達に有効なアドバイスを提供してくださいます。柔和で穏やかなお人柄で相談しやすいと評判です。

プロフィールを見る >>

従業員のスキルなど、他店に模倣(マネ)されにくい内容にする必要があるでしょう。

スタッフ教育をしっかりして競合店以上の接遇を身につけさせてスタッフという人的資源を強みに変えるということです。

組織において形成される組織能力は模倣が難しいです。模倣を困難にしている要因としては、因果関係の不明確さがあります。組織における日常業務と競争優位性の間の因果関係が不明確であるほど、模倣が難しくなります。また、組織における日常業務は長い時間をかけ、紆余曲折を経て醸成されます。

こうした差別化戦略の話では、スターバックスの戦略がよく取り上げられます。スターバックスの戦略は、顧客が支払ってもよいと考える価格(付加価値)を引き上げることにあります。付加価値を引き上げるためのコンセプトは「第三の場所」です。会社でもなく、自宅でもない空間を提供するというものです。そのコンセプトをもとに一貫した戦略を構築しています。

スターバックスが重視したのは店の雰囲気です。「第三の場所」にふさわしいゆっくりとリラックスできる空間を目指しました。そのため、店内は禁煙であり、間接照明を配し、緩やかなBGMを流し、すわり心地の良い大きめのソファを設置しています。店舗面積あたりの座席数もドトールコーヒーと比べて少なく、座席のレイアウトも工夫されています。

次にスタッフです。スターバックスでは顧客にさまざまなサービスを提供する「バリスタ」がいます。「バリスタ」の育成に力を入れており、一人当たりトータル24時間の育成時間を費やしています。おいしいコーヒーを入れることは当然として、顧客とのコミュニケーション、気の利いた対応やコーヒーの知識など時間をかけてでも価値の高いサービス提供するための人的資源に投資をしています。人的資源が「第三の場所」の重要な構成要素と考えているのです。

その次はメニューです。コーヒー豆は開封して7日を経過すると廃棄します。店内に広がるコーヒーの香りは鮮度に影響されます。リラックスできる「第三の場所」という空間の認知にコーヒーの香りが重要と考えているのです。廃棄扱いとなったコーヒーは、ローカルのチャリティーに寄付されます。また、スターバックスはフードメニューに力を入れていません。それは、効率的な食事の場所になってしまうからです。逆に、ドトールコーヒーはフードメニューが充実しており、コンセプトの違いがはっきりとわかります。

以上、私なりに考えられる競合店との差別化について説明させていただきました。 貴店の益々のご発展を祈念しています。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める