法人成りをするときに必要な仕訳を完全解説~資産や負債の引き継ぎには注意が必要

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

個人事業で収入も安定してきたことから法人成り(法人化)を検討する人もいるのではないでしょうか。

法人成りをしたとき、
「個人事業で使っていた資産や未返済の借入金はどうしたらいいのか」
「そのまま法人へ引き継げるのか」
「収入や経費はどうしたらいいのか」

など、会計処理で悩むことになると思われます。

この記事では、法人成りしたあとに必要な仕訳方法を解説するとともに、勘定科目の設定や資産、負債の引き継ぎ方法について解説していきます。

そもそも会社における「仕訳」とは?

会社は事業年度末において、その年の1年間の売上や利益、資産や負債などをまとめた決算書を作成しなければなりません。この決算書は、税務申告や決算公告に必要な書類となります。そして、この決算書は、毎日繰り返し行われる取引を一定のルールに基づいて帳簿に記録し、事業年度末において集計することにより作成されます。

この日々の取引を帳簿に記録する一定のルールが「簿記」であり、ひとつひとつの取引を記録したものを「仕訳」と呼びます。

したがって、「仕訳」は会社決算の基礎となるため、簿記のルールに基づいて正しく「仕訳を起こす(起票する)」ことが重要となります。

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仕訳は勘定科目の設定がポイント

起票するにはまずは勘定科目の設定が重要となりますが、なぜ勘定科目の設定が必要になってくるのでしょうか。

法人における勘定科目の設定 

決算書には、決算末での資産や負債の状況をまとめた「賃貸対照表」と、一年間の売上や利益を示した「損益計算書」があります。これらを作成するとき、つまり仕訳を起こすときに「勘定科目」が使用されます。

いいかえれば、勘定科目とは費用や収益の発生、資産や負債の増減といった取引の内容をあらわした名称のことをいいます。

損益計算書の勘定科目

「損益計算書」は、一年間で費用や収益がどれくらい発生したかを示す表で、会社の収益力を表しているといえます。

主な勘定科目は以下のようになります。()内は収益科目か費用科目かを示しています。

  • 売上高(収益)
  • 売上原価(費用)
  • 販売費及び一般管理費(費用)
  • 営業外収益(収益)
  • 業外費用(費用)
  • 特別利益(収益)
  • 特別損失(費用)

損益計算書について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

賃借対照表の勘定科目

「貸借対照表」は、決算期末時点において資産や負債がどれくらいあるかを示す表で、会社の財政状態を表しています。

貸借対照表は資産の部、負債の部、純資産の部の3つで構成されており、貸借対照表の左側には資産が、右側には負債と純資産が記録されます。そして、左側と右側の合計額は必ず一致することになります。

悩んでしまう勘定科目の分類 

日々の取引を仕訳するさい、どの勘定科目に記録すればいいのか悩むこともあると思います。とくに「販売費及び一般管理費」の内訳科目にはいろいろな勘定科目があり、迷いやすいかもしれません。

結論からいうと、おなじ「販売費及び一般管理費」の中でしたら、どの科目を使用してもとくに問題はありません。それぞれの会社の状況に応じてもっとも適切な科目を選択してください。

たとえばガソリン代という費用が発生したとすれば「交通費」、「車両費」、「燃料費」などいくつか勘定科目が考えらえます。このどれを選択しても間違いではありません。ガソリン代がいくらかかっているかということを帳簿上できちんと管理したいという会社であれば、新しく勘定科目をつくってその科目に記録することも考えられます。

ガソリン代が特に重要な支出でなければ、「雑費」や「その他経費」という科目でも問題はないでしょう。ただし、一度選択した科目は、特に状況が変わらない限り、毎期継続してその科目を使用するようにしてください。

個人事業主から法人成りした場合は個人事業主、法人のそれぞれで処理が必要           

個人事業主から法人成りした場合、個人、法人で別の処理が必要となります。

必要な資産・負債を法人へ引き継ぎ、収入や費用は引き継がない

基本的には個人側では法人への資産への売却、負債の引き継ぎ処理を行い、法人側では資産の買い取り、負債の引き受けをおこないます。しかしすべての資産、負債を個人から法人へ引き継ぐ必要はありません。また、収入や費用は法人への引き継ぎはおこないません。

個人事業の廃業届・個人事業確定申告の提出

引き継ぐべき資産、負債をすべて法人へ引き継いだあと、個人事業廃業届の提出など廃業の手続きを行い、個人事業におけるその年の売上や利益は事業所得になりますので、翌年3月に確定申告をします。

法人設立後の会計処理

設立して間もない法人の場合は、まずは個人事業で処理していた勘定科目をそのまま法人で使ってもとくに問題はありません。ここでポイントとなるのは、棚卸資産や固定資産の引き継ぎ処理、売掛金や借入金などの債権債務の引き継ぎ処理になります。

くわしくは後述しますが、棚卸資産や固定資産は、法人が個人から買い取ったものとして処理します。また、債権債務を引き継ぐにはメリット・デメリットがあるので注意が必要です。

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個人事業主から資産を引き継ぐときの仕訳上の注意点    

法人成りして個人事業から資産を引き継ぐさい、仕訳上でいくつかの注意点があります。

固定資産を引き継ぐ場合

法人に土地や建物、備品などの固定資産を引き継ぐ場合、個人が法人へその固定資産を時価で売却したとして処理します。この場合、役員個人に譲渡所得の申告が必要になる場合があるので注意が必要です。

そして建物や備品などの減価償却資産について、法人側では中古資産の耐用年数を用いて減価償却を行います。

棚卸資産を引き継ぐ場合

棚卸資産を法人へ引き継ぐ場合は、その商品をそのまま法人へ時価で販売したとして処理します。したがって、個人側では「売上」になり、法人側では「仕入」になります。役員個人の確定申告において、この売上金額をきちんと計上するよう注意してください。

リース資産を引き継ぐ場合    

役員個人で契約していたリース資産を法人へ引き継ぐ場合は、一般的にリース会社との間で法人名義へ契約変更をします。

法人名義へ契約変更したら、固定資産を引き継ぐ場合と同様に、時価で売却したものとして処理します。減価償却についての処理も同様に中古資産の耐用年数で処理していきます。

そして、リース期間満了までの残債務についても、負債の部に「リース債務」という勘定科目を使用し、リース料を支払う都度、「リース債務」残高を取り崩すようにしてください。

個人事業主の借入金・負債・売掛金の引き継ぎはどうする?

売掛金などの債権や借入金などの債務も法人へ引き継いだ方がいいのでしょうか?債権債務の引き継ぎにはメリット・デメリットがあるので慎重に検討した方がいいでしょう。

借入金・負債の引き継ぎはどうなる? 

銀行借入金を法人へ引き継ぐ場合は、事前に銀行へ相談しましょう。個人に貸していた融資を法人へ変更する場合、改めて審査が必要になるからです。

銀行の審査が通れば、法人として新たな「銀行借入金」をしたものとして処理します。法人名義の借入金で個人の借入残高を返済するということになります。

銀行が法人への融資を実行してくれない可能性もあるので、そのまま法人へ引き継がず、個人として完済することも念頭に置いておいた方がいいでしょう。

売掛金の引き継ぎはどうなる?

売掛金などの債権は時価(債権額から回収不能金額を差し引いた金額)で法人へ引き継ぎます。しかし、売掛金などの債権は引き継がない方がいいと考えられます。法律的には個人から法人への「債権譲渡」になり、債務者の同意を得る必要があるため手続きが煩雑になるというデメリットがあります。

個人で発生した債権なので個人として回収すれば問題なく、また個人、法人どちらにおいても税金の計算に影響を与えることもありません。法人へ引き継ぐメリットはとくにないと考えられます。

同じような考え方で、買掛金についても法人へは引き継がず個人の債務として支払を完了させた方がいいと考えられます。

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