個人事業主の「開業届」出し方・書き方・必要書類などわかりやすく解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「ネット販売でも開業届は提出しなければダメなのだろうか」

「開業届の書き方がわからない」

個人で開業し、そんな疑問を持っている方は多いでしょう。

じつは、開業届を提出する必要性をしっかりと理解できれば、所得税の節税対策につながることがあり、事業拡大にさまざまなメリットがあります。

開業届の書き方や必要書類、提出方法、さらには一緒に提出した方がいい届出や申請書までお伝えします。

この記事を読めば、あなたがいちばんメリットを受けられる届出の種類や節税方法についてわかるでしょう。ぜひ参考にして、個人事業主として開業届を提出するかどうか判断してください。

開業届とは

開業届とは、正式には「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」といい、新たに事業を始める際に税務署に届ける書類です。対象者は「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」で、個人で事業をおこなうためには、「開業届」の提出が義務づけられています。

開業届を提出すれば、さまざまなメリットを受けられますので、どのようなメリットがあるのか、順番に解説します。

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個人事業主が開業届を提出するメリット

開業届を提出すれば、以下の4つのメリットが受けられます。

  1. 青色申告で税制優遇が受けられる
  2. 融資の申請や契約の際の証明になる
  3. 職業の証明になる
  4. 小規模企業共済に加入できる

青色申告で税制の優遇を受けられる

青色申告承認申請書を提出することで、確定申告の際に最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。しかし、青色申告承認申請書の提出だけでは、10万円の控除しか受けられません。適用を受けるためには、申請書の提出だけでなく、記帳方法などの条件を満たす必要があります。

青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での記帳に加え、貸借対照表と損益計算書を添付し、期限内の申告が必要です。このことによって、55万円控除の適用が受けられます。加えて、eーTaxの利用または電子帳簿保存でプラス10万円の65万円控除が受けられます。このほか、赤字を3年間繰越できる制度も利用可能です。

融資の申請や契約の際の証明になる

融資を受けるには、じっさいに事業をおこなっているという証明が必要です。実体のない事業に金融機関は融資しません。また、事務所の賃貸契約にも開業届が必要になります。開業届は、事業開始時の資金調達や契約に必要となります。

職業の証明になる

開業届は社員証や在職証明書の代わりになります。そのため、就業証明が必要になる各種手続きの際に利用できます。また、事業用の金融機関口座開設にも必要になるため、屋号付きの口座を検討しているときには、開業届が必要です。

ほかにも、保育園から自営の実態を証明する書類として開業届の提出が求められるケースがあります。

小規模事業共済に加入できる

個人事業主は、廃業する際の退職金を自分で確保しなければなりません。このとき利用されるのが、小規模企業共済です。加入手続きには開業届が必要になります。

小規模企業共済は、所得税の節税対策としても役立ちます。個人事業主の場合、法人企業と異なり節税対策が限られてるのが実情です。退職金の積み立てだけではなく、節税対策ができることは、大きなメリットです。

開業届提出の注意点

開業届の提出には、注意したいポイントが3つあります。そのポイントは以下のとおりです。

  1. 親や配偶者の扶養に入っている場合
  2. 会社に内緒で副業をしている場合
  3. 失業手当をもらっている場合

親や配偶者の扶養に入っている場合

年間所得130万円を超えると、健康保険の扶養から外れます。しかし、健康保険組合のルールによって、開業届を出した時点で所得に関係なく扶養から外れることがあります。所得税は、納税者本人の所得と配偶者控除や扶養控除などの所得控除によって決まるため、扶養内を希望する場合は、注意が必要です。

会社に内緒で副業している場合

開業届の提出だけで、勤めている会社に副業が知られることはありません。しかし、年間所得が20万円を超えれば確定申告が必要になります。確定申告することで、納める住民税額が変わるため、そこから会社にばれる可能性があります。副業を認めている企業でも、届出が必要になる場合があるため、就業規則の確認も必要です。

失業手当をもらっている場合

売上がない場合でも、開業届を提出した時点で失業手当がもらえなくなります。個人事業主は、経営者の立場にあり、労働者ではありません。そのため労働者を対象とする雇用保険には加入できません。会社を退職し個人事業主になったときには、事業開始のタイミングによって失業手当が受けられない場合があり、注意が必要です。

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開業届の書き方

開業届は国税庁のホームページからダウンロードできます。必要事項は、次のとおりです。

  1. 所轄税務署名を記載します。所轄税務署は、国税庁のホームページで検索可能です。
  2. 納税地は、多くの場合住所地を記載します。また、開業している店舗や事務所の住所を納税地とすることも可能です。
  3. 個人事業主名と生年月日を記載します。
  4. じっさいに事業として営もうとしている職業を記載します。
  5. 開業の場合は「開業」と「新設」にチェックを入れ、事務所の住所と事業主名を記載します。
  6. 所得の種類は不動産賃貸業や山林所得以外はすべて「事業」になります。また、開業した日の記載も必要です。
  7. 開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出する場合は「有」にチェックを入れます。消費税の課税事業者を選択する場合は「有」にチェックが必要です。通常は、課税事業者を選択しないことが多いので「無」にチェックを入れます。
  8. 事業の概要は、事業の内容をできるだけくわしく記載します。「4」の職業をよりくわしく記載するイメージです。
  9. 従業員を雇う場合は、従事員数に人数を記載します。個人事業主として自分ひとりではじめる場合は「0」を記載します。

参照)書き方(国税庁)

開業届提出方法と必要書類

開業届には提出期限があります。原則、事業を開始した日から1カ月以内に所轄税務署へ提出が必要です。提出期限が土曜・日曜・祝日の場合には、翌日が提出期限です。早めに提出することで、メリットが確実に受けられます。

提出方法は、窓口への持参のほかに、e-Taxによる提出と郵送による提出も選択可能です。e-Taxによる提出では申告した日が提出日となります。また、郵送の場合は消印の日付が提出日です。、ポストへ投函した日が必ずしも提出日とならないことに注意が必要です。

開業届の提出には、以下の書類が添付書類として必要となります。

  • 開業届
  • 本人確認書類
  • マイナンバーがわかるもの

マイナンバーがわかるものは、マイナンバーカードのコピーや住民票をマイナンバー記載で取得することで要件を満たします。

開業届と合わせて届出しておきたい4つの届出

開業届の提出とともに、多くのメリットが受けられる届出があります。一緒に提出すること等で、提出漏れを防ぎ添付書類が一度の提出で完了します。

一般的に一緒に提出している届出は次の4つです。

  1. 所得税の青色申告承認申請書
  2. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  3. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  4. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

所得税の青色申告承認申請書

開業届を提出しただけでは、65万円の控除は受けられません。また、青色申告することで受けられるメリットは、ほかにも多くあります。メリットが多い申請書ですので、一緒に提出することを推奨します。

所得税の青色申告承認申請手続

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員を雇う、または家族に給与を支払うという場合は、給与支払の事実を証明をする届出書が必要です。給与支払事務所等の解説・移転・廃止届出書を提出することで、税務署から納付書や年末調整のしおりが届きます。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

従業員や家族に給与を支払う場合は、源泉徴収する必要があります。結果的に税額が0円であっても「0円である」ということを税務署に伝えなければなりません。

納付書により、毎月源泉所得税を納付することも可能です.しかし、金額が少ない場合には、6カ月分をまとめて納付することもできます。毎月納付に行く時間がないという場合には、納期の特例を利用し、事業に集中する時間を確保しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

青色専従者給与に関する届出・変更届出書を提出すれば、家族に支払う給与や従業員へ支払う給与も経費にできます。白色申告の場合、一部経費にできますが全額は経費にできません。支払う給与も所得を計算するうえでは重要な経費です。青色申告を適用し、給与を支払うのであれば、一緒に提出しておきたい届出です。

青色事業専従者給与に関する届出手続

開業の相談は専門家に

自分で開業届を作成すれば、経費の節約になります。しかし、提出前のチェックは受けられません。開業届の内容について、提出後に不明点があれば税務署から問い合わせがくるケースもあります。しかし、事業内容については事業主しかわからないため、内容がうまく伝わらないことも否定できません。

青色申告承認申請書など、開業届と一緒に提出することで、多くのメリットが受けられる書類もあります。専門家に依頼することで、必要書類のアドバイスを受けることも可能でしょう。また、必要書類を漏れなく提出することにもつながります。

開業にくわしい専門家の意見を聞くことで、開業後の事業経営に役立つ情報も得られます。少しでも聞きたいことや、悩みがあれば専門家の活用がおすすめです。

 

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
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