副業M&Aは会社員でもできる|300万円から始める事業オーナーへの道

この記事は2026/10/06に専門家 渡辺 亨 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

スモールM&A市場の拡大により、300万円以下から参入できる案件が増えています。スモールM&A(個人でも手が届く小規模なM&A全般)のなかでも、会社員が本業を続けながら取り組む形を、本記事では副業M&Aと位置づけています。

本記事では、副業でM&Aによる起業を目指す「副業M&A」について、買収に必要な資金の目安・進め方・失敗パターン・専門家の活用法を順番に解説します。読み終えたとき、「自分でも動ける」という感覚をもてるはずです。

本記事のポイントは以下の通りです。

  • 副業M&Aは会社員が本業を続けながら事業を取得できる手段
  • 300万円以下から参入できる案件もあり、300〜800万円程度の価格帯では、実績のある事業を含め選択肢が広がる
  • 案件探しから引き渡しまでを5つのステップに分けて整理
  • 失敗パターンは「惚れ込み型・多忙型・孤独型」の3つに集約される
  • 就業規則の確認と専門家の活用が、安全に進めるための基盤になる

「自分の予算で何が買えるのか」「会社員のまま本当に進められるのか」と感じている方は、まず専門家へ相談してみるのがおすすめです。ドリームゲートアドバイザーの特別支援プログラムでは、専門家への相談に加え、最大300万円の資金支援を受けられます。

※本記事でいう副業M&Aとは、会社員が本業を続けながら小規模な会社・事業を買収し、経営に関わることを指します。

この記事の監修者
ドリームゲートアドバイザー 渡辺 亨
渡辺 亨(わたなべ とおる)
株式会社リノヴェクス / BATONZ認定 事業承継アドバイザー/中小企業診断士/事業プロデューサー
M&Aによる独立や事業承継の支援で活躍する渡辺アドバイザー。BATONZ認定の事業承継アドバイザーで、経済産業大臣登録の中小企業診断士でもあります。M&Aを活用した独立から、引き継いだ事業を「自分らしい事業と経営」に育てるところまで、一貫してサポートされています。製造・建設・飲食・不動産など幅広い業界でコンサルティングの経験があり、経営相談や経営者コーチングの実績は500件以上です。組織・人材戦略やチームビルディングの専門家でもあるため、承継後の組織づくりに悩む経営者にとっても心強い存在となるでしょう。
無料メール相談 | プロフィールを見る>>

- 目次 -

スモールM&Aとは?|会社員からも注目を集める理由

「M&A」という言葉を聞くと、「大企業が数百億円をかけておこなうもの」というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし近年、個人が数百万円単位で小規模な事業を買収する「スモールM&A」が注目されています。そのなかには、会社員が本業を続けながら事業を取得する「副業M&A」の事例もあります。

ここでは、スモールM&Aについて、また会社員にも注目を集めている理由について解説をします。

スモールM&Aと通常のM&Aの3つの違い

一般的なM&Aは、上場企業や中堅企業が事業戦略の一環としておこなうもので、取引金額は数千万〜数千億円規模になります。専門の法務チームや投資銀行が関与し、個人が単独で動ける規模ではないのが一般的です。

一方、スモールM&Aは取引規模・関与する専門家・買い手の属性の3点が根本的に異なります。

比較軸 通常のM&A スモールM&A
取引規模 数千万〜数千億円超が中心 数十万〜数千万円程度
関与する専門家 投資銀行、FA、大手法律事務所、監査法人など 仲介プラットフォーム、M&A仲介会社、税理士、司法書士、必要に応じて弁護士など
買い手の属性 上場企業、中堅企業、PEファンド 個人、中小企業、副業をしたい会社員
表は横にスライドできます


取引金額の桁が大きく異なるため、個人の資金でも対応できる案件があります。本業との両立状況に応じて選べます。
「M&Aは自分には遠い話」という感覚は、スモールM&Aでは当てはまりません。

スモールM&Aが今、会社員の「副業M&A」として注目されている背景

会社員から副業M&Aが注目される理由は、大きく2つあります。比較的少ない資金から既存事業を取得できることと、本業を続けながら経営に関われることです。

この2つの魅力の背景には、後継者不在問題とM&Aプラットフォームの普及という、2つの社会的な変化があります。

国内の中小企業・小規模事業者の多くは、後継者不在の状態にあるとされています。経営者の高齢化が進む一方で後継ぎが見つからず、黒字のまま廃業を検討している事業者も少なくありません。

「個人企業」は「法人企業」と比較して「現在の事業を継続するつもりはない」と回答した割合が高く、約4割の企業が自らの代での廃業を考えている様子がうかがえる。引用元:第9節 事業承継|中小企業庁(最終閲覧日2026年8月21日)

売り手が増えることは、買い手である会社員にとって大きなチャンスです。案件数が拡大することで、比較的少ない資金でも手が届く価格帯の事業を見つけやすくなっています。

同時に、TRANBI・バトンズ・M&Aナビなどのオンラインプラットフォームが普及し、個人でも案件を閲覧・交渉できる環境が整いました。以前は証券会社や大手M&A仲介会社を通さなければ情報にアクセスできませんでしたが、現在はスマートフォンひとつで多数の売却情報を検索できます。

少ない資金からでも事業を取得しやすい環境と、会社員のまま経営に関われる選択肢が、同時に広がっているのです。これが、副業M&Aが注目される背景といえます。先行者が少ない今のうちから情報収集を始めることで、将来の選択肢を広げやすくなるでしょう。

副業M&Aを始める前に確認したい「時間」と「余力」

副業M&Aは、本業を続けながら取り組める一方、案件探しから買収後の引き継ぎまで、一定の時間と労力が必要です。

また、買収資金だけでなく、専門家への報酬や運転資金なども必要になります。まずは、現在の仕事や生活環境、資金面から、副業M&Aを始めても問題ない状態か確認してみましょう。

  • 本業の繁忙期でも、副業M&Aの検討・対応に使える時間を確保できる
  • 案件探しや売り手との面談、専門家との打ち合わせに時間を割ける
  • 買収後、一定期間は本業以外に事業の引き継ぎ・運営に時間を使える
  • 家族や周囲の理解を得たうえで、副業M&Aに継続的に取り組める
  • 副業M&Aに充てられる数百万円程度の自己資金がある

これらは、すべて満たしていなければ副業M&Aができないという条件ではありません。ただし、どれか1つでも欠けた状態で始めると、買収後の事業運営や本業との両立に負担が生じやすくなります。特に、資金に余裕がない状態で買収したり、買収後の引き継ぎに必要な時間を確保できなかったりすると、事業そのものだけでなく、本業や生活にも影響する可能性があります。

副業M&Aを始める前に、5つの項目を一つずつ確認し、現在の自分の環境で無理なく取り組めるかを考えておくことが重要です。

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

副業M&Aにかかる費用の全体像|300万円程度から検討できる案件と必要な資金

副業M&Aでは、数百万円程度から検討できる案件があります。特に初めて取り組む場合は、本業との両立や買収後の運営負担も考え、無理のない規模から始めることが重要です。ここでは、300万円程度の案件を中心に、どのような事業が検討できるのか、また買収金額以外にどのような費用がかかるのかを解説します。

予算300万円以下で買える事業の種類と特徴

300万円以下でも、実際に利益を生んでいる事業は存在します。主に以下のような事業が対象になります。

事業種別 特徴 注意点
ネット物販(EC) 在庫、仕入先、売上実績、運営フローを引き継げる場合がある 季節変動、在庫評価、仕入先継続、返品率、広告依存の有無を確認する
Webメディア(ブログ・サイト) 広告収益やアフィリエイト収益が見込める場合がある 検索順位、広告単価、アルゴリズム変更、被リンク品質、権利関係を確認する
SNSアカウント・チャンネル フォロワー基盤や収益化実績を引き継げる場合がある プラットフォーム規約、凍結リスク、収益源の継続性、運営主体の引き継ぎ可否を確認する
無店舗型サービス業 清掃、代行、コンサルなど、固定費が比較的低い事業がある 属人性、既存顧客の継続率、業務マニュアル、契約引き継ぎの可否を確認する
表は横にスライドできます

この価格帯は案件数が多く、初めてのM&Aに取り組みやすい規模です。一方で、売上規模が小さいぶん、収益の再現性や事業の安定性を慎重に確認する必要があります。「小さく始めて学ぶ」という姿勢で臨むことで、経験値を積み上げられます。

300万円を超える案件を検討する場合は、資金と運営体制を慎重に確認

300万円を超える案件になると、事業規模や従業員数、必要な運転資金などが大きくなるケースがあります。買収価格が高くなるほど、単に購入資金を用意するだけではなく、買収後の運営に必要な資金や時間まで含めて検討する必要があります。

特に会社員が副業として取り組む場合は、本業との両立が可能か、買収後の経営を自ら担えるか、必要に応じてスタッフや外部専門家に運営を任せられるかなどを慎重に確認しましょう。

初めて副業M&Aに取り組む場合は、無理に高額な案件を選ぶのではなく、自身の資金と時間に見合った規模から検討することが重要です。

特に「本業で培った経験を活かせる業種」を選ぶことで、運営をスムーズに進めやすくなります。自分のスキルセットと事業特性の重なりを見極めることが、この価格帯で成功するポイントです。

買収額以外にかかる費用|仲介手数料・デュー・デリジェンス・税務の実費リスト

買収金額だけを見ていると、後から想定外のコストに直面する可能性があります。実際に副業M&Aを進める際は、以下の費用が別途発生します。なお、各費用は案件規模や依頼先によって大きく異なるため、あくまで参考目安としてご覧ください。

費用項目(専門家や仲介・FA会社に依頼する場合) 金額目安 発生タイミング
仲介手数料 買収額の5〜10%程度(最低報酬が設定されている場合あり) 最終契約時
デュー・デリジェンス費用 100万〜500万円程度まで変動 交渉中〜契約前
司法書士費用 数万円〜10万円程度(登記手続きの内容により変動) 契約手続き時
弁護士費用 数十万円〜数百万円程度(契約書レビュー・法務デュー・デリジェンスの範囲により変動) 契約手続き時
税理士費用(税務デュー・デリジェンス・確定申告) 税務DDや申告支援の内容により変動 通年
PMI(※)期間の引き継ぎコスト(交通費・時間) 数十万円〜 引き渡し後3か月程度
表は横にスライドできます

※買収・合併後に、異なる企業文化・制度・業務を統合し、1つの組織として機能させる取り組み。

300万円の案件を買う場合でも、諸費用を含めると総コストが400万円前後になるケースがあります。そのため、手元資金の全額を買収金額に充てる計画は危険です。買収金額の20〜30%程度を諸費用や運転資金として別途確保しておくことで、資金繰りを安定させやすくなります。また、買収金額とは別に、引き渡し後の運転資金も確保しておきましょう。

ここまで紹介した費用感はあくまで目安です。実際の資金計画やデュー・デリジェンス費用の見積もりは案件ごとに異なります。ドリームゲートアドバイザーの特別支援プログラムなら、専門家への相談と合わせて最大300万円の資金支援も視野に入れられます。

副業M&Aの進め方|案件探しから引き渡しまでの5つのステップ

「何から手をつければよいかわからない」という声は、副業M&Aの相談でも多く聞かれます。全体の流れを先に把握することで、「どこで自分が動くのか」「どこで専門家に依頼するのか」の見通しが立ちます。
ここでは、案件探しから引き渡しまでを5つのステップに分けて整理します。

ステップ1〜2|買収条件を決め、プラットフォームで案件を探す

副業M&Aでは、いきなり案件を探すのではなく、まず「どのような事業なら買収後も本業と両立して運営できるか」を考え、買収条件を決めることから始めます。

特に、会社員が副業M&Aに取り組む場合は、予算だけでなく、本業との両立のしやすさまで含めて条件を設定することが重要です。

例えば、以下のような項目をあらかじめ決めておきましょう。

  • 業種:本業の経験や知識を活かせるか
  • 予算上限:買収資金だけでなく、専門家費用や買収後の運転資金も考慮する
  • エリア:本業と両立できる距離か、オンラインで運営できるか
  • 事業規模:売上・利益がどの程度ある事業を対象にするか
  • 運営時間:買収後に自分が確保できる時間で運営できるか

条件が決まったら、自分に合ったM&Aプラットフォームを選び、案件を探します。主なプラットフォームには、それぞれ掲載されている案件の傾向やサポート体制に違いがあります。

プラットフォーム名 特徴 向いている人
TRANBI 国内有数の案件数、案件の検索・閲覧は無料(交渉開始には有料プランが必要) まずは多くの案件を見て相場観を養いたい初心者
バトンズ 地方の飲食店・小売・実店舗などの事業承継案件が豊富 地方での起業や地域密着型の実店舗経営に興味がある人
M&Aナビ オンライン完結型でありながら、専門スタッフによる伴走・仲介サポート体制が手厚い マッチング後の交渉や手続きに不安があり、専門家のサポートを希望する人
表は横にスライドできます

ステップ2|売り手への問い合わせから基本合意まで

プラットフォームで気になる案件を見つけたら、まずは案件の詳細を確認し、売り手に問い合わせます。案件の情報開示や実名交渉、秘密保持契約(NDA)の進め方はプラットフォームによって異なるため、各サービスのルールに従って交渉を進めます。

たとえば、TRANBIでは、匿名でメッセージをやり取りした後、具体的に交渉を進める場合は実名交渉を申請し、秘密保持契約(NDA)に同意して実名交渉へ進む流れとなっています。NDA締結後は、財務資料や企業概要書など、より詳細な情報の開示を受けることができます。

案件を具体的に検討する段階では、財務資料や事業内容など、より詳細な情報が開示される場合があります。売り手との交渉では、一般的に以下のような事項を確認します。

  1. 詳細情報を確認する
    財務資料や事業内容、顧客構成、売却理由などを確認する
  2. トップ面談を行う
    売り手経営者から、事業の現状や今後の引き継ぎについて話を聞く
  3. 買収条件を交渉する
    買収価格、引き継ぎ期間、従業員や取引先への対応などを確認・調整する
  4. 基本合意を締結する
    最終契約に向けて、買収価格や主要な条件などを合意する

この段階では、まだ最終的な買収契約を締結したわけではありません。詳細を確認した結果、事業内容や条件が自分の希望と合わない場合は、交渉を終了して案件を見送ることもできます。

基本合意書(LOI)についても、すべての条項が法的拘束力を持つとは限りません。基本合意を締結する際は、どの項目に法的拘束力があるのかを確認し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。

※ティーザー資料:NDA(秘密保持契約)締結前などに開示される、社名や具体的な情報を伏せた案件概要資料。

ステップ3|デュー・デリジェンス(DD)で会社員が確認すべき項目

デュー・デリジェンス(DD)とは、買収する事業に財務・法務・労務上の問題がないか、また、買収後も事業を継続できる状態かを確認するプロセスです。すべてを自分で確認する必要はなく、専門的な確認は税理士や弁護士などに依頼します。自分で確認できる範囲については、買収する事業の特徴や、自身の知識・経験に応じて確認していくことが重要です。

確認内容 専門家に依頼/自分で確認する
財務 売上・利益の推移、直近の月次実績、借入・未払い・簿外債務など 税理士や公認会計士
法務 重要な契約、許認可、訴訟・トラブルの有無 弁護士や司法書士、行政書士等
労務 従業員の雇用条件、未払い残業、社会保険など 社会保険労務士
事業 顧客構成、解約率、競合、オーナー依存、収益の継続性 自分で確認する
表は横にスライドできます

すべての確認を専門家に依頼する必要はありません。個人で小規模な事業を買収する場合は、まず買い手自身が事業内容や収益状況、顧客構成などを確認し、自分がその事業を運営できるかを判断することが重要です。

一方で、財務・税務・法務・労務など、自分だけでは判断が難しい事項があれば、必要に応じて税理士や弁護士、社会保険労務士などに相談しましょう。すべてを専門家に任せるのではなく、自分で確認する部分と専門家に相談する部分を分けることが、コストを抑えながらリスクを確認するポイントです。

ステップ4|最終契約・クロージング

DDなどの確認を終え、買収条件に問題がなければ、最終契約を締結します。株式譲渡の場合は株式譲渡契約書、事業譲渡の場合は事業譲渡契約書などを締結し、契約内容に沿って代金決済や権利の移転を行います。

最終契約を締結する際は、買収価格だけでなく、前経営者からの引き継ぎ方法や期間、従業員・取引先への対応など、買収後の運営に関わる条件も確認しておきましょう。

また、契約上は事業を引き継げても、実際の運営に必要なサービスや契約、アカウントなどがそのまま引き継げるとは限りません。特に事業譲渡では、法人から個人への変更などによって、決済サービスや金融機関口座、各種SaaS、ECサービスなどの契約主体を変更する必要が生じる場合があります。

例えばECサイトを買収する場合、クレジットカード決済機能が買い手にそのまま引き継げないケースがあります。買収直後に旧事業者の決済機能が停止すると、既存顧客の決済ができなくなり、売上や顧客対応に影響する可能性があります。

「事業そのものを買えるか」だけでなく、「事業を買収後すぐに問題なく運営できる状態にできるか」まで確認することが重要です。

契約前には、以下のような項目について、引き継ぎの可否や切り替えに必要な期間・手続きを確認しておきましょう。

  • クレジットカード・オンライン決済
  • ECサイト・Webサイトの管理権限
  • ドメイン・サーバー
  • ECモールや各種プラットフォームのアカウント
  • 顧客管理・メール配信などのSaaS
  • 銀行口座・決済口座
  • 電話番号・メールアドレス
  • 仕入先・外注先との契約
  • 必要な許認可・届出

「引き継げると思っていたものが引き継げなかった」という事態を防ぐため、契約前に一つずつ確認し、必要な切り替え期間を確保しておくことが重要です。

特に副業M&Aでは、買収後すぐに本業との両立が始まります。自分がどこまで事業運営を担うのか、前経営者やスタッフにどこまで引き継ぎを依頼するのかについても、契約前に明確にしておきましょう。

ステップ5|買収後の引き継ぎ・運営

クロージングが完了したら、実際に事業の運営を引き継ぎます。買収直後は、前経営者からの引き継ぎやスタッフ・取引先への対応など、通常よりも時間や労力が必要になる場合があります。

特に、以下の点を確認しながら、事業を安定して運営できる状態を整えていきましょう。

  • 前経営者から、業務内容や取引先など必要な情報を引き継ぐ
  • 既存スタッフや主要取引先に、経営者変更を伝え、必要な方針を共有する
  • 売上・経費・利益などを継続的に確認できる状態にする
  • 顧客・取引先・スタッフなどの連絡先や、トラブル発生時の対応方法を把握する
  • 本業と事業運営を両立できる時間を確保する

買収後に必要な対応は、業種や事業規模、従業員の有無、前経営者からの引き継ぎ状況などによって異なります。特に会社員が副業M&Aに取り組む場合、買収直後に想定以上の時間や労力が必要になる可能性を考慮して、本業との両立が可能かを事前に確認しておくことが重要です。

また、最初からすべてを自分で対応する必要はありません。スタッフや外部の業者などに任せられる業務を整理し、自分が経営者として判断すべき業務に時間を使える体制をつくることも重要です。

【無料で完成】事業計画書作成ツール
累計8万人が利用!質問に答えるだけで「事業計画書・数値計画書」が完成
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

  • 日本政策金融公庫の創業計画書も作成でき、融資申請に利用できる。
  • 業種別にあなたの事業計画の安全率を判定
  • ブラウザに一時保存可能。すべて無料!
⇒事業計画書作成ツールを無料で利用してみる

副業M&Aで会社員が失敗するパターンと見分け方

「なんとなく怖い」という感覚をもつ方は多いですが、失敗には共通のパターンがあります。パターンとして認識できれば、注意点も明確になります。ここでは、会社員が副業M&Aで陥りやすい3つの失敗パターンと、それぞれの早期警戒サインを解説します。

失敗パターン①「惚れ込み型」|事業への思いがデュー・デリジェンスを甘くする

「この事業に惚れた」という感情は、判断を鈍らせる要因になります。

好きな分野の事業(趣味に関連する事業や前職に近い業種など)を見つけたとき、人は無意識に「うまくいく理由」を探し始めます。財務諸表の不自然な点に気づいても「なんとかなる」と思い込んでしまうのです。

具体的には、以下のようなケースで起こりやすい失敗です。

  • 売上の季節変動が激しい事業なのに、ピーク月のデータだけで判断してしまう
  • 顧客が特定の1社に集中しているリスクを、「信頼関係があるから問題ない」と過小評価する
  • 前経営者の「口頭での説明」を、契約書へ反映させないまま手続きを進める

惚れ込み型を防ぐもっとも有効な方法は、デュー・デリジェンスを外部の専門家に任せることです。自分が関心をもつ案件ほど、第三者の冷静な視点が必要になります。好きな事業だからこそ、客観的に評価してくれる専門家を味方につけることが重要です。

失敗パターン②「多忙型」|本業との両立でPMIが崩壊する

買収後よく聞かれる後悔が、「時間が足りなかった」という声です。本業で忙しい状態のまま事業を引き継ぐと、以下のような想定外の業務への対応が難しくなります。

  • スタッフからの問い合わせ
  • 取引先とのコミュニケーション
  • 月次業績の確認
  • 確定申告の準備

多忙型の失敗が起きやすい状況は以下のとおりです。

状況 リスク
本業の繁忙期と引き渡し時期が重なる PMIに時間を取れず、スタッフ離職につながる
副業の時間を家族と事前に共有していない 家庭内の摩擦が発生し、運営に集中できなくなる
「買ってから考えよう」と思っていた 引き渡し後に初めて問題が見え、対応が後手に回る
表は横にスライドできます

対策は「契約前に、週あたり何時間を事業運営に使えるかを計算する」ことです。一般的に、引き渡し後3か月程度は、週10〜15時間程度(小規模な店舗型事業を想定した目安)の対応が必要となるケースが多いとされています。そのため、本業の繁忙期と重ならない時期にクロージングを設定することが重要です。

失敗パターン③「自己判断型」|分からないことを確認せずに一人で進める

スモールM&Aでは、すべてを専門家に依頼する必要はありません。一方で、本業と並行して副業M&Aに取り組む場合、時間やコストをおさえようとして、調査や契約、買収後の手続きまで一人で進めてしまうことがあります。

しかし、自分だけでは判断が難しい事項を確認しないまま進めると、買収後に問題が発覚し、本業と並行して対応しなければならなくなる可能性があります。

たとえば、

  • 契約書の重要な条項を十分に確認しない
  • 税務上の取り扱いを確認せずに買収を進める
  • 許認可や契約の引き継ぎ可否を確認しない
  • 従業員の雇用条件や未払い残業など、労務上の問題を確認しない
  • ECサイトや決済サービスなど、事業運営に必要なアカウントの引き継ぎを確認しない

といったケースです。

特に契約、税務、許認可、労務などは、買収後に問題が発覚すると対応に時間や費用がかかる場合があります。分からないまま進めず、必要な部分を専門家に確認してもらうことで、リスクを減らせます。

3つの失敗パターンに共通する早期警戒サイン

ここまで紹介した「惚れ込み型」「多忙型」「自己判断型」には、共通する「危険なシグナル」があります。以下に当てはまる場合は、一度立ち止まって状況を見直しましょう。

  • 売り手からの説明に「なんとなく納得」して、数字で確認していない
  • 交渉が進むにつれて「断りにくい」と感じている
  • 本業の忙しさを理由に、確認作業を後回しにしている
  • 引き渡しが近いのに、PMI計画が整理できていない
  • 契約書を専門家に確認してもらわず、自分だけで判断しようとしている

どれか一つでも当てはまる場合は、一度立ち止まって専門家に現状を相談することをおすすめします。M&Aの失敗パターンの多くは「早めに相談していれば防げた」というケースです。

危険サインは、「やめるべき合図」ではありません。むしろ、「今すぐ専門家へ相談すべきタイミング」と考えることで、リスクを最小限におさえながらM&Aに取り組めます。

「自分は惚れ込み型・多忙型・自己判断型のどれに近いだろう」と感じた方こそ、経営・法務・税務・労務など各分野の専門家に相談しましょう。ドリームゲートアドバイザーの特別支援プログラムなら、第三者の視点もあわせて判断できます。

副業M&Aで専門家を活用すべき3つの場面と選び方

「一人でできるところまでやる」という姿勢は大切ですが、M&Aには専門家なしでは判断がむずかしい場面が必ず出てきます。具体的には以下の3つの場面が挙げられます。

  1. 案件を見極める場面
  2. 契約条件を交渉する場面
  3. 引き渡し後の実務を進める場面

費用を惜しんで進めることで、あとから大きな損失を招くよりも、どの場面で誰に相談するのかを最初から設計しておく方が、結果として全体のコストを抑えられます。
ここでは、専門家の種類や選び方、相談前に準備しておきたいことを整理します。

M&Aアドバイザーと仲介会社の違い

「アドバイザー」と「仲介会社」は、立場や役割が異なります。

専門家の種別 主な役割 費用の目安 副業M&Aでの適性と注意点
M&A仲介会社 売り手・買い手双方の間に入り、中立に契約をまとめる 成約報酬型(取引金額の1〜5%程度、レーマン方式)※多くの仲介会社が500万〜2,500万円程度の最低報酬額を設定 小規模案件への対応実績が豊富な仲介会社を選ぶことが必須
FA(ファイナンシャル・アドバイザー) 買い手(自分)側のみの代理人として利益を最大化する 着手金+成功報酬 買収交渉を任せられる安心感がある
プラットフォーム型 Web上でのマッチングの場。交渉は当事者同士でおこなう 月額会員費または成約手数料 コストを抑えつつ、自分のペースで進めたい人向け
中小M&A専門の税理士・中小企業診断士などの専門家 財務デュー・デリジェンスや買収後の税務設計をおこなう 単発で50万円程度 簿外債務の発見など、副業規模でも非常に費用対効果が高い
表は横にスライドできます

副業M&Aの規模では、大手M&A仲介会社が設定する最低報酬が負担になるケースも少なくありません。そのため、スモールM&A対応のプラットフォームと、中小企業のM&Aに詳しい税理士を組み合わせる体制が、費用対効果として現実的な選択肢です。

専門家の選び方を間違えると、費用だけが膨らみ、十分なサポートを受けられないこともあります。最初の相談時に、「個人M&Aやスモール M&Aの支援実績がどの程度あるか」を確認しておくと安心です。

なお、中小企業庁が策定・改訂している「参考:中小M&Aガイドライン」では、仲介会社やFAの役割、費用の目安、注意点などが公式に整理されており、専門家を選ぶ際の基準として参照できます。

仲介会社や士業に相談する前に自分で準備しておく3つのこと

「何も知らない状態で相談するのは恥ずかしい」と思わなくて大丈夫です。ただし、事前準備があると相談の質が上がります。相談前に整理しておきたいポイントは以下の3つです。

  1. 自分の予算上限
    手元資金のうち「副業M&Aに使える最大額」を決める。生活費や緊急資金を差し引いた後の金額を把握する。
  2. 対象にしたい業種のリスト
    本業の経験やスキルと重なる業種、または生活の中で接点がある業種を3〜5個程度書き出す。
  3. 週に使える時間の計算
    本業の繁忙期や家族の予定を踏まえ、副業に充てられる時間を週単位で見積もる。

この3つを整理しておくだけで、専門家との初回相談で得られる情報の具体性が大きく変わります。「相談してみたけれど何も決まらなかった」という事態を防ぎ、次のアクションを明確にするための準備です。

ドリームゲートのアドバイザーが副業M&A相談で実際に聞かれること

ドリームゲートのアドバイザーには、副業M&Aに関する相談が継続的に寄せられています。副業M&A関連の相談が寄せられています。そのなかで特に多い質問は以下のとおりです。

  • 自分の貯蓄でどのくらいの事業が買えますか?:予算と希望業種をもとに、現実的な選択肢を整理するところから相談が始まります。
  • 会社に副業がバレないか心配です。どうすればよいですか?:就業規則の内容や住民税の取り扱い、役員就任の有無などを踏まえて、状況に応じた対策を一緒に確認します。
  • M&Aを進めた後、本業と両立できるか不安です。:引き渡し後の時間設計やPMI計画についても、具体的なアドバイスが可能です。

20年以上にわたり、起業・副業・事業承継の相談に向き合ってきたドリームゲートには、「これから副業M&Aを検討する会社員」を後押しするための知見が蓄積されています。まだ何も決まっていない段階でも、相談は大歓迎です。

「今の自分の状況を話してみる」だけでも、次に何をするべきかが見えてくるでしょう。

誰にどこまで相談するのかを最初から設計しておくことが、結果的に総コストを下げます。ドリームゲートアドバイザーの特別支援プログラムは、経営・法律・人事・税金・資金調達の専門家がチームで支援する数少ない仕組みです。

副業M&Aは会社員でも今日から検討できる

副業M&Aは、300万円から参入でき、会社員のまま事業オーナーを目指せる選択肢です。費用感と手順、失敗パターン、法的な確認事項、専門家の活用方法を理解すれば、「自分には難しそう」という不安を具体的な行動計画に変えられます。今の給与だけに依存する将来への不安が、少し薄まっていれば幸いです。

今日できる一歩は小さくて大丈夫です。プラットフォームを覗いてみること、就業規則を読んでみること、それだけで副業M&Aは身近な選択肢になります。

「自分でも動けそうだ」と感じたら、次の一歩はエントリーです。ドリームゲートアドバイザーの特別支援プログラムでは、専門家による伴走支援に加え、最大300万円の資金支援も受けられます。

応募には選考がありますが、副業M&Aや起業への本気度を後押しする仕組みです。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
Facebook | X(旧:Twitter)

 

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める