「いつか自分のカフェを開きたい」そんな夢を持つ人は多いですが、実際に開業するには資金計画や立地選定、メニュー開発など多くの準備が必要です。本記事では、カフェ開業の流れや必要な資金、成功のポイントをわかりやすく解説します。自分だけの理想のカフェを実現するために、開業に向けたステップをしっかり押さえていきましょう。

開業資金や運転資金はどれくらい準備するべき

開業資金や運転資金は、業種や規模によって異なります。初期費用に加え、数カ月分の運転資金を確保することが重要です。具体的な必要額を算出し、融資や補助金の活用も検討しながら資金計画を立てましょう。

カフェの開業資金は？

カフェを開業するには、初期費用として店舗取得費、内装工事費、設備費、食材仕入れ費、広告宣伝費などが必要になります。規模や立地によって異なりますが、一般的に開業資金は500万円〜1,000万円程度かかると言われています。

• 物件取得の費用（家賃数カ月～1年分ほどの保証金などが必要）
• 内装費や外装費
• 調理設備などの設備導入費
• 備品の購入費や搬入費
• 広告宣伝費

お店の改装はこだわるとさらに費用がかかるため、お店の内装工事者や設計事務所と相談しながら、できるだけ理想が叶えられる物件を探し、同時に予算などによる妥協点を探る必要があります。

開業してからの運転資金は？

カフェ開業後の運営には、家賃、光熱費、人件費、食材仕入れ、宣伝広告費などの運転資金が必要です。一般的に、開業後3〜6ヶ月分の運転資金を確保しておくことが推奨されます。特に、カフェは開業直後に顧客を獲得し、安定した売上を確保するまで時間がかかることがあるため、余裕を持った資金計画が求められます。

項目	費用目安	備考
家賃	10万〜30万円	立地による変動あり
光熱費・通信費	3万〜5万円	電気代、水道代、インターネット代など
材料費	–	提供するメニューによります。
人件費	20万〜50万円	従業員を雇う場合
広告費	2万〜10万円	SNS・WEB広告など
雑費	10万円ほど
合計	30万〜100万円

カフェの開業に使える融資制度や補助金は？

資金調達は、事業を成功させるために欠かせません。主な方法として、日本政策金融公庫の融資や補助金・助成金などがあります。それぞれの特徴や申請のポイントを押さえ、自社に合った資金調達手段を選びましょう。

 資金調達の前に自己資金がいくらあるか把握

カフェを開業するにあたり、まず自己資金がどれくらいあるのかを把握することが重要です。融資制度が新しくなり、以前に比べて自己資金比率を求められなくなりましたが、自己資金がゼロの状態では借り入れが難しくなります。公式のWebサイトによると融資希望額の24%程度の自己資金を用意しておくと金融機関からの信用が高まり、審査が通りやすくなります。

一概には言えませんが、日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」のデータによると、創業資金調達総額に占める自己資金の割合は24％となっています。同調査によると、事業開始からおよそ１年間のうちに黒字基調となった企業は全体の約60％との結果が出ています。借入に依存した計画では、思っていたほど売上が上がらなかったり、予想外の出費がかさんだりすると、資金繰りが苦しくなる場合があります。自己資金と借入金のバランスを考え、ゆとりを持った資金計画を立てることが大切です。

引用:日本政策金融公庫のQ4「自己資金はどれくらいあればよいですか？」

融資（新規開業資金）

日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、新しくカフェを開業する人にとって利用しやすい融資制度です。低金利で借り入れが可能で、初めて事業を始める方にも適しています。

「新規開業資金」以外にも女性や若者の起業を促進するための融資制度「女性、若者／シニア起業家資金」や商工会議所が審査に入る融資制度など、事業形態によって受け取れる金額や金利が変わってくるため、必要な方は専門家の方と相談しながら受ける融資制度を決めてみてはいかがでしょうか？

創業時の融資制度に詳しい専門家を探す

新規開業資金の概要

融資の対象	新たに事業を始める人 事業開始後概ね7年以内の人
金利	条件により異なるが低金利
融資上限額	最大7,200万円（うち運転資金4,800万円）
返済期限	設備資金に関して →20年以内（うち据置期間5年以内)運転資金 →10年以内(うち据置期間5年以内)*

*「廃業歴等があり、創業に再チャレンジする方」は、前事業に係る債務を返済するために必要な資金もお使いいただくことができ、運転資金は15年以内（うち据置期間5年以内）までご利用いただけます。

引用：日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」から引用

 

カフェの開業に使える補助金や助成金をチェック

新しく開業される方でも受け取れる補助金として、東京都の「創業支援補助金」をはじめとした各種補助金・助成金を検討することができます。この制度では、人件費や賃料、内装費用などが助成対象になる場合があり、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。

また、東京都以外でも自治体ごとに独自の補助金制度を用意していることも多いため、「開業する地域＋補助金＋創業（開業・起業）」や「開業予定の事業内容＋補助金」などのキーワードで検索してみるのがおすすめです。複数の制度を比較・検討し、個別指導塾の開業計画に合った補助金をうまく活用しましょう。

東京都の「創業支援補助金」の場合

対象者	都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件（※）を満たす方 ※「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資（創業）利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」等
助成金限度額	上限額400万円/下限額100万円
助成対象経費	賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費（市場調査・分析費）

引用：東京都創業支援NET「創業助成金」から引用

 

クラウドファンディングもチック

近年、クラウドファンディングを活用してカフェ開業資金を集めるケースが増えています。クラウドファンディングを活用することで、開業前から顧客との関係を築くことができ、集客にもつなげることが可能です。支援者へのリターンとして、開業後の割引券や限定メニューの提供などを用意することで、開業後の売上にも貢献します。
また、SNSを活用して支援者を募ることで、認知度を高めることもできます。

▼成功しているプロジェクト

【鹿児島の故郷を彩る】自家栽培野菜で創る古民家イタリアンレストラン
開店して１年で立ち退き。これからも地元である長野県飯綱町で消灯珈琲を続けたい！

カフェ開業の流れを解説

個人経営カフェで成功するための5つのステップをご紹介します。

①事業計画書の作成/コンセプト決め

カフェを成功させるためには、明確な事業計画とコンセプトの設定が不可欠です。まず、ターゲット層を明確にし、どのようなカフェを作りたいのか具体的に決めましょう。例えば、「オーガニック食材を使ったヘルシーカフェ」や「落ち着いた雰囲気のブックカフェ」など、コンセプトを明確にすることで、競合との差別化が可能になります。
また、売上予測や運営費、収益計画を盛り込んだ事業計画書を作成することで、資金調達の際の信頼性を高めることができます。
特に融資判断の際、「創業の動機」をよく見られるようなので、ご自身の原体験を交えた起業の動機を記載するようにしましょう。

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②物件の準備

カフェの成功には、立地選びが重要なポイントとなります。ターゲット層のライフスタイルを考慮し、人通りが多いエリアや競合が少ない場所を選びましょう。また、物件契約の前には、店舗の広さや設備の状態、改装の自由度などをしっかり確認し、契約内容をよく理解することが必要です。
内装工事業者を決める際の注意点として、複数の業者で必ず相見積もりをとってから決めるようにしましょう。

（調理師免許がない方限定）食品衛生責任者の設置

営業許可や届出の対象となるすべての施設では、「食品衛生責任者」を定める必要があります。
講習会では、食品衛生学や 公衆衛生学などの講義のあと筆記テストなどを受験し、合格者のみに修了証を受け取ることができます。店舗に必ず一人在籍しなければならないため、必ず講習会に参加するようにしましょう。

③飲食店営業許可申請の提出

カフェを営業するには、飲食店営業許可の取得が必須です。許可申請には、店舗の図面や設備の概要、食品衛生責任者の資格証明などが必要となります。申請は保健所で行い、審査をクリアすることで営業が可能になります。申請時には、店舗の衛生管理体制や設備が食品衛生法の基準を満たしていることを確認し、提出書類に不備がないよう注意しましょう。

▼東京都新宿区の営業許可申請

必要書類	注意点
営業許可申請手数料
営業許可申請書（1部）
施設の構造及び設備を示す図面（2部）
食品衛生責任者の資格を証明するもの	・調理師・栄養士等の方は免許状 ・養成講習会受講者の方は食品衛生責任者手帳等 ・証明するものがない場合、誓約書（食品衛生の窓口に設置）を提出してください。
水質検査成績書（1部） （施設の貯水槽の大きさが10ｔ未満又は井戸水使用の場合）
登記事項証明書（1部） （法人の場合）	・現在の組織と変更のないもの ・コピー可 【注記】 法人番号のみでは代表者氏名を確認できないため、可能な限り登記事項証明書も提出してください。

④保健所による施設の検査

営業許可申請の提出後、保健所による施設検査が実施されます。この検査では、調理設備の衛生管理、排水設備、換気システムなどが基準を満たしているか確認されます。検査に合格しないと営業が開始できないため、事前に設備の配置や清掃状況を万全にしておくことが重要です。特に、厨房の清潔さや害虫対策、適切な食品保管がチェックポイントとなるため、細部まで気を配りましょう。検査に合格した後、約1週間後に営業許可証が発行され、正式にカフェの営業を開始することができます。

カフェ運営の集客方法は？

カフェの集客で創業初期から効果が期待できる施策は3つあります。

最低限のWebサイトとGoogleビジネスプロフィールに登録する

カフェの情報を広く発信するためには、まず基本となるWebサイトの作成とGoogleビジネスプロフィール（旧Googleマイビジネス） への登録を済ませましょう。Googleビジネスプロフィールに登録することで、検索結果やGoogleマップに店舗情報が表示され、地域のユーザーにアプローチしやすくなります。特に、口コミや写真の掲載は信頼性を高める重要な要素です。無料で活用できるため、開業直後から積極的に運用することをおすすめします。

また、Webサイトは月々2,000円ほどを支払うだけで誰でも簡単にWebサイトを作ることができるサービスがあるので活用しつつ、お店で出しているメニューや店内の様子などを発信しましょう。

Webサイトをいきなり自分で作るのは難しいという場合には、無料で簡単に作成できるwixやGoogle Sites、ペライチなどのノーコードツールを活用してみましょう。

簡単にwebサイトが作れるサービス

ペライチ	利便性の高い機能を安く導入できるのが特徴。決済機能や有料テンプレート、Googleしごと検索連携など、オプション形式の料金プランで、必要に応じた最適な形でご利用できます。無料プランあり。
wix	900以上ものカスタマイズ可能な無料テンプレートがあり、無料で凝ったデザインサイトを作りたい方におすすめ。月額1,300円から
Studio	ブログ機能をつけたい方におすすめのツールです。デザインテンプレートも豊富で、無料で利用もできます。

SNSやブログ、LINEビジネスを使ったプロモーション

InstagramやX（旧：Twitter）などのSNSを活用し、カフェの魅力を発信することで、ターゲット層にアプローチできます。LINE公式アカウントを活用し、クーポンを発行することでリピーターの獲得を図ることにも効果的です。

特にSNSでは位置情報が重要になってきます。
ハッシュタグやジオタグ(投稿時の位置情報を発信できるタグ)などを活用し、興味を持ってもらいやすくすることが重要です。

公園やイベントなどの出張出店も

地域のイベントやお祭りに出店することで新規顧客にアプローチでき、さらに試食や試飲を提供することで店舗の認知度を高め、店舗への来客につなげることが期待されます。また、出張販売は通常の店舗営業とは異なる客層にリーチできるため、新たなファンを獲得するチャンスとなります。特にフードフェスティバルやマルシェなどのイベントは、多くの来場者が訪れるため、積極的に活用するのがおすすめです。

インフルエンサー施策も検討

ある程度の利益が出てきたら次の検討施策としてインフルエンサーとのコラボはいかがでしょうか？SNSで店舗の魅力を発信してもらったり、話題性のあるコラボメニューを共同開発したりと、大きな効果を見込めます。

ただし、こういった施策は一過性に終わってしまう恐れがあるため、単に費用をかけるだけでなく、その後もお客様がお店のファンとなるような取り組みを同時並行で実施することが必要です。

カフェを開業する際には綿密な準備を

カフェの開業は決して簡単ではありませんが、しっかりと準備をすることで成功の可能性を高めます。本記事で紹介した流れやポイントを参考に、計画的に進めていきましょう。