Vol.13 起業時に仲間のチカラを最大限に引き出すには

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
ネコの手も借りた いけれど、お金も人も充分ではない創業時には、家族や親族はもちろんのこと、以前からの友人に、部分的に事業を手伝ってもらうことが、よくあります。共同 経営者でもなく、従業員でもない「友人や仲間のチカラ」を、活用する方法を考えます。

 リクルートが創業して間もない頃に、求人広告原稿の文章を書いていたのは、創業者の江副浩正氏の友人で、大手広告代理店に就職した大学時代の友人 でした。彼は、広告代理店の社員として、仕事を終えた後や休みの日に、原稿用紙と格闘して求人広告の文案を考えていたそうです。もちろん、当時のリクルー トにはコピーライターを雇うお金などありませんでしたから、彼が居なかったら、創業期のリクルートに、しっかりとしたクリエイティブ力は存在し得なかった でしょう。

 

起業家仲間で援助交流する

 気心の知れた起業家の友人や仲間が、それぞれの持っているビジネスの専門性を生かして事業を手伝ってくれたら、たとえそれが部分的であっても、即 戦力として頼りがいのある存在です。また、特定の分野の専門家ではなくても、自分と同じように創業を計画中の起業家や起業を志す人は、仕事に対するスタン スや行動特性に共通のものがあって、力強い助っ人でしょう。

 多くの起業家の方が、創業セミナーや起業家交流会などで知り合った仲間とネットワークを作り、それを自分の事業に活かしています。自分と同じよう にモチベーションの高い同志が事業を手伝ってくれることは、やるべきことが山積みの起業家にとっては、大変ありがたい話です。一方、参加した仲間にとって も、仲間の起業を手伝うということは、実際に事業の立ち上げに加わるという、通常では得がたいチャンスを手に入れたことになります。

 

支援した人にも、学び・経験できるメリットがある

 起業計画中の起業家が、仲間に頼まれてその事業を手伝ったところ、その後に自分自身が起業する際には、その時の経験がとても役立ったという例は、 山のようにあります。特に、大企業に勤務していて、ある事業の全体に関わった経験がない人にとっては、小さくても、創業企業で「事業の全体像」に関わるこ とができる経験は貴重なものになるでしょう。また、人のマネジメントを経験したことがない、学生や経験の浅いビジネスパーソンにとっては、実際に人のマネ ジメントを目の当たりにすることで、多くの得るものがあります。

 つまり、仲間に事業を手伝ってもらうということは、逆の視点で考えると、その仲間に「事業を経験する場」を提供している事にもなるのです。いわ ば、対等の関係です。ですから、このような仲間に対しては、本当に資金事情が厳しい時には「給料はあまり期待しないでくれ」と、ハッキリ宣言してもいいの です。ただし、起業家仲間に手伝ってもらう時には、最高の報酬は「経験」や「情報」だということは、しっかりと押さえておきたい点です。ですから、単なる 作業や定型的な業務だけを依頼すると、彼ら・彼女らにとっては得るものがなく、結果的に充分な戦力にならないということがあります。

 

役割と期限がポイント

 さらに、大切なことが2つあります。一つ目は、手伝ってもらう仲間の、あなたの事業や会社における役割と、期待する成果を明確にしておくことで す。そこでは、交流会や勉強会の場と、実際の事業の場での付き合い方を、しっかりと分けることが必要です。仲間に手伝ってもらったら、お互いに共通する多 くの友人や仲間が次々に訪問してきて、サークル的な場になってしまい、事業がうまく進まなかったという笑えない例もあります。

 二つ目は、部分的に手伝ってもらうのであれば、期間を限定することです。事業が成長し、従業員が数名以上になった段階でも、従業員でもなく共同経 営者でもない、社長の仲間が事業に加わっているというのは、従業員にとっては大変やりにくいものです。仮に、そのような段階を迎えたら、従業員として事業 に参加し続けてもらうか、社外パートナーとしてきちんとした契約に基づいた報酬を支払う関係を結ぶか、あるいは役割を終えてもらうかを、ハッキリ決めなけ ればなりません。

 ちなみに、冒頭の例に挙げた、リクルートの創業期に手伝っていた創業者の仲間は、まもなく転職して役員になり、本格的に事業に参加しました。

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