飲食店の資金調達方法とは?日本政策金融公庫・制度融資・補助金の選び方【飲食店経営ロードマップ フェーズ2】

この記事は2026/08/19に専門家 萩原 洋 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

飲食店の開業では、事業計画書を作成しても、実際に資金をどう用意するかで迷う経営者が少なくありません。「自己資金だけで足りるのか」「日本政策金融公庫と制度融資はどう違うのか」「補助金は開業前から使えるのか」といった疑問は、多くの開業準備者が抱えるポイントです。

本記事は、連載「飲食店経営ロードマップ」のフェーズ2(準備直前・資金調達編)です。フェーズ1で作成した事業計画書をもとに、実際にどうやって資金を調達するかを整理します。創業融資、制度融資、補助金という3つの選択肢の違いと使い分け、申し込みのタイミング、経営判断で迷いやすいポイントを解説します。

この記事の監修者
萩原 洋(はぎわら ひろし)
有限会社銀河企画/ フードビジネスコンサルタント
外食産業に携わって35年。フードビジネスコンサルタントとしても20年になります。その間、外食FC立ち上げに参画し、また自らも複数店舗の経営を行ってきました。経営者としてまたアドバイザーとして感じたことは、経営者にとって最大の悩みが資金問題であること。創業から開業後の運転資金まで悩みは尽きません。これからはドリームゲートを通じ、飲食店経営者の皆様を資金面からサポートしていきます。
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この記事の要点まとめ

  • 飲食店の資金調達には、主に「創業融資」「制度融資」「補助金」の3つの選択肢があります
  • 日本政策金融公庫と制度融資では、実際にお金を貸す主体が異なります
  • 補助金は原則として後払いです。開業資金の柱として考えるのはリスクがあります
  • 複数の制度は、組み合わせて使えることがあります
  • どの制度を、どの順番で使うべきかは、事業者ごとの状況によって判断が分かれます

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1. 飲食店開業で使える資金調達方法

選択肢 融資・支給の主体 特徴
自己資金 返済不要。ただし限りがある
日本政策金融公庫の創業融資 日本政策金融公庫(政府系金融機関) 公庫自らが直接、資金を貸し出します
制度融資 民間金融機関(信用保証協会が保証) 実際に貸すのは銀行や信用金庫で、信用保証協会が返済を保証する仕組みです
補助金・助成金 国・地方自治体など 原則返済不要。ただし後払いが基本です

日本政策金融公庫の融資と制度融資は、どちらも「融資」と呼ばれますが、実際にお金を貸す主体が異なります。この違いを理解しておくと、審査の進み方や相談先の違いも理解しやすくなります。

なお、日本政策金融公庫の融資と、信用保証協会の保証付き制度融資は、事業者の状況によって併用できる場合があります。開業資金の規模が大きい場合、組み合わせて活用する事業者もいますが、実際に併用できるかは事前に相談して確認することをおすすめします。


2. 日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)とは

日本政策金融公庫には、新たに事業を始める人向けの融資制度があり、代表的なものに「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

審査では、事業計画書の内容(売上予測の根拠、資金計画の妥当性)に加えて、自己資金の状況や、これまでの経験が確認されます。自己資金の要件は制度の見直しで変更されることがあるため、申し込み時点の最新要件を公式サイトまたは窓口で必ず確認してください。

一般的な流れは、事前相談、申し込み、面談、審査、契約、着金です。審査には数週間程度かかることがあるため、物件契約や内装工事の前、資金計画が固まった段階で申込むのが基本です。開業直前の申込みは、審査が間に合わないリスクがあります。


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3. 制度融資とは?信用保証協会との仕組み

制度融資は、地方自治体、信用保証協会、民間金融機関の3者が連携して行う融資の仕組みです。実際にお金を貸すのは民間金融機関で、信用保証協会は返済が滞った場合に金融機関へ弁済する「保証」の役割を担います。地方自治体は利子の一部を補助することがあります。

制度の名称や利率、保証料は自治体によって異なります。制度融資は自治体ごとに内容が異なり、金利や保証料の補助内容も変わります。そのため、開業予定地の自治体の制度を確認することが大切です。取引を検討している金融機関や信用保証協会にも、あわせて相談することをおすすめします。

出典:中小企業庁「中小企業向け融資制度」


4. 飲食店が活用できる補助金

小規模な事業者を対象に、販路開拓や設備投資の一部を補助する「小規模事業者持続化補助金」は、飲食店でも活用されることが多い制度です。

出典:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金」

補助金の名称・要件・公募時期は変更されることが多いため、最新情報は中小企業庁や地域の商工会議所・商工会のサイトで確認することをおすすめします。

補助金には、審査があり必ず採択されるとは限らないこと、公募期間が開業タイミングと合わないことがある、という特徴があります。また、補助金は採択されてもすぐに入金されるわけではなく、いったん事業者が費用を支払い、その後に補助金が支給される「精算払い」が一般的です。そのため、補助金は「採択され たら助かるもの」として位置づけ、自己資金と融資を軸に資金計画を組むことをおすすめします。


5. 経営判断で迷いやすいポイント

  • 自己資金だけで開業するか、融資を活用するか:自己資金で足りる場合でも、あえて融資を活用し、開業後の運転資金に余裕を持たせる考え方があります
  • 日本政策金融公庫と制度融資、どちらを選ぶか:審査のスピードや相談のしやすさ、必要な自己資金の考え方が異なります。両方に相談したうえで比較する事業者もいます
  • 返済期間をどう設定するか:期間を長くすると月々の負担は軽くなりますが、総返済額は増える傾向があります。毎月の返済額だけでなく、開業直後の資金繰りに無理がないかという視点でも検討しましょう。事業が軌道に乗った後も無理なく返済を続けられるかという視点で確認する必要があります
  • 補助金の採択を前提に計画してよいか:補助金は採択されるかどうか申請前には分かりません。採択されなかった場合でも成り立つ計画にしておくことが大切です

6. 実務上の注意点

  • 面談では、事業計画書の数字の根拠を説明できるようにしておく必要があります
  • 融資の申込書や事業計画書の内容に矛盾がないか、事前に確認しておきましょう
  • 返済計画は、事業が軌道に乗った後も無理なく続けられるかという視点で確認します
  • 補助金の申請書類は、事業計画書と重なる部分が多いため、事業計画書を先に固めておくと申請がスムーズです

7. このタイミングで相談すべき専門家

相談内容 相談先の例
事業計画書のブラッシュアップ、資金計画 中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、財務コンサルタント
創業融資の相談 日本政策金融公庫の窓口
制度融資の相談 取引を検討している金融機関、信用保証協会
補助金の申請相談 認定経営革新等支援機関、中小企業診断士等

複数の窓口に個別に相談するのが大変な場合は、まず認定経営革新等支援機関に相談する方法もあります。事業計画書のブラッシュアップから、融資・補助金の使い分けまで、まとめて相談できることがあります。

出典:中小企業庁「経営革新等支援機関」

以下のようなケースでは、専門家への相談をおすすめします。

  • 自己資金と融資のバランスをどう考えればよいか分からない場合
  • 日本政策金融公庫と制度融資、どちらを選ぶべきか迷っている場合
  • 返済計画が開業後の資金繰りに無理がないか確認したい場合

ドリームゲートでは、資金調達の進め方について、中小企業診断士など、経験豊富な専門家に無料で相談できます。 ドリームゲート専門家への相談はこちら


8. よくある質問

Q. 自己資金がなくても創業融資は受けられますか? A. 自己資金の考え方は制度の見直しで変更されることがあります。事業計画の内容やこれまでの経験によっては受けられることもあるため、日本政策金融公庫の窓口で確認することをおすすめします。

Q. 日本政策金融公庫と制度融資は両方申し込めますか? A. 事業者の状況によっては、組み合わせて活用できる場合があります。実際に併用できるかは、資金使途や金融機関の判断によって異なるため、事前に相談することをおすすめします。

Q. 補助金は開業前でも申請できますか? A. 制度によって、開業前から申請できるものと、開業後でないと対象にならないものがあります。対象時期は制度ごとに異なるため、公式サイトや商工会議所・商工会に確認することをおすすめします。

Q. 開業前でも融資の相談はできますか? A. できます。むしろ、事業計画がある程度固まった段階で相談を始めるのが一般的です。早めに相談することで、必要な準備や書類が分かり、スケジュールも立てやすくなります。

Q. 融資はいつ着金しますか? A. 申込みから審査、契約、着金まで、一般的に数週間程度かかることがあります。事業者の状況によって前後するため、余裕を持ったスケジュールで申込むことをおすすめします。


9. まとめ

飲食店の資金調達には、自己資金、日本政策金融公庫の創業融資、信用保証協会の制度融資、補助金という選択肢があります。日本政策金融公庫は自ら資金を貸し出す政策金融機関であり、制度融資は民間金融機関が貸し出し、信用保証協会が保証を付ける仕組みです。この違いを理解したうえで、事業者ごとの状況に合わせて使い分けることが大切です。

補助金は返済不要である一方、後払いが基本で、採択が保証されているわけではありません。開業資金の柱は自己資金と融資で組み、補助金は活用できたら助かるものとして位置づけることをおすすめします。

資金調達の相談先として、ドリームゲートの専門家相談も活用してみてください。 ドリームゲート専門家への相談はこちら

フェーズ1で開業準備を整え、フェーズ2で資金調達のめどを立てたら、次はいよいよ開業です。次回のフェーズ3では、開業後すぐに直面する資金繰りや売上管理、人材採用など、実際の店舗運営について解説します。


資金調達準備チェックリスト

  • [ ] 事業計画書のブラッシュアップ
  • [ ] 自己資金の確認
  • [ ] 日本政策金融公庫、制度融資、補助金の中から候補を検討
  • [ ] 認定経営革新等支援機関などへの事前相談
  • [ ] 必要書類の準備
  • [ ] 面談で説明する内容の整理
  • [ ] 融資の申込み・面談
  • [ ] 審査結果の確認、契約
  • [ ] 該当する補助金があれば、公募要領の確認と申請書類の準備
  • [ ] 資金の着金・入金確認

出典一覧

※本記事で紹介した制度の名称・要件・金額は、事業者の状況や時期によって変更されることがあります。実際の申込みの前には、必ず公式サイトまたは窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
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