【簡単】事業計画書の作り方|初心者無料フォーマット・記入例・ポイントを解説

この記事は専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「事業計画書の作り方がわからない」「何からはじめればいいか不安」という起業準備中の方も少なくないでしょう。本記事では、初心者でも迷わず事業計画書をつくれるよう、無料フォーマットと具体例を用いて手順を解説します
記事を読むことで、融資審査にとおりやすい、質の高い計画書を短時間で完成させられます。また、ドリームゲートの事業計画書作成無料サポートツールも紹介しています。ぜひ活用してください。

事業計画書とは|目的・必要性・メリット

起業や創業を検討している方にとって、事業計画書は避けては通れない重要な書類です。しかし、「なぜ必要なのか」「どんなメリットがあるのか」を明確に理解している方は多くありません。
ここでは、事業計画書の基本から作成する意義まで、わかりやすく解説していきます。

事業計画書の基本定義と役割

事業計画書とは、ビジネスアイデアを具体的な数字と戦略で表現した設計図です。金融機関や投資家は口約束ではなく、具体的な根拠に基づいた計画を求めています。また、経営者自身が事業の方向性を明確にするためにも不可欠な資料です。
事業計画書は、対外的な説明責任と内部の経営指針の両方を満たす重要な役割を担う書類といえます。

事業計画書をつくるメリット

事業計画書の作成は、事業の成功確率を大きく高めるための重要なプロセスです。計画を文書化することで、漠然としていたアイデアが具体的になり、課題や改善点が明確になります。また、客観的な視点で事業を見直すきっかけにもなります。
じっさい、以下のように事業計画書の用途は広く、作成することで大きなメリットを得られます。

メリット 内容
資金調達に有利 銀行や投資家など外部へ事業内容を説明する資料になり、事業の信頼性・将来性を示せる。
事業の方向性が固まる 事業内容・目標・課題を可視化し、経営判断や戦略の指針として使える。
販路・戦略明確化 市場分析や販路拡大方法、プロモーション施策を具体的に整理できる。
競合との差や強みがわかる 競合他社との差別化や優位性、課題の発見、競争戦略を立てやすくなる。
関係者と共有できる 認識のズレを防ぎ、仲間や協力者との合意形成や円滑な協力体制を築きやすくなる。
収益や経営管理がしやすい 資金繰りや収益構造を客観的に分析・予測でき、計画的な運営やリスク管理に役立つ。

事業計画書は、事業の成長や安定的な運営、事業関係者への信頼性向上など、多くの場面で役立つ戦略立案ツールです。

起業・創業時に必須となる理由

起業・創業時において事業計画書は、資金調達と経営の羅針盤として必須の書類といえます。日本政策金融公庫などの融資では、事業計画書の提出が推奨されています。

「会社案内」「決算書」「事業計画書」などお手持ちの資料をお持ちいただければ、より具体的なご相談に対応できます。

引用元:日本政策金融公庫|中小企業の方(最終閲覧日2025年9月4日)

法律上の提出義務はありませんが、融資審査の重要資料として事業計画書の提出を求められることがほとんどです。
また、スタートアップ期は不確実性が高いため、明確な計画なしには適切な経営判断ができません。起業成功のためには、事業計画書による綿密な準備と継続的な見直しが不可欠です。

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事業計画書の基本構成|必須項目と書き方解説

効果的な事業計画書をつくるには、必要な項目をもれなく含め、読み手が理解しやすい構成で書くことが重要です。ここでは、融資審査や投資家へのプレゼンテーションで評価される8つの必須項目について、具体的な書き方とポイントをわかりやすく解説していきます。
事業計画書に書くべき項目は、以下のとおりです。

  • 事業概要・ビジネスモデル
  • 経営理念・ビジョン・目的
  • 市場調査・競合分析
  • 商品・サービスの強み
  • 販売戦略・マーケティング計画
  • 収支計画・資金繰り
  • 経営者プロフィール・組織体制
  • 事業の実施スケジュール

事業概要・ビジネスモデル

事業概要は、ビジネスを一目で理解してもらうための重要な項目です。読み手は最初にこの部分を見て、事業の全体像を把握します。明確で魅力的な事業概要がなければ、詳細を読んでもらえません。記載すべき項目には、次のようなものがあります。

項目 内容・ポイント 記入例
事業内容 ・どのような商品・サービスを提供するか具体的に記述。
・単に「販売」「飲食店」などではなく、「何を」「誰に」「どのように」提供するかを明確にする。
▶〇〇県産の野菜、米、肉、魚を使用した「冷凍健康弁当」を企画、製造、販売。
▶栄養士監修によるメニュー開発で「栄養バランス+美味しさ」を両立。
▶自社ECサイトから全国配送(冷凍便利用)。
▶「レンジで温めるだけ」で健康的な食事が可能。
ターゲット顧客 ・サービスや商品を利用する顧客層を細かく設定し、そのニーズや属性(年齢、性別、地域、趣味・嗜好など)を詳細に書く。
・顧客の具体像を描くことで、事業の需要やマーケットの妥当性を示す役割も持つ。
▶共働き世帯(30〜50代)
仕事や育児で忙しく、自炊の時間が取れない家庭。
▶健康志向の独身者・高齢者。
糖質やカロリーを意識しつつ、簡便に食事を済ませたい層。
食の安全や地域産品にこだわる層。
▶地元食材や安心感を重視する顧客。
収益モデル ・どのように収益を得るかの仕組みを説明。
・販売価格、販売数、主な販売チャネル、顧客からの収入の流れを具体的に挙げ、収益の持続性や拡大可能性も示す。
▶収益源
自社ECサイトでの定期購入(サブスク型が中心)。
ふるさと納税返礼品としての出品。
▶価格帯
1食あたり 800〜900円。
5食セット 4,000円程度。
▶販売目標
初年度:月間1,000セット販売。
年間売上高:約4,800万円を想定。
▶強み
定期購入(リピーター)の増加による安定収益化。
事業の独自性 ・競合他社と比較しての強みや差別化ポイントを説明。
・サービス品質、価格競争力、マーケティング方法、顧客サポート体制など、他社にはない優位性を具体的に示し、なぜ顧客が自社の商品・サービスを選ぶのかを明確に伝える。
▶地域特産品の活用
〇〇県産の安心・安全な食材を使用。
▶専門家監修
栄養士がメニューを監修 → 他社との差別化。
▶農家との直接連携
仕入れコスト削減&地域経済の活性化。
▶顧客体験の強化
定期便利用者に栄養士コラム・レシピを配信し、
「食事提供」以上の付加価値を提供。

事業概要は、読み手の関心を引きつける「つかみ」の役割を果たす最重要項目といえます。

経営理念・ビジョン・目標

経営理念とビジョンは、事業の方向性と価値観を示す基軸となります。融資担当者や投資家は、経営者の想いや事業への本気度を重視します。明確な理念がある事業ほど、継続性と成長性が期待できるからです。たとえば、次のように記載します。

項目 記入例
経営理念 地域コミュニティの交流拠点として、人と人をつなぐ温かい空間を提供します。厳選した高品質なコーヒーと手づくりスイーツを通じて、お客様に心の安らぎと温かいひとときをお届けします。
ビジョン 5年後には地域でもっとも愛される年商1億円規模の3店舗展開を目指します。各店舗が地域の文化拠点として機能し、読書会やイベントを定期開催して地域活性化に貢献します。
目的(具体的目標) 3年以内に地域顧客満足度90%以上を達成し、月間売上500万円を安定的に確保します。地域のコミュニティスペースとして年間50回のイベント開催を目指し、地域住民の交流促進拠点になります。

経営理念やビジョン、目標は、具体的で情熱のこもった内容にすることで、事業への真剣さと実現可能性を伝えられます。

市場調査・競合分析

市場調査と競合分析は、事業の成功可能性を客観的に証明するために不可欠です。市場規模や成長性、競合状況を把握しないまま事業をはじめると、想定外の困難に直面するリスクが高まります。
市場調査と競合分析については、次のような内容を記載しましょう。

項目 内容 記入例
市場規模 市場の全体規模や成長率、過去数年の推移などを把握 市場規模は〇〇億円で、過去3年間で年平均〇%の成長を続けている。
市場トレンド 業界の最新動向や消費者のニーズの変化、技術革新の状況 消費者の健康志向の高まりにより、〇〇市場の需要が増加している。
ターゲット市場 主な競合企業名および事業内容、規模 主要競合はA社(市場シェア20%)、B社(25%)、C社(15%)。
競合の強み・弱み 各競合の製品・サービス、価格、販売チャネル、マーケティング特徴 A社は低価格戦略が強みだが、サービスの幅が狭い。B社は多様な商品展開が特徴。
競合の市場ポジション 競合ごとの市場占有率やターゲット顧客層の違い B社は高所得層向け、C社は若年層向けに特化。
競合のマーケティング戦略 広告手法、プロモーション、顧客接点(SNS活用状況など) A社はSNSを活用し若年層へのリーチを強化。B社はテレビCM中心の展開。
SWOT分析 自社・競合の強み・弱み・機会・脅威を整理し事業戦略を検討 自社は高品質と地域密着を強みとし、B社の低価格に対抗する差別化戦略を計画。
将来の市場環境 潜在的な市場の変化や規制、技術革新の可能性 2026年に新規規制が導入される予測があり、早期対応を検討している。

市場調査・競合分析をおこなう際は、目的を明確にし、信頼性の高い情報収集を心がけましょう。また、ターゲットと競合を絞り、体系的に分析し、調査結果を事業戦略に活かすことも重要です。綿密な市場調査により、事業の勝算を論理的に示せます。

商品・サービスの強み

商品・サービスの強みは、競合との差別化を明確に示す重要な項目です。顧客が「なぜあなたの商品を選ぶのか」を説明できなければ、事業として成立しません。独自性と価値提案を具体的に伝える必要があります。
次の要素を整理して、商品やサービスの強みを打ち出しましょう。

項目 内容 記入例
商品・サービスの内容 種類、特徴、構成比など 自家焙煎した多種類のスペシャルティコーヒーを提供し、ドリップ、エスプレッソなど多様なメニューを展開。
独自性・差別化ポイント 競合との差別化、技術的優位性、特許、独自の製法やサービス 独自ブレンドと低温焙煎による豊かな香りとまろやかな味わいを実現。産地直送のこだわり豆を使用。
セールスポイント 高品質、常に新鮮な豆の提供、バリスタの専門技術 焙煎後48時間以内の豆を提供し、経験豊富なバリスタによる淹れ方で差別化。
ターゲット顧客 主な顧客層の属性やニーズ 20〜40代のコーヒー愛好家や健康志向のビジネスパーソンを中心にターゲット。
競合比較 他店舗との比較で優れている点 周辺のチェーン店と比べ、品質・味・サービスの面で高評価を獲得。
顧客満足度・評価 利用者の評価データやリピート率 顧客満足度90%以上、リピーター率70%超えで安定的な売上を確保。
社会的責任・持続可能性 環境配慮の取り組みや地域貢献 フェアトレード認証豆を使用し、地域清掃活動にも積極的に参加。

多角的な強みを整理することで、商品・サービスの競争力を効果的にアピールできます。

販売戦略・マーケティング計画

販売戦略とマーケティング計画は、売上目標を達成するための具体的な施策を示します。優れた商品でも、適切な販売戦略がなければ売上は伸びません。ターゲット顧客にどのようにアプローチするかが、事業成功のポイントとなります
販売戦略やマーケティング計画は、次のような項目をまとめましょう。

項目 内容 記入例
販売目標 売上金額や販売数量、達成期限など具体的かつ数値で示す 初年度の売上目標は〇〇万円、月間販売数量は〇〇個を目指す。
販売チャネル 店舗販売、オンライン販売、代理店、卸売などの販売ルート 自社ECサイトと直営店舗に加え、主要百貨店への卸販売を展開。
販売方法・プロモーション 広告、SNS活用、イベント、キャンペーン、口コミ促進などの具体的な販促手段 SNS広告やインフルエンサーマーケティングを活用し、季節ごとのキャンペーンを実施。
ターゲット顧客 主な顧客層の属性・ニーズ・行動特性 20〜40代の子育て世帯や健康志向の高い個人客を中心に訴求。
価格戦略 価格設定の方針、競合比較、割引やポイントプログラムの有無 競合よりやや低価格に設定し、初回購入者への割引キャンペーンを提供。
販売促進計画 店舗内のディスプレイ、POP、試飲会など販売支援施策 新商品の試飲会を月1回実施し、店頭でのポップアップ広告を充実。
マーケティング分析 4P(Product, Price, Place, Promotion)分析や市場動向を踏まえた戦略 4P分析を踏まえ、商品の質を重視し適正価格で提供、販路拡大と多角的プロモーションで認知度向上を図る。
実行計画・スケジュール 販売目標達成のための具体的施策をいつ実施するか具体的に示す 開業3カ月前からSNS広告を開始し、月次でキャンペーンを展開。6カ月目に大型イベントを開催予定。

戦略的で具体的なマーケティング計画により、事業の実現可能性を高め、金融機関や投資家にアピールできます。

収支計画・資金繰り

収支計画と資金繰りは、事業の持続可能性を数値で証明する重要項目です。融資審査では返済能力がもっとも重視されます。売上予測、費用計算、利益計画が現実的で根拠のあるものでなければ、資金調達は困難になります
収支計画・資金繰りは、以下のような項目をまとめましょう。

項目 内容 記入例
売上高 月別・年別の販売予測、事業の収益見込み 初年度売上高800万円、2年目1,200万円を計画。
商品原価 売上に対応する原材料や仕入など 商品原価は売上の40%、原材料や仕入総額320万円を想定。
固定費 毎月発生する人件費・家賃・光熱費など 月間固定費は家賃15万円、人件費25万円、光熱費3万円。
変動費 売上に応じて変動する経費(仕入や配送費など) 売上増加にともない配送費が月額3〜5万円の範囲で変動。
粗利益 売上高から原価を差し引いた利益 粗利益は年間480万円(売上高800万円−原価320万円)。
営業利益 粗利益からすべての経費(固定費・変動費)を差し引いた利益 営業利益は年間180万円(粗利益480万円−固定費・変動費合計300万円)。
資金調達(借入金) 借入予定額・借入金利・返済スケジュールなど 日本政策金融公庫より300万円借入れ、年利2.5%、5年返済。
月別収支 月ごとの現金収入・支出の流れ 9月売上高65万円、原価26万円、固定費・変動費合計25万円、営業利益14万円。
損益分岐点 必要最低限の売上高、損益分岐点の算出 損益分岐点売上高は月48万円。達成に向けて販促を強化。

予測根拠(販売単価や販売数)、固定費・変動費細目、計算方法も記載すると、より信頼性の高い事業計画となります。

経営者プロフィール・組織体制

経営者プロフィールと組織体制は、事業を成功に導く人的リソースの信頼性を示します。事業計画がどれほど優れていても、実行する人材が不足していては成功できません。経営者の経験や組織の能力が、投資判断の重要な要素となります。

項目 記入例
経営者氏名・役職 代表者名:山田太郎 役職:代表取締役
最終学歴 1998年 〇〇大学経済学部卒業
職歴(業務内容) ABC株式会社(営業部長・10年勤務)、XYZ社(マーケティング部マネージャー)
保有資格・専門スキル 中小企業診断士、第二種電気工事士/飲食業界10年、店舗運営の実務経験
過去の事業経験 2015年カフェ起業し運営、2021年に売却。飲食店経営経験豊富。
事業関連スキル 店舗立上げ・チームマネジメント・顧客分析を得意とする。
組織体制 店長1名・バリスタ2名・経理担当1名体制。各自がコーヒー関連資格を保有し専門性が高い。
将来の人員計画 2年後に2店舗展開を目標、スタッフの研修制度を充実。

「経営者の経歴が事業にどう活きるか」「組織体制でどんな強みが発揮されるか」を事業計画に即して具体的に記載すると、金融機関や関係者への説得力が高まります。

事業の実施スケジュール

事業の実施スケジュールは、計画を現実的に実行するための工程表です。具体的なタイムラインがないと、いつ何を実行するかが不明確になり、計画倒れのリスクが高まります。段階的な進捗管理が成功の鍵です。
記載すべき内容と記入例は、次のとおりです。

時期・期間 実施内容・行動計画 記入例
開業6〜3カ月前 資金調達・事業計画最終確認・設備/備品選定 設備選定、必要資金調達、事業計画の最終確認。
開業2〜1カ月前 仕入先契約・Webサイト制作・販促準備 主要仕入先と契約、自社ECサイトとSNS公式アカウントを開設、販促資料を準備。
開業月 開業書類提出・初期在庫受取・販促活動開始 開業届提出、初期在庫の受け取り、SNSで開店情報を告知・販促活動開始。
開業1〜3カ月 サービス・販売開始・イベント出展・顧客フィードバック収集 ECサイト販売開始、試飲会・イベントへの出展、顧客からフィードバックを収集。
開業3〜6カ月 商品改良・新サービス展開 顧客の声をもとに商品改良、定期購入サービス開始。
開業6〜12カ月 販売チャネル拡大・販促強化・顧客管理体制整備 主要百貨店への卸販売開始、キャンペーン強化、顧客管理体制の整備。
開業後1年 売上・利益分析、商品ラインナップ拡充、リピーター獲得施策 月次売上分析、人気商品の追加、リピーター向けポイントキャンペーン実施。
開業2〜3年目 スタッフ採用・育成、事業拡大、販路・ブランド力の強化 新規スタッフ採用、店舗・事業拡大、販路拡大とブランド向上施策。

事業の準備段階から拡大まで、時系列で具体的な行動計画(マイルストーンや目標)を記載することで、実現性について説得力ある計画書となります
事業計画書をはじめて作成する方にとって、検討すべき項目が多く、むずかしく感じるかもしれません。ドリームゲートでは、事業計画書作成無料サポートツールを提供しています。業種ごとの事業計画書を、web上でかんたんに作成可能です。ぜひ一度お試しください。

融資・補助金に通る事業計画書の書き方のコツ5つ

審査担当者が重視する5つのポイントをおさえ、作成した事業計画書で融資や補助金の審査を通過させましょう。ここでは、じっさいの審査で評価される、説得力のある事業計画書の書き方のコツを解説します。
コツは次の5つです。

  • 読みやすく簡潔にまとめる
  • 具体的な数値と根拠を示す
  • リスク要因と対策を明確にする
  • 返済計画・資金繰りの現実性を伝える
  • 競合調査を十分に盛り込む

読みやすく簡潔にまとめる

読みやすい事業計画書は、審査担当者に好印象を与える重要な要素です。審査担当者は多数の書類を確認するため、わかりにくい文章は敬遠されがちです。簡潔で明確な表現を心がけることで、内容を正確に伝えられます
たとえば、次のような点に留意することで、読みやすさが大きく向上します。

  • 各項目の要点だけを整理し、長文にならないよう簡潔に記載する
  • 要点や結論を先に書き、ストーリー性や一貫性を持たせる
  • 箇条書きや見出しを活用し、構造化して視認性を高める
  • 文章だけでなく、図表やグラフも適宜使い情報を整理する
  • 専門用語は避け、誰が読んでもわかる表現にする

ポイントを意識することで、金融機関や投資家が一読して理解しやすく、説得力ある事業計画書になります。

具体的な数値と根拠を示す

具体的な数値と根拠の提示は、事業計画書の信頼性を左右する重要な要素です。抽象的な表現では審査担当者を説得できません。すべての予測や主張には、明確な根拠となるデータを示す必要があります
とくに、次のような項目では数値化や根拠を示しましょう。

数値化が必要な項目 悪い記入例 よい記入例
売上高・売上予測 売上は順調に伸びる予定で、将来的な市場環境の変化にも対応できるよう調整を考えている。 初年度売上800万円、月間平均約67万円を目指す。客単価1,200円、月間500人来店想定。
利益(粗利益・営業利益) 利益は出る見込みで、今後の状況を見て適宜見直していく予定。 原価率40%、年間営業利益150万円を計画。
販売数量・顧客数 多くの顧客に支持されることを期待している。 月間販売数500個、リピーター率70%。
市場シェア 市場での存在感を高めることを目標にしている。 初年度0.5%のシェア獲得を目標、3年目に1%へ拡大。
経費・コスト 経費は適切に管理する予定で、固定費や変動費の内訳については今後の状況に応じて調整。 家賃15万円、人件費25万円、広告費5万円。
投資回収期間・ROI(投資利益率) 投資により売上増が期待でき、投資回収の詳細やROI(投資利益率)の計算はこれからおこなう予定。 300万円投資により1年で回収見込み、ROIは15%。
リスク要因の数値的影響 リスク対策には努める方針。 不良率2%から1%に減少で年間コスト10万円削減予定。

売上予測などの項目は、根拠を積み上げて計算した数字(客数×単価×回転率×営業日数など)を示すことで信頼性が高まります。根拠となる調査結果や業界データも引用し、「なぜその数字なのか」を明確に説明しましょう。

リスク要因と対策を明確にする

リスク要因と対策の明示は、経営者の危機管理能力を示す重要な項目です。リスクを隠す姿勢は、逆に信頼を損なう可能性があります。想定されるリスクを正直に記載し、具体的な対策案を示すことで安心感を高められます

リスクの種類 想定リスク例 対応策の記入例
市場・外部環境リスク 競合の激化、顧客ニーズの変化、価格競争、法改正、自然災害、市場縮小 市場調査を継続し競合分析を実施。多様な販路展開で価格競争に対応し、法改正をモニタリング。災害時の対応マニュアルを整備。
経営資源・内部リスク 人材不足、技術不足、設備故障、資金繰り困難 採用活動と研修強化に注力し、技術継承を推進。設備メンテナンス計画を策定し、資金繰りは複数金融機関と連携してリスク分散。
技術リスク 新技術導入遅延、製品不良、ITシステム障害 技術導入計画を段階的に実行し、製品検査体制を強化。ITシステムはバックアップ体制を整え、緊急時の代替手段を準備。
法規制・コンプライアンスリスク 法改正による影響、情報漏洩リスク 最新の法令情報をチェックし、社内研修を実施。情報セキュリティ対策を強化し、漏洩時は速やかに対応できる体制を構築。

リスク要因を記載することで誠実性と現実性を示し、審査側の信頼を獲得しやすくなります。単にリスクを列挙するのではなく、具体的な対策や準備内容を示すことが大切です。

返済計画・資金繰りの現実性を伝える

返済計画と資金繰りの現実性は、融資審査でもっとも重視される項目です。楽観的すぎる計画は、返済能力への疑問を招きます。保守的で実現可能性の高い計画を示すことで、貸し手の信頼を得られます
現実的な計画を示すために、以下のポイントをおさえましょう。

  • 売上入金や支払予定を月別に詳細に計算し、現金残高の推移を明示する
  • 計画とじっさいの資金の動き(資金繰り計画)が矛盾しないよう整合性をとる
  • 返済期間や返済額を現実的に設定する
  • 資金調達の方法と調達額の妥当性を説明する
  • 資金リスクを想定し、資金繰りや返済計画の見直し策も記載する

とくに、黒字化までの期間と必要資金額は、複数のシナリオを想定し、もっともきびしい条件でも返済可能であることを証明しましょう。

競合調査を十分に盛り込む

競合調査は、事業の実現可能性と差別化戦略を証明するために不可欠です。分析が不十分だと、市場を理解していないと判断されます。詳細な競合調査により、自社の競争優位性を客観的に示せます
競合調査を事業計画書に十分に盛り込むためのポイントは、以下のとおりです。

  • 競合を定量的(市場シェア・売上高など)に捉え、客観的分析をする
  • 目的や自社の強みを明確にし、検証する項目を絞って調査する
  • 競合の強みと弱みを比較し、自社の差別化ポイントを明確にする
  • 競合の販促手法や集客チャネルを具体的に記載し、自社の戦略づくりに活用する
  • 競合との差別化戦略につながるデータや考察を併記する

たとえば、「競合A社は価格が安いが品質に課題がある。弊社は20%高価格だが、顧客満足度で15%上回る」など、具体的なデータで差別化ポイントを説明します。
競合分析は自社の市場での立ち位置理解と戦略策定に不可欠なため、しっかりと調査し、計画書に具体化することが成功の鍵です。

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事業計画書作成でよくある失敗例と改善方法

事業計画書の作り方で、多くの起業家が陥りがちな落とし穴があります。わかりやすい事業計画書を作成するには、失敗パターンを事前に把握することが重要です。ここでは、事業計画書でよくある失敗例と改善方法を解説します。
よくある失敗例は、以下のとおりです。

  • 売上予測が非現実的
  • 競合分析が不十分
  • 資金計画に余裕がない
  • 事業の独自性が不明確

売上予測が非現実的

事業計画書で多い失敗は、過度に楽観的な売上予測を立ててしまうことです。根拠のない売上予測は、金融機関や投資家の信頼を失う原因となります。市場規模を過大評価したり、競合の影響を軽視したりすると、現実離れした数値になってしまいます

悪い記入例 よい記入例
初年度の売上は月商200万円を目指しており、業界トップクラスの売上実績を3カ月で達成する予定です。競合も少なく市場は右肩上がりで成長しています。広告費はできるだけおさえ、口コミのみで集客が伸びるため費用対効果も抜群です。 初年度の売上目標は月商200万円とし、競合5社の平均月商150万円を基に立地や顧客層の類似性を考慮して算出しました。市場は緩やかに成長中で、SNS広告や地域イベントを活用した集客を計画。客単価1,200円、月500人の来店を見込み、初期3カ月は口コミやプロモーションに注力。広告費は月10万円を予定し、効果を常に分析しながら調整します。リスクには競合新規参入や市場変動を想定し、迅速な価格調整や新商品投入で対応します。

悪い例では、審査で「非現実的」「根拠が薄い」と判断されやすく、融資や補助金申請の評価を下げます。現実的な売上予測は、競合調査や市場データ、過去実績を基に算出し、リスクと対応策も明示することが重要です。

競合分析が不十分

競合他社の調査不足は、事業計画書の重大な欠陥となります。競合分析が浅いと、自社の強みや差別化ポイントが不明確になり、市場での立ち位置を正確に把握できません。投資家は競合環境を重視するため、分析不足は資金調達の大きな障害となります。
「競合調査を十分に盛り込む」の項で解説したようなポイントをおさえ、多角的な競合分析を実施することで、説得力のある事業計画書を作成できます。

資金計画に余裕がない

資金繰りに余裕のない計画は、事業継続に大きなリスクをもたらします。初期投資や運転資金を過小評価すると、予期しない支出や売上遅延に対応できません。とくに創業期は、計画通りに進まないことが多いため、十分な資金的余裕が必要です

よくある失敗例 改善策
必要資金の見積もりが曖昧で、運転資金や経費の具体的積み上げが不足している。 必要経費を項目ごとに具体的に算出し、運転資金の確保や支払い時期を明確にする。
売上入金までのキャッシュフローを考慮せず資金繰りが破綻しやすい。 売上と入金遅延を想定したキャッシュフロープランを作成する。
自己資金が少なく、調達可能な融資額や資金調達手段の検討が不十分。 資金調達計画を具体的化し、自己資金比率や融資先、補助金利用の見込みを明示する。
収支計画とのバランスが悪く、過度な投資に対して売上が見合っていない。 収支計画と資金計画の整合性を確認し、無理のない返済スケジュールを組む。
緊急予備資金がなく、突発的な支出に対応できない。 緊急資金の確保やコストカットなど、リスク管理策を盛り込む。

無料フォーマットを活用して詳細な資金計画を立て、リスクに備えた余裕のある設計を心がけましょう。

事業の独自性が不明確

事業の差別化ポイントが曖昧な計画書では、金融機関や投資家の関心を得づらくなります。独自性が不明確だと、なぜ事業が成功するのかを説明できません。競合との違いがわからなければ、市場での優位性を証明することも困難です。

よくある失敗例 改善策
他社のビジネスモデルやサービスを真似ただけで、自社ならではの特徴や強みが示せていない。 自社の強みや独自の価値提供ポイントを明確に言語化し、競合との違いを具体的に示す。
事業のコンセプトが曖昧で、なぜ市場で勝ち残れるのか説明が不十分。 他社にはないサービスの特徴や新しいビジネスモデルを明確に打ち出す。
顧客ニーズや市場の課題理解が浅く、自社の解決策が明確でない。 顧客の課題とニーズにフォーカスし、対する具体的な解決策やメリットを提示。
独自技術やノウハウ、経験が具体的に示されておらず、差別化が弱い。 創業者の経験や保有技術、市場調査データなど根拠データとともに独自性を説明する。
専門用語や抽象的な表現ばかりで、具体的な強みが伝わりにくい。 わかりやすい言葉と具体的なエピソードや数字をで裏付ける。

事業の独自性を明確に示すことで、事業の魅力と成長可能性を説得力をもって伝えられます。

【無料】事業計画書テンプレート|業種別フォーマットあり

事業計画書の作り方で悩む初心者の方に、無料で利用できる優良なフォーマットとサポートツールをご紹介します。わかりやすい記入例つきのテンプレートを活用することで、効率的に質の高い事業計画書を作成できます。各ツールの特徴を理解して、自社に最適なものを選択しましょう。
紹介する無料の事業計画書テンプレートは、以下のとおりです。

  • ドリームゲートの無料サポートツール
  • 日本政策金融公庫の事業計画書テンプレート
  • J-NET21の業種別フォーマット
  • 使いやすいWord・Excel記入例

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ドリームゲートは、起業家向けの包括的な事業計画書作成支援を無料で提供しています。経済産業省認定の起業支援サイトとして、豊富な実績とノウハウを基にした実践的なツールを展開しています。単なるフォーマット提供だけでなく、専門家による個別相談も受けられるため、初心者でも安心して利用できます
ドリームゲートの無料サポートツールの特徴やメリットは、次のとおりです。

  • web上のかんたん操作で、融資申込みに使える創業計画書と収支計画表をスピード作成
  • 12業種の適正数値を初期設定しており、計画の健全性を自動チェック可能
  • 作成した計画はExcelでダウンロードOKで、ブラッシュアップに最適

起業初心者でも効率的かつ信頼性の高い事業計画書を無料で作成できるため、融資申請や経営計画の土台づくりに最適です。

日本政策金融公庫の事業計画書テンプレート

出典:日本政策金融公庫

日本政策金融公庫のテンプレートは、融資申請に最適化された実用的なフォーマットです。金融機関が求める項目や評価ポイントを踏まえた構成になっており、融資審査で重視される要素がしっかり盛り込まれています
公的機関が提供する信頼性の高いテンプレートとして、多くの起業家に活用されています。特徴は以下のとおりです。

  • 公庫の融資審査で重要視される必須項目が網羅されており、書きやすく審査にとおりやすい構成
  • 公式サイトからテンプレートをダウンロード可能
  • 項目ごとの具体的な書き方やポイント、成功事例が充実しており、初心者でも迷わず作成できる

資金調達を重視する事業計画書の作り方では、日本政策金融公庫のフォーマットが有力な選択肢となります。

日本政策金融公庫 事業計画書テンプレートはこちら

J-NET21の業種別フォーマット

出典:J-Net21

J-NET21は中小企業基盤整備機構が運営し、業種特化型の詳細なフォーマットを提供しています。各業界の特性や課題を深く分析した専門的なテンプレートにより、業種固有の重要ポイントを漏れなく検討できます。豊富な統計データや市場分析資料もあわせて利用できるため、説得力のある計画書作成が可能です。
J-NET21の業種別フォーマットの特徴は、次のとおりです。

  • 200以上の業種・職種ごとに、市場動向から開業に必要な手続き、資金例、収益シミュレーションまで網羅
  • フォーマットと具体的な記入例がセットで、はじめてでも迷わず作成可能
  • 補助金や助成金など支援制度の情報も豊富に掲載

わかりやすい業種別アプローチで事業計画書を作成したい方には、J-NET21のフォーマットがおすすめです。

J-NET21の業種別フォーマットはこちら

使いやすいWord・Excel記入例

Word・Excelベースの記入例は、カスタマイズしやすく実用性の高い選択肢です。多くのビジネスパーソンが使い慣れたソフトウェアを使用するため、操作に戸惑うことなく作成に集中できます。
テンプレートを基に自社の特性に合わせた修正や追加が容易で、プレゼンテーション資料への転用も簡単です。Word、Excelには、それぞれ次のようなメリットがあります。

ソフト メリット
Word ・文章・ビジョンの説明がしやすい。
・デザインやレイアウトが自由
・文書全体の統一感や、オリジナリティを出しやすい
Excel ・表や数値情報の入力・整理・可視化に向く。
・売上・コストなどの複雑な計算や趣味レーションが手軽にできる。
・見やすい表やグラフを簡単に作成できる。

柔軟性と使いやすさを重視するなら、Word・Excelでの作成が効率的といえます。PDFとして簡単に出力できることも、メリットのひとつです。

無料テンプレートを使って事業計画書を作成しよう

事業計画書の作り方は、適切なフォーマットと記入例があれば初心者でも習得できます。わかりやすいテンプレートを活用し、失敗例を避けながら段階的に進めることで、投資家や金融機関に評価される計画書が完成します
本記事の内容を参考にしながら、あなたの事業アイデアを具体的な形にしてみてください。質の高い事業計画書は、夢の実現への確実な第一歩となるでしょう。

執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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