音楽業界の救世主となるか!?ライブ定額サービス「sonar-u(ソナーユー)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

アーティスト、ファン、ライブハウスの三方良しの完全定額制「ライブ行き放題」サービス。
展開している事業・特徴

20150928-1音楽産業は生き残りをかけた暗中模索のまっただ中だ。最盛期といわれている1998年には約6000億円(※)あった音楽ソフト(CD、レコード等)の生産額は、2014年には約2500億円(※)と、その低迷は著しい。
※) 一般社団法人 日本レコード協会|各種統計より

低迷の原因はiTunesなどによるDL販売などに加えて、最近では、国内サービス「AWA」、「LINE MUSIC」、「Google Play」といった定額制配信サービスが登場し、さらなる競争が進んでいる。

そんな音楽業界の救世主的存在になりそうなのが、「sonar-u(ソナーユー)」という完全定額「ライブ行き放題」というサービス。2015年6月にプレオープンし10月にサービスイン予定で、日本初の取り組みだという。

近年、CDが売れないかわりに収益確保の場として注目されているのがライブである。それを証明する数字として、ここ数年の音楽産業の低迷に反し、公演数は年々増加。 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の調べによれば、2007年のライブ年間公演数は14,435本だったのに対し、2014年では27,581本と7年間で約2倍に成長している。

そこに目をつけたのが「sonar-u(ソナーユー)」であり、サービスの仕組みはこうだ。

まずアーティストとオーガナイザーと呼ぶライブハウス運営会社をつなぐ。提携アーティストと提携オーガナイザーの双方合意のもと、公認オーガナイザーが運営するライブ(U-liveと呼ぶ)に出演する。

従来、ライブハウスでライブを開く際、アーティスト側には“チケット販売ノルマ”が重い負担だったが、「sonar-u(ソナーユー)」が仲介した際にはノルマは一切無く、純粋にライブのクオリティー・演奏に集中できる。結果、良質なライブが行える事でファンを増やすことができる。

一方のライブハウスにとっても、「sonar-u(ソナーユー)」が集客してくれる事が魅力だ。イベント開催のためのアーティスト確保も容易になり集客の期待もできる。そしてなにより、「サービス利用料は発生しない」というのも大きい。

また、「sonar-u(ソナーユー)」の提携アーティストの出演がなくても「sonar-u(ソナーユー)」の会員が入場できるU-liveに設定する事ができる。
アーティストだけに集客を頼らないモデルができる事はアーティストにとってもライブハウスにとっても喜ばしい事だ。

対するアーティストのメリットは、サポートユーザーの獲得にある。同サービスではサポーター制度を設けており、特定のアーティストとの距離を縮めることもできる。いわゆるファンクラブの役割だ。

一般登録ユーザーは、月額1,600円(税別)でライブに行き放題で、好きなアーティストがいれば金額を気にせず通える。もしくは気になる音楽のお試しといった使い方もある。

音楽業界に夢を! 音楽への情熱と自身の体験から、ビジネスモデルを構築。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150928-2同サービスのアイデアを構想し事業化した、株式会社ソナーユーのサービス開発部 部長である髙松 友治氏。

もともとは自身もミュージシャン(ドラマー)として、MSエンターテイメント所属のアーティストだった。AKB48のユニットのサポートなども行っていた腕利きのミュージシャンであったが、音楽業界で生き残る難しさや業界動向に対する違和感から、ビジネスパーソンへの転向を決意。コールセンタービシネスで上場も果たしたアクトコール社に入社した。

しかし、音楽への情熱は変わらず、入社7年目に立ち上がった同社の新中期事業計画に提案したのが、現在につながる音楽事業だったという。

コールセンターと音楽サービスという、まったくの畑違いということもあり、可決までに4回の提案を行ったそうだが、髙松氏の熱い思いが伝わり、やるならば妥協なくという会社の意向もあり、ソナーユー社が設立された。そうして、約1年をかけてサービスのローンチに漕ぎ付けた。

髙松氏はこう語る。「自分がプレーヤーとして関わり、かつ音楽産業、業界を肌で感じてきて、たくさんの思うところがありました。いちばんは音楽業界が消費者に夢を持たせづらくなってしまったこと。音楽は生活に関係はありません。しかし、本来は子どもや将来を見据える人たちに多くの感動を与えるべきものだと思っています。しかし、業界を俯瞰すれば、よい腕を持っていながら食えない、評価されないアーティストがたくさんいる。それでは、夢も何も生まれない。そして、ライブハウス。ライブハウスには、日本独自とも言えるノルマ制という習慣があります。単独での集客が難しいがゆえの制度ですが、アーティストに対しては負荷となり、またそれ自体が一見客を呼び込めなくしている一因だと考えています。このような、負のサイクルとも言える環境をまず何とかしたいと思い、sonar-uのモデルに至りました。」

現在、40組のU-artistがおり、提携を希望するアーティストからの問い合わせも多いそうだが、思想を共有し共に夢を追いかける仲間として提携できるか判断しており、断っている事も多い。前述したsonar-uのサポーター制度には、サポートユーザーの月額費の一部がアーティストに還付される仕組みがある。仮に2,000人のユーザーがサポーターになると、アーティストは月に104万円、年に約1,200万円の収益が望めるそうだ。

提携しているライブハウスは東京・大阪を中心に約40ヶ所。新しい集客ツールとしてライブハウス側の感触は良好だという。

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将来への展望

髙松氏に今後の展望を伺ったところ、まずはU-artistの拡充が急務という事で、2015年内に100名の在籍を目指しているという。そのため、音楽プロダクションへの営業にも力を入れており、すでに数社との提携が決定し、具体化作業が進行中との事だ。

プロダクション側としても、若手アーティストが活躍できる場として活用したいなど、同サービスへの注目度は高いという。

一般ユーザーへの浸透については、きめ細やかなライブ情報の発信のほかに、ライブのレビュー機能を活用していく構え。これは、口コミをSNSで拡散してもらい、知名度を上げていくという戦略だ。ユーザー登録については、2015年内に東京・大阪で約2,000人を見込んでいる。

さらに、海外展開についても予定しており、計画を煮詰めている最中だ。まず、訪日外国人が一気に増える事が予想される2020年の東京オリンピックまでに外国人へのリーチを強化、認知度向上を目標としており、2020年以降に一気に海外展開を図る計画だ。

取材の最後に髙松氏から、「音楽は人に夢を与えるエンターテイメントであり、音楽サービスは、業界をよりよくするものであるべき」というコメントを頂いた。

株式会社ソナーユー
代表者:平井 俊広氏
事業責任者:髙松 友治氏
設立:2015年6月
URL:
http://sonar-u.com/
スタッフ数:
事業内容:ライブ行き放題サービス「sonar-u」の開発・運営

当記事の内容は 2015/10/1 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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