南青山などに店舗を構え、ハワイにも進出予定の楽観。「料理冒険家」が描く和食の未来。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

南青山、武蔵小山など激戦区で、人気和食店を成功。ポイントはスタート時からのブランド戦略
展開している事業・特徴

20150901-1飲食店激戦区の西麻布からスタートし、武蔵小山や立川で人気のラーメン店「楽観」。「世界に発信できる日本食を」というコンセプトに、鰹節、煮干し、昆布とすべて国産にこだわり作り上げた。麺もオリジナルだ。

さらに2015年3月にはやはり激戦区である南青山に「おだしと野菜」をコンセプトにした和食店「アルス南青山」をオープンするなど、飲食店ビジネスを手がける株式会社 楽観。

2011年6月に個人事業としてスタートし、2015年1月には法人化。2015年8月時点で、同社のスタッフ13名ほどで、そのうちフルタイムが10名という規模だ。さらに2015年秋口から2016年初頭にハワイにも店を開く計画を進めている。

ハワイ以外にも積極的に海外進出する予定で、サンフランシスコ、ロス、そしてNYへの進出と、さらにイタリアやバルセロナなど欧州への進出も視野に入れている。

飲食店というと、キツイ・辛い・苛烈な競争で廃業率も高いなどのイメージもあるが、やり方自体では日本はもちろん、海外市場も狙えるビジネスである。

今回のスマビ総研は特別篇として、本物の和食を世界に広めることを目標に飲食ビジネスを展開・成長させている、株式会社 楽観代表で「料理冒険家」こと伊東 良平氏の挑戦をご紹介したい。

ちなみに伊東氏は、ドリームゲートがかつて渋谷に展開していた起業スクール「ドリームゲート・カレッジ(※1)」の卒業生である。当時まだ19才と若かった伊東氏にとって、数十万の「学費」は大きな負担だったが、ローンを組んで工面したそうだ。

「ドリームゲートカレッジでは、カフェ&ダイニングコースを受講していました。私のとったコースは3か月間で、1クラス15名くらいでした。カレッジは良い意味で学校っぽくなかったです。とにかく野望のある人達が集まっていて、みんなモチベーションが高く、楽しかった。あのスクールで学んだおかけで、単に飲食店を開くというより、経営を戦略的に考えて実行する力がつきました。そこから、今の楽観ブランドの作り方や人材育成、海外展開など、現在の事業構想につながっています。」

※1)ドリームゲートカレッジは2005年8月~2008年2月、渋谷にあったスクール。累計で300名超の卒業生がいる。

ピースボートで地球を2週。40~50か国の料理を食べ歩き、世界に本物の和食を広げるべく起業。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

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伊東氏は八王子の調理学校、デザイン学校を卒業後、立川のスペイン料理屋でコックとして働いていた。料理人として独立することを考えていたが、それ以外にも夢があった。それは「世界を見てまわること」。

その夢を実現すべく、まずは3か月かけて日本一周をした後、ピースボートにコックとして乗り込み、地球を2周した。ピースボートの乗員は1000名ほどで、国籍も多様。それらの食事を作るコックは40名ほど。日本のコックは伊東氏を含めて3名ほどだったという。毎日さまざまな料理を作り、最終的には船内に居酒屋まで開いたという伊東氏。ピースボートでまわった国は40~50か国にもなり、それらの国々の料理も食べ歩いた。そうした経歴から、「料理冒険家」と名乗るようになった。

世界をまわる経験で得たのは「世界中に和食は浸透している」という事実。今や世界中に和食レストランがあるが、実は経営者は中国人や韓国人というケースも多く、日本人からすると「なんじゃこりゃ」という和食が提供されている事も少なくない。「ならば自分が本物の和食を世界に広げたい」という想いが、起業・独立するにあたっての基本理念となった。

「日本人がきちんと和食を世界に発信している環境を作ること」が伊東氏の目標だ。

その目標を実現するべく、2011年6月にわずか2坪4席という極小のラーメン店を西麻布に開いた。西麻布は言わずと知れた人気エリアで、賃料水準も都内随一である。競合となる飲食店がひしめく超激戦区エリアだが、そこにあえて出店したのは「ブランド」作りの狙いがあった。

2坪4席という狭小店舗ながら「こだわりの店」として、テレビなどをはじめ、さまざまなメディアにたびたび取り上げられた結果、「楽観」ブランドは好スタートを切った。

2012年6月には立川、2014年6月には武蔵小山にも進出。順調に経営規模を拡大している。

さらに2015年3月、南青山に「おだしと野菜」をコンセプトにした和食店「アルス南青山」をオープン。自然のおだしを基本とした和食料理とオーガニックワインなど種類豊富なお酒が楽しめる、大人向けの落ち着いた飲食店だ。

飲食業は過酷というイメージを払しょくし、世界に和食を広げる人材を育てる。
将来への展望

20150901-3伊東氏にこれからの展望を伺ったところ、当面の経営課題は人材確保だという。ここ最近の景気回復や、若年人口の減少により、特に飲食店や小売店などは深刻な求人難、人材不足にあることはニュースなどにもなっている。

飲食店で働くこと自体に、長時間労働で、肉体的にも辛い仕事で、という過酷なイメージがついている。伊東氏はそうした固定観念を覆すため、完全週休2日制、実働9時間を実施している。そうした好条件によって良質な人材を集めている。それも、いずれは海外展開を狙っていく同社にとって、海外で和食を広められる人材を育てていくことが、重要な経営戦略になっている。つまり単なる作業者、コックではなく、和食という文化を広めていくという意識、海外で飲食店を切り盛りできる「経営者」としての料理人を増やすことが、伊東氏が現在挑戦している事だ。

2013年12月に「和食」は世界文化遺産登録され、これからの日本にとって重要なコンテンツ、資源そのものである。本物の和食を世界に広げる伊東氏の挑戦に、これからも注目していきたい。

株式会社 楽観
代表者:伊東 良平氏 設立:2015年1月
URL:
http://rakkaninc.com/
スタッフ数:13人
事業内容:
ラーメン店「楽観」、和食料理屋「アルス南青山」の運営。

当記事の内容は 2015/9/3 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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