東大や早大などに在籍する外国人留学生に特化した人材紹介サービスに大企業が注目! 手掛けるのは東大院からユニセフ、ゴールドマン・サックス、JICAとグローバルに活躍してきた女性起業家

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

外国人留学生と日本企業を、そして日本と世界をつなぐ人材紹介サービス「アクティブ・コネクター」
展開している事業内容・特徴

赤道直下に浮かぶ孤島、ガラパゴス。長らく外敵の侵入を受けず、独自の進化を生物は遂げた。しかし、19世紀以降、侵入した外来種や人間に対してなす術も無く、絶滅の岐路に立たされているという。

かつての日本といえば、高性能、多機能な製品を次々と生み出し、その優れた技術は全世界をリードしながらも、いつしかグローバル化の流れの中で孤立し、「ガラパゴス化」などと揶揄されてきた。

20140418_3インターネットの普及、IT産業の興隆などから、グローバルなスケールで世界経済が動くその中、なかなかグローバル化の波に乗れない日本経済。国際競争に生き残るために求められているのは、独自の進化を続けることではなく、世界をよどみなく享受し多様性を持つことではないだろうか。

このような背景から、最近注目を集めている人材紹介サービスがある。それが今回紹介する「アクティブ・コネクター」だ。概要は、いわゆる従来の人材紹介と同様だが、登録されている人材がポイント。

2013年9月からスタートした同サービス。紹介している人材は外国人留学生だ。2014年5月時点で登録学生は450人ほど。そのほとんどが、東京大学や早稲田大学、東京工業大学といったトップ校で、約60%は東大生だ。また、修士、博士の割合も多く、50%が修士号となっている。文系・理系の別でいえば、約60%を理系で、残りの文系においても経済学、経営工学、MBA・経営戦略など、ビジネスの場で求められる即戦力な人材が多い。

国籍も多岐にわたり、ヨーロッパ22%、東南アジア15%、中国14%、南アジア11%、アフリカ11%、アメリカ9%となっている。

一方の企業においては、ダイバーシティ(多様性)が重要であると考えて、真剣にイノベーションを求める企業が同社のサービスを利用している。2014年5月時点で登録社数は約30社。各社から、さまざまなプロジェクトの求人案件が提示されている。

現在、マッチングが成立しているのは約20案件。内訳は大手コンサルティング会社や上場したベンチャー企業、IPO準備に入ったベンチャーなどの新進気鋭の企業から案件が多い。

「世界を変える!」 13歳にして抱いたマインドが、アイデアそして起業につながった
ビジネスアイデア発想のきっかけ

order-2同サービスを運営するアクティブ・コネクター株式会社の代表取締役 松本麻美氏は、東大院卒、ユニセフ、ゴールドマンサックス、素晴らしいキャリアと行動力を持つ若き女性起業家だ。

松本氏が「世界を変える」と決意したのは、若干13歳の時。

開発援助の仕事をしたい・将来は国際人としてユニセフで働きたいという夢を抱いた松本氏。それを実現させるべく、まず16歳で単身渡英。約80カ国から生徒が集まり、世界のチェンジメーカーの育成を教育理念とする国際学校として知られるユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)で学んだ。次にカナダの大学に進学し、フランス語の習得と学業を修めた。また、在学中にAIC なるインドのストリートチルドレンの孤児院を運営する団体を設立し活動を行っている。

帰国後は、東京大学大学院教育学部に進学し、在院中にユニセフのインターンでアフリカに赴任。ガーナで援助事業に携わり、中学生で描いた夢を現実のものとした。

その後、松本氏は世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスに入社。同社勤務を経て、パキスタンへ単身赴任しNGOのプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトの実質上の現地の代表を務めた後、JICAのパキスタン案件に関わった経験で、ビジネスを強く意識した。

「発展途上国と呼ばれる国で開発援助を行うことに興味を持ち、これまで歩んできたのですが、パキスタンでの活動を通して気づいたことがあります。それは、世界から日本を見たときに、日本はなんて活気がない国なんだろうかということ。また、パキスタンだけではなく各途上国のマーケットを見渡しても、広く定着している日本製の製品やサービスがないということも。この元気のなさや、世界に浸透しない日本の産業に対して危機感を覚えました。そして、強く思うようになったのが、世界と日本をつなぎ、双方を豊かにできるような活動をしていきたいということです。その活動の場として、ビジネスが有効であると考え起業を決意しました」

そうして松本氏は新たなスタートを切った。事業を模索する中で、外国人留学生から聞いた悩みから、アイデアを閃く。

「日本に来て学び、日本と母国、ひいては世界をつなげたいと本気で考えている優秀な外国人留学生はたくさんいます。しかし、就業体制違いなど、さまざまな壁があり、その思いをなかなか遂げられない留学生が少なくなかった。そこで、留学生と企業とを、うまくマッチングできないかと思い立ち、また、そのようなサービスを展開していけば、世界と日本を元気にすることにもつながると確信しました。そして、『ダイバーシティを通じたイノベーション』をコンセプトに誕生したのがアクティブ・コネクターです」

そうして、松本氏のビジョンに共鳴した共同創業者である堀越氏の2人で起業を決意。貯蓄から500万円を捻出して資本金にあて、2013年5月にアクティブ・コネクター株式会社を設立した。

はじめは事業計画の作成方法もわからず、他を読みながら試行錯誤の毎日だったという。また、当初立てていた事業計画も、いざサービスをリリースしてみると考えていたような反応がない…。起業前に思い描いていた計画や市場調査の結果は、あくまで建前ベースで、本当のニーズに立脚していなかったと身に染みて感じた。

しかし、周囲に松本氏の想いを理解してくれる大人が少しづつ増えてきて、外国人留学生の人材紹介事業はなんとか軌道にのりはじめた。ここまでにいたる苦労話を、松本氏はこう語ってくれた。

「留学生に限っては口コミで順調に人数が集まっていきました。当初の予定より難航したのが、登録企業の獲得です。さまざまにコンタクトを取りましたが、登録まで至らないケースが大半。グローバル人材を求める企業は多いと聞いていたので、スムーズにいくのではと考えていたので想定外でした。ただ、幸いにして確たる実積とコネクションを持つアドバイザーが当社の考えに賛同してくれ、そこからの紹介で徐々に登録社数を伸ばすことができました。」

創業してから約1年。従業員はインターンを含め6名に増え、エンジェル投資家からの投資も受け、資本金も拡充した。サービスの一層の普及を図れる盤石な基盤が整いつつある今、同社は更なる成長を目指してさまざまな打ち手を準備中だ。

グローバル人材によるイノベーション事例を拡大させ、日本企業にダイバーシティの浸透をめざす!
将来への展望

今後の展望を伺ったところ、当面は登録留学生と企業の獲得に注目し、ショーケースとなる実績を積み上げていく事が課題だ。

また、ダイバーシティを通じたイノベーションが、グローバル・スケールの事業展開には必要不可欠であるという “気づき”を、日本の企業が認識できるような新サービスも計画している。

くわしくは書けないが、すでにベンチャーキャピタルとも話を進めており、アクティブ・コネクターの事例との相互作用によって、グローバル化に向けたダイバーシティの重要性の啓蒙を推進していく構えだ。

また、直近の取組みとして、「Diversity×Innovation」と題したイベントを2014年6月7日に開催する。このイベントは日本マイクロソフト社とタッグを組み、外国人留学生と日本人学生、それぞれ20人が集い、「タブレット・デバイスを活用したグローバルに通用するサービス・アイデア」をテーマに行うコンテストというもの。まさにダイバーシティからなるイノベーションの序曲として相応しいものである。
イベントの詳細はこちら:http://diversityxinnovation.active-connector.com

国が2000年に打ち出した「IT基本戦略」の中で、「高度人材」と呼ばれる世界に通用する技術者やスペシャリストの外国人の獲得が推奨された。また、以前から有識者や事業者の間でダイバーシティの重要性について論じられてきた。

しかし、フタを開けてみれば、未だ企業の高度人材の導入率は先進国で最下位。就業体制、言語、習慣、文化の違いなど、さまざまな要因が考えられるが、日本人のみで思考し行動することを望む、“精神的な鎖国”というような風潮があるのかもしれない。

そうであれば、根深い問題と言えるが、しかし、グローバル化の流れの中では、かつての明治維新のように否応なく“開国”せざるをえなくなるだろう。

同サービスは日本企業の開国を促し、新たな活気と息吹を与えてくれると期待したい。

アクティブ・コネクター株式会社
代表者:松本 麻美氏 設立:2013年5月29日
URL:
http://www.active-connector.com/company/
スタッフ数:6人
事業内容:
・有料職業紹介
・コンサルティング

当記事の内容は 2014/5/22 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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