自室の写真の投稿が5カ月で2万5000枚突破! 新感覚SNS「RoomClip」

企業紹介

執筆者: 服部 匡志

女性に大人気! 自分の部屋を撮影して投稿するSNS
展開している事業内容・特徴

tunn-el1今回ご紹介する「RoomClip」というアプリ。自分の部屋の中を簡単に1冊の写真集にできるというもので、気に入った部屋のレイアウトから、家具、雑貨など部屋にあるものをすべて写真に撮って掲載。掲載された部屋写真からいろいろな人とつながることを目的としたSNSだが、インテリアファン層に特化しているという点が「RoomClip」のポイントだ。

そう、「RoomClip」は、これまで一般的なブログやSNS上などで自分の部屋の様子を紹介していたインテリアファン層が集まれる場所として、様々な家具や雑貨などの写真が掲載されている。当然、インテリアファンは他人の部屋が気になるもの。そこにある可愛らしい雑貨やオシャレなインテリアに注目が集まる。そうやって自然と注目を集めていくことで、商取引が発生することも狙っている。

もうひとつ、「RoomClip」が人気な理由としては、ユーザ・インターフェースの利便性にある。使い方が極力簡素化されていて、とても簡単に気に入った写真をアップできるのだ。サービスインをしてまだ5カ月にもかかわらず、すでに2万5000枚以上の写真が集まっているという。

ネット上での「自分ブランド」形成において、写真はとても有効なツールだ。そして、自分がどのような環境に住んでいて、その住空間にどんなこだわりをもっているのかという点には、個人のアイデンティティがあふれている。だからこそ、新しい「自分アピール」ツールとして、同アプリのダウンロード数が加速しているのだろう。

現在のところ、iPhoneアプリとPCでサービスを提供しているが、近い将来、アンドロイドにも対応予定。それでも、これまでのアプリダウンロード数は2万件を超えている。可愛らしい画面デザインの効果も手伝ってか、ユーザーの75%は女性で、特に主婦層に人気。主婦のクチコミ力によって、ユーザー登録数が拡大している。

さらに面白いのが登録者の10%が外国人だということ。特に米国人が多く、直近1カ月に限っては外国人の割合が20%を超えている。リリースされたばかりの段階で、グローバル展開が進んでいる点も、同アプリの成長可能性を感じる注目ポイントである。

役員全員が東京大学出身。天才たちが挑む新しいビジネス
ビジネスアイデア発想のきっかけ

tunn-el2「RoomClip」を開発・運営するtunnel株式会社は、役員全員が東京大学出身である。代表の高重正彦氏は東大でネットワークサイエンスに関する研究を修了した後、IT企業へ就職。約2年間、アプリの企画・開発に携わった。

ところが、2011年2月に会社を突然飛び出してしまう。高重社長曰く、この段階では特に起業とかは考えておらず、「まず、会社を辞めてみた」そうだ。

 会社を辞めた後、大学時代に映画をつくっていた経験を生かして、「映像を使ったメディアを何かつくれないか」と漠然と考えていた。そうしたタイミングで、とある会社からのオファーが届き、「TOKYO VISTA for iphone」(http://www.tunn-el.com/tokyovista/)というサービスを開発することになった。

「TOKYO VISTA for iphone」は、東京の50スポットをタイムプラスビデオで 紹介するアプリで、東京の名所を映像で世界へ紹介することができるというもの。このアプリの開発を通じて、高重氏は日常生活のなかで目にする映像に、実はとても貴重なものがあるということに気づく。

それは自分たちが生活する何気ない日常の記録――。さらに東日本大震災によって、日常が一瞬で失われるという苦い経験をした頃から、高重氏は、日常を記録しておくことの価値に注目するようになっていく。

また、「TOKYO VISTA for iphone」では、提供する映像コンテンツの制作をすべて自らの手で行うことになったが、次第に自分たちだけで発信するという方法に限界を感じるように……。自分のセンスだけに頼るのではなく、多くのユーザーが集まる仕組み=プラットフォーム型のビジネスのほうが、事業がずっと早く拡大するだろうと考え始めた。

2011年8月、福島県いわき市にある、高重氏の実家が引っ越すことになった。生まれ育った実家の自分の部屋には貴重な思い出がたくさん詰まっている。それが失われてしまうことの重大さに気づいた高重氏は、「部屋の情報をみんなが投稿できる場所があれば面白い」と思い立ち、それがやがて「RoomClip」のアイデアにつながった。

同業はクックパッド!? 意外な視点から住ビジネスに挑む

高重氏はまだ29歳だが、会話の端々にグローバル視点が見え隠れする。どのような競合戦略を考えているか問いに対して、最初に出てきたのがGoogle(笑)。Googleは世界中の様々な情報を集め、検索できる機能を日々拡充しているが、彼らがリーチできないのが「個人の家の中だ」と言い切った。ブルーオーシャンを意識した逆転の発想と、常にグローバルな視点で物事を考える視野の広さ、これが高重氏の一番の強みだ。

また、「住」に対する市場やビジネスモデルの捉え方も独特で、高重氏が日常をWeb上に公開するという観点から「同業」として捉えているのが「クックパッド」だそうだ。

高重氏は、クックパッドは家庭内に埋もれていた「レシピ」という資産をWeb上で公開することで、主婦層の日常生活に光を当てた事業だと解釈している。確かに「RoomClip」も個人の部屋に対する思いや趣向に光を当てることで、今まで見えなかった消費者の潜在ニーズに火を付けることが可能な事業だと考えられる。確かに、主なユーザー層が「主婦」という点も一致している。

ちなみに、高重氏は自他ともに認める「モバイルアプリ・マニア」。常に最新のアプリをチェックしつつ、何が市場で受けているのかをウォッチし続けている。「RoomClip」の秀逸なユーザ・インターフェースは、「アプリおたく」である高重氏の厳しいユーザー目線があったからこそ実現できたのだろう。豊かな発想力だけではなく、それをかたちにできるだけの経験値・こだわりがそこにはある。

将来への展望

Tunnel株式会社は、2012年1月に、サイバーエージェント・ベンチャーズとサムライインキュベートより出資を受けている。この増資で得た資金のあるうちに、一人でも多くのユーザーを獲得して、サービスの認知度を高め、ブランドを確立することが当面の目標。

具体的には、2013年夏までに100万ダウンロードを達成する計画で、現在、様々な施策に取り組んでいる。また、インテリアに関連する企業とのタイアップの話も多数進行中とのこと。ユーザー数を拡大しつつ、事業のマネタイズモデルを確立することも当面の課題だ。

インターネット上の「住」マーケットには、まだ業界を代表するポータルサイトやクチコミサイトが存在していない。この市場でまずは第一の旗をあげ、トップブランドの座を獲得することが「RoomClip」の目指す未来だ。

Tunnel株式会社
代表者:高重 正彦 スタッフ数:3名
設立:2011年11月24日 URL:http://www.tunn-el.com/
事業内容:
スマートフォンアプリケーションの開発、インターネットメディアの運営、映像コンテンツの企画・制作

当記事の内容は 2012/10/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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