パッケージツアーでは物足りない? ユーザー数6万人、企画されたツアーは2000件と急成長中の新サービス「トリッピース」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

今までにない旅行を、自分達で企画して作れるサービス。
展開している事業内容・特徴

trippiece1年末年始は海外で過ごしたという方も多いだろう。今や海外旅行は当たり前となった感がある。海外への旅行が自由化されたのは1964年。1年間に海外旅行に行った人は1972年には100万人、1990年には1,000万人を突破。その後も右肩上がりで、2012年には1,800万人を超えている。実に日本人の7人に1人という割合だ。

これだけ海外旅行がスタンダードとなった昨今、既製のパッケージツアー旅行では物足りなく感じ、“気ままな旅人のように世界を旅したい”とニーズが高まっており、オリジナリティあふれる海外旅行を求める旅行者も少なくない。

しかし、あまり馴染みがない国や僻地の観光スポットへ赴くというのはハードルが高く、なかなか第一歩が踏み出せない人も少なくないだろう。

そんなニーズに応えるサービスが今回紹介する「トリッピース」。“みんなで旅をつくる”をコンセプトに、今までにないツアーを体験でき、旅仲間も見つかるWebサービスだ。

運営・開発は株式会社trippieace。同社は2011年3月に設立、2011年8月にはベータ版をリリースした。2013年12月時点でユーザーは6万人超。2000件もの旅行企画が登録されている。

旅行ツアーを紹介するWebサイトは多いが、同サービスの最大の特徴は、“ツアーを考えるのはユーザー自身”ということ。つまり、自分が思い描く旅行プランを現実のものにすることが出来るのである。ユーザー登録の際には「企画者(幹事)」と「参加者」カテゴリが設けられていて、「企画者(幹事)」を選べば誰もが立案者になれるのだ。

ここで、ユーザーのアイデアが現実のツアーとなるまでの流れを記しておこう。まず、企画者には、「旅の企画」、「参加者募集」、「依頼」の3項目が求められる。

「旅の企画」では、文章や画像を用いて参加者に向けたプレゼン用のコンテンツ制作を行う(タイトル作成、旅を企画した理由の明記など)。次に「参加者募集」では、そのコンテンツをもとに参加者を募り、具体的な日程や行程、予算などを参加者たちと共に話し合い、企画をブラッシュアップしていく。そして、参加者が5名以上集まり企画が固まれば、企画者は同サービス事務局へ企画のツアー化を「依頼」する。その後は事務局が依頼データを提携する旅行会社に送ることで、ツアーが正式に誕生するという仕組みだ。ここまでくれば企画者、参加者共に旅立ちの時を待つのみである。

以上が流れとなるが、「参加者募集」から旅立ちまでで特筆すべきことがある。それは、ツアー化の過程でユーザー同士のコミュニケーションが発生しコミュニティが生まれること。企画者は自身の企画をPRし、一方で参加者は旅の理由を尋ね、または共に企画の詳細を練り…。このような旅の話題を介して、ユーザーにいつしか芽生える連帯感。これも同サービスの特徴だ。

もっとも人気は企画は、ウユニ塩湖とマチュピチュのツアー。これまでに200人もの参加希望があり、2014年には500人ほどになると同社は見ている。

同サービスで企画されたツアーの具体化・実施については、大手旅行会社に委託しており、ツアー成立の際の手数料がトリッピースの収益源となっている。

学生時代にNPOを立ち上げ。その時の思い出からアイデアが生まれた!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

trippiece2株式会社trippieaceを起業しCEOを務める石田 言行(いあん)氏は、大学在学中の2011年に起業し、すでに3年目を迎えた24歳の若き起業家である。子供の頃から、「無から有」を生み出せる人になりたいと考えていたそうで、成長するにつれて自然と起業への興味が湧くようになり、中学生の頃には自分で携帯サイトを作成・運営していた。

大学に入ると「学生NPO法人 うのあんいっち」を設立。事業内容は、世界中の子どもたちにカメラを届け、写真を撮ってもらい 笑顔、夢、景色だけではなく貧困、病気、児童労働まで、さまざまな“世界中のリアル”を発信しながら、スタディツアーを行うというもの。学生はもとより多くの人々の反響を呼んだ。

2010年6月、石田氏がバングラデシュに行ってみたいとTwitterに書いたところ賛同者が集まって、総勢18名でバングラディシュへ赴いた。気の置けない仲間たちと異国に立ち、現地の風景や出会いを心行くまで楽しんだ。その時に「仲間と一緒に旅をして、みんなで共感する旅行は、こんなにも面白いものなのか」と感動した。

しかし、何かのきっかけがなければ、これだけの人数で旅行を企画して実行することはない…。そこで、“旅のきっかけ”と“共感できる仲間”をつなぐプラットフォームがあれば、誰もが旅を手軽に楽しめるのでは?、と閃めく。これがトリッピースのアイデアが生まれるきっかけであり、核となった出来事であった。

その後、NPOの運営は後進に引き継ぎ、2011年3月に株式会社trippieaceを設立。設立時の資本金は30万円だった。インターンシップで参加した株式会社ECナビ(現:VOYAGE GROUP)のつながりで紹介されたサムライインキュベート榊原 健太郎氏から出資を受けて、2011年8月にはベータ版のサービスを開始させた。また、株式会社オプトをはじめ、複数のベンチャーキャピタルの増資も実施。2013年8月には渋谷にオフィスも構えて、社員数も11名に増員。サービスの拡充を進めている。

全世界の旅人が行き交うプラットフォームとなるべく、更なるサービス拡大を目指す。
将来への展望

現在では、ユーザー登録数約6万人、ツアー立案数約2000件を数えるサイトへ成長したトリッピース。最近は海外だけではなく、誰もが気軽に旅を楽しめるようにと、国内日帰りツアーの充実を図っている。それも「日帰りスキー&スノボで初滑り」「コーヒーについてくわしくなろう!コーヒーマスターワークショップ」といったユニークでバラエティに富んでいる。

石田氏に今後の展望を伺ったところ、「年間1,000万人の旅人が利用するプラットフォームが目標」との弁。また、世界も視野に入れている。その第1弾として、2014年2月にはシンガポール支社を設立し、英語版トリッピースをリリースする予定だ。

トリッピースの魅力について、石田氏はこう語ってくれた。

「ツアーを商品として提供するサービスは多々あるが、ツアーを誕生させ提供するというのは自社のオリジナルであり、強みである。また、旅を軸として、ユーザーがさまざまな交流を重ねられることが最大の魅力であり、一人ひとりの思い出づくりをサポートし、果ては人生にまで寄与できるサービスだと自負している」

インタビューの最後に起業を目指す方へのメッセージもいただいた。

「ありふれた言い方になるかもしれないが、起業にもっとも重要なものは情熱である。そして、自分のサービスに信念を持ち、苦境に立たされても諦めず邁進し続けることが起業家として求められる姿勢だと感じている。」

株式会社trippiece
代表者:石田 言行氏 スタッフ数:11名
設立:2011年3月 URL:http://trippiece.com/
事業内容:
トリッピースの開発・運営

当記事の内容は 2014/1/7 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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