日本発、世界中で使われているSNS構築のオープンソース「OpenPNE(オープンピーネ)」。そのビジネスモデルにせまる!

企業紹介

執筆者: 谷垣 俊介

キーワードは「気疲れしないSNS」。利用実績数が3万以上のSNS構築ソフト
展開している事業内容・特徴

openpne1今やインターネットでは必須のサービスとなった感のあるSNS(ソ-シャル・ネットワーキング・サービス)。日本における普及率もネット人口の半分を超えたとされており、世界中では数億人もの人々が利用している。そして、今後もさらなる伸びが期待されている。

SNSの普及により、インターネット上で以前に比べ、より多くの人々とつながることができるようになった。しかしその反面、「SNS疲れ」という症状も出てきている。「常にSNSの動きを気にしてしまう」「自分の投稿への反応が待ちきれない」「友達申請が断れない」などの理由から生まれる気疲れだ。

このような、ユーザーのSNS疲れを回避する試みとして、本当に親しい間柄だけのSNS構築が密かに進んでいるという。その中核をなしているのが、今回紹介する「OpenPNE(オープンピーネ)」というSNS構築ソフトウェアだ。

「OpenPNE(オープンピーネ)」は、Facebookなどのような大規模なSNSではなく、自分たちの安心できる空間づくりを目的として、日々開発が続けられている。このソフトウェアを開発・運営しているのは株式会社手嶋屋だ。その代表である手嶋守氏は、SNSの本質的価値を導いていくことが大事だと考えている。

「OpenPNE」は、例えば地域やサークルのコミュニケーションツールとして、会社の情報共有のシステムとして、また、グループのコンテンツ管理システムとして、様々なコミュニティ活動のためのネット空間をつくることができる。

誰でも設置・運営ができ、豊富な機能を用いて用途に合わせ自由にカスタマイズが可能。安心空間を志向するSNSがたくさん生まれるようにソフトウェア自体は無償で提供している。いわゆるオープンソースだ。ただし、ホスティング、運営、テクニカルサポートなどの有償サービスを提供している。

同サービスの顧客ターゲットは、自前で組織内SNSを運営したい企業。例えば、社員と内定者が交流するプライベートネットワークをつくる人事部門であったり、作家と読者を繋げるプライベートネットワークをつくっている出版社などがそれだ。

プライベートなSNSには確実なニーズがある。決してブレない開発ポリシーが成功の秘密。

「OpenPNE」のユニークな点としては、初めから自由に参加できるオープンSNSと特定のメンバーのみが参加できるプライベートSNSが用意されているところだ。

「オープンSNS」は、情報の受発信を増やしたい場合に適している。登録を行うと誰でも自由に参加できるので、コミュニケーションの輪が広がりやすい。

一方、「クローズドSNS」は、厳密な情報管理を必要としていたり、メンバーとメンバーとの関係性をより深くさせたい場合に適している。また、参加には運営者が登録するか、SNS既存ユーザーからの招待が必要なため、SNS参加者全体との情報共有がしやすく連絡を密にやり取りすることが可能となる。

このように、「OpenPNE」では、グループの志向や、目的によりSNS機能の使い分けができるのだ。現在、「OpenPNE」上でつくられた国内のSNSの数は累計で3万以上。これは1週間に100個ほどのSNSが誕生しているペースで、同サービスを活用したSNSの利用者数累計は約300万人にのぼるという。

「OpenPNE」がこれだけ成長した理由は、開発コンセプトがはっきりしていることだろう。

「プライベートなSNSに確実なニーズがある」という明確な方針のもと、「SNSは一つではたりない、人の性格の数だけ、組織の数だけ必要である」という根本のコンセプトは、スタートしてから7年間変わっていないという。

インターネットの世界は変化が非常に早く常にトレンドが変わっていくが、「OpenPNE」の開発コンセプトはスタートからぶれていない、というのが成功のポイントといえる。

当初の利用者は、アニメやゲームやネット起業家サークルなどITに強いユーザーが多かったそうだが、最近では健康保険組合や大学、大企業など、必ずしもITに明るくないユーザーや組織にも着実に浸透してきており、「組織ある所SNS有り」というスタイルが浸透してきているといえる。

SNSに抵抗がある人も気軽に参加できる、SNSが求められていると考えた
ビジネスアイデア発想のきっかけ

openpne2「OpenPNE」の開発元である株式会社手嶋屋は、2002年に創業。携帯サイトやSNSサイトに近いものを自社研究しながら開発していた。2004年に海外からSNSが入ってきたので、そこからソーシャル要素を取り入れてみたところ、非常に受けがよかったという。リアルの友人をコミュニティに招待するフレンドリンク機能のおかげで、誹謗中傷が激減し、アクセスしやすい空間になったそうだ。

手嶋氏は、人の交流場所がネット上で広がっていくことを、まだSNSという単語が一般的でなかった頃から予想していた。そして、近年のスマートフォンの爆発的な普及により、さらに多くの人々が常時ネットには接続できるようになったため、ネット上での交流空間が瞬く間に増えていった。しかし手嶋氏は、「安心できる空間」「安全な居場所」、という視点に立つと、まだまだ足りないものがあると考えたのだ。

現在、多くのユーザーから支持されている大規模なSNSは、より多くのユーザーと交流すること、より多くの情報を発信することがベースとなっている。情報を発信する作業の負担や、個人情報漏えいへのリスクが初心者にとっては敷居が高く、中には使うことが怖いとすら感じる人もいる。

例えば、「大学デビュー」をした、とある学生の話だ。高校生までは真面目で勉強熱心だったが、大学生になってから見た目や人との付き合い方が変わり、華やかな大学生活を送っていたが、SNS上で高校時代の友人が増えていき、明るく華やかな人格である大学生の自分と、地味で控え目だった高校時代の自分のどちらを演じればよいかわからからなくなったという。結果、大学デビュー後の外向きなキャラクターで発信した情報をすべて削除する選択をしたそうだ。SNSという仮想空間が、リアルの人格形成に影響を及ぼしてしまう……。これは、不特定多数の人とつながることにより起きてしまった弊害である。そして手嶋氏は、こうした事態を防ぐための場を、SNS運営者が展開してあげなければならないと考えたのだ。

一方、プライベートなSNSを、特定の利用者内で利用するのであれば、全員が常にSNSを使いこなす必要はない。例えば、中学時代の同窓会のコミュニティをつくった場合、必要な連絡がある時以外は更新する必要がないだろう。

スマートフォンが普及した昨今、ITリテラシーが低いユーザーであってもSNSを簡単に操作できるようになった。ITリテラシーが低い人でも安心して使える「プライベートSNS」へのニーズは、ますます拡大していくはずだと手嶋氏は予想している。

そんな思いを源泉として、開発された「OpenPNE」は、日本のみならず、すでに世界中で使われるオープンソースのソフトウェアになった。ちなみに、ある程度大きな書店に行けば、かならずと言っていいほど、OpenPNE関連の書籍が置いてある。さらに「オープンソース SNS」でのグーグル検索結果は1位。IT業界では非常によく知られた存在になっているのだ。

今後もSNS人口は増えるはず。皆が安心して利用できる場づくりに力を注ぐ!
将来への展望

知名度が高く、多くのユーザーをかかえた「OpenPNE」は、ビジネス的にも成功しているサービスだと感じるだろう。しかし手嶋氏は、まだ成功には到達していないという。理想を高く持ち、まだ何かが足りないと考えながら、常に上を目指し続けることで、やっと今がある。当然だが、その先の未来予想図は、手嶋氏の頭の中にはでき上がっている。

手嶋氏に成功の秘訣を伺ってみると、「大事なことは、コンセプトをはっきりさせて、始めたらあきらめないこと。そして、やろうとすることが世間の水準と合っていること。ゴールへ辿り着くまでの戦略転換はいいが、登る山を変えるのはだめ」と今までの経験を振り返って答えてくれた。

手嶋氏に今後の展望を伺ったところ、まずは、あらゆる組織やネットワークに「OpenPNE」を普及させていきたいと、語ってくれた。

手嶋氏は、「これから、ITリテラシーが高いユーザーは、より速く、より感覚的で、よりリッチなSNSを選び始める。一方で、今までSNSと縁がなかった人や、組合、学校、保育園、マンション管理組合等の団体など、今までプライバシーを重視していた層も徐々にSNSに参入してくるはず。このようなSNS初心者にとって、さらに使いやすいSNSの機能開発が求められていくだろう」と語ってくれた。

日本発のSNS上のオープンソース、「OpenPNE」。世界のSNS運営者から、声がかかることを期待したい。

株式会社手嶋屋
代表者:手嶋 守 スタッフ数:12名
設立:2002年3月 URL:http://www.openpne.jp/
事業内容:
オープンソースのSNSエンジン「OpenPNE(オープンピーネ)」の開発・運営。

当記事の内容は 2012/7/12 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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