アジア3カ国でNo.1!年間110万ダウンロード!雑誌型アプリ「papelook(パペルック)」ヒットの理由

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執筆者: 谷垣 俊介

若い女性に大人気! 個人を対象にしたオーダーメイド型雑誌アプリ
展開している事業内容・特徴

papelook1家電量販店でもスマートフォンばかりが目立ち、ガラバゴス携帯の新機種を探すのが難しくなった。シンプルな操作でパソコンのようなさまざまな機能が使えるスマートフォンだが、パソコンを前提としたWebサービスに比べ、格段に「シンプルさ」が求められている。そんな時代の要請を受け、とても簡単な作業で豊富な表現を可能にするアプリを開発しているベンチャーが、今回紹介するパペルック株式会社だ。

パペルック社が提供している2つのアプリが、流行に敏感な女性に人気を集めている。

一つ目のアプリは「papelook(パペルック)」というサービスだ。これは2011年6月にリリースされたサービスで、写真の切り抜きやレイアウトによって簡単にスクラップブックを作成できるというもの。写真を指でなぞって切り抜き、複数の写真をレイアウトすることでオリジナルのスクラップブックやコラージュブックが作成できる。リリースから1年で、すでに110万のダウンロードがあり、App storeの写真カテゴリ 日本・タイ・台湾で1位、総合では、タイで1位 日本で2位にランクインしている。

そして、もう一つのアプリが、2012年1月にリリースされた「pape.mu girls(パペム・ガールズ)」というサービス。これはインターネット上からユーザーそれぞれの嗜好に合ったファッション情報を取得し、オリジナル雑誌をアプリ上でつくるというもので、10代・20代女性がメインターゲット。スタートから半年を待たずして、ダウンロード数は4万を超えている。

使い方はいたってシンプル。最初に好みの雑誌を選択するだけで、自分に合った情報をインターネットから勝手に探し出してくれ、動きのあるレイアウトで配置された写真や、遊びのある文字が表示される。そして、その写真をタップすると、その写真のインターネットのソースページへ飛ぶ。

ユーザーがどのページを読んでいるかなど、秒単位で計測し、個人の趣向を分析するので、使えば使うほどユーザーに合った情報がパーソナル化されていていく。これが最大の強みである、「レコメンドキュレーション機能」だ。ユーザーの好きなモデルのお気に入りブランドや、嗜好の合うモデルをピックアップするという機能もある。また、雑誌に載っているモデルやブランドのブログ、コーディネートなど最新のファッション情報が毎日更新されている。1ページものの広告が挟んであり、まさに電子版の雑誌だ。

すでにアメリカでは「フリップボード」という似たようなモデルのサービスプロバイダーがあり、出版社と提携してビューワーを提供して広告収入を得ている。しかし、「pape.mu girls」の強みである「レコメンドキュレーション機能」がないため、今のところ世界で唯一、日本発のユニークなサービスといえるだろう。

若者のパソコン離れが加速。 若き起業家が体感したマーケットニーズ
ビジネスアイデア発想のきっかけ

papelook2パペルック株式会社代表の小澤一郎氏は、なんとまだ21歳の大学生だ。小澤氏は中学時に携帯サイトのアフィリエイトビジネスを開発、収益化した経験があり、自分がつくったものがたくさんの人に使われることに快感を覚えた。この経験から本格的に起業家への道を志し、独自のビジネスを立ち上げたいと思うようになったという。

小澤氏はブログが好きで、今もよく利用しているが、ブログの写真は上から下に単純に並べるという機械的な表現しかできない。そこで、雑誌のように縦横斜めに掲載するなど動きを出していくことで、もっと自由な表現ができないかと考えた。

現代の20代は「デジタルネイティブ」とも呼ばれ、子供の頃からパソコンに慣れ親しんだ新しい世代といわれている。しかし、実際の大学生はあまりパソコンを使わないそうで、ソーシャルメディアで使っているのはもっともシンプルなツイッターくらい。フェイスブックはアカウントを取ったきりで放置状態にしている人も多く、特に女性はなおさら使いこなせていないという。

このように、パソコンを使う事に前提としたサービスが、実は多くの若者に受け入れられていないという事実に気づいた小澤氏。いかに面白いWebサービスでもパソコンの扱いづらさが邪魔になり、使われないケースがあるため、それを取り除くことで新しいビジネスができると考えたわけだ。

小澤氏によれば、「papelook」と「pape.mu girls」のアプリ開発に際して、とにかく操作の容易性にこだわったそう。そのために、渋谷のアパレル店で何度もインタビューし、若い女性がどのようにスマホを使っているか、どのようにECサイトから洋服を買っているかなどを徹底してヒアリングした。

そうしたヒアリング結果をもとに、「pape.mu girls」は、よく読む雑誌のボタンを押すだけで興味のある情報を得られる、というようにシンプルな操作性に行きついた。

また、何をどう変えればユーザーが増えるかということを、仮説検証を繰り返し蓄積していったため、リリースしたアプリがユーザーの支持を得る自信はあったという。

2011年6月のリリース段階では、プレスリリースなどのプロモーションを行ったがほとんど効果がなく、逆にユーザーのリアルな口コミであるブロガーの口コミで広がり、アプリのランキングが上昇していった。

また、2012年4月までの累計ダウンロード数は20万ほどだったが、5月のアップデートで機能を大幅に向上させ、そこから急激にダウンロード数が増加。そして、6月にはでは110万を突破している。

小澤氏も、正直ここまで増えるとは思っていなかったそうだが、年内の目標として掲げていた100万ダウンロードも達成。更なる成長カーブを描き始めている。

Google、Facebookに続く第三世代のネットサービスの本質とは?
将来への展望

小澤氏に今後の事業展開を聞いた。まずは「pape.mu girls」のユーザー増に集中し、年内にはファッション・メディアとしてプラットフォームの地位を確立するのが目下の目標だ。さらに出版社、事業会社などの提携先を増やし、ユーザー獲得の窓口を広げて行く戦略を進めている。事業としてはあくまでプラットフォームサービスに特化し、有益な情報・コンテンツは、出版社などから提供してもらう計画だ。

同社が目指すプラットフォームサービスをつくるうえで、問題点もある。現代の若者はスマホでは電子雑誌を見ない、という点だ。iPad2が発売されてからは、モバイル端末でも電子雑誌を多少は扱いやすくはなったが、まだまだコンテンツとデバイスがマッチしていない段階。まだ実用化は進んでいないが、電子ペーパーの規格もすでに開発段階をすぎているため、近い将来、確実に映画「ハリーポッター」に出てくる魔法新聞のようなデバイスが登場するようだ。

そして、「pape.mu girls」のバックグラウンドで動いている「レコメンドキュレーション機能」は、狭く深い情報を収集するGoogle、広く浅い情報を収集するFacebookに次ぐ、次世代型の個人情報収集エンジンという構想のもとで開発されている。個人に最適な情報を自動的に集めて来られるようになるのが、検索エンジンとしての第三世代に当たるという目論見だ。

同社は、そうした次世代型の検索エンジンを、まずはファッション業界から展開し、将来的にはインテリア、ビジネス用途でも対応できるようにしていく予定だ。インターネットの次世代検索エンジンのかたちを見据えた若き起業家の挑戦に、これからも目が離せない。

パペルック株式会社
代表者:小澤 一郎 スタッフ数:3名
設立:2011年10月 URL:http://papelook.com/ja/
事業内容:
画像処理関連事業、インターネット情報収集事業、インターネットメディア事業、インターネット広告事業、電子書籍関連事業

当記事の内容は 2012/6/14 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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