1万人が高額物件をシェア。新しい賃貸サービス「ひつじ不動産」が急成長

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

累計反響数67000件! 面白いシェア住居がとにかくいっぱい!
展開している事業内容・特徴

hituji1「オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産」は、シェア住居を紹介するポータルサイトだ。キャッチコピーのとおり、オシャレで面白い賃貸住宅(※1)の市場を開拓するというこだわりで、人気を得ている不動産メディアだ。

「ひつじ不動産」はいわゆる不動産仲介業者ではない。シェア住居を提供する事業者から出稿される同サイトへの広告掲載費で収益を得ている。一般の不動産仲介業では扱える物件が限られてくるのと、さまざまなシェア住居物件を紹介したいという思いから、あえて広告モデルにしたという。

シェア住居というと、ルームシェアのように低所得者が共同生活するために「家賃の安さ」を重視するユーザーから選ばれていると思いがちだが、「それはまったく違う」と「ひつじ不動産」を立ち上げた北川大祐氏は語る。

実際、利用者は30才前後のビジネスパーソンが大半で、経済的に余裕があり、多様な趣味を持った、自分のライフスタイルに強いこだわりを持つようなユーザーが多い。

ひつじ不動産でシェア住居を利用するユーザーの声はをいくつか紹介しよう。

「ひとり暮しがつまらない。もっと楽しく生活したい」「ひとり暮しが安全面で心配。」「さまざまな業種、経歴の人と、適度な距離感で自然に交流を持てる生活を望んでいる」「個人同士のシェア生活に興味があるけど、何だかいろいろと不安。」「充実したしっかりしたキッチンやリビングルームが使える生活がしたい」

……というものであり、決して「安さ」だけを求めているわけではないのだ。

今のところ、シェア住居は東京周辺を中心に運営されることが多く、現在は約1万人がシェア住居での生活を楽しんでいるという。これまでに「ひつじ不動産」の取り上げた物件数は約950件(12000人分)、1カ月で約2000~2500件の反響があり、累積ではスタートから約67000件もの反響実績があるという。

そもそも、「ひつじ不動産」がスタートした当初は、現在同社が扱うような、従来の賃貸住宅と同様に事業体が責任を持って運営に介在するタイプのシェア住居という市場そのものが小さく、非常に未成熟だった。そんな中、事業体介在型のシェア住居の安心感や魅力そのものを伝えたり、供給サイドの意識を変えるといったところから地道に活動していった結果、最近になって急速に注目を集めるようになってきている。時代の変化による、ユーザーの住環境に対するニーズの多様化を的確に予想した、北川氏の先見の明が実際にかたちになり始めたのだ。

ライフスタイルまでもイメージさせてくれるサービス
ビジネスアイデア発想のきっかけ

hituji2個々人の価値感やライフスタイルが多様化した現在、「これまでの集合住宅はどれも画一的で面白さに欠けているものが圧倒的に多い」と北川氏は語る。

そもそも事業体介在型シェア住居という文化は昔からあり、80年代には日本に住む外国人の間で小さいながらもマーケットが存在していたという。この「面白い」集合住宅を、現代の日本人に向けてもっと広めたい、という思いからスタートしたのが「ひつじ不動産」だ。

しかし、北川氏が2005年にサービスを立ち上げるまでは、シェア住居を紹介する信頼性の高いメディアが皆無で、一方で事業性に目を付けて粗悪な物件供給を行う事業者の参入も相次いでおり、このままではこの文化自体が廃れてしまう、という危機感から同サービスの立ち上げを決意したという。

創業者の北川氏は、もともとはIT系のエンジニア。事業意欲は高いものの、「自分自身がとにかく起業したい」というタイプの起業家志向ではなく、純粋に自分の欲しいサービスを作りたい、世の中が今後必要とする枠組みを確立する仕事に取り組みたいという欲求から、起業という選択をした。実際、今でも経営者というよりは「モノ作りの人間」という意識が強いそうで、取材時にいただいた名刺にも、肩書きは「社長」や「代表取締役」ではなく「マネージャー」とだけ書かれていたのが印象的だ。

「ひつじ不動産」のサイトを見ていただければよくわかるが、同サイトで紹介されているシェア住居の募集情報はどれもユニークで魅力的だ。紹介の仕方も普通の不動産サイトの物件情報とは違い、最寄りの駅からシェア住居までの道のりや、街の様子、住んでいる人のぬくもりまで伝わりそうな部屋の写真など、その物件に住んで生活を始めた自分をイメージさせてくれるようなつくりになっている。

シェア住居をただ借りるだけでなく、そこに住んでどんな生活を送るか、そこまでイメージさせてくれる情報提供へのこだわりが、シェア住居という新しいライフスタイルのマーケットを広げつつ、「ひつじ不動産」の人気を支えているのだ。

面白い住宅と面白くない住宅だったら、どっちを選ぶ?
将来への展望

「ひつじ不動産」はさまざまなメディアに取り上げられ、最近になってようやく、シェア住居の良さが一般的にも理解され始めてきた。物件そのものは、普通の賃貸マンションよりもずっとオシャレで住み心地がよさそうなだけに、あとはシェア生活にともなって発生するさまざまなデメリットを一つ一つ解消していくことができれば、今よりずっと多くのユーザーに受け入れられるはずだ。あとは、シェア住居に住むというライフスタイルや、シェア住居を事業として健全に運営していくということを理解してもらうような活動を地道に続けていくしかない。どこも画一的な部屋で、隣人の顔も見えないような現在の賃貸住宅の在り方に、疑問を感じている人も少なくはないだろう。新しい市場そのものを創造している、同社の取り組みをぜひ応援したい。

実は事業体介在型のシェア住居市場は、おそらく日本が世界でもっとも先進的だという。欧米ではシェアは当たり前、などという話はよく出るが、実際は学生や外国人、アーティストなどが利用者層であり、日本のようにそれなりの所得がある普通の社会人が入居する、というのは珍しいそうだ。

海外ではまだ個人間のシェアやスモールビジネス止まりであり、安全性、快適性、信頼性といった点で住宅としての成熟度を比較すれば、日本は世界的に見てもこの市場で5年先を進んでいるという。高品質な事業体介在型のシェア住居というビジネスは、リスク感覚の強い日本人の感覚を健全に反映した、日本ならではの高品質なサービスになりえるだろう。

まだまだ認知度の低いシェア住居というライフスタイルだが、「面白い住宅と面白くない住宅だったら、どっちを選びます?」という北川氏の質問に、誰もが“前者”と答えるのではないだろうか。そこに、このマーケットの可能性の大きさが見え隠れする。「ひつじ不動産」は、「都市部での集合住宅のデザインとして今のかたちは最適だろうか?」という問いかけをしているようにも思える。

今よりも面白い住宅で、新しいライフスタイルを送りたい人は、ぜひインターネットにアクセスして「ひつじ不動産」のサイトをのぞいてみるべきだ。

株式会社 ひつじインキュベーション・スクエア
代表者:北川大祐 設立:2007年6月
従業員数:5名 URL: http://www.hituji.jp/
メッセージ
ひつじ不動産のコンセプトは「シェアマニアではない、ふつうの人のためのシェア生活」。2000年代前半に事業体介在型シェア住居市場の潜在力に注目し、市場統計資料の公開、需要喚起のための書籍の出版、適切な市場動向の発信、管理者育成のための講座運営、現在では全国主要都市部での活動と、健全なシェア住居市場の形成に取り組んでいます。まもなく渋谷区神宮前に移転し、賃貸オフィス市場の未来を考える実験として、多様なクリエイティブ・ワーカーが集うコラボレ?ショナルなスペースを提供予定です。

当記事の内容は 2011/11/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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