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次世代のシステム開発のモデルケースとなるか!? 「納品のない受託開発」を掲げるベンチャー「SonicGarden(ソニックガーデン)」

執筆者:ドリームゲート事務局
更新日:2013年10月31日

イメージはベンチャーのCTOだけが集まった会社? 展開している事業内容・特徴

sonicgarden1 近年、国内のシステム開発業界に危機感が広がっている。システム開発の発注件数が減少傾向にある一方、さらに海外企業の参入、オフショア開発などで開発費のコストカットも進んでいる。正確な統計では出ていないが、リーマンショック後にシステム開発費の単価が半減したという話も聞く。

しかし、そんな状況であっても、システム開発自体をメインにして急成長を遂げている会社がある。今回取材したソニックガーデン社も、そうしたベンチャーの1社だ。

同社の特長は「納品のない受託開発」というキャッチコピーに集約されている。「納品がない?」というのは強烈なキャッチコピーだが、話を聞くと、非常に合理的で理に適っていることがよくわかる。

まず「納品がない」というのは、最初からきちんと仕様を決めて開発し、システムを納品する……という仕事ではないという意味だ。ここがポイントで、「最初からきちんと仕様を決める」ということが、実はシステム開発会社とクライアント間で大きなトラブルになる原因となっているのだ。

というのも、「要求が曖昧だったので仕様が決めきれなかった。とりあえず言われたとおりにつくったのだから、納品した後に使えないと言われても責任は取れない」というようなトラブルがこの業界では日常茶飯事。システムが完成した後に欲しかったものと違うことに気づいて、開発側が費用を請求するもののクライアント側は支払いを渋りはじめて……といったトラブルとなる。

そもそも、「仕様が明確=システム化すべき内容がきちんと決まっている」という前提に問題があったのだ。

例えば、会計処理や在庫など物流管理といった業務の流れが明確な分野は、要求が明確で仕様も決めやすいため、ITシステム化しやすいといえる。業務をどれだけ効率化できたかを明確に算定できれば、投資対効果も明確になるからだ。

しかし、新しいサービスやマーケティングなどに使うITシステムとなると、途端に仕様が決めづらくなる。業務そのものが曖昧なので、事前に明確な仕様を決められなくて当然なのだ。

こうした仕様が明確に決められない場合の仕事でも、最初から仕様をきちんと詰めてから開発するというプロセスで行うとするためトラブルが発生する。

そこで同社は、事前に仕様が決めづらい場合、開発費用は毎月固定として、その範囲内でクライアントが満足するまで付き合うというスタンスをとっている。

一見するとこのモデルは「人材派遣業」と変わらないようにみえるが、同社は人材派遣のような時間単位ではなく、クライアントが成果に納得した場合にのみ契約を結ぶようにしている。そのため、最初の1カ月間は無料でお試しができる。これは相当自信がないとできない仕組みだろう。

結果的にこの取組は成功し、現在はスタッフもフル稼働。常に問い合わせが届く状態だ。クライアントの8割はスタートアップ、もしくは新規事業で、特にマーケティング関連からの引き合いが多いという。「簡単に言うとCTO代行というイメージですね」とソニックガーデン社の代表 倉貫義人氏のコメントだ。

曖昧な要件でもまずはシステムをつくり始めてから修正などを繰り返すことを、IT用語ではアジャイル開発、あるいはプロトタイプ開発などと呼ぶ。初めから高い精度での完成形を目指すのではなく、何回も繰り返していくうちに完成度を上げていくという手法だ。

「納品のない受託開発」は、まさにアジャイル開発を具体的にサービス化したものといえる。

大手SIerの社内事業からMBOで起業。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

sonicgarden2ソニックガーデン社を創業した倉貫義人氏の前職は、大手システム開発会社・TIS株式会社のITエンジニア。実は、ソニックガーデン社はTIS社からのMBOによって生まれたベンチャーである。

まずTIS社は、自社で2005年に立ち上げた社内SNS「SKIP(スキップ)」の社外販売をスタート。そして、「SKIP」は、2008年にオープンソース化され、無償で利用できる一方、有償でのサポートサービスも開始。2009年には「楽天テクノロジーアワード2009」の「ルビー賞」を受賞するなどして成長を遂げ、2011年にTISからのMBOで株式会社ソニックガーデンが設立された。

同事業をMBOして独立した際、倉貫氏ら開発チームには「ただのSNS屋にはならない」という思いがあった。つまりそれは、「SKIP」というSNSツールだけで事業を展開するのではなく、もっといろいろなシステムをつくりたいというエンジニアとしての純粋な欲求。ただし、従来のシステム開発会社が行っているようなビジネスはやりたくない……。

しかし、「納品のない受託開発」というビジネスモデルに行きつくまでには幾度もの試行錯誤があった。例えば今、同社では営業職を置いていない。100%インバウンドのみで、問合せがあってもクライアント側に来社してもらい話を聞くスタイルをとっている。

実は、独立した当初、「SKIP」を売るための営業活動を行っていた。リストを作成して電話したり、クライアントになりそうな会社に足しげく通ったりしていた時期もあったが、結果としては無駄なコストであることがわかった。

そこで、外販営業をやめる代わりに、ブログでノウハウの公開を始めた。そうすると、その情報を必要としている人の目に留まるようになる。まずは知ってもらうということだ。公開したノウハウが誰かの役に立つ。そうすれば、そのノウハウをもっと知りたい人、お金を払ってでも仕事を依頼したい人からの問合せが増える、という仕組みだ。

その後も、業界の慣例や常識にとらわれることなく、クライアントが求める成果を追求していった結果生まれたのが「納品のない受託開発」というビジネスモデルだった、というわけだ。

ITエンジニアのスタープレイヤーを生み出す。 将来への展望

 同社が今後目指す方向を伺ったところ「ITエンジニアの地位向上」という答えが返ってきた。日本のシステム開発会社で働く多くのITエンジニアは必ずしも好待遇ではないし、子どもたちが憧れる職種でもなかった。そうした業界を変革したいというのが同社の理念で、その理念の元にたどり着いたのが今のビジネスモデルだ。

また、いわゆる「人月」と呼ばれる時間単位の契約監修に対して、同社のビジネスモデルは最終的な成果をベースに成り立っている。しかし、肝心の成果をどう計測しているのか……ここが課題ではないかと思い質問したところ、倉貫氏から、「成果とは、クライアントが満足するかどうかの一点だけ。食事をして500円の価値がある料理なのか、3000円の価値がある料理なのか、いちいち説明しないと納得できない人はいないでしょう。本人が満足すれば3000円でも安いし、納得しなければ500円でも高いと言われる。そこを難しく考えすぎなんですよ」と一刀両断された。

 確かに、指摘されればそのとおりである。筆者も元々はシステム開発やWeb制作を受託して稼ぐ業界に身を置いていたため、どうしても業界の常識の範囲で考えてしまいがちだが、成果があれば何ら問題はないのだ。当然だが、下手なエンジニアが何人も集まって何カ月もかけてつくるより、腕のよい一人のエンジニアが1週間でつくつくってくれたほうが効率的だ。しかし、システム開発業界の常識だと前者のほうがコストが高くなってしまう。

 ITエンジニア個々の生産性の高さには、非常にばらつきがある。天才であれば1週間でできてしまうものが、凡人であれば1カ月かかってもできない仕事がざらなのだ。しかし、そうした生産性の違いが、正当に報酬として評価される仕組みになっていない。ソニックガーデン社の取り組み・理念が当たり前になれば、それこそ1億円プレイヤーのITエンジニアがどんどん登場してくるはずだ。

 日本からGoogleやFacebookのようなITベンチャーが生まれないと言われて久しいが、その理由の一つはITエンジニアの地位の低さに起因しているのだと思う。それこそイチローのようなスタープレイヤーがこの業界に出てくれば、いずれはこの国にも世界をあっと驚かせるようなITベンチャーが生まれるはずだ。

株式会社ソニックガーデン
創業者:倉貫 義人  
設立:2011年7月1日 URL:http://www.sonicgarden.jp/
事業内容:
オリジナルブランドのソフトウェアの提供
クラウドで動くウェブアプリケーションの開発受託
コンサルティング、社員教育および講演・執筆など

当記事の内容は 2013/10/17 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の執筆者

ドリームゲート事務局
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取材・文:ドリームゲート事務局 起業・開業・独立・ベンチャーの悩みに、専門家がお答えします。無料なのでお気軽にどうぞ。

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