いよいよこのインターンシップも、卒業が近づいてきた。それぞれ密着した起業家たちにあらかじめ与えられていたプレゼン内容を発表する時がきたのだ。起業家から学んだ情熱、仕事に対する思いなど、すべてを吸収した学生たちが最後の挑戦に挑む!
株式会社フューチャーリンクネットワークの打ち合わせスペースで、プレゼン用の資料を入念に確認する安武菜穂子さん。
「昨夜は遅くまでパワーポイントや企画書を作り直していました。石井社長にプレゼンするのは初めてだし、今すごく緊張してます…」
しばらくすると、大阪出張から戻った石井丈晴社長が登場。疲労の表情を見せることなく、「お待たせして悪かったね。どう?最近は?」と笑顔で話しかける石井社長に、安武さんの緊張も少し和らいだようだ。
同社は、ポータルサイト「まいぷれ」を通して関東を始めとする7つのエリアの地域情報を発信している。そこで、石井社長は「求められる地域情報サービスとは何か」という課題を出した。
安武さんは現在長野県松本市に住んでいる。周囲にはたくさんの観光地があるが、そのなかの一つである浅間温泉に興味を抱いた。交通の利便性が高いにも関わ らず、休日でも宿泊客が少ない閑散とした温泉街。全国各地に、このような温泉街はたくさんあるんだろうなぁと思ったのをきっかけに、今回の事業プランを立てたという。
安武さんは持参したノートパソコンでパワーポイントを立ち上げ、「まいぷれを用いた温泉街活性化戦略」について説明し始めた。
「浅間温泉の13の旅館にヒアリングしましたが、現在、ほとんどの旅館が赤字経営。宿泊客数が年々減少しているのが原因で、さらに予約代行手数料が収益を圧迫しているようです」 各旅館の経営状態を調査したところ、健全経営は20室以下の小規模旅館のみで、施設の増改築やインターネットの活用で集客力を上げていた。しかし多くの経 営者は高齢なため、自らホームページをつくったり、オンライン予約を行うのは難しい。結局は、予約代行手数料が高い旅行代理店や宿泊予約サイトに頼るしかない。
「そこで考えたのが『まいぷれ観光』という宿泊予約サイトです。全国各地の宿泊施設を対象とし、2~3年で1万件の登録を目指します。他のサイトは予約代 行手数料として宿泊料金の数%をとっていますが、『まいぷれ観光』は情報掲載料一律1000円、プラス3000円で宿泊予約システムを提供します。予約代 行手数料は無料で、低料金なのが魅力。登録施設の半分が宿泊予約システムを導入すると見込んで、年間の売り上げは約7000万円と想定しています」
「一方、ユーザーが『まいぷれ観光』を利用するメリットは、プレゼントと豊富な地域情報。一定数以上の予約を得た宿泊施設には、お食事券やマッサージの無 料券などを予約者に提供してもらいます。そして、地方版『まいぷれ』とのリンク。例えば浅間温泉のある旅館のページと松本版『まいぷれ』がリンクしていれ ば、宿泊者はガイドブックにはない旬の地域情報が簡単に入手できるのです。オリジナルの観光滞在プランをプロデュースするようなコンテンツも作ろうと思っ ています」
現在、「まいぷれ」の地方版は、仙台、出雲、那須塩原・大田原のみだが、「まいぷれ観光」を足がかりにどんどん数を増やせば、相乗効果は高いと安武さんは考えている。
安武さんの提案を聞き終えて、石井社長は「よくできている」と高評価した。
「インターンシップのわずかな時間のなかで、私の考えを汲み取ってくれたんだなぁと感じた。地域情報の重要性も理解しているし、現状説明から問題解決の提 案までの流れも分かりやすい。ネットで大量の情報が得られるにも関わらず、わざわざ旅館を訪ねて、経営者の生の声を取ってきたことには感心したよ!」
「あえて難点をあげるとすれば、安武さんの事業プランは、旅館の利益を上げるには効果的だけれど、観光客数を大幅に増やすことにはつながらない。温泉街自体を魅力的にするイベントやプランをつくるなど、安武さんならではの大胆なアイデアがほしかったね」 石井社長の温かい言葉を受けて、同社でのインターンシップを振り返る安武さん。
「つねに石井社長の視点から物事を見るよう努めていたので、事業プランを立てる際の優先順位や、事業の意義と収益の両立を考えられるようになったと思いま す。温泉街の調査では、地域住民の声なくして地域情報サービス成り立たないということ実感することができました。今後の課題は、自分の個性を生かして企画 を立てること。そしてそれを是が非でも実行するぞ!という熱意をこめて提案したいですね」
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