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大挑戦者祭2007 レポート

開催日:2007年3月11日  会場:東京・赤坂プリンスホテル

「サービス」 - サービス精神が世界の人々を豊かにする

飲食業界をリードする4人の経営者が「サービス」について語らった。このカンファレンスでは、互いが知り合い同士ということもあり、終始、和気あいあいとしたムードで、会場から笑いが起こる瞬間も。
セッションのメインテーマは、「サービス精神が世界の人々を豊かにする」。
広い会場を満席にした、このトーク?セッションから、
飲食業界の未来と、これから必要になるであろうキーワードが見えて来る

サービス業界は、産業化の方向へ


高城:現在、日本の外食産業は25兆円産業と言われ、莫大なビジネスのチャンスのある業界です。中心になる規模は、一店舗、一店舗の個店といわれて いる自営の店ですが、その一方で、会社の経営する店はサイクルが早く、栄枯盛衰激しい業界でもあります。日本の飲食業界の現状は、今どうなっているので しょうか?

林:景気が良くなれば、この業界には色んな人たちが入って来ますから、恐らくこれからの競争はもっと激化してくるだろうと思います。まだ圧倒的に個 店が多いんですが、ここに来て大きな流れとして、企業化、産業化する兆しが見え始めてきたかな、と。日本の都市部の外食マーケットの質は世界一だと思うん ですが、産業化は遅れていますね。

高城:新川さんは、50店舗以上のレストラン展開の経験がありますが、日本の飲食業界のレベルは高いという実感はあります?

新川:高いですよね。僕らは基本的におもてなしの感覚が身に付いていますが、米国ではお客様を雑に扱うことも多い。どこでもいやな思いをしない、気 分を害さないサービスという部分なら、多分日本が一番かもしれないですね。これから日本のサービスをどうしていくかという面では、顧客側の視点を持ち、顧 客がサービスをつくり上げていくと考える姿勢が一番大事だな、と。勝ち残るポイントは、まずいやな思いをさせない、ということでしょう。

林:欧米ではサービスって商品だから有料なんですね。お金を払わなければ悪いサービス、お金を払えばいいサービスなんです。今の日本は、モノもサー ビスも溢れてきて、お客様にも選ぶ余裕が出てきた。欧米的な考え方で選ぶようになってきたという感じで。日本は標準化されているから、平均化したらトップ クラスですが、マネージメントされたサービスの向上という意味では、アメリカに多少遅れていると思いますね。

こうした状況を変えていくために必要なことは一体なにか?
「まず自分たちの姿勢、会社の姿勢、起業家なら店を出すその先になにがあるのか考えて行く姿勢が大事だ」と語ったのは古里氏。
さらに、経営者として佐藤氏は、「飲食業界で働く人たちが、そこで働きながらにして自分の想いを叶えながら人生を歩んで行く仕組みをつくっていきたい」と、自らの姿勢を語ってくれた。

日本はサービスの過渡期。
スキルだけでなく、ホスピタリティを求める時代が始まる。

団塊の世代が大量にリタイヤするこれからの時代、飲食業界で独立したいという声も多い。成功するためには、一体どんなことが必要なのだろうか?

新川:日本のマーケットは、93年頃にピークを迎えて29兆円あったのが、2005年には25兆くらいになっているわけです。ほかに金の使い道が増 えたから、外食に行かなくてもいいという人も多くなりました。食事だけでなく、「そこに行かないと得られない経験や体験まで、外食産業は担っているのだ」 と考えることが大事。それが「また行きたい」と思わせるんです。

林:ニューヨークのとあるグループの店は、ザガットで「最も人気のある店」の1位、2位を連続で受賞し続けていますが、味、接客、雰囲気というスキ ルの問題を超えて、本当にお客様の立場になることで、もう一回来たいと思わせる「ホスピタリティ」を持っているんです。日本のスキルは恐らく世界一なんで すが、それだけでは「また行こう」にはならない。私の解釈では、日本はサービスの過渡期で、今度は本当にホスピタリティが求められる時代に変わってきたと いうことなんじゃないかな、と思います。

新川:アメリカには、外食産業をエンターテインメントとする捉え方がマーケットとしてありますからね。ですから、社会でも認知されるし、ステージも それなりに上がる。日本ではやはり水商売として考えられてしまう。社会でしっかりとした産業として成り立っているかというと、そこは弱いわけです。働く側 の人間がそういう意識を高めていかないと、産業として、事業として成り立っていかないから、彼らが長く安心して、働ける環境をつくらなくてはなりません。

高城:地位の向上のためには、人を育てる機能も大切で、それがあれば店もまた価値を生む、と。

古里:全員がいいレベルでいい仕事をできる、というスタンダードサービスが価値になります。その教育をするため、いつも毎日話し合いながら、朝礼な りミーティングを重ねていくなかで、良い例悪い例をひとつひとつ突き詰めていく。いい例は、全員でそれを真似して統一する。共通認識を高めて行くことが大 事なんです。

佐藤:リピーターを呼ぶものは、「なんやかんや言いながら、あそこが一番いいよね」と言ってもらえるようなホスピタリティやね。僕は、サービスの スーパースターを育てようとは思ってないけど、その子の本性を引き出してあげられる店になるといいなと思ってるんです。ここ来たらホッとするねとか、なん か見たら「頑張ってるよね、あの女の子」みたいな、ね。

林:ホスピタリティを引き出してあげられるのは店で言えばマネージャーや店長の仕事だし、会社全体で言うならば社長も含めてトップの人の役割だと思 うんですね。アメリカには、たとえば大学のカリキュラムにホテルとレストランのマネジメントというものがある。日本でも、レストランのマネジメントをする マネージャーとはどういう仕事なのか、どんな知識が必要なのかというスタンダードをつくり、それを教えていかないといけない。マネージャーもサービスする 側もそれぞれの業務に特化して、磨いていくことが大事ですよ。

サービスとマネジメント、それぞれの役割を明確にしていくことで、全体のホスピタリティが向上し、付加価値が上がることで産業そのものが伸びる。さ らには、飲食業に関わる人々の地位を向上させることができる。そうすることによって、専門職として「働きたい」と考える人口が増え、裾野も広がって行くと いうことのようだ。

新川:サービスというのは一過性のものではいけない。お客様にとっては、前回の経験は当然のものになっているから、もうそこはプラスじゃない。やっぱりがっかりさせないためには、いつ行っても変わらないサービス。これを連続していかないと長くは運営できません。

古里:お客様が、リピートするというのは過去に行った店との比較でしかないわけです。お客様の2時間半の滞在の中には、ちょいちょいストレスがある ものなので、店員の笑顔、ベストタイミングで料理が出て来るなど、何にもストレスがない時に「あの店やっぱいいよね」と。次に来た時にも同じ期待をしてい るわけですよ。ほかの店を知って、他の店のやってないことを当たり前にしていく。お客様の視点を外さずに見ていくと、やれることっていっぱいあります。 「ビールによけいな泡がない」とか「皿が温かい」とか、そんなことを突き詰めていくと、意外と簡単にいい店になるんですよ。だからオペレーションというの はすごく大事ですね。そして、そこに気遣いをしていると気付かせてあげる「促し」も大事なんですよ。

人材育成の底上げが、日本のサービスの未来をつくる。

高城:今後に目を向けた時に、日本のサービスは、どういうところに力点を置いていったら、地位向上できるでしょうか?

林:優秀な人材ポテンシャルを持った人材がいるにも関わらず、それをきちっとまとめあげるマネジメントが充実してない、これに尽きるとおもいます ね。日本の文化にあったレストランマネジメントとは何ぞやと、しっかり考えて、それを教えることの出来る仕組みをそれぞれの会社が構築していって、かつ、 その会社が自分のところだけでやるのではなく、情報交換をしてつくっていくというのが大事だと思います。うちの会社では、携帯電話を使ってアンケート調査 をしているんですが、お客様の声として反応が帰ってくることで、結構頑張れる。こういう何らかの仕組み、もしくはやり方を教えることで、ホスピタリティ精 神を目覚めさせるといいますか。

佐藤:僕らはお客さんの笑顔が見たいわけです。だから、うちの会社では、食べることが好きで、お客様の笑顔が見たいという、この2つがない人では無 理なわけです。ただし、この2つがあったら、なんか一緒にやっていこうよと、僕は本当にお客さんの笑顔が見たいと思ってるし、それで幸せを感じてきた。で も、そんな思いを支えてくれているのは、お皿を洗い続けてくれてる子だろうし、寒い中でビールを運んでくれてる人だろうしね。それを胸を張って出来るとこ ろまでの地位へ持っていけたらいいと思っています。

新川:僕ら経営側がどれだけアイデアを出して、教育をしていったとしても、やっぱりお客様がうるさくならないとダメなんですよ。サービスがよくない と行かないぞという風になったら、日本は本当に世界一のサービス先進国になる。もう一方では、ここにいらっしゃる僕を含めた4人の人たちがやっているよう な、エンターテインメント性のあるマーケットが広がってきていることも重要。このマーケットを広げるためには、サービス専門職の開拓も大事。彼らがアメッ クスのゴールドを持てるようなところまで、僕ら雇用側が責任を持たないといけません。2つが広がっていけば、これからの日本は面白いなと思いますね。

サービスというものは驚き、感動、意外性のみではなく、継続性を持ってやっていくことによってリピーターが生まれるようだ。そのためには、人材育成 の底上げがまだまだ必要なのだろう。日本のサービス業界はスキル面でのポテンシャルがもともと高いため、こうした経営者の努力でまだまだビジネスのチャン スは広がっていくはずだ。


プロフィール

株式会社バルニバービ
代表取締役 佐藤裕久氏

1961年生まれ。アパレル会社にて出店計画事業などに従事した後、91年に有限会社バルニバービ総合研究所設立。98年に株式会社バルニバービへ組織変 更。現在は、東京、横浜、大阪、京都、神戸に21店のカフェやレストランを展開中。既成概念にとらわれない経営手腕で関西、関東の飲食業界を牽引する。

株式会社Huge
代表取締役社長 新川義弘氏

1963年生まれ。新宿東京会館(現ダイナック)を経て、84年に長谷川実業(現グローバルダイニング)入社。02年に最高執行責任者となり、日米首相が 会食した「権八」をはじめとする店舗経営を統括。05年に退社、06年に株式会社Huge設立。スパニッシュ?イタリアンの「Cafe RIGOLETTO」など、独自性の高い店舗を展開中。

株式会社ワンダーテーブル
代表取締役社長 林祥隆氏

1963年生まれ。第一勧業銀行に入社し、89年に退社。UCLAビジネススクール(MBA)に入学。同校卒業後、92年、株式会社ヒューマックスに入社 し、企画開発を手がける。93年、株式会社ヒューマックスハートに転籍。翌年、株式会社富士汽船(現株式会社ワンダーテーブル)に転籍し、02年に代表取 締役社長に就任する。現在は、飲食店61店舗、ホテル1店舗、ビリヤード場1店舗を運営。

株式会社SEED-TANK
代表取締役社長 古里太志氏

1971年生まれ。株式会社グローバルダイニング入社後、2000年に独立。西麻布「Furutoshi」などを展開。05年には、三井ガーデンホテル銀 座のメインダイニングとして「Sky」をオープン。飲食店経営とともに、サービスに関するコンサルティングも行っている。

コーディネーター
株式会社セレブレイン
代表取締役社長 高城幸司氏

1986年にリクルート入社。6年間連続でトップセールスに輝く。96年、独立起業雑誌「アントレ」を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。現在は、100社以上の人事戦略コンサルティングを手がけ、ベンチャーで活躍する経営メンバーの育成を目指す。

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ビジネスプランコンテスト DREAM GATE GRAND PRIX ファイナル

ゲスト審査員
Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
グローバル カタリスト パートナーズ工学博士
マネージング・プリンシパル 兼 共同創設者 大澤弘治氏
(株)サキコーポレーション 代表取締役社長 秋山咲恵氏
(株)サンブリッジ 代表取締役会長兼 グループCEO アレン マイナー氏
GMOインターネット(株) 代表取締役会長兼社長 熊谷正寿氏
タリーズコーヒージャパン(株) 代表取締役社長兼 チーフバリスタ 松田公太氏
(株)ホリプロ 代表取締役副会長 堀 一貴氏

DREAM GATE GRAND PRIX 2007 全国9エリア代表者決定戦
北海道エリア 東北エリア 関東エリア 中部エリア 近畿エリア 中国エリア 四国エリア 九州エリア 沖縄エリア

メインステージ

オープニングサプライズ Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
「基調講演」志あるところに成功あり~世界標準へのあくなき挑戦~ (株)エイチ・アイ・エス 取締役会長 澤田 秀雄氏
海外起業家講演 百度 Chief Executive Officer Chairman Robin Li氏
「スペシャルステージ」 - 夢持ち続け日々精進 (株)ジャパネットたかた 代表取締役 高田 明氏

カンファレンスステージ

「食品」 - 食品自給率40%!日本の食の未来を守る
オイシックス株式会社 高島宏平氏
株式会社食文化 荻原章史氏
株式会社ひびき 日疋好春氏
株式会社リバネス 丸幸弘氏
コーディネーター:株式会社ユーグレナ 出雲充氏
「ファッション」 - 多様化する未来のファッションを創る  株式会社アパレルウェブ 千金楽健司氏
株式会社カフェグローブ・ドットコム 矢野貴久子氏
Codio Inc. 丁基子氏
株式会社ヘルメット 植松晃士氏
コーディネーター:株式会社ニューゲージ 如月音流氏
「広告」 -次世代広告に見る新しいコミュニケーション方法とは  株式会社RSS広告社 田中弦氏
サーチテリア株式会社 中橋義博氏
株式会社NIKKO 加藤順彦氏
バリューコマース株式会社 ティム・ウィリアムズ氏
コーディネーター:シーネットネットワークスジャパン株式会社 西田隆一氏
「金融」 - 金融大競争時代の金融イノベーションとは  グローバル カタリスト パートナーズ/工学博士 大澤弘治氏
ネットマイル株式会社 水野千秋氏
リスクモンスター株式会社 菅野健一氏
マネックス証券株式会社 松本 大氏
コーディネーター:株式会社フィナンシャル 木村 剛氏
「不動産」 - アントレプレナーが未来都市を創る
株式会社エスグラントコーポレーション 杉本宏之氏
株式会社企画ビルディング 宮本正好氏
株式会社リーテック 平松克敏氏
株式会社パシフィカ・モールズ セス・サルキン氏
コーディネーター:アールプロジェクト株式会社 永井好明氏
「エンターテイメント」 -多様化するエンターテイメントビジネスの可能性
株式会社インディソフトウェア 野津幸治氏
株式会社エンタク 左舘経明氏
株式会社GDH 石川真一郎氏
株式会社トルネード・フィルム 叶井俊太郎氏
コーディネーター:株式会社カフェグルーヴ 浜田寿人氏
「IT」 -業界先駆者が考える、5年後のネットコンテンツの在り方とは
株式会社アイスタイル 吉松徹郎氏
株式会社ドリコム 内藤裕紀氏
株式会社マクロミル 杉本哲哉氏
Melodis Corporation Keyvan Mohajer氏
コーディネーター:株式会社インプレスR&D 井芹昌信氏
「旅行」 - 旅行業界の新しい価値を生み出す
ロケットプレーン・キスラー社 チャールズ・ラワ氏
旅ウェブ株式会社 肥後愛樹氏
株式会社ビィー・フリーソフト 綿引隆一氏
フォートラベル株式会社 津田全泰氏
コーディネーター:株式会社リクルート エイビーロード・リサーチ・センター 稲垣昌宏氏
「教育」 - 起業家が子供を変えて、世界を変える。アントレプレナー流子供教育・労働教育
株式会社キッズシティージャパン 住谷栄之資
デジタルハリウッド株式会社 藤本真佐氏
デジット株式会社 舩川治郎氏
株式会社ネクシィーズ 近藤太香巳氏
コーディネーター:慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー 牧 兼充氏
「環境」 - 環境をビジネスにした新たな価値
株式会社イースクエア ピーターD.ピーダーセン氏
株式会社サティスファクトリーインターナショナル 小松武司氏
株式会社省電舎 中村健治氏
NPO法人北海道グリーンファンド 鈴木享氏
コーディネーター:株式会社リサイクルワン 木南陽介氏
「サービス」 - サービス精神が世界の人々を豊かにする
株式会社バルニバービ 佐藤裕久氏
株式会社Huge 新川義弘氏
株式会社ワンダーテーブル 林祥隆氏
株式会社SEED-TANK 古里太志氏
コーディネーター:株式会社セレブレイン 高城幸司氏
「モバイル」 - 未来のモバイルビジネスによって、人類のコミュニケーション方法を変えていく
KLab株式会社 真田哲弥氏
株式会社ドワンゴ 川上量生氏
株式会社NAVIBLOG マンダリ・カレシー氏
コーディネーター:モバイル・コンテンツ・フォーラム 岸原孝昌氏