開催日:2006年3月11日 会場:東京・プリズムホール
株式会社ヒューマンブレイン 代表取締役 いとう 伸氏
「大挑戦者祭2006」2日目。Dステージは、隣のCステージにも響き渡るほど元気な関西弁で幕を開けた。「つかみ1秒あと楽勝。起業のす
べては営業できまる」の講師は、株式会社ヒューマンブレイン代表取締役 いとう伸氏。営業仕掛け人の肩書きを持ついとう氏の「売れる」プレゼンテクニック
がたっぷり披露された。
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プレゼンに大切なテクニックは全て“伝える”という目的に紐づく。それは、売る商品の機能性や価値を伝えるだけでなく、それよりも自分自身を伝える
ということが重要なのだという。なぜなら、プレゼンの第一段階は相手の心を開くことから始まり、そのためには、まず自分自身を相手に伝えることが最も効果
的だからである。
「先方担当者が我々に割いてくれる時間なんて、たいてい15分程度。この短時間で「買いましょう」と言わせるには、自己紹介をして相手の心を開くことに長い時間をかけてはいられません。だから“つかみ”がとても大事。「つかみ1秒、あと楽勝」なんです」
それは服装であったり、挨拶の仕方であったり、一風変わった名刺などもつかみの重要要素になるとのこと。しかし、何より効果的なのは“伝え方”のテ クニックをマスターすることだという。「伝え方のポイントは4つ。“言語”“表情”“ボディランゲージ”“目力”です。中でも最も効果的なのが4つめの“ 目力”」
ここで、参加者全員を対象に目力を検証するゲームが行われた。まず壇上に「ステキよ好き」「ふふ、全部お見通しよ」「ワタシ燃えてます」の心情が書
かれた3枚のカードが貼り出される。参加者は隣の人とペアを組み、Aが目をつぶっている間に、いとう氏からBに、先ほどの3つの中の1つを指示。BがA
に、目だけでその心情を伝えるというもの。初対面の人同士がじっと見つめあう。BからAとAからBの2回実施したところ、なんと両回とも約7割ほどの正解
者が。目力の威力に会場からどよめきが起こった。
次にいとう氏が挙げたプレゼンのテクニックは“シナリオ作り”。
「もちろん詳細な商品説明を盛り込むのは必須です。しかしそれだけなら他の営業マンと変わらない。僕がシナリオのメインにしているのは、この商品が使う人のどんな願望や欲求を満たし、どんな不満を解決してくれるかということなんです」
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いとう氏は羽毛布団を例に挙げた。まず羽毛布団が軽くて暖かいことは誰でも訴えがちなこと。いとう氏の場合は、この良質の羽毛布団を一組買っておく
だけで、例えば姑が泊まりに来た際にさりげなく勧めてあげれば、姑は大感激、さらには夫にも大感謝され、夫婦円満へとつながるというところまで筋書きを用
意し、語りきるという。
「自分のこれまでの経験や知識を最大限に活用して、商品の魅力を伝える筋書きを何本も用意しておくんです。それで現場でベストだと思った一本を披露すればいい」
さらに彼は自身のモットーをこう続けた。
「“説得”というのは、相手の得を説いてあげること。がむしゃらに「お願いします」と頭を下げるのは、営業成績を落としたくないという自分の得を求 めた行為でしかないでしょう? 相手の得を一番に考えてプレゼンすれば、相手はきちんと「得=お金」を納めてくれるんです。つまりこれが“納得”」
いとう氏の“説得”に参加者たちは何度もうなづいた。目力で自分の誠実さや熱意を伝えること。また、自分がこれから始めようとしている新規事業が、 顧客のどんな欲求を満たし、不満を解決するのか、相手の得を説くシナリオをいくつも練り上げることで、相手はもちろん、自分の幸せや成功にも必ずつながる のだと、深く“納得”した様子であった。ゲスト審査員
(株)サイバーエージェント 藤田 晋氏
GMOインターネット(株)熊谷 正寿氏
タリーズコーヒージャパン(株)松田 公太氏
(株)テイクアンドギヴ・ニーズ 野尻 佳孝氏
(株)フォーバル 大久保 秀夫氏
ブックオフコーポレーション(株)坂本 孝氏