起業・経営FAQ:従業員役員のメリット・デメリット

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

会社設立に当たり、取締役として従業員を、いわゆる「従業員役員」として雇用しようと考えています。
・役員を従業員として扱う際のメリット・デメリットならびに必要な手続き
・役員を経営者サイドとして扱う際のメリット・デメリットならびに必要な手続き を教えていただけないでしょうか。

回答

まず対象となる取締役がご自分の家族なのか、家族以外の方なのかで手続きが変わってきます。

1.取締役を「従業員役員」として雇用する場合
■メリット
○労働保険(雇用保険・労災保険)に加入可能
社会保険(健康保険、厚生年金保険)は、兼務役員であるかないかに関わらず、常勤役員については強制加入となります。
労働保険(雇用保険・労災保険)に加入できるかどうかが違ってきます。
※注意1)雇用保険:代表取締役と生計を共にするご家族(特に配偶者)である場合には、原則として雇用保険には加入できません。
※注意2)労災保険:他の労働者を雇用している場合であって、事業主の指揮命令に従って業務を行い、就労の実態が他の労働者と同様である場合に加入できます。
代表者と従業員役員のほかに、1人も純粋な労働者がいない場合には労災保険には加入できません。

○従業員としての賞与は、損金扱いできる
役員賞与は、損金扱いできませんが、従業員としての賞与については、損金処理できます。

■デメリット
○労働基準法の適用事業としての義務が発生する
取締役を労働者として取扱うことにより、会社が労働者基準法に基づく適用事業となります。それに伴い監督署への「適用事業報告」「36協定」の届出や「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の整備など、さまざまな義務を負うことに注意しましょう。

2.役員としてのみ取り扱う場合
■メリット
○労働者ではありませんので、その方については労働基準法の義務は発生しません。

■デメリット
○雇用保険に加入できません。
○労災保険には原則加入できません。
ただし、通常労働者の方を使用し、労災保険の適用事業となっている場合であって、労災保険の特別加入制度を利用しますと、代表者も含め役員・家族従業者も労災保険の給付を受けることができるようになります。

3.必要な手続きについて ■健康保険、厚生年金保険【加入対象者】
次の1)、2)のいずれの条件を満たす方について加入対象者となります。
1)雇用契約期間が2ヶ月以上見込まれる方(正社員だけでなく、常勤役員・アルバイト・パートも対象になります)
2)労働時間が通常の労働者の4分の3以上の方【提出書類】・新規適用届・新規適用事業所現況届・被保険者資格取得届・被扶養者(異動)届(被扶養者がいる方)同居配偶者と高校生を除き、非課税証明書または在学証明書(学校発行)も必要です。
※学生証のコピー不可・法人登記簿謄本・賃貸借契約書・保険料口座振替納付申出所
【提示書類】・出勤簿・労働者名簿・賃金台帳・源泉所得税の領収書・直近の決算書または確定申告書の控え・役員報酬についての議事録
【その他】上記のほかにも提出・提示が求められる場合があります。管轄の社会保険事務所に事前にご確認ください。

【手続先】所轄の社会保険事務所

■労災保険・雇用保険
労災保険と雇用保険を合わせて労働保険といい、加入対象となる方の条件はぞれぞれ下記のとおりです。
○労災保険労働時間や賃金の多少にかかわらず、労働の対価として賃金を受けている方については、労災保険の対象となります。
※ただし、原則として、代表者、役員、代表者と生計を一にする家族従事者は対象外です。

○雇用保険【加入対象者】
現在の法律では、次の1)、2)のいずれの条件を満たす方について雇用保険の加入対象者となります。
1)1週間の所定労働時間が20時間以上の方
2)1年以上引き続き雇用されることが見込まれる方
※1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の方・・・短時間労働被保険者として加入
※1週間の労働時間が30時間以上の方・・・一般被保険者として加入
※代表者、役員、代表者の同居家族などは、原則雇用保険に加入できません。

雇用保険・労災保険の加入手続き
【手続きの流れ】
1.「管轄労働基準監督署」へ労働保険成立の手続きを行ないます。
【提出書類】・保険関係成立届・概算労働保険料申告書
【提示書類】・法人登記簿謄本・賃貸借契約書

2.「管轄ハローワーク」へ新規適用手続きを行ないます
【提出書類】・事業所設置届・資格取得届・出勤簿・法人登記簿謄本・賃貸借契約書・同居の家族雇用実態証明書(同居家族の場合)・兼務役員雇用実態証明書(兼務役員の場合)
【提示書類】・出勤簿・労働者名簿・賃金台帳・源泉所得税の領収書・直近の決算書または確定申告書の控え
【その他】上記のほかにも提出・提示が求められる場合があります。管轄のハローワークに事前にご確認ください。【手続先】所轄のハローワーク以上でアドバイスとさせていただきます。

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