起業・経営FAQ:自己資金なしでも 飲食店2店舗目の資金調達できる?

この記事は2026/02/16に専門家 上野 光夫 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

現在、大阪市・御堂筋本町駅近辺で飲食店を1店舗経営しております。
1店舗目は現在なんとか黒字で運営できている状況ですが、
大きな内部留保があるわけではなく、自己資金にはあまり余裕がありません。

このような状況の中で、
次のステップとして 2店舗目の出店 を検討しており、
可能であれば 自己資金を入れず、フルローンでの資金調達 を希望しています。

つきましては、以下の点について、
メールでご教示いただける範囲でアドバイスを頂けますと幸いです。

1.1店舗目が黒字ではあるものの、自己資金がない場合でも、
2店舗目出店の融資は現実的に可能か

2.フルローンを目指す場合、
日本政策金融公庫と民間金融機関のどちらが適しているか

3.金融機関に説明する際、
特に重視されるポイント(既存店の実績、数字の見せ方、計画内容など)

4.この条件の場合、
事前に準備しておいた方が良い資料や考え方があれば知りたい

まずは概要レベルで構いませんので、
メールでご回答いただけましたら幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。


回答: 飲食店2店舗目出店/自己資金なしでの資金調達について (回答者:上野 光夫氏)

回答者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング/ 資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。

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ご相談内容、拝見いたしました。
御堂筋本町という立地で既存店を黒字運営されている点は、2店舗目出店を検討する上で非常に重要な実績です。その前提を踏まえ、順に回答いたします。

1.自己資金がほぼない状態でも、2店舗目出店の融資は可能か
結論から申し上げると、状況次第では可能です。
2店舗目の出店は、新規の創業ではないので「自己資金が○○%必要」といった条件はありません。
もちろん、全額借入よりは、自己資金を一部投入できるほうが審査に通りやすくなるのは事実です。
重要なポイントは「自己資金の有無」そのものよりも、以下の点です。
・1店舗目が継続的に黒字であるか
・月次ベースでの利益水準とキャッシュフロー
・実績の売上の規模(月商、年商)
・借入金の有無と返済実績
・店舗目を出しても、既存店の利益で全体の返済が回る構造か

とくに飲食店の2店舗目融資では、「新店単体で黒字になるか」よりも、「1店舗目+2店舗目を合わせた事業全体で返済可能か」という視点で見られるケースが多くなります。

2.フルローンを目指す場合、日本政策金融公庫と民間金融機関のどちらが適しているか
これについては、一概にどちらが適しているとはいえず、ケースバイケースです。

【日本政策金融公庫】
すでに日本政策金融公庫から融資を受けている場合は、その残高と今回の希望金額の合算が大きい場合(目安は年商の3分の1を超えている)は、日本政策金融公庫からのフルローンでの追加融資は難易度が高くなります。
そうではなくて、1店舗目は自己資金、もしくは民間金融機関から融資を受けている場合は、金額にもよりますが、日本政策金融公庫からフルローンの融資が実現する可能性はあります。

【民間金融機関】
一方、民間金融機関(信用金庫・地銀等)の場合も同様です。
1店舗目を出すときに融資を受けているかどうか、どれくらいの融資残高があるかが、一つのチェックポイントになります。
民間金融機関の場合は、まだ業歴が浅いので、都道府県の「信用保証協会」の保証が必要となるケースがほとんどです。民間金融機関から信用保証協会の保証でどれくらい融資を受けているかが重要です。
たとえば、すでに2,000万円の融資(保証)が残っている場合、2店舗目の出店のために追加で2,000万円申し込むと、合計残高が4,000万円と高額になるので、フルローンのハードルは高くなります。
一方、民間金融機関からは融資を受けておらず、日本政策金融公庫から融資を受けている場合は、1店舗目で良好な売上を上げていることと、日本政策金融公庫が融資していることから、民間金融機関がフルローンで融資してくれる可能性は十分にあります。

3.金融機関が特に重視するポイント
ご相談の条件下では、以下が特に重要になります。
(1)既存店の実績
・年商、月商、営業利益の推移(直近12か月分)
・客単価、回転率、原価率、人件費率
(2)数字の見せ方
・年次決算だけでなく、月次試算表があると融資担当者が納得しやすくなります。
・「なぜ黒字が出ているのか」を説明できる構造
・当店の強み、特長、お客様から選ばれる理由、といった点を客観的表現で説明できること。
(3)2店舗目の計画の現実性
・立地選定理由
・1店舗目との違い、集客上の強み
・詳細な数値計画とそれが実現する根拠
※根拠については、市場調査(立地条件、ターゲットとする顧客層の状況、競合状況など)をしっかり行って、資料として提出すると有効です。

4.事前に準備しておくべき資料・考え方
最低限、以下は準備されることをおすすめします。
・直近2〜3期分の決算書
・月次試算表(可能であれば直近12か月)
・既存店と新店を含めた事業計画書
・2店舗目の初期投資内訳(内装、設備、運転資金)

金融機関の融資担当者は、フルローンかどうかよりも、1店舗目の売上・収益状況、2店舗目の収支見込などを重視します。
日本政策金融公庫に勤務していた私の経験では、1店舗目が成功しても2店舗目がうまくいかないケースは少なくありません。
しかがって、融資担当者に対して2店舗目も十分な収益が得られることを、口頭で話すだけではなく、資料を作成して提出することをお勧めします。

まとめ
現在のご状況は、
・立地の良い既存店が黒字
・2店舗目という「拡大フェーズ」
であり、融資としては十分に土俵に乗るケースです。
ただし、成功の可否は上記のようなことを考慮した綿密な事前準備が必要です。

具体的な数字を拝見できれば、どの金融機関をどう当たるべきか、融資額・返済期間の現実的な水準まで踏み込んだ助言が可能です。

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