起業・経営FAQ:在職中に会社設立により代表者になった場合、退職後に失業給付を受け取れますか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

失業給付の受け取りについて、ご相談させてください。

現在勤続10年の会社を退職する予定です。在職中に起業したく、もう数年、自身のビジネスが軌道に乗るまでの間、別会社に転職して会社員を並行したいと思っております。

在職中に会社設立をして会社の代表になった場合、離職後から転職までの間の失業給付の受け取りは難しいでしょうか。また、離職後から転職までの期間に会社設立した場合はどうなりますでしょうか?

回答:失業給付の受け取りは厳しいと判断します。

この質問への回答者

高橋 聡 (たかはし さとし)/高橋聡公認会計士・税理士・社労士・診断士事務所
時には厳しいが、的確なアドバイスを頂ける頼れる専門家の方です。創業から株式公開まで、企業の成長段階ごとに合ったアドバイスを頂く事が出来ます。

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ご質問の件ですが、失業給付のハローワークでの細かい実務上の取り扱いについて、「雇用保険に関する業務取扱要領」というものが定められています。関係する記載を抜粋しますと、この中では次のように述べられています。

内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者については、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うことが可能となるので留意すること。ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事務所の設営等開業に向けた継続的性質を有するものを開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。一方で、事業許可取得のための申請手続、事務所賃借のための契約手続等の諸手続(当該諸手続のための書類の作成等の事実行為を含む。)を行っているに過ぎないような場合は、その行為が求職活動の継続と両立しないようなものでないかどうかについて、個別具体的な事情を勘案して判断すること。

 

受給資格者を代表取締役とする会社設立の登記が行われた場合(実際に営業を開始したかは問わない。)は、登記の日以後、安定所の職業紹介にすぐには応じられない状態であり就職したものと同様に取り扱うことが妥当である。ただし、代表取締役とする登記が行われた場合であっても、次に掲げるすべての要件を満たす者については、安定所の職業紹介にすぐに応じられない状態であるとは言い切れないため、安定所の職業紹介にすぐに応じられる状態であることが確認できれば、就職していないものと取り扱う。

1 相続によって法人の代表取締役となったこと

2 当該法人の経営実態がすでに失われていること

3 相続前から受給資格決定に係る確認時までに当該法人の経営に携わっておらず、今後も当該法人の経営に携わる予定がないこと

(「雇用保険に関する業務取扱要領」についてはこちらhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/toriatsukai_youryou.html)

したがって、上記を踏まえますと、在職中に会社設立により代表者になってしまった場合は、離職後の失業給付は受けられません。また、離職後に会社設立準備を行っていて、ハローワークからの職業紹介にも応じられる状態である場合は、失業給付を受けられる可能性はありますが(ただし、これもハローワーク側の事実認定次第です)、設立登記により代表者就任後は、失業給付は受けられないということになります。

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