この記事の所要時間:約14分
- 目次 -
この記事の要約
- シェアオフィス開業には、立地選定・資金計画・差別化戦略が重要
- 初期費用は物件規模により大きく変動し、綿密な収支計画が必要
- 成功の鍵はターゲット明確化と継続的な集客戦略
- 専門家相談により失敗リスクを大幅に減らせる
本記事では、シェアオフィス開業の準備から成功のポイントまでをわかりやすく解説しています。
働き方の多様化に伴い、シェアオフィスの需要は年々高まっています。遊休スペースを活用したい、新たな収益源を確保したいと考える方にとって、シェアオフィス事業は魅力的な選択肢といえるでしょう。
しかし、いざ開業しようとすると、必要な資金はどのくらいか、どんな準備を進めればよいのか、競合との差別化はどうすればよいのかなど、わからないことも多いはずです。
本記事では、シェアオフィス開業の具体的な流れから初期費用・運営コストの相場、さらには成功するための実践的なポイントまで、わかりやすく解説していきます。
これから開業を目指す方の疑問を解消し、スムーズなスタートを後押しする内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修者プロフィール:須田 幸宏(すだ ゆきひろ)
東北の起業家のみなさまをサポートします!
三楽る(みらくる)オフィス
東北を拠点に資金調達の支援で活躍する須田アドバイザー。元日本政策金融公庫融資課長で、日本公庫に33年勤務し、融資を通して、延べ2万以上の事業者、5,000以上の起業家をサポートされてきました。非常に親切・温厚なお人柄で、事業だけでなくライフプランニング(生活・家計の設計・見直し)もサポートされていますので経営者の強い味方となるでしょう。
シェアオフィスとは?
シェアオフィスとは、複数の企業や個人が共同で利用できるオフィス空間のことです。似た名称のサービスもあるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
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シェアオフィス開業には、物件選定、資金調達、事業計画の策定、集客戦略の設計など、多くの準備が必要です。初めての開業では、適切な立地の見極め方や競合との差別化、収支計画の立て方など、わからないことも多いでしょう。
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シェアオフィスの市場動向と需要拡大の背景
働き方改革やリモートワークの普及により、シェアオフィスの需要は年々拡大しています。新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、テレワークを導入する企業は大幅に増加し、現在では約半数の企業が採用している状況です。
参照:我が国の企業のテレワークの導入状況(総務省)
また、フリーランスや副業に取り組む人口も増え続けており、自宅以外の作業場所を求める声が高まっています。企業においても固定費を削減するためにオフィスを縮小し、サテライトオフィスとしてシェアオフィスを活用する動きが広がっています。
さらに、起業を志す人が増えている一方で、開業時の資金を抑えたいというニーズも強く、初期投資を抑えられるシェアオフィスは魅力的な選択肢となっています。
こうした複数の要因が重なり、市場規模は今後も拡大が見込まれており、2026年には2,300億円規模になるとの予測もあります。
レンタルオフィスとの違い
レンタルオフィスは、壁やパーティションで仕切られた個室や半個室を、契約期間中に一社または個人が専有して利用できるサービスです。
デスクや椅子などのオフィス家具やWi-Fi環境があらかじめ整っていたり、備品を置いたままにできる点に加えて、プライバシーが確保されている点がメリットといえます。
一方、シェアオフィスは複数の利用者が同じ空間や設備を共有する形態となっており、個別の占有スペースは基本的に設けられていません。
レンタルオフィスは機密情報を扱う業務や、集中して作業したい方に向いており、法人登記が可能な物件も多く存在します。料金面では、レンタルオフィスの方が専有スペースを持つ分やや高額になる傾向がありますが、一般的な賃貸オフィスと比較すれば低コストで利用できます。
中小企業やスタートアップ企業のメインオフィスとして、また士業の事務所としても活用されています。
コワーキングスペースとの違い
コワーキングスペースとシェアオフィスは、どちらも複数の利用者が共有する空間という点では共通していますが、運営の目的や雰囲気に違いがあります。
コワーキングスペースは「共同で働く」という意味が込められており、利用者同士の交流や協働を重視している点が大きな特徴です。カフェのようなオープンな空間でフリーアドレスの座席が用意され、異なる業種や立場の人々が集まることで、人脈づくりや新たなコラボレーションが生まれる場として機能しています。
一方、シェアオフィスは作業場所の提供に主眼を置いており、交流よりも個々の業務に集中できる環境を整えることを優先しています。
ただし、実際には両者の境界は曖昧で、シェアオフィスの中にコワーキングスペースが併設されているケースも多く、明確に区別されないこともあります。
シェアオフィスが選ばれる主な利用シーン
シェアオフィスが選ばれる利用シーンは多岐にわたります。
まず、フリーランスや個人事業主が自宅以外の作業場所を求めて利用するケースが最も一般的です。自宅では集中できない、オンとオフの切り替えが難しいといった悩みを解決できるほか、副業をする会社員が、本業の合間に作業する場所として活用することも増えています。
企業においては、リモートワークやハイブリッド勤務を導入した際のサテライトオフィスとして選ばれるほか、スタートアップ企業が初期コストを抑えながら拠点を持つ場所としても人気です。
また、短期プロジェクトのメンバーが集まる一時的な作業場として、あるいは出張や外回りの合間の短時間でも立ち寄れるスポットとしても重宝されています。
駅の近くや商業施設内といった好立地に展開されることが多いため、利便性の高さも選ばれる理由の一つといえるでしょう。
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シェアオフィス開業までの全体スケジュールと流れ
シェアオフィス開業には、事業計画の策定から開業後の運営まで、段階的な準備が必要です。スムーズに開業を進めるためには、各フェーズで何をすべきかを事前に把握しておくことが重要になります。
【開業4か月前まで】事業計画とコンセプトの策定
開業に向けた第一歩として、事業計画とコンセプトの策定を行います。
まずは市場調査を実施し、どこにシェアオフィスの需要があるのか、競合他社はどのような料金設定やサービスを提供しているのかを把握しましょう。
次に、どのような利用者をターゲットにするのか、どんな設備や機能を提供するのかといったコンセプトを明確にしていきます。たとえば、フリーランス向けの低価格プランを軸にするのか、スタートアップ企業向けに法人登記や会議室を充実させるのかによって、必要な準備が大きく変わってきます。
事業計画には、提供するサービス内容、料金体系、収支計画、競合との差別化ポイントなども盛り込み、資金調達や物件選定の際に活用できる形で文書化しておくことが大切です。
【開業3か月前まで】物件の選定と契約手続き
コンセプトが固まったら、次は物件の選定と契約手続きに入ります。
立地はシェアオフィスの成否を左右する重要な要素であり、ターゲット層が通いやすいエリアを選ぶことが求められます。駅からのアクセス、周辺企業との距離、治安の良さ、賃料とのバランスなどを総合的に判断しながら、複数の候補物件を比較検討しましょう。
内見の際には、日当たりや騒音、インターネット回線の引き込み可否、トイレなどの共用設備の状態も細かく確認しておく必要があります。
物件が決まったら、貸主や管理会社に使用目的を伝えて許可を得た上で契約を進めます。契約時には保証金や礼金、仲介手数料、賃料の前払い分など多額の支払いが発生するため、資金調達が必要な場合は、物件の仮押さえ期間と手付金の有無を確認しながら準備を進めることが重要です。
【開業2か月前まで】内装工事と設備準備
物件契約が完了したら、内装工事と設備準備に取りかかります。
策定したコンセプトに基づいて、スペースの分割方法やレイアウトを決定し、電気工事や空調設備工事、給排水工事、塗装工事などを業者に依頼します。
個室スペースを多く確保するのか、オープンなフリーアドレスを中心にするのか、会議室やラウンジをどれくらい設けるのかによって、工事の規模や費用が変わってきます。
利用者が快適に過ごせるよう、照明の明るさや空調の効き具合、動線設計にも配慮することが大切です。施工中は進捗を随時確認し、当初のイメージとズレが生じていないかをチェックすることで、トラブルを未然に防げます。
また、内装工事と並行して、インターネット回線の開設工事や入退室管理システムの導入準備も進めておくと、スムーズに次のフェーズへ移行できます。
【開業1か月前まで】備品の導入と広告準備
内装工事が完了したら、デスクや椅子、プリンター、モニター、プロジェクター、ロッカー、文房具といった備品を導入します。
利用者が増えるほど回線速度や電源数の不足が問題になりやすいため、余裕を持った設備設計を心がけましょう。
新品と中古を組み合わせることで、コストを抑えながら必要な備品を揃えることも可能です。備品の納入は、内装工事完了日以降に順次到着するように手配しておくとスムーズです。
また、このタイミングで広告宣伝活動の準備も始めます。ホームページやSNSアカウントを開設し、施設内の写真や設備情報、料金プラン、アクセス方法などを掲載して、オープン前から認知度を高めていきましょう。
予約ポータルサイトへの掲載やチラシ作成なども並行して進めることで、開業当初から安定した集客が見込めるようになります。
【開業2週間前まで】従業員採用や運営体制の整備
有人運営を選択する場合、開業の2週間前を目安に従業員の採用と教育を行います。受付や利用者対応、清掃、設備管理を担うスタッフが必要になるため、ハローワークや求人媒体を活用して人材を確保しましょう。
採用後は、利用者対応マニュアルやセキュリティルールを整備し、サービス品質を一定に保てるよう徹底的に教育することが重要です。
無人運営を選択する場合でも、清掃やトラブル対応を行う人材や外部委託先を確保しておく必要があります。
また、雇用する場合は、社会保険や労働保険、税務署への給与支払い関連の手続きも忘れずに行いましょう。
運営体制が整ったら、料金の支払い方法や予約システムの最終確認、緊急時の連絡体制の構築なども済ませておくことで、開業後のトラブルを最小限に抑えられます。
【開業直前】開業届・登記などの行政手続き
開業直前には、行政手続きを済ませておく必要があります。
個人事業主として運営する場合は、税務署に開業届を提出しましょう。開業届は事業開始から1か月以内の提出が求められており、青色申告を希望する場合は青色申告承認申請書も併せて提出します。法人として運営する場合は、法務局で法人登記を行い、定款の作成や登記申請などの手続きを進める必要があります。
また、飲食物を提供する場合は飲食店営業許可証の取得や食品衛生責任者の配置、深夜に酒類を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業届の提出など、提供するサービス内容によって追加の許可申請が必要になるケースもあります。
収容人数が30名以上になる場合は防火管理者選任届出書の提出も求められるため、開業前に該当する手続きを洗い出し、行政書士や税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
【開業当日以降】オープンと見学受け入れ
すべての準備が整ったら、いよいよ開業です。
オープン日を設定し、SNSやホームページ、チラシ、地域メディアなどを活用して告知しましょう。プレオープン期間を設けて限定キャンペーンや内覧会を実施すれば、認知度を高めやすくなります。
開業直後は、モニターを募集したり知人を招いたりして、予測できなかった不便や不足に対応できる期間を設けると良いでしょう。料金の妥当性や設備の使いやすさ、清潔感など、第三者の意見を聞くことは貴重な改善機会になります。
また、広告を見て利用の申し込みがあった場合は、見学対応を丁寧に行うことが大切です。長期契約を検討している利用者は、設備や雰囲気を確認してから契約することが多いため、見学時や短期利用時の対応が利用者獲得の鍵となります。
開業後は利用者の声を積極的に収集し、サービス改善に反映させることで、安定した利用者数を確保できるようになります。
シェアオフィス開業にかかる費用相場
シェアオフィス開業には、初期投資とその後の運営資金が必要です。物件の規模や立地条件、提供するサービス内容によって費用は大きく変動するため、事前に相場を把握しておくことが重要になります。
シェアオフィス開業の初期費用は100~1,000万円が目安
シェアオフィス開業に必要な初期費用は、一般的に100~1,000万円程度が目安とされています。費用に大きな幅があるのは、物件の条件や開業規模によって必要な投資額が異なるためです。
すでに所有している物件や空きスペースを活用できる場合は、内装工事費や設備導入費、広告宣伝費を中心に100~300万円程度で開業できるケースもあります。
一方で、都心部の広い物件を新たに借りて運営する場合は、物件取得費だけでも数百万以上かかるため、総額で1,000万円を超えることも珍しくありません。
また、開業直後から安定した収益を得るのは難しいため、少なくとも開業後3か月分のランニングコストを見込んで資金を準備しておくことが推奨されます。自己資金で賄えない場合は、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資、国や自治体の補助金・助成金、クラウドファンディングなど、複数の手段を組み合わせて資金調達を検討しましょう。
物件取得や内装工事にかかる主な費用項目
物件取得と内装工事は、初期費用の中でも特に大きな割合を占める項目です。
物件を新たに借りる場合、保証金、礼金、仲介手数料、賃料の前払い分、保険料などがかかり、立地や物件の広さによって数十万円から数百万円の支払いが発生します。都心部の駅近物件は賃料が高額になる傾向があるため、保証金だけでも賃料の数か月分が必要になることもあります。
内装工事では、スペースの分割や電気工事、空調設備工事、給排水工事、塗装工事などを業者に依頼することになり、250〜750万円程度の費用が見込まれます。
デザインにこだわったり、スケルトン物件から全面的に改装したりする場合にはより高額となります。
逆に、内装がそのまま活用できる物件を選んだり、必要最小限の工事に留めたりすることで、費用を大幅に抑えることも可能です。地方の空き物件や売れ残り物件を活用すれば、物件取得費と内装工事費の両方を節約できるため、開業エリアの選定も含めて検討することが大切です。
備品・システム導入に必要なコストの目安
シェアオフィス運営に必要な備品やシステムの導入にも相応のコストがかかります。
デスクや椅子といったオフィス家具は、新品で揃えると数十万円から百万円程度になることもありますが、中古品を活用したり、転居予定のオフィスから買い取ったりすることで費用を抑えられます。
そのほか、プリンターや複合機、モニター、プロジェクター、ホワイトボード、ロッカー、文房具なども必要です。インターネット環境の整備には、高性能なルーターやアクセスポイントの設置が求められ、利用者数に応じて複数台用意する必要があります。
また、運営効率を高めるためには、入退室管理システム、会員管理システム、予約管理システム、請求・決済システムなどの導入も検討しましょう。これらのシステムは、初期費用が無料で月額料金のみで利用できるものから、初期費用が数十万円かかるものまで幅広く存在します。コストを抑えるには、大企業向けの多機能システムではなく、必要最低限の機能に特化した低価格なシステムを選ぶことがポイントです。
運営後にかかるランニングコスト
開業後は、毎月のランニングコストが発生します。一般的には月額20万円から50万円程度が相場とされており、主な内訳は賃料、光熱費、通信費、清掃費、メンテナンス費用、人件費などです。
賃料は固定費として最も大きな割合を占めるため、物件選びの段階で慎重に検討する必要があります。光熱費は利用者数や営業時間によって変動し、夏冬のエアコン使用が増える時期は特に高額になる傾向があります。通信費は安定したインターネット環境を維持するために欠かせないコストであり、複数回線を契約する場合は月数万円かかることもあります。清掃やメンテナンスを外部委託する場合は、その費用も計上しておきましょう。
有人運営を選択する場合は、受付や管理を担うスタッフの人件費が追加で必要になります。無人運営であっても、システムの月額利用料や緊急時の対応費用は発生するため、どちらの運営形態を選ぶかによってランニングコストは大きく変わります。
開業前に収支計画を立て、安定した利用者数を確保できるまでの運転資金も含めて準備しておくことが重要です。
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シェアオフィス利用者にとってのメリット
シェアオフィスを開業する際には、利用者にとってのメリットを理解しておくことが重要です。利用者がどのような価値を求めているのかを把握することで、需要のあるサービスを提供でき、事業の成功につながります。
初期費用を大幅に抑えて開業できる
シェアオフィスの利用者は、初期費用を大幅に抑えて開業できる点に大きな魅力を感じています。
一般的な賃貸オフィスでは、敷金や礼金として家賃の4か月~6か月分、さらに仲介手数料や内装工事費用などがかかり、数百万円規模の初期投資が必要になるケースも少なくありません。
一方、シェアオフィスでは入会金と1か月から3か月分の保証金程度で利用を開始できることが多く、総額で数万円から数十万円程度に抑えられます。
また、デスクや椅子などのオフィス家具、インターネット環境、プリンターなどの設備が最初から整っているため、備品購入の費用も不要です。
開業時の資金に余裕がない個人事業主やスタートアップ企業にとって、この初期費用の低さは事業を始めるハードルを大きく下げる要因となっています。シェアオフィス事業を運営する側としては、この「低コストで開業できる」というメリットをしっかりと提供できる環境を整えることが、集客の鍵になります。
立地の良いオフィスを低コストで利用できる
都心の一等地や主要駅近くにオフィスを構えることは、ビジネスにおいて大きなアドバンテージとなりますが、通常の賃貸オフィスでは高額な賃料がネックとなります。
シェアオフィスの利用者は、比較的安価に好立地のオフィスを利用できる点を高く評価しています。
たとえば、都心のビジネス街で賃貸オフィスを借りると月額数十万円かかるところ、シェアオフィスなら月額数万円から利用できるケースも珍しくありません。
名刺やホームページに一等地の住所を記載できることで、顧客からの信頼度が向上し、新規案件の獲得にもつながります。
また、駅から徒歩数分圏内という利便性は、顧客との打ち合わせや営業活動をスムーズに行える環境を提供します。
シェアオフィス事業を運営する際には、立地選びが利用者の満足度を大きく左右するため、アクセスの良さやビジネス街としての価値を重視した物件選定が重要になります。
設備やサービスが充実しているためすぐに事業を始められる
シェアオフィスの大きな魅力の一つは、契約後すぐに業務を開始できる点です。
利用者は、デスクや椅子、インターネット環境、電話回線、プリンターなど、業務に必要な設備がすでに整っている環境を求めています。賃貸オフィスの場合、内装工事やインフラ整備に数週間から数か月かかることもあり、その間は事業を開始できません。
一方、シェアオフィスであれば、契約を結んだその日から作業に取りかかることも可能です。また、受付対応や郵便物の受け取り、清掃などのサービスが含まれている施設も多く、利用者は本業に集中できる環境が得られます。
シェアオフィス事業を運営する側としては、スピーディーな事業開始を可能にする設備とサービスの充実度が、利用者の選択基準となることを意識する必要があります。
他業種との交流や人脈づくりのチャンスが広がる
シェアオフィスには、さまざまな業種や立場の利用者が集まるため、他業種との交流や人脈づくりの場としての価値も高く評価されています。同じ空間で働く事業者同士が共用スペースやラウンジで顔を合わせることで、自然とコミュニケーションが生まれやすくなります。
たとえば、行政書士と社会保険労務士が連携して総合的なサービスを提供したり、デザイナーとエンジニアが協力して新しいプロジェクトを立ち上げたりといった事例も少なくありません。
運営会社が交流会やセミナーを定期的に開催している施設では、より積極的にビジネスネットワークを広げる機会が提供されています。
起業したばかりの経営者にとって、経験豊富な先輩起業家からアドバイスを受けられる環境は非常に貴重です。シェアオフィス事業を運営する際には、単なる作業場所の提供にとどまらず、利用者同士の交流を促進する仕組みやイベントを企画することで、付加価値を高めることができます。
法人登記が可能で信頼性を高められる
多くのシェアオフィスでは法人登記が可能であり、この点も利用者にとって大きなメリットとなっています。
自宅を事務所として開業する場合、プライバシーの問題や顧客からの信頼性の面で不安を抱える人も少なくありません。
シェアオフィスの住所で法人登記を行えば、自宅住所を公開せずに済むため、安全面でも安心です。また、ビジネス街や一等地の住所で登記できることで、企業としての信用度が高まり、取引先や金融機関からの評価も向上します。
ただし、すべてのシェアオフィスが法人登記を認めているわけではなく、また業種によっては登記に制限がある場合もあります。
シェアオフィス事業を運営する際には、法人登記に対応できる体制を整え、契約前にその旨を明確に伝えることが、利用者の信頼獲得につながります。
シェアオフィス利用者にとってのデメリット
シェアオフィスには多くのメリットがある一方で、利用者が感じるデメリットも存在します。事業として成功させるためには、これらの課題を理解し、解決策を提供することが競合との差別化につながります。
利用できるスペースが限られており拡張性に乏しい
シェアオフィスの利用者が直面する課題の一つが、スペースの限界です。
個室や専有スペースは賃貸オフィスと比べて狭いケースが多く、事業が成長して従業員が増えた際に手狭になる可能性があります。また、書類や備品が増えてくると収納場所に困るという声も少なくありません。
特に行政書士や士業など、大量の書類を保管する必要がある業種では、限られたスペースで効率よく収納する工夫が求められます。
さらに、事業拡大に伴ってより広いスペースへ移転したい場合でも、同じ施設内に適切な広さの空室がないことも考えられます。
シェアオフィス事業を運営する際には、こうした拡張性の課題に対応できるよう、複数のプランを用意したり、可能な限り収納スペースを確保したりする工夫が求められます。
また、電子化を推進できる環境を整えることで、物理的なスペースの制約を軽減するサポートも有効でしょう。
セキュリティやプライバシーの面で不安が残る
シェアオフィスは複数の利用者が同じ建物やフロアを共有するため、セキュリティやプライバシーの面で不安を感じる利用者も存在します。
共用スペースや廊下、エレベーターなどで他の利用者や来客と接触する機会があり、完全な独立性を保つことは難しい環境です。特に、顧客の個人情報や機密性の高い書類を扱う業種にとって、情報漏洩のリスクは重大な懸念事項となります。
また、インターネット回線を共有している場合、セキュリティ対策が不十分だとサイバー攻撃のリスクも高まります。
シェアオフィス事業を運営する側としては、ICカードや顔認証による入退室管理、防犯カメラの設置、鍵付きの書類保管庫の提供、暗号化されたインターネット環境の整備など、多層的なセキュリティ対策を講じることが利用者の信頼獲得に不可欠です。
内装や設備を自由にカスタマイズできない
シェアオフィスでは、賃貸オフィスのように内装や設備を自由にカスタマイズすることができません。既存の設備やレイアウトをそのまま使用する必要があるため、企業のブランドイメージに合わせた空間づくりが難しいという制約があります。
壁の色を変えたり、間取りを大きく変更したりすることは基本的に認められておらず、看板や表札の設置にも制限がある場合があります。
また、特殊な機材や設備が必要な業種の場合、持ち込みや設置に制限があることも考えられます。
自社のこだわりを反映した独自のオフィス空間を作りたいと考える利用者にとって、この制約はデメリットとなるでしょう。
シェアオフィス事業を運営する際には、できる限り柔軟な対応を可能にするため、小規模な装飾や家具の持ち込みを許可したり、複数のデザインテイストの部屋を用意したりすることで、利用者の満足度を高めることができます。
長期的にはコストが割高になる可能性がある
シェアオフィスは初期費用を抑えられる一方で、長期的に利用するとコストが割高になるケースもあります。
月額料金には清掃費や光熱費、インターネット料金、設備のメンテナンス費用などが含まれているため、坪単価で見ると一般的な賃貸オフィスよりも割高になることも少なくありません。また、会議室の利用料や複合機の使用料、電話応対サービスなど、オプション料金が積み重なると想定以上の出費になる可能性があります。
事業が軌道に乗り、従業員が増えて広いスペースが必要になった場合、シェアオフィスの料金プランを変更するよりも、賃貸オフィスへ移転した方が経済的になるケースもあるでしょう。
シェアオフィス事業を運営する際には、料金体系を明確にし、どのサービスが基本料金に含まれ、どれが別途請求されるのかを事前にわかりやすく説明することが重要です。
また、長期契約者向けの割引プランを用意することで、コスト面での不安を軽減することもできます。
共用設備の利用制限や混雑による不便がある
シェアオフィスの共用設備は、利用者数や時間帯によって混雑し、思うように使えないことがあります。
特に会議室は利用希望者が多い時間帯に予約が集中しやすく、急な来客対応や重要な打ち合わせの際に空室がないという事態も起こりえます。また、プリンターや複合機といった事務機器も、月末や確定申告期間などの繁忙期には順番待ちが発生することがあり、業務に支障をきたす可能性があります。
さらに、共用ラウンジやフリースペースが混雑していると、リフレッシュや軽い打ち合わせができる場所がなくなってしまいます。
シェアオフィス事業を運営する際には、利用者数に対して十分な数の共用設備を確保することが重要です。
会議室の予約システムを効率化したり、利用時間に制限を設けて公平性を保ったり、繁忙期には臨時の対応策を用意したりすることで、利用者の不満を軽減できます。
シェアオフィス開業後の集客方法
シェアオフィスを開業しても、利用者を集客できなければ事業として成り立ちません。効果的な集客方法を組み合わせることで、安定した利用者数を確保し、収益を最大化することが可能になります。
SNSやWebサイトを活用したオンライン集客
現代の集客において、オンラインでの情報発信は欠かせない要素となっています。
まず、自社のホームページやブログを立ち上げ、施設の特徴や料金プラン、設備情報、アクセス方法などをわかりやすく掲載しましょう。写真や動画を豊富に使い、実際の雰囲気が伝わるよう工夫することが大切です。
また、InstagramやX、Facebookといったソーシャルメディアを活用した集客も効果的です。特にInstagramは視覚的な訴求力が高く、おしゃれな内装やコワーキングスペースの様子を投稿することで、興味を持つユーザーにリーチできます。定期的な投稿を継続することで、フォロワーとの関係性を築き、信頼感を醸成できるでしょう。
さらに、GoogleマップやGoogleビジネスプロフィールへの登録も重要です。地図検索で上位表示されることで、近隣で作業場所を探している人の目に留まりやすくなります。
Web広告としては、GoogleやMeta(Facebook・Instagram)の広告配信も選択肢の一つです。ターゲット層を絞り込んで配信できるため、費用対効果を高めることができます。
チラシや地域連携によるオフライン集客
オンライン集客が主流になっている一方で、地域密着型のシェアオフィスにおいてはオフラインの集客も依然として有効です。
特に地方や郊外で開業する場合、地域住民への認知度を高めるため、チラシのポスティングや新聞折り込み広告が効果を発揮することがあります。ターゲット層が多く居住するエリアに絞って配布することで、無駄なコストを抑えながら効率的にアプローチできます。
また、近隣の商店街や企業、商工会議所などとの連携も検討しましょう。地域のイベントに参加したり、交流会を開催したりすることで、地元の事業者とのネットワークを構築できます。こうした関係性から口コミが広がり、新規利用者の獲得につながることも少なくありません。
オフライン集客は即効性は低いものの、地道に継続することで地域に根付いた信頼感を得られるため、長期的な視点で取り組む価値があります。
予約ポータルサイトや代行サービスを活用した集客
自社での集客活動に加えて、外部のサービスを活用することで、より幅広い層にリーチすることができます。
シェアオフィスやレンタルオフィスの予約ポータルサイトに施設情報を掲載すれば、すでに利用意欲の高いユーザーに対して効率的にアプローチできます。こうしたポータルサイトは、利用者が複数の施設を比較検討する際に活用されるため、掲載することで認知度を大きく高められるでしょう。
また、集客やマーケティングに関する知識が不足している場合は、運用代行サービスの利用も検討してみましょう。専門的なノウハウを持つ業者に依頼することで、効果的な広告運用やSNS運営を任せられます。
初期段階では費用がかかりますが、プロの手を借りることで早期に利用者を獲得し、収益化を加速させることができます。
ただし、複数の集客方法を組み合わせる場合は、予約のブッキングや二重契約が発生しないよう、管理体制をしっかりと構築しておくことが重要です。
シェアオフィス開業を成功させるポイント
シェアオフィスの需要は高まっていますが、競合も増加しているため、成功するには戦略的な準備が欠かせません。ここでは、開業を成功に導くために押さえておきたい重要なポイントを解説します。
ターゲットとコンセプトを明確にする
シェアオフィス開業で最も重要なのは、誰に向けたサービスを提供するのか、どのような価値を提供するのかを明確にすることです。
ターゲット層が曖昧なまま開業すると、設備やサービス内容が中途半端になり、競合との差別化が図れません。まずは、フリーランスや個人事業主を中心に集客するのか、スタートアップ企業や中小企業の利用を想定するのかを決めましょう。
また、低価格を売りにするのか、高品質な設備やサービスで勝負するのか、あるいは特定の業種に特化するのかといったコンセプトも重要です。たとえば、クリエイター向けに防音設備を充実させたり、士業向けに法人登記対応や個室を重視したりすることで、明確な強みを打ち出せます。地域特性も考慮すべきポイントです。
都心のビジネス街であれば交流やネットワーク構築を重視するコンセプトが適している一方、郊外や住宅地では育児や家事の合間に利用できる手軽さをアピールするのが効果的でしょう。
競合調査を行い、他のシェアオフィスがどのようなサービスを提供しているかを把握した上で、自社ならではの独自性を打ち出すことが成功への第一歩となります。
集客方法を事前に戦略的に設計する
開業後の集客に苦労しないためには、事前にしっかりとした集客戦略を立てておくことが不可欠です。どんなに立地が良く設備が充実していても、利用者に認知されなければ意味がありません。
まず、ホームページやSNSアカウントの開設は開業前から準備を始め、施設の工事段階から進捗状況を発信することで、オープン時には一定の認知度を獲得できます。
また、Googleビジネスプロフィールへの登録や地図検索での上位表示を目指すSEO対策も早期に取り組むべき施策です。
さらに、シェアオフィスの予約ポータルサイトへの掲載や、不動産会社との提携も検討しましょう。これらの外部チャネルを活用することで、自社の集客力だけでは届かない層へのリーチが可能になります。
ただし、複数の集客方法を同時に展開する場合は、どの施策がどれだけの効果を生んでいるのかを測定できる体制を整えておく必要もあります。効果的な手法に予算を集中させることで、費用対効果を最大化できます。
立地とアクセス条件をしっかり吟味する
シェアオフィスの成功を左右する最も重要な要素の一つが立地です。利用者は利便性を重視するため、駅からのアクセスや周辺環境が大きな決め手となります。
まず、主要駅から徒歩10分以内、できれば5分以内の物件を選ぶことが理想的です。特に初めて訪れる利用者にとって、わかりやすい場所にあることは安心感につながります。
また、ビジネス街や企業が集まるエリアに位置していれば、取引先との打ち合わせにも便利で、企業利用者の満足度が高まります。
一方で、地方や郊外で開業する場合は、駐車場の有無が重要な判断基準となります。車での移動が主流の地域では、駐車スペースがないと利用者を逃す可能性があるため注意が必要です。
さらに、周辺に飲食店やコンビニ、銀行、郵便局などの利便施設が揃っているかも確認しておきましょう。特に女性の利用者にとって、夜間でも安心して出入りできる環境、つまり治安の良さは重要な選択基準となります。
物件選びの際には、実際に現地を訪れて昼夜の雰囲気を確認し、周辺環境を総合的に判断することが大切です。
利便性を高める設備・システムを整備する
利用者の満足度を高め、リピート率を向上させるためには、充実した設備とシステムの整備が欠かせません。
まず、高速で安定したインターネット環境は必須です。複数の利用者が同時接続しても速度が落ちないよう、業務用の高性能なルーターやアクセスポイントを複数台設置しましょう。また、プリンターや複合機、会議室、個室ブース、ロッカーといった基本的な設備を揃えることも重要です。
さらに、クレジットカード決済やオンライン予約システムを導入することで、利用者の利便性が大幅に向上します。現金のやり取りを減らすことで、運営側の業務負担やリスクも軽減できるでしょう。
入退室管理システムの導入も検討すべき項目です。ICカードやスマートロックを活用すれば、セキュリティを確保しながら無人運営も可能になります。会員管理システムや請求管理システムを導入すれば、利用状況の把握や料金徴収の自動化ができ、運営効率が飛躍的に向上します。
こうしたシステムは初期投資がかかりますが、長期的には人件費の削減や業務効率化によって十分に回収できます。利用者にとっても運営者にとってもメリットのある環境を整えることが、持続的な成長につながります。
有人運営か無人運営かを検討する
シェアオフィスの運営形態として、有人運営と無人運営のどちらを選ぶかは、事業の採算性やサービス内容に大きく影響します。
有人運営の場合、受付スタッフが常駐することで、来客対応や問い合わせ対応、清掃や設備管理をきめ細かく行えるため、利用者の満足度が高まりやすいという利点があります。秘書サービスや郵便物の受け取り代行といった付加価値の高いサービスも提供しやすくなります。
一方で、人件費が固定費として大きくのしかかるため、一定規模以上の施設でなければ採算が取りにくいという課題があります。
無人運営の場合、人件費を大幅に削減できるため、小規模な施設でも利益を出しやすくなります。入退室管理システムやオンライン予約システム、自動決済システムなどを導入することで、運営者が常駐しなくても問題なく稼働させることが可能です。
ただし、トラブル発生時の対応や清掃管理には工夫が必要で、外部委託や定期巡回の体制を整えておく必要があります。
どちらの運営形態を選ぶかは、立地や規模、ターゲット層、自身の運営スタイルを総合的に判断して決定しましょう。
集客と成功のポイントを押さえてシェアオフィスを開業しよう
シェアオフィスの需要は拡大を続けており、今後も成長が期待できる市場です。
開業を成功させるには、事業計画の段階からターゲットとコンセプトを明確にし、立地選びや設備投資を戦略的に進めることが重要になります。
初期費用は100万円から1,000万円程度が目安ですが、既存物件の活用や工夫次第でコストを抑えることも可能です。
開業後は、SNSやWebサイト、ポータルサイトなど複数の集客チャネルを組み合わせて利用者を獲得しましょう。競合が増える中でも、独自の強みを打ち出し、利用者にとって価値のあるサービスを提供できれば、安定した収益を確保できます。
本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひシェアオフィス開業という新たな一歩を踏み出してください。
シェアオフィス開業の疑問や不安は、専門家に相談して解決しましょう!
シェアオフィス開業には、物件選定、資金調達、事業計画の策定、集客戦略の設計など、多くの準備が必要です。初めての開業では、適切な立地の見極め方や競合との差別化、収支計画の立て方など、わからないことも多いでしょう。
ドリームゲートでは、シェアオフィス開業に精通した専門家への無料相談が可能です。あなたの状況に合わせたアドバイスを受けることで、不安を解消し、成功への確実な一歩を踏み出せます。まずはお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール:須田 幸宏(すだ ゆきひろ)
東北の起業家のみなさまをサポートします!
三楽る(みらくる)オフィス
東北を拠点に資金調達の支援で活躍する須田アドバイザー。元日本政策金融公庫融資課長で、日本公庫に33年勤務し、融資を通して、延べ2万以上の事業者、5,000以上の起業家をサポートされてきました。非常に親切・温厚なお人柄で、事業だけでなくライフプランニング(生活・家計の設計・見直し)もサポートされていますので経営者の強い味方となるでしょう。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは、経済産業省後援のもと2003年に誕生した日本最大級の起業支援プラットフォームです。起業アイデアの整理から事業計画書作成、資金調達・融資支援まで、実務経験豊富な専門家が起業家一人ひとりの課題に寄り添い、実現までをサポートします。(運営:株式会社プロジェクトニッポン)
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