ネットショップ開業に必要な資金とは?内訳や費用をおさえる方法まで徹底解説

この記事は専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ネットショップの開業は、実店舗を構えるよりも低コストではじめられるといわれますが、じっさいには多くの費用がかかる点に注意が必要です。サイト構築の方法によって初期費用が大きく変わるだけでなく、撮影機材や備品の購入費、商品仕入や広告費、人件費など、想定以上に多岐にわたるコストが発生します。さらに、開業後もランニングコストとして月額の利用料や決済手数料が継続してかかるため、長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。

そこで今回は、ネットショップ開業に必要な資金の内訳から、構築方法ごとの費用目安、初期投資をおさえる工夫、補助金活用のポイントまでくわしく解説します。無理のない資金計画を立てるための基礎知識として、ぜひ参考にしてみてください。


ネットショップ開業の資金計画は事業計画書でしっかり整理しましょう!

ネットショップ開業には初期費用だけでなく、運営費用や広告費などさまざまな資金が必要で、これらを正確に把握し計画的に管理することが成功の鍵となります。開業資金の調達、月次の収支予測、キャッシュフロー管理など、資金面で整理すべき要素は数多くあります。そこで、ネットショップ開業に特化した事業計画書のテンプレートを無料でご提供いたします。資金計画に必要な項目がすべて盛り込まれているため、記入するだけで融資申請にも使える本格的な事業計画書が完成します。ぜひご活用ください。


- 目次 -

ネットショップ開業に必要な資金の目安は?

ネットショップをはじめるときには、さまざまな費用がかかります。たとえば、サイト構築費用やパソコン・カメラなどの機材費、ドメインやサーバーの利用料などが該当します。

さらに、お店を開くには営業許可を取ったり、場合によっては商品名を守るために商標を登録したりする必要があります。商品を仕入れたり、自分でつくったりする場合は、その資金も準備しなければなりません。

そして、開業後の運営にもお金がかかります。たとえば、人を雇うための給料、商品の宣伝費、荷物を届けるための送料などが継続的に発生します。これらは、売上が出るまでにかかる「運転資金」と呼ばれるものです。

全体の費用の目安としては、初期費用をおさえてはじめる場合、無料のネットショップ作成サービス(ASP型)を使い必要最低限の設備におさえると10万〜20万円ほどで開業できるとされています。

一方で、本格的な環境を整えたい場合は注意が必要です。たとえば、商品をきれいに撮影するためのカメラや照明をそろえたり、固定電話を用意したりすることで、30〜50万円以上の初期費用がかかることもあります。

まずはどのようなことにお金が必要なのかをリストにして、あらかじめ費用の内訳を整理しておくことが大切です。

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ネットショップの構築方法ごとの費用目安

ネットショップの構築方法は、大きく分けてモール型・ASP型・オープンソース型・ECパッケージ型・フルスクラッチ型などがあり、それぞれ初期費用や運用コスト、機能面の自由度が異なります。ここでは各構築方法ごとの費用目安について解説します。

モール型:初期費用は安いが月額費用や販売手数料が発生

ECモール型のネットショップは、「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」といった有名なネットモールのなかに、自分のお店を出すスタイルです。最初にかかる費用は少なめで、数千円〜数万円からはじめられるケースもあります。ただし、使い続けるための費用として、月額の使用料や、商品が売れたときの手数料(販売手数料・決済手数料)などが定期的に必要です。

たとえば楽天市場では、月に2万円以上の出店料がかかるほか、売上に応じてシステム使用料や決済手数料も追加されます。

ASP型:低コストではじめられるが自由度は制限される

ASP型のネットショップ構築は、初期費用や運用コストをおさえたい方に適した方法です。クラウド上でサービスが提供されるため、自社でサーバーを用意したり、ソフトをインストールしたりする必要はありません。パソコンとインターネット環境があれば、専門的な知識がなくてもショップをスムーズに開設できます。

月額数百円〜数千円で利用できるプランも多く、コスト面でのメリットは大きいといえるでしょう。ただし、機能やデザインの自由度には制限があるため、細かいカスタマイズをおこないたい場合には不向きな側面もあります。加えて、外部システムとの連携が限定されるケースも見られるため、将来的に多機能なショップへ拡張したいと考えている場合は、あらかじめ注意しておくことが大切です。

オープンソース型:カスタマイズ性が高いが導入の手間がかかる

オープンソース型は、EC-CUBEやWordPressなど無償で公開されているプログラムを利用し、自社独自のネットショップを構築する方法です。デザインや機能の自由度が非常に高く、オリジナリティを反映させやすい点が魅力です。一方で、導入にはプログラミングやシステム構築の知識が求められるため、初心者にはやや難易度が高い傾向があります。また、ソースコードが公開されているため、セキュリティ対策は自社で責任を持っておこなわなければなりません。

初期費用は0円からはじめられますが、サーバー代などは別途必要です。月額は数千円〜数万円が一般的です。保守を外注する場合は10万円以上となることもあります。販売手数料は発生しません。自由度の高さと引き換えに、開発・運用体制の確保が重要となるため、中〜大規模の事業者や自社に開発チームを持つ企業に向いている構築方法といえるでしょう。

ECパッケージ型:本格的な構築に向くが初期投資は高額

ECパッケージ型は、ネットショップの運営に必要な機能を備えたソフトウェアを導入して構築する方法です。高いカスタマイズ性やセキュリティ性能を持ち、本格的なECサイトを目指す中〜大規模の事業者に向いています。ただし、初期費用は約300〜500万円以上と高額で、月額費用も10万円を超えるケースが一般的です。

加えて、独自機能の実装や外部システムとの連携にも柔軟に対応できる一方、アップデートや保守管理は自社で担う必要があります。そのため、体制の整備は欠かせません。将来的な事業拡大も視野に入れたうえで、長期的な運用計画を前提とした導入が求められる構築方法といえるでしょう。

フルスクラッチ型:完全オリジナルだが費用・工数ともに最大

フルスクラッチ型は、既存のシステムやパッケージを一切使わず、ゼロからネットショップを開発する手法です。デザインや機能を完全に自社の要望にあわせて構築できるため、自由度が非常に高く、他社との差別化を重視する大規模EC事業者に適しています。一方で、開発には高度な専門知識を要し、初期費用は数千万円以上、月額の運用コストも数十万円規模になるケースが多く見られます。

さらに、開発期間が1年以上に及ぶ場合もあり、体制や予算が十分に整っている企業でなければ現実的な選択とはいえません。将来的な拡張性や、内製化による改善スピードの速さを重視する企業にとっては有効な手段ですが、中小企業にとっては投資過多となるおそれがあるため、慎重な判断が求められます。

機材・備品など設備の購入費用の内訳

ネットショップをスムーズに運営するためには、パソコンやカメラなどの端末機器から、プリンターや照明、梱包資材といった各種備品まで、さまざまな設備の整備が欠かせません。ここでは、設備投資にかかる具体的な費用の内訳を紹介します。

パソコンやスマートフォンなどの端末機器

ネットショップを円滑に運営するには、パソコンやスマートフォンといった端末機器の整備が欠かせません。受注処理や顧客対応、商品ページの更新など、多くの作業がこれらの端末を通じておこなわれます。そのため、端末の性能は作業効率に直結する重要なポイントです。

たとえば、画像編集や動画作成をおこなう場合は、処理能力に優れた中〜上位モデルのパソコンが適しています。一方、スマートフォンでは、カメラ性能や操作性にも配慮するとよいでしょう。また、安定したインターネット接続環境を確保し、セキュリティ対策としてウイルス対策ソフトの導入も忘れてはなりません。これらを整えることで、業務全体の信頼性とスピードが向上します。

プリンター・スキャナーなどの周辺機器

プリンターやスキャナーなどの周辺機器も、ネットショップ運営を円滑に進めるうえで大切な備品です。帳票の印刷や納品書の発行、身分証のスキャンといった事務作業を効率化でき、とくに返品処理や帳簿管理など、紙媒体での対応が必要な場面では重宝します。導入しておくことで、バックオフィス業務の正確性やスピード向上にもつながります。

主な周辺機器と費用目安は以下のとおりです。プリンターは約5,000円~3万円程度で導入でき、インクジェット型が主流です。スキャナーは1〜3万円程度で、書類管理をスムーズにします。印刷・コピー・FAXを兼ね備えた複合機は3万円以上が目安です。10万円未満の場合は「消耗品費」として経費処理できることもあるため、予算や使用頻度を踏まえて機種を選定するとよいでしょう。

商品撮影用のカメラと照明機材

ネットショップで商品を魅力的に見せるためには、撮影用のカメラと照明機材の準備も必要です。近年はスマートフォンでも高画質な撮影が可能ですが、より鮮明で印象的な写真を目指す場合は、ミラーレス一眼や一眼レフカメラの導入が効果的です。

照明については、自然光を活かせる環境であれば理想的ですが、室内での撮影では光量が不足しがちです。そのため、LEDライトや撮影ボックスなどを活用することで、安定した明るさを確保しやすくなります。

カメラの費用は約2〜10万円以上、照明機材は5,000円〜3万円程度が一般的です。なお、10万円未満であれば「消耗品費」、10万円以上であれば「工具器具備品」として、それぞれ経費処理できます。

画像編集・会計・セキュリティなどの業務ソフト

ネットショップを運営するうえで、画像編集・会計・セキュリティといった業務ソフトの導入も重要です。まず、商品ページの作成やバナー制作には画像編集ソフトが活躍します。無料で使えるツールもありますが、ブランド感のあるビジュアルを重視するなら、PhotoshopやIllustratorなどの有料ソフト(月額2,500~3,000円程度)が一般的です。

会計業務では、売上管理から確定申告、決算書類の作成までを効率化するソフトが役立ちます。インストール型であれば3~4万円ほど、クラウド型は月額無料から数千円程度で導入でき、銀行口座やカードと連携して自動で仕訳処理をおこなえるタイプも登場しています。

さらに、顧客情報や決済データを扱う関係上、セキュリティソフトの導入も重要です。無料版でも最低限の保護は可能ですが、情報漏えいや不正アクセスのリスクに備えるなら、有料のセキュリティソフト(年額数千円~)が安心といえるでしょう。

梱包資材や配送用の備品

ネットショップを運営するうえで、梱包資材や配送用の備品も欠かせません。商品が破損なく顧客のもとへ届くかどうかは、ショップへの信頼に直結します。そのため、ダンボールや緩衝材、テープ、宛名ラベルなどの基本資材に加え、ギフト対応を想定してオリジナル封筒やラッピング材を用意するケースもあります。こうした工夫により、サービス品質の向上にもつながります。

梱包資材のコストは種類やサイズによって異なり、1点あたり数円から数百円が目安です。たとえば、ダンボールは約30〜150円、緩衝材は約2〜10円で、テープ類は100〜300円、ラベルは約5〜20円で購入できます。

配送件数が増えるほど消耗も早まるため、在庫不足を防ぐためにも、あらかじめ十分な量を確保しておくことが重要です。また、資材のデザインや素材感にこだわることで、購入体験を高め、リピーターの獲得にもつながるでしょう。

固定電話・FAX・インターネット通信環境

ネットショップの運営では、通信環境の整備も重要な要素です。顧客対応の信頼性や業務の安定性を確保するためにも、固定回線やインターネット設備の導入は計画的に進める必要があります。主に検討すべき通信設備には、以下のようなものがあります。

  • 固定電話:事業用として信頼性が高く、市外局番つきの番号を取得できる。月額料金は2,600〜3,000円程度。
  • FAX回線:業者との書類送受信や発注対応などで活用され、月額1,000円前後で導入可能。
  • インターネット回線:安定したサイト運営には欠かせず、月額4,000円程度が相場。

これらの通信インフラは、日々の業務効率や顧客からの信頼に直結します。導入費用や月額コストは運転資金としてあらかじめ予算に組み込んでおくことが望ましいでしょう。

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ネットショップの開業にかかる費用

ネットショップを開業するには、サイト構築費や備品購入費など、さまざまな費用が発生します。ここでは開業時にかかる主な費用項目を解説します。

サイト作成やデザインにかかる初期費用

ネットショップを立ち上げる際には、最初にサイトの作成やデザインにかかる初期費用が発生します。構築方法の選択によって費用の幅は大きく、無料のものから数千万円を超えるものまであります。

たとえば、無料のASP型サービスであれば、初期費用をかけずに開業することが可能です。ただし、デザインや機能の自由度には限りがあるため、細かいカスタマイズをおこなうには不向きな面もあります。一方で、オープンソース型やECパッケージ型、さらにフルスクラッチ型といった手法では、機能や見た目を自由に設計できる反面、開発や導入のコストが高額になる傾向があります。

具体的な構築方法ごとの初期費用と特徴は以下のとおりです。

構築方法 初期費用の目安 特徴
無料ASP型 0円〜 初心者向けで手軽にはじめられる
有料ASP型 数千円〜10万円未満 一部カスタマイズに対応している
ECパッケージ型 約300〜500万円以上 高機能で自由度の高い設計が可能

商品仕入・在庫管理にかかる費用

ネットショップを運営するには、商品の仕入れにかかる初期費用と、その在庫を管理するためのコストが必要です。仕入額は扱う商品や目標月商により変動し、たとえば平均単価が3,000円の商品を100個販売して月商30万円を目指す場合、原価が2,000円であれば仕入資金は約20万円となります。

在庫リスクをおさえる方法としては、1点から仕入れが可能な卸サイトを利用するほか、ドロップシッピング(※)を選ぶ方法もあります。とくに後者は、在庫や発送作業を持たずに販売できる点が魅力です。

また、在庫管理費については、自宅での保管ならほぼ無料で済みますが、倉庫を利用する場合は月額で数千円~数万円かかることあります。こうした費用をおさえるには、まずは少量の仕入れからはじめて販売傾向を把握し、徐々に在庫を拡充する方法が有効です。

(※)ドロップシッピングは、注文を受けた後に商品を仕入れ、メーカーや卸業者から直接顧客に発送する仕組み。

 

クレジット決済やモール利用の手数料

ネットショップを開業する際には、商品の販売とともに発生する「クレジット決済手数料」や「販売手数料」に注意を払う必要があります。これらは売上に直接関わるため、あらかじめ費用感を把握し、自身のビジネスに合ったサービスを選定することが大切です。

たとえば、以下のようにサービスごとに手数料や料金体系が異なります。。

サービス 決済手数料 その他手数料例
BASE(無料) 3.6%+40円(スタンダードプラン) サービス利用料3%(スタンダードプラン)
※グロースプランは決済手数料2.9%、月額利用料5,980円
Shopify 2.9〜3.9% 外部決済利用時に追加手数料
楽天市場 システム利用料月間売上高の2.0~7.0%、決済手数料など 月額出店料19,500円~100,000円、アフィリエイト費用など
Amazon 8%~15%(カテゴリ別販売手数料) 大口出店料4,900円/月、小口出店プラン100円/商品

同じ月商でも、客単価が低ければ取引回数が増えるため、1件ごとに発生する固定の決済手数料が積み重なり、コストに大きな影響を与えることがあります。また、モール型サービスの場合、初期費用が低めでも月額利用料やシステム使用料、アフィリエイト料などが別途かかる点にも留意が必要です。

そのため、売上目標や平均客単価に応じて、利用するサービスの手数料体系を事前にシミュレーションしておくことが、利益を確保するうえで有効です。費用面だけでなく、将来的な運営方針や拡張性も含めて総合的に判断するとよいでしょう。

月額システム利用料と維持コスト

ネットショップを運営する際には、月額のシステム利用料や維持コストが継続的に発生します。たとえば、無料ASP型サービスは初期費用や月額費用が0円で利用できますが、販売手数料や決済手数料が高めに設定されており、売上に比例して費用が膨らむ傾向があります。

一方、有料ASP型では月額3,000円〜5,000円前後の費用が発生しますが、販売手数料が無料で決済手数料も比較的おさえられているため、売上が増えるほどコスト面で有利になります。

また、楽天市場やAmazonといったECモール型は、月額の出店料に加えてシステム使用料やアフィリエイト費用などが重なりやすく、総額でのコスト試算が不可欠です。以下のように、タイプごとの月額費用と特徴を比較しておくとよいでしょう。

タイプ サービス例 月額費用の目安 特徴
無料ASP型 BASE、STORESなど 0円 売上に応じて手数料が増える傾向
有料ASP型 Shopify、カラーミーショップなど 3,000〜5,000円 手数料が低く、長期的に割安になる可能性あり
ECモール型 楽天市場、Amazonなど 10,000円以上 集客力は高いが、コストは高めに設定されている

長期的な費用負担はサービス選定によって大きく異なります。自社の目標月商や客単価をもとに、維持費も含めて慎重に比較検討することが重要です。

撮影・梱包・配送にかかる備品費

撮影から梱包、そして配送にいたるまでの工程では、多くの備品が必要になります。商品撮影にはカメラや照明機材に加えて、背景紙や三脚もあると作業がスムーズです。とくに照明の有無によって写真の印象は大きく変わるため、自然光だけに頼らず、LEDライトや撮影ボックスの導入を検討するとよいでしょう。

梱包の際には、ダンボールやクッション封筒、テープ、緩衝材、宛名ラベルなどの資材を使用します。これらは1点あたり数円〜数百円で入手可能ですが、配送件数が増えるほど消耗も早いため、在庫管理は計画的におこなう必要があります。

さらに、配送効率を高めるためには宅配袋やラベルプリンターの導入も選択肢に入ります。こうした備品は、商品の見栄えや顧客満足度に直接影響を与えるため、ある程度のコストをかける価値があります。

広告・SNS運用など集客のための費用

ネットショップを開業しただけで十分な集客を見込むことは難しいため、売上を伸ばすには広告やSNSの活用が欠かせません。とくに立ち上げ直後は、短期間で認知を広げる手段として、リスティング広告やSNS広告を導入することが効果的です。運用予算は柔軟に設定でき、クリック課金型を選べば費用対効果を見ながら調整できます。

代表的な集客手法には、次のような選択肢があります。

  • リスティング広告(月5,000円~数十万円):GoogleやYahoo!の検索結果に連動して表示され、即効性が高い
  • SNS広告(月3,000円~数万円):InstagramやFacebookなどでの配信が中心で、拡散力に優れる
  • SNS運用代行(月5~20万円前後):専門業者が投稿内容の企画から運用までを担い、ブランディングに役立つ

なお、自社でSNS運用をおこなう場合はコストをおさえつつ継続的に情報を発信できるため、広告施策との併用で効果を高めることが可能です。

補助金・助成金でカバーできる費用項目

ネットショップの開業では、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、初期費用や運営費の一部を補填できる場合があります。主な制度と概要は以下のとおりです。

補助制度名 補助対象費用 補助率・上限額
IT導入補助金 ECサイト構築、決済、在庫管理などITツール導入費 補助率

原則1/2以内

上限額:5~450万円以下(通常枠A・B類型)

※通常枠

小規模事業者持続化補助金 サイト制作、広告、動画制作など販路開拓費用 補助率:2/3

上限:50万円

※通常枠

事業再構築補助金 新規事業展開にともなう設備・販促費用など 補助率

中小企業者など:1/2(条件により2/3)

中堅企業など:1/3(条件により1/2)

上限:従業員数・条件に応じ100万〜7,000万円

※成長分野進出枠(通常類型)

自治体独自の補助金 サイト制作費や初期登録料など 地域により異なる

これらの制度はいずれも事前申請と審査が必要で、交付は後払い方式です。申請時期や条件を事前に確認し、事業計画を整えて早めに準備することが重要です。

その他のネットショップ開業前にかかる費用

ネットショップを開業するには、サイト構築費や設備投資以外にもさまざまな費用が発生します。ここでは、代表的な項目を紹介します。

営業許可・申請手続きにかかる費用

ネットショップで商品を販売する際には、取り扱う品目によって事前に営業許可を取得しなければならない場合があります。

許可の種類 対象となる販売内容 取得費用の目安
古物商許可 中古品・リサイクル品の販売 19,000円(申請手数料)+住民票など証明書代数百円
食品営業許可 飲食物の販売 1〜2万円前後(自治体により異なる)
化粧品・医薬品販売許可など 商品カテゴリに応じて必要な場合あり 各種法令・規定に準ずる

 

古物商許可は一度取得すれば基本的に更新不要ですが、食品を扱う場合は定期更新が必要で追加費用がかかります。すべての販売において許可が必要なわけではないため、事前に自治体の基準を確認しておくことが重要です。

商標登録や知的財産の保護にかかる費用

ブランド価値を守るには、商品名・ロゴ・ショップ名の商標登録を検討することが有効です。模倣や名称の盗用を防ぎ、安心して事業を展開できます。

商標登録にかかる主な費用は以下のとおりです。

費用項目 金額目安 補足説明
出願手数料 3,400円 +(区分数 × 8,600円) 一律費用
区分手数料 8,600円/区分 登録するカテゴリ数に応じ加算
登録料(5年) 17,200円/区分 審査通過後に支払い

たとえば、アパレルと雑貨の2区分で申請した場合、出願時20,600円、登録時34,400円が必要です。弁理士へ依頼する場合は追加費用が発生します。

ショップロゴやデザイン外注費用

ショップロゴやデザインは、ブランディングにおいて重要な役割を担っています。専門のデザイナーに依頼する場合は一定のコストが発生しますが、視認性や信頼感の向上につながるため、長期的な運営を考えるうえでも効果的な投資といえるでしょう。ロゴ作成には2〜10万円、商品ページや広告用のバナーデザインは5,000円〜2万円、ブランド全体のトンマナを設計するような包括的なデザイン構築には10〜30万円程度が目安となります。

費用をおさえたい場合は、テンプレートサービスやクラウドソーシングも選択肢になります。ただしブランドの一貫性を重視するならプロへの依頼が望ましいです。じっさいに依頼する際には、修正回数や対応範囲によって見積もりが変動するため、事前確認が必要です。

ドメイン取得・サーバー契約費用

ネットショップを独自ドメインで運営する場合、ドメインの取得とサーバー契約が必要になります。ドメインはインターネット上の住所のような役割を持ち、信頼性の向上やブランドイメージの確立に役立ちます。なかでも「.com」や「.net」などの一般的なドメインは取得費用が1,000円前後であるのに対し、「.jp」などの国別ドメインは5,000円を超えることもあり、選択する種類によってコストが変わってきます。また、毎年1,000〜10,000円程度の更新費用が発生するため、初期費用だけでなく維持面にも注意が必要です。

一方で、サーバーはネット上における土地のような存在です。共有レンタルサーバーであれば月額300円~1,000円程度が相場で、プランによっては容量や速度に応じて料金が上下します。ただし、ASP型サービスを利用する場合はサーバー費用が基本料金に含まれていることが多く、別途契約が不要なケースもあります。コストをおさえたいときは、サービス提供側が用意するサブドメインを活用する方法も検討に値します。

ECサイト構築の外注費(制作会社へ依頼する場合)

ECサイトの構築を制作会社に外注する際の費用は、依頼範囲やサイトの規模によって大きく異なります。小規模であれば10〜100万円程度から対応可能ですが、中規模以上になると初期費用が数百万円を超え、場合によっては数千万円規模になることもあります。

一般的な費用の目安は次のとおりです。

  • 小規模:初期費用10〜100万円、月額数千円〜数万円
  • 中規模:初期費用100〜500万円、月額数万〜10万円超
  • 大規模:初期費用500〜数千万円、月額数十万円以上

外注費は、設計から構築、運用サポートまでどこまで任せるかによって変動します。また、デザインや機能のカスタマイズ性、集客支援の有無も費用に影響するため、対応範囲を明確にして見積もりを取り、複数社を比較することが重要です。事前の要件整理と費用対効果の検討が、満足のいく外注先選びにつながります。

ネットショップ開業後にかかる費用

ネットショップは開業すれば終わりではなく、運営を続けるためにさまざまな費用が発生します。ここでは主なランニングコストについて解説します。

人件費(スタッフ・外注対応含む)

ネットショップの運営では、受注管理やカスタマー対応、在庫の確認、商品の梱包・発送といった多岐にわたる業務が日常的に発生します。これらをすべて自力でまかなうのが難しい場合は、外注スタッフやアルバイトの採用を検討するのが一般的です。人件費は作業内容や時間によって差がありますが、月あたり数万円から数十万円にのぼることもあります。

主な人件費の目安は、以下のとおりです。

  • 外注スタッフ:月2〜10万円以上(カスタマー対応・SNS運用など)
  • アルバイト:月5〜20万円以上(梱包・発送作業、繁忙期が中心)
  • 社員雇用:月30万円前後〜(社会保険や福利厚生を含む総コスト)

こうした業務を委託することで、運営者自身の作業負担は軽減されます。一方で、固定費が増える側面もあるため、業務量や売上の状況を踏まえて段階的に導入することが重要です。

広告・販促費(SNS広告・Google広告など)

ネットショップ開業後は、集客や認知拡大のために広告・販促費の確保が不可欠です。とくにSNS広告やGoogle広告は、比較的少額からはじめられ、ターゲットを絞った配信が可能なため、多くの事業者に選ばれています。

代表的な広告手法と費用感は以下のとおりです。

広告手法 費用目安 特徴
SNS広告 数万円〜 InstagramやTikTokなど若年層に効果的。拡散力も高い
リスティング広告 数万円〜 検索連動型のため、購買意欲の高いユーザーに配信可能
Googleショッピング広告 数千円〜上限なし(無料枠あり) 商品画像つきで検索に表示され、直接商品ページへの誘導が可能
ディスプレイ広告 20万円〜 画像や動画で認知拡大に有効
アフィリエイト広告 数万円〜 成果報酬型で効率的な集客が可能

広告費の目安としては、月間売上目標の10〜30%に設定するのが一般的です。クリック単価や想定アクセス数をもとに予算の配分をおこないましょう。効果的な運用には、顧客のLTV(顧客生涯価値)を意識しつつ、段階的な検証と改善を重ねていく視点も欠かせません。

梱包・発送・配送にかかる費用

発送業務では、梱包資材費(ダンボール、緩衝材、テープなど)が1件あたり数十円〜数百円程度、配送費は200〜1,500円前後が一般的です。ラベル印刷にも数円のコストがかかりますが、ラベルプリンター導入で効率化できます。さらに、テープカッターやメジャーといった備品の初期導入には数千円が必要です。

また、送料無料キャンペーンなどで配送費が変動する場合もあります。出荷件数が一定以上になれば、物流代行サービスを活用するのも有効です。梱包や発送業務は顧客満足度にも直結するため、資材調達の効率化と丁寧な作業体制の構築が求められます。

インターネット通信・電話料金

ネットショップを安定して運営するには、信頼性の高い通信環境の整備も必要です。注文確認や顧客対応など、日々の業務はインターネットや電話回線に強く依存しており、コストだけでなく品質面の見極めも重要となります。以下に、主な通信費の目安を記載します。

  • インターネット回線:約4,000円(光回線など安定性重視)
  • 固定電話:約2,600〜3,000円(市外局番つき番号で信頼性向上)
  • FAXつき電話:約3,000〜4,000円(仕入先対応などに有効)
  • モバイル回線:約1,000〜2,000円(外出時・緊急時対応)

とくに固定電話は、対外的な信用獲得にもつながります。FAXは必須ではありませんが、業種によっては効率化につながります。これらの費用は、運転資金として事前に予算化しておくことが大切です。

倉庫・オフィスの維持費用

ネットショップの運営が軌道に乗ると、在庫増加や作業スペース不足により、倉庫やオフィスの賃借が必要になる場合があります。とくに自宅での保管が限界を迎えた場合や、スタッフを雇って業務を分担する必要が生じた際には、その重要性が高まります。

一般的に発生する維持費の目安としては、倉庫賃料が月額3〜10万円前後、オフィス賃料は立地により異なりますが、3〜15万円前後が相場となります。光熱費や通信費は、あわせて月1〜3万円ほどを見込んでおくとよいでしょう。

コスト削減には、レンタル倉庫やシェアオフィスの活用がおすすめです。また、在庫の一部を外部のフルフィルメントサービスに委託すれば、自社内の保管スペースを削減することも可能です。事業規模や商品特性に応じて、必要な広さと支出のバランスを見極めることが求められます。

在庫・受注管理システムの運用費

ネットショップを運営するうえで、在庫や受注管理を正確におこなうためにはシステム導入が有効です。商品の種類(SKU=品目・型番単位)や注文数が増加すると、手作業での管理には限界があり、作業の属人化やミスのリスクが高まります。こうした課題に対処する手段として、管理業務のシステム化が効果的です。たとえば、小規模ショップ向けのクラウド型サービスであれば、月額0円から1万円程度で導入でき、操作も比較的容易です。

一方、中〜大規模事業者に適した多機能型のシステムでは、月額1〜2万円以上が目安となり、自動発注や複数チャネルとの連携といった機能も充実しています。費用は、導入範囲や他システムとの連携の有無によって変動するため、運用目的を明確にしたうえで、必要な機能とのバランスを十分に検討することが求められます。

ECサイトの月額利用料や決済手数料

ECサイト運営では、「月額利用料」と「決済手数料」が継続的に発生します。月額利用料は、無料ではじめられるプランから、数千円〜1万円超の有料プランまで幅広く用意されています。

決済手数料は取引ごとに発生するため、月商や客単価の違いによって支出額が大きく変動します。とくに取引件数が多い場合は、手数料の固定額が積み重なり、予想以上のコストになる可能性も否定できません。こうした費用構造を踏まえ、自社の売上規模や販売スタイルに見合ったサービスを選定することが、健全なショップ運営へとつながります。

ネットショップの開業資金をおさえる方法

ネットショップの開業資金は、工夫次第で大幅に削減できます。ここでは、無理なくはじめられる資金節約の具体的な方法について解説します。

無料または低コストのネットショップ作成サービスを活用する

初期費用や月額費用をおさえてネットショップをはじめたい方には、無料もしくは低コストで利用できるネットショップ作成サービスの活用がおすすめです。たとえば「BASE」や「STORES」などは、いずれも初期費用や月額利用料がかからないプランを提供しており、初心者でも手軽にはじめやすい点が魅力といえます。スマートフォンのみでの開設・運営が可能であることからも、使いやすさを重視する方に選ばれています。

一方で、無料プランの場合は販売時に手数料が発生する仕組みになっています。、たとえばBASEでは、決済手数料3.6%+40円に加えてサービス利用料3%が加算されるので、留意が必要です。

また、集客機能やデザイン面での自由度に制限があるケースも見受けられるため、売上の規模や必要な機能を考慮したうえでサービスを選ぶことが望まれます。とく特に、集客力やSNSとの連携、対応している決済手段の種類といった要素は、開業後の成果を左右する重要な判断基準となるでしょう。

サイト構築はテンプレートやノーコードツールで内製化する

ネットショップ開業時に初期費用をおさえる方法として、テンプレートやノーコードツールを活用したサイト構築の内製化も効果的です。近年では直感的に操作できるツールが充実し、専門知識がなくてもスムーズにページを作成できるようになっています。

あらかじめ用意されたデザインやパーツを組み合わせて構築できるため、短期間での公開が可能なうえ、外注費も発生しません。さらに、レイアウト調整や商品登録なども自身で管理でき、運営後の手間やコストもおさえられます。

とくに小規模な立ち上げ段階では、必要最小限の機能と見た目を整え、事業の成長にあわせて段階的に拡張していく方法が現実的といえるでしょう。

撮影機材や梱包資材は格安・中古品で調達する

ネットショップの開業資金をおさえるには、撮影機材や梱包資材を新品でそろえるのではなく、格安品や中古品を上手に取り入れることが効果的です。たとえば、商品撮影で使う背景紙は100円ショップの模造紙で代用でき、照明も家庭用のLEDスタンドライトや自然光を活用すれば十分な品質が得られます。さらに、カメラはスマートフォンで対応可能なため、初期投資をほぼゼロにすることも可能です。

梱包資材も工夫次第で安価に調達できます。宅配袋は1枚あたり約10円と軽量で送料をおさえられ、クッション封筒は10〜20円程度で割れものの発送に便利です。ダンボールは1枚あたり約20円で汎用性が高く、まとめ買いによってさらに単価を下げられます。このように、必要最低限の備品は新品にこだわらず、身近な代替品や中古品を活用することで大幅なコスト削減が実現できます。

広告はSNS・ブログなど無料媒体を使って自力で集客する

SNSやブログといった無料の情報発信媒体を効果的に活用することで、ネットショップの集客コストをおさえられます。これらのツールを使って継続的に発信をおこなえば、広告費をかけずにターゲット層へ自然な形でアプローチできます。とくに開業初期においては、商品の魅力やショップの世界観を丁寧に伝えることで、認知拡大につながる可能性があります。

たとえば、視覚的な訴求力に優れたInstagramでは、商品の写真とハッシュタグを工夫することで閲覧機会を増やせます。拡散性の高いX(旧Twitter)は、リアルタイムの情報発信に適しており、新商品やキャンペーン告知に効果的です。さらに、検索エンジンからの流入が期待できるブログでは、商品の使い方や活用方法を紹介することでSEO対策としても機能します。

このように、日々の投稿を地道に積み重ねていくことが、フォロワーの獲得と信頼の構築に結びつきます。特別な予算を必要としないため、無料媒体を軸にした集客戦略は、資金に余裕のない段階でも取り組みやすい方法といえるでしょう。

ネットショップ開業資金を把握して計画的にスタートしよう

ネットショップ開業には、ショップ構築、設備投資、運営資金まで、さまざまな費用が発生します。サイト作成や備品の購入だけでなく、広告費や人件費など、継続的にかかるコストも見据えたうえで資金計画を立てることが重要です。

また、補助金や無料ツールの活用、中古品の導入など、初期費用をおさえる工夫もしっかり取り入れましょう。無理なく事業をスタートさせるには、自分のビジネス規模や目標に合った費用感を正しく把握し、予算に応じた選択をおこなうことが大切です。必要な費用を事前にリストアップし、堅実かつ柔軟な計画でネットショップを開業しましょう。


ネットショップ開業の資金計画でお悩みなら専門家に相談しませんか?

ネットショップ開業には、初期費用から運営費用、広告費までさまざまな資金が必要で、適切な資金計画なしには事業の継続が困難になる可能性があります。資金調達の方法、融資申請の手続き、税務処理、費用削減のテクニックなど、専門知識が必要な課題が数多くあります。ドリームゲートでは、ネットショップ開業の資金計画に精通した専門家が、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスを無料で提供いたします。資金面の不安を解消し、安心して開業準備を進めるために、ぜひお気軽にご相談ください。


執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局

ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
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