【電子定款を検討中なら必読】支援ツールや特徴、注意点を解説

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「定款を電子化した電子定款とは、どのようなものなのか」

「通常の紙の定款と電子定款は、何がちがってどちらがよいのか」

今まさに会社を設立しようとしていて、紙の定款をつくるか電子定款をつくるかで迷っていませんか。じっさい電子定款にメリットを見出せる経営者と、紙の定款で十分と感じる経営者の両方がいます。

この記事では、定款に精通した税理士が電子定款と紙定款の両方の特徴を詳細に解説します。最後まで読んでいただければ、自社にマッチした定款は「紙」なのか「電子版」なのかわかるので、ぜひじっくりとお読みください。

電子定款の概要、特徴、注意点

電子定款の概要、特徴、注意点を解説します。電子定款のメリットなどを理解するには、そもそも定款とはどのような書類なのかを知っておく必要があるからです。

定款とは会社の憲法「会社設立時に必ず必要」

定款がないと会社を設立できません。会社を設立するには法務局で設立登記が必要で、このとき法務局から定款を求められるからです定款が会社の憲法と呼ばれるのは、「商号、目的、本店の所在地、出資額、発起人の氏名と住所、発行可能株式総数」の記載が必要だからです。これを絶対的記載事項といいます。

商号とは会社の名称で、目的とは会社の事業内容です。つまり定款とは、会社そのものを文章化したものといえます。

定款には絶対的記載事項のほか、現物出資の内容や取締役会の規定などの相対的記載記事や株券不発行の規定、役員の人数といった任意的記載事項も書きます。

定款作成から設立登記までの流れ

画像引用先:https://smabi.dreamgate.gr.jp/sb/paper_pack/index_kit

定款を作成したら、公証役場に行って公証人に認証してもらいます。定款認証がすんだら、出資金を会社の発起人の銀行口座に振り込み、次に法務局で会社の設立登記をします。法務局が受理したら、会社が設立されます。

電子定款を使うときの定款認証の流れについては、後で詳しく解説します。

電子定款のメリット

電子定款に記載する内容は、従来の紙の定款と同じです。定款を電子化するメリットは、主に以下の2つです。

  • 劣化や消失、焼失などのリスクを回避できる
  • 紙の定款をつくるときに必要な印紙代4万円を節約できる

紙の定款は、紙に印刷して保管しておかなければなりません。紙なので劣化や消失や焼失などのリスクがあります。しかし、電子データある電子定款なら、データが消去されない限り劣化も消失も焼失もしません。

また、電子定款は紙の定款と比べて4万円節約できます。紙の定款には4万円の収入印紙を貼らなければなりませんが、電子定款にはいらないからです。

電子定款のデメリットを解消する方法

電子定款にもデメリットがあります。電子定款を作成するには、ICカードを読み取る機器や、専用の有料ソフト(Adobe Acrobat)が必要になり、自社で一からそろえると4万円をこえるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、次の2つの方法です。

  1. すでに必要な機器やソフトを持っている専門家に依頼する
  2. 電子定款作成ツールを使う

いずれかの方法をえらべば、定款作成に必要な費用を減らしつつ間違いのない定款を効率的につくることができます。

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電子定款づくりを依頼できる3人の専門家

電子定款をつくることができる専門家は、司法書士、行政書士、税理士です。それぞれの事務所に電子定款をつくれるかどうかを尋ねて、「つくれる」といわれたらまかせましょう。

どこでつくってもほぼ同じ電子定款ができますが、専門家の種類によって専門領域が異なります。そこで、将来的に自分や自社が必要とする専門的知識を考えて、その専門家に発注するのがおすすめです。各専門家の違いをわかりやすく紹介していきます。

司法書士、行政書士、税理士の違い

3つの専門家は次のようなちがいがあります。

専門家の種類 特徴
司法書士 会社設立に必要な書類の作成や申請を任せることができる
行政書士 行政の許認可の手続きができる
税理士 税務署への法人設立届や、会社を設立したあとの会計業務支援ができる

会社設立を考えている人は、電子定款の作成以外に何を依頼するかによって、専門家を選んだほうがよいでしょう。そして、電子定款以外に依頼する業務をふくめて、総額がいくらになるのか見積もりを出してもらってください。

電子定款の作成の流れ7ステップ

電子定款の作成の流れを紹介します。ここでは専門家に依頼せず、自力でパソコンを使って作成するで行うことを想定しています。作業ステップは以下の7つのステップです。

  1. 必要なものを用意する
  2. 申請者情報登録をして2つのソフトのダウンロードする
  3. 定款を作成して電子定款(PDFファイル)に変換する
  4. 公証役場で定款の事前確認を受ける
  5. 最終的な電子定款(PDFファイル)をつくる
  6. 電子証明書を送信する
  7. 公証役場で認証を受ける

①必要なものを用意する

電子定款をつくるときに必要なものを一覧にしました。

代表者のマイナンバーカード ICチップが入ったプラスチック製のカードが必要です。マイナンバーを通知する郵便物はマイナンバーカードの代わりになりません。
電子証明書 電子証明書は、マイナンバーカードを持っていれば市区町村役場で取得できます。
ICカードリーダライタ マイナンバーカードのICチップの情報を読み込むためのICカードリーダライタが必要です。
ワードが使えるWindowsのパソコン Macでも不可能ではありませんが、Windowsが使える必要があります。電子定款の「原本」はワードで作成します。
電子署名を入れるためのソフト「Adobe Acrobat」 電子定款に電子署名を入れる必要があるので、そのためのソフト「Adobe Acrobat」が必要になります。

②申請者情報登録をして2つのソフトのダウンロードする

第2ステップでは、「登記・供託オンライン申請システム」のサイトで「申請者情報登録」をおこないます。サイトのURLは以下のとおりです。
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html

画像引用:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html

「申請者情報登録」をする前に、「申請用総合ソフト」と「PDF署名プラグイン」の2つのソフトを、代表者のパソコンにダウンロードしておいてください。2つのソフトは、「登記・供託オンライン申請システム」の下記のURLの「ダウンロード(ソフトウェア・操作手引書)」ページからダウンロードできます。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download.html

画像引用:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download.html

「申請用総合ソフト」は、「登記・供託オンライン申請システム」で手続きするために必要なソフトです。申請者のパソコンでシステムを動かすベースとなります(*1)。

「PDF署名プラグイン」ソフトは、PDFファイルに電子署名を埋め込むためのソフトです(*2)。

*1:
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/sogosoft/what_sogosoft.html

*2:
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/pdf_sign_inst.html

③定款を作成して電子定款(PDFファイル)に変換する

定款はワードでつくったら、ワード・データをPDFファイルに変換します。このPDFファイルが「電子定款」になります。

④公証役場で定款の事前確認を受ける

電子定款ができたら公証役場に持ち込み「事前確認」をしてもらいます。事前確認で修正の指示が出れば、修正を反映した電子定款をつくって再び公証役場に事前確認してもらいます。「事前確認OK」が出るまでこれを繰り返しましょう。

公証役場は、本店(本社のこと)のある都道府県の公証役場を使います。公証役場の住所などは下記のサイトで確認できます。

http://www.koshonin.gr.jp/list

公証役場によっては、電子定款の事前確認をファックスやメールで受け付けてくれるところもあるので、確認してみてください。

⑤最終的な電子定款(PDFファイル)を作成する

公証役場の「事前確認OK」がもらえたら、最終的な電子定款(PDFファイル)をつくります。最終的な電子定款は、指定された公証人に送信します。そのため公証役場に担当になる公証人を指定してもらってください。

⑥電子証明書を送信する

最終的な電子定款(PDFファイル)は、パソコンにインストールした「申請用総合ソフト」を使って指定の公証人に送信します。手順は次のとおりです。

  1. 申請用総合ソフトを立ち上げる
  2. 申請者の作成を行う
  3. 電子公証
  4. 電磁的記録の嘱託
  5. 件名を入力
  6. 指定された公証人の名前を選択
  7. 電子定款を添付
  8. 電子署名を行う
  9. 申請データ送信

これで「電子定款の送信」は完了しましたが、作業はもう1つあります。

⑦公証役場で認証を受ける

電子定款は公証人の認証が必要で、承認を得るには公証役場に出向かなければなりません。公証役場で本人確認を受けたあと、定款認証費用を支払って認証が完了します。委任状があれば代理人が手続きできます。

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⑦公証役場で認証」の流れをさらに詳しく解説

電子定款作成の流れ7ステップのうち、「⑦公証役場で認証」は複雑なのでさらに詳しく説明します。

定款認証の日時を予約する

公証役場に行くときは、アポイントメントを取りましょう。

持参するもの

公証役場には次のものを持参してください。

必要なもの 注意点
代表者の身分証明書 運転免許証などの顔写真付きのもの
電子定款をプリントアウトしたもの 2部
発起人全員の印鑑証明書
代表者の印鑑
空のUSBやCD-R 認証後の電子定款のデータを入力します
費用52,300円* 内訳
認証手数料50,000円*
情報保存料300円
定款の謄本の写し交付手数料約2,000円
代理人の身分証明書 運転免許証など。ただし代理人を立てる場合のみ
委任状 代理人を立てる場合のみ

*2022年追記:定款の認証の手数料は、設立する会社の資本金等の額に応じ、100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円に変わりました(公証人手数料令35 条)。

自分で簡単に定款をつくるツールもおすすめ

電子定款の確実な作成と認証には「会社設立キット」が便利です。Web上ですべての作業を完結でき、紙の定款と比べて3万5000円節約できます。さらに「会社設立キット」は定款だけでなく、会社設立に必要になる次の書類をつくることもできます。

  • 株式会社設立登記申請書
  • 設立時発行株式に関する発起人の同意書
  • 資本金及び資本準備金に関する発起人の同意書
  • 設立時取締役選任及び本店所在地場所決定書
  • 払い込みのあったことを証する書面
  • 委任状
  • 設立時取締役就任承諾書
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書
  • 印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書
  • 株主名簿
  • 設立時貸借対照表

いずれも質問に答える形で入力していくだけで簡単につくれ、専門家と連絡もとれます。書類の作成は無料なので、ぜひドリームゲートの「会社設立キット」を活用してください。

まとめ:ツールで電子定款を効率的につくろう

定款は会社の根幹をなすルールなので代表者自ら作成したいものです。紙の定款は印刷や製本がめんどうでしたが、電子定款なら「使いなれたWord」や「普段使っているPDF」でつくれます。

これから自分の会社を自分の手で動かしていくなら、ぜひ専門家の知恵や「会社設立キット」を駆使して、自分の手で会社の憲法をつくってください。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

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