2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

見向きされなかった廃熱が電気になる!
画期的ユニットが“モッタイナイ”を解消

企業紹介

執筆者: 佐々木 正孝 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

無駄になっている約25兆円分の熱がモッタイナイ!
廃熱を電気に変えるソリューションを開発

事業や製品・サービスの紹介

photo1.jpgエネルギー白書によると、日本では石炭、石油、天然ガスなどの一次エネルギーを火力発電などで使用する際に、約3分の2が熱として捨てられている。バレルに換算すると約25兆円/年もの熱が有効活用されないまま、ただムダになっているのだ。製造業など産業部門、家庭の住宅など民生部門のどちらにおいても、「熱」の効率的な活用が求められるのはいうまでもない。

莫大な「モッタイナイ」廃熱に目を向けたのは、その名も株式会社モッタイナイ・エナジー。廃熱だけではなく、太陽熱や地熱など、あらゆる「熱」を有効活用するための事業を進めてきた。

同社は、代表の西当弘隆氏が在籍する産業技術総合研究所(以下・産総研)の成果物を販売している。その一つがスタック型熱電発電ユニットだ。そもそも熱電発電とは、温度差に比例して生じる電位差によって電力を得る発電である。発電の条件は、温水と冷水が存在する場所であること。100度以下(低温側が10度、高温側が95度)の熱源では12kW/m3の発電能力を持つという。これは太陽光発電に匹敵するパワーだ。

このユニットによって、廃棄されていた「モッタイナイ」未利用の熱エネルギーが利用価値の高い電気エネルギーとして回収できる。製造業のラインや食品加工場など、熱廃水がふんだんに発生する工場、さらに温度が高すぎる温泉と湧水のマッチングなど、適用可能なシーンは幅広い。同社は大手化学プラントメーカーなどと導入に向けた検討を進めている。

200年の歴史を持つ熱電発電を、“熱い”思いで
実用性のあるユニットとして製品化

対象市場と優位性

photo2.jpg実は熱電発電は200年以上の歴史を持っており、決して新しい技術ではない。これまでも人工衛星の電源など、限られた場所で利用されてきてはいる。しかし、私たちの生活に即した一般的な利用シーンでは太陽光電池などにその座を奪われ、ほとんど活用されていない。

なぜ日の目を見ていないのか。それは、熱電発電の応用製品はコストパフォーマンスが思うように上げられないからだ。日本の大手メーカーも熱電発電を用いた応用製品の開発を進めているが、コスト面の問題から量産化には至っていない。

同社が開発したスタック型熱電発電ユニットは、産総研のライセンス商品でもあり、これまでの熱電発電装置にはなかった優位性を持っている。それは徹底した低コストと高い拡張性だ。発電性能を上げたモジュールを搭載し、ボディには低コスト化を意識してエンジニアプラスチックを採用。射出成形によって安価で、そして耐熱性の高いユニットが完成したのだ。

従来使われてきた金属ボディは高価で重量があり、スタックもしにくい。同社の発電ユニットは現場に即した発想からブレイクスルーを実現し、工場などで実際に使いやすい製品として結実したのである。

熱電発電が持つ計り知れないポテンシャル。
IoT時代にフィットした発電としても期待!

事業にかける思い

西当氏は「高コスト・低性能・低知名度の三重苦が立ちはだかった」と、熱電発電ユニットの開発の難しさを振り返る。北陸先端科学技術大学院大学、就職したメーカー、そして産総研で熱電発電の素材、モジュール、ユニットを一貫して研究し続けてきた。三重苦をクリアした研究結果を製品化するため、2016年に同社を起業したという経緯がある。

「世の中に熱電発電を広めたいという一心から、いろいろな場でピッチ、プレゼンを続けています。かつて大手時計メーカーも熱電発電を利用した腕時計を商品化したことがあるのですが、価格は何と10~30万円。高コストが災いして、マニア以外は手を出しにくくなり、ほとんど知られることがありませんでした」

しかし、近年になって技術革新が進み、同社の安価なユニットのようにフットワークの軽い熱電発電ガジェットも登場し始めた。

「近年、アメリカのベンチャーが手がけた熱電スマートウォッチが登場しましたが、何と3万円台という価格になりました。これらのガジェットや私たちの安価(価格は未定)なユニットが注目されたら、多くのプレイヤーが参入し、熱電発電市場も盛り上がるでしょう。今後必ず、熱電発電は世の中に浸透する発電になります」

そもそも、温度差さえあれば発電できるのが熱電発電のメリットだ。この特性を生かし、人の体温と外気温の温度差を活用した低消費電力製品向けの発電も模索している。活用が期待されるのは、今まさにホットなIoTデバイス、各種センサーの電源だ。熱電発電はスポットライトを当てなければ「モッタイナイ」技術なのである。

株式会社モッタイナイ・エナジー
代表者:代表取締役 西当 弘隆 氏 設立:2016年6月
URL:http://mottainai-energy.com/ スタッフ数:2名
事業内容:
熱電変換技術に関連する材料、モジュール、装置、応用製品の製造販売
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
特になし
ILS2018 大手企業との商談数:
17社

当記事の内容は 2018/11/26時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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