2017年10月23~25日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

実在するかのように映像が浮かぶ!
“空中映像”を実現するプロダクトを開発

企業紹介

執筆者: 佐々木 正孝  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

プラスチックの板1枚を置くだけで空中映像が浮かぶ?
光学素子「パリティミラー®」を独自に開発

事業や製品・サービスの紹介

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レイア姫の姿が立体的に浮かび上がる『スター・ウォーズ』、空中に表示されたディスプレイをタッチして操作する『マイノリティ・リポート』――そんな人気SF映画でおなじみの空中映像を実現したのが株式会社パリティ・イノベーションズだ。

コア技術は独自開発の光学素子「パリティミラー®」。この光学素子自体は1枚のプラスチックの板だが、板の下に物を置いて光を当てることにより、面対称位置の上部に空中映像が浮き上がって見える。たとえばスマホを置けば、その映像が空中に表示できる。

これを可能にしたのが、「2面コーナーリフレクターアレイ」という構造だ。目に見えないほど微細な鏡が数十万個以上も並べられており、このマイクロミラーに光を反射させることで空中の面対称位置の空中に像を映し出すことができるのだ。

さらに、手を伸ばせば映像とのインタラクションもできるようになる。それが「空中スイッチ」と「空中タッチディスプレイ」だ。指位置センサーを連動させることで、映像に触れるとオン・オフを切り替えられるようになったり、操作によって映像が動き出したり。

ヘッドマウントディスプレイなどのデバイスを身に着けずとも、ARなどの拡張現実が簡単に実現できる。同社は「パリティミラー®」による空中映像を起点に、多様かつ画期的なサービス、ソリューションを機能させていく計画を進めている。

光を集めて「実像」に! 空中スイッチにより
未来的なタッチデバイスの可能性も広がる

対象市場と優位性

これまでも、ハーフミラー、透明スクリーンなどを使うことで空中映像を実現する技術はあった。しかし、それはあくまで「映像が空中に浮かんでいるように見せる」技術に過ぎなかった。バーチャルアイドルがステージ上に立っているように見せる技術は像の位置や前にある鏡やスクリーンに映し出されるものであり、実際に空中に浮かんでいるわけではなかったのだ。

「パリティミラー®」による空中映像は平面鏡で作られる鏡映像と同じで面対称位置に結像するが、鏡の向こう側にある「虚像」ではなく、こちら側に光を実際に集めてできる「実像」だ。たった1枚の板により、鏡映像の虚像が実像化できる。世界初のプロダクトとして大きな注目を集めているゆえんである。

現在できるのは10cm角の大きさまでだが、さらに大型化を進めることでデジタルサイネージやアミューズメントパークでの活用が視野に入る。空中映像は、広告やエンターテインメント表現の幅をさらに広げるだろう。

空中映像でARの臨場感を高められるだけではない。空中スイッチ、空中タッチディスプレイは様々なデバイスを操作できつつ、物理的な接触がないのが大きなポイント。医療現場や公共スペースのトイレ、はたまた調理の際のレシピ確認など、手を汚したくないシチュエーションでのスイッチとして使えるはずだ。

高度なセンサーと連動することにより、「パリティミラー®」は近未来的なインターフェースとして進化していくのである。

量産化のメドが立ち、コンシューマーに
届けるための体制も近づいてきた

事業にかける思い

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パリティ・イノベーションズは総務省所管の国立研究開発法人である情報通信研究機構のスピンアウトによって設立された。代表の前川聡氏は、ディープラーニング、生体信号処理などの研究が専門だったが、ひょんなことから空中映像の研究に没頭するようになった。研究開発を進めて「パリティミラー®」を開発し、2006年には特許を取得。展示会などの反響に手応えを感じ、2010年に起業する。

「当時は3Dテレビがブームになっていた頃でしたが、立体映像を見慣れている人たちも空中映像の立体感、リアルさには驚きを感じていただくことができました。ただ、現状はサンプルが4万8000円という高価格。コンシューマーに届けるためには課題もあります」

要求される加工精度が高いため、どうしてもコストがかさんでしまう。しかし、透過率をアップさせる金型の開発に成功。量産化への課題も解決しつつある。5000円という販売価格に向け、さらなるコスト削減を進める。目指すのは冒頭で説明したSF映画のような風景がごく当たり前になる、そんな日常だ。

「街中や家庭のあり方を一変させるポテンシャルが『パリティミラー®』にはあります。単なるプロダクトにとどまらず、空中映像ソリューションとして可能性を広げていければと考えています」

株式会社パリティ・イノベーションズ
代表者:前川 聡 氏 設立:2010年12月
URL:http://www.piq.co.jp スタッフ数:5名
事業内容:
空中ディスプレイに関する光学部品/システムの企画・開発・設計など。
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
交渉中
ILS2017 大手企業との商談数:
9社

当記事の内容は 2018/6/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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