2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

“柔らか”な画像処理向けアーキテクチャで、
IoT時代に求められる多様なニーズに対応する

企業紹介

執筆者: 佐々木 正孝  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

エッジコンピューティングの基幹になる
画像処理アーキテクチャを開発

事業や製品・サービスの紹介

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液晶テレビやスマートフォン、パソコンをはじめ、自動車やデジタルサイネージに至るまで、デジタル機器はディスプレイを通じて私たちにつながっている。その画面表示を支える最先端の画像処理を磨いてきたのがArchiTek株式会社だ。

同社はコア技術として、画像処理向けのアーキテクチャ「aIPE(Advanced Intelligent Pixel Engine)」を開発。aIPEを搭載したチップの提供やライセンス販売、自動車メーカーなどと協業し、aIPEを活用したシステムの共同開発なども進めている。

aIPEはエッジコンピューティングの基幹部品として力を発揮する。エッジコンピューティングとはクラウドとデバイスの間で、よりデバイスに近い“端”にエンジン(回路)を置き、デバイスのデータを処理した上でクラウドと連携していくというものだ。

これまで主に画像処理に用いられてきたGPUは、エンジンが大規模で消費電力も大きく高コストなのがネック。一方、aIPEは省電力・省スペースで柔軟性も高く、様々な機器に組み込める。

データ量が幾何級数的に増大するIoT時代では、クラウドにデータを依存せず、エッジ部分でデータを処理することがリアルタイム性の担保につながる。エッジコンピューティングを支えるaIPEには、AIの画像・音声認識や自動運転、ドローン、ARなどの用途で大きな期待がかかっているのだ。

車載からモバイルサイズまで柔軟に対応。
低コスト・省電力で組み込み性も高い仕様へ

対象市場と優位性

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ArchiTekのエンジニアは、パナソニック出身のメンバーで構成されており、社内には、ゲーム機や携帯電話、デジタル家電の設計開発から回路実装、ボード設計、テスト、商品化までをワンストップで対応可能とする、豊富な知見、キャリアが集積。そのアセットを活かしたことで、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の平成28年度研究開発型ベンチャー支援事業に採択され、大手機関からは、3Dグラフィックス処理技術の開発を受託した。確かな技術が最大の優位性だ。

同社のaIPEは、画像処理の精度・速度で世界トップレベルを誇る。パソコンで行う画像処理の10倍速を確保し、また、制御しやすく柔軟な処理を可能とする「柔らかい画像処理エンジン」であることもポイントだ。低コスト・省電力で組み込み性が高く、車載サイズからドローン搭載のモバイルサイズまで柔軟に対応する。

これら汎用性が高い技術が評価されたことで、イノベーション系ファンドからの資金調達にも成功。受託案件を増やしすぎて疲弊することなく、理想的な環境でR&Dに注力できている。

画像処理aIPEのプロダクトはデジタル機器全般に強みを発揮するが、年率30%超で急伸し、2020年には70億個の大台に乗るといわれるCMOSイメージセンサー市場にもフォーカスしている。車載システム、セキュリティカメラなどの機器にあまねく組み込まれるロードマップを描く。

日本型の「堅い」モノづくりを脱却し、
柔軟で応用が効くテクノロジーを目指して

事業にかける思い

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「日本のメーカーは優秀な人材を抱え、高い技術を持っていながら、思い切った手がなかなか打てないのが現状です。このしがらみは、組織のフットワークの重さからきています。自分が培ってきた技術を生かして、高品質で安価なプロダクトを世の中に出していきたい。そんな思いからArchiTekを立ち上げました」

こう語るのは、同社代表の高田周一氏。パナソニックのR&D部門でキャリアを重ねてきたが、2010年代初頭の「半導体ビジネス冬の時代」に進路を再考。大企業が主導するものづくりが世界のベンチャーに遅れを取る現状に危機感を覚え、独立を果たしたのだ。

「たとえば、パナソニックのビエラは高画質を目指してテクノロジーを突き詰めるというポリシーで開発されてきました。しかし、これからの時代それは“堅い”。高度な技術でも他にはなかなか応用できません。これからは用途に応じて作り変えられる、“柔らかい”技術でなければ浸透していかないのではないでしょうか。私たちのaIPEチップ開発は、そんな思想が原点です」

同社のaIPEは画像処理に強みを発揮するが、アイデアに応じていくらでも応用が可能だ。現在も、医療現場の検査、工事現場の鉄筋探査など、業種・業界を超えた様々な展開が視野に入る。

ガチガチのモノづくりから、柔らかでシームレスなテクノロジーへ。ArchiTekはしなやかに未来を作っていく。

ArchiTek株式会社
代表者:高田 周一 氏 設立:2011年9月
URL:http://www.architek.co.jp スタッフ数:8名
事業内容:
情報通信機器等の回路部品、プロトタイプの研究・開発など
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
スパークス・グループ「未来創生ファンド」(2018年・金額非公開)
ILS2017 大手企業との商談数:
7社

当記事の内容は 2018/6/5 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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