2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

地方の食品メーカーと小売りを結ぶ「クラウドフード」。
独自の切り口で質の高いマッチングを実現

企業紹介

執筆者: 本多 小百合 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

販路拡大に課題を抱える地方の食品製造工場と、
商品を見つけられないバイヤーをネットで結ぶ

事業や製品・サービスの紹介

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地方には、大消費地へ商品を売り込みたい食品製造工場が多くある。だが、中小の食品メ―カーにとって、営業を雇い、遠方へ出張させるコストは負担が大きい。また、この業界は卸を通じた流通構造が確立されており、「ある企業が今、こんな商品を探している」というホットな情報を食品メーカーが直接掴むのは簡単ではない。

一方、首都圏に立地する小売や外食等の買い手企業は、差別化を図るため、常に新たな商品を探している。ところが、ユニークな商品を作っている食品工場はネット検索では見つからない小さなメーカーの場合もある。それらが地方に点在しているため、ヒットする可能性のある商品を探すにも効率が悪い。

そこで、株式会社リンクアンドシェアは、オンライン上にデータベースを構築し、両者のマッチングを支援するプラットフォーム「クラウドフード」を開始した。主力のサービスは「スマショ(スマート商談会)」だ。メーカー側は会員登録後、無料で商品を登録でき、商品に興味を持った買い手企業から商談オファーを受けられる。

メーカー側から買い手企業へのダイレクトなアプローチも可能だ。商談成立時のみ、システム利用料3000円がかかるが、遠方出張に比べれば圧倒的に低コスト。その後はいっさいリンクアンドシェアにマージンを払う必要はない。また、買い手側も利用料無料で、商品検索や商談会を開催できる。インターネットで両者をつなぐことで、今までになかった出会いが生まれた。

バイヤーの課題に寄り添った提案が、
商談成功率を格段にアップ

対象市場と優位性

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現在、クラウドフードのメーカー登録数は約1200社、登録商品数は約1万にのぼる。登録企業の9割以上は地方の食品関連メーカーだ。買い手側のバイヤーは約1600人で、誰もが知る大手スーパーや百貨店も名を連ねる。今この瞬間に、本気で商材を探しているバイヤーが集まるため決済のスピードも早く、ある広島のメーカーは「スマショ」を通じ、2日で契約を決めたという。

商談が次々実る秘密は、データベースに登録された“タグ”にある。「ワインに合うおつまみ」「ご当地グルメ」などのタグはすべて、業界経験の長い同社代表の中間秀悟氏が実際に商談の現場で何度も相談されたことのあるキーワードだ。チーズ、缶詰など、欲しい商品が決まっていれば検索しやすいが、ジャンルが曖昧になると検索が途端に難しくなる。企画やテーマに合わせて、食品軸ではなくニーズベースで探せる機能が買い手企業に受けているのだ。

同社のサービスは、このように双方が長く悩んできた課題を解決してくれるのが強み。今年は新たに、価格が理由で商談会では決まらなかった商品を支援するサービスを開始。クックパッドとコラボしてスーパー6社の棚を確保、レシピと共に参加を希望したメーカーの商品を並べる試みだ。希望価格を維持しながら必ず商品をデビューさせられるとあって、応募が殺到。販売枠は3日で完売した。

作り手がいなければ日本の食品業界の未来はない。
異業種コラボで可能性を追求し続ける

事業にかける思い

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先に紹介したクックパッドを始め、同社の事業では食品業界外の企業とのコラボレーションが増えている。今までにない珍しいサービスに、注目が集まり始めているようだ。

「食品業界は歴史が長く、流通が高度に発達しているが、反面、商品を売るルートが極めて限られている。たとえば6次産業として生まれた新たな商品は掛け率が合わない、営業のリソースが足りないなどの理由から、従来の流通に乗せられないものもある。原料費高騰、人手不足、物流費の値上がりと、難しい問題も増えており、このままでは作り手がいなくなってしまう。だからこそ、ITを活用して別の出口を提供し、この業界の発展に貢献してきたい」

業界に新たな道を提案するクラウドフードではあるが、最初から上手くいったわけではない。「スマショ」に至るまでには幾多の壁があり、3年間の試行錯誤が続いた。新たなサービスをリリースしては、聞こえてくる利用者の声に耳を傾け、改善を繰り返したという。

「企業と企業をつなぐのではなく、バイヤーと営業という“人同士”をつなげなくては上手くいかないことがわかった。クラウドフードの仕組みがやっと納得いくものになったので、ここから一気に勝負をかけていきたい」と中間氏。

近々また、商品企画の新たな支援サービスのリリースを計画しているという。次はどんな仕掛けで、新しい可能性を見せてくれるのか、リンクアンドシェアの挑戦を楽しみに待ちたい。

株式会社リンクアンドシェア
代表者:中間 秀悟 氏 設立:2014年7月
URL:https://crowdfood.jp/ スタッフ数:約8名(アルバイト含む)
事業内容:
食品業界のBtoBマッチングサービス
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
株式会社オールアバウト、三和建設株式会社、三菱UFJキャピタル、大分ベンチャーキャピタルより総額9000万円
ILS2017 大手企業との商談数:
3社

当記事の内容は 2018/4/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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