ディープラーニング高速化の先に望む
「意識を持つ」AIで、業界トップを目指す

企業紹介

執筆者: 佐々木 正孝  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

マグロ養殖事業でのAI活用により、
運営コストの削減に貢献

事業や製品・サービスの紹介

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企業の競争力を左右するテクノロジーとして、ここ数年、AIはあらゆる分野で採用され始めている。AIベンチャーの起業も活発だが、神経科学をバックボーンに新たなAIの開発に取り組むのが株式会社アラヤだ。

AIは、自動翻訳や画像認識など特定の分野で働く「専用AI」と、人間と同様に様々なタスクの処理を目指す「汎用AI」に分類できる。アラヤはその両軸に置いて、データサイエンス、画像認識の領域に強みを持ち、ビッグデータの解析、機械学習アルゴリズムの開発を進めている。

代表的な事例は、マグロ養殖事業でのAI活用だ。マグロの養殖では、コストの6割が飼料代に費やされる。飼料コストを最適化するためには、生け簀内の個体数を明確に把握しなければならない。よって、ダイバーが水中撮影した動画を目視によってカウントするのが通例だ。複数の作業員が長時間かけて行うため、そのコストもかさむ。

そこでアラヤが開発したのが、養殖マグロを自動カウントするシステム。ディープラーニングを応用した画像解析技術により、高速で泳ぐマグロを正確に計測。作業負荷の軽減や正確性の向上を担保している。

この他、企業のAI導入を支援してビジネスを支えつつ、まだ人類にとって未解決である「意識とは何か?」を解明し、人工知能に応用することで、世界初の汎用人工知能の開発を目指している。

ディープラーニングの高速化で特許を取得。
企業のAI導入支援で強みを発揮する

対象市場と優位性

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AIの導入支援やコンサルティングを含め、現在、アラヤと共に事業を進めるパートナー企業は20社以上。第三次とも言われるAIブームによって業界を問わず応用が本格しつつある。特にAI導入支援の需要が急増しており、同社への依頼は引きも切らないという。

AI導入支援におけるアラヤのストロングポイントは、ディープラーニング(機械学習)の高速化技術だ。ディープラーニングは大量のデータの読み込みが必須。結果的に演算処理が非常に重くなり、精度を高めようとすると大規模なサーバーが必要だったり、専用のハードウェアを準備する必要があったりと障壁が高いことがネックだった。

特に、リアルタイムでの画像認識には多大なコストがかかる。カメラ1台あたり月数万円のコストがかかるようではセキュリティカメラや自動運転、車の運転補助などの分野においてスケールアップした導入は難しい。

アラヤはディープラーニングの高速化技術で特許を取得している。これはアラヤが強みを持つ「情報理論」をベースにしており、パフォーマンスを落とさずに演算の軽量化ができる。GPUではなくCPUで処理できるため、スマホやノートパソコンを使っても、高精度で即時性の高い解析が可能になる。この技術の展開により、適切なコスト感覚でディープラーニングが活用できるようになるだろう。

神経科学からAI分野に参入し、
汎用AIのネクストステージを見据える

事業にかける思い

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「日本ではAIを専門に扱うベンチャー企業が圧倒的に足りていない。だから、需要は明らかにあるはず。自分たちの技術的優位性が客観的に示せれば、資金調達は難しくないと考えていました」と、代表の金井良太氏がスタートアップ時を振り返る。

AI研究者ではなく、神経科学分野でキャリアを積んできた。オランダのユトレヒト大学やアメリカのカリフォルニア工科大学、イギリスのサセックス大学などの研究者を経て起業に至る。

「私が構想する『意識を持つAI』は、インターネットと同じで革新的なもの。ネットもFacebookもそうですが、当初はどんな価値があるか、どのようなビジネスにつながっていくか明確に想像できませんでした。それと同じように、現状のAIよりも一歩先、次の時代に価値を持つところに信念をもって賭けているわけです。成功がすでに見えているものには、みんな群がってきますが、誰よりも先に未来を見てそこに賭けなければ、迫りくるAI時代でGoogleのようなポジションを獲得することはできません」

現在、同社のメンバーは25名で、そのうち約20名が技術者、研究者。将来的には、300~500人規模のR&D部隊の構築を目指すという。

「意識を持つAI」開発のフロントランナーたるべく研究を進め、リソースを集積しつつあるアラヤ。AI開発の新手を打つ準備が着々と進んでいる。

株式会社アラヤ
代表者:金井 良太 氏 設立:2013年12月
URL:http://www.araya.org スタッフ数:25名
事業内容:
脳画像解析サービス・脳画像解析ソフトウエアの開発、AI導入支援、コンサルティングなど。
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
グローバル・ブレイン株式会社(出資額非公表)
ILS2017 大手企業との商談数:
15社

当記事の内容は 2018/4/17 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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